大橋 誠ヘッドコーチブログ“Season Message”

 

 

※2015シーズンをもってヘッドコーチを退任し、シニアアドバイザー(SA)に就任しました。

ヘッドコーチ交代のご報告(GM並河) シニアアドバイザー就任のご挨拶(SA大橋)

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2014年07月

2014年07月17日

“U-19 in Kuwait” is over

アメリカ代表の優勝で、
2014 U-19World Championshipは幕を閉じました。
アメリカ40ーカナダ17。
決勝戦でも、アメリカチームの決定力が冴え、結果的に圧勝してのけました。
若いだけに、メンタルの浮き沈みは大きいものの、さすがの底力です。

 

我々、日本代表はフランス代表と戦い、30ー7で勝利、
今大会を勝って終えることができました。
2勝1敗1分け。目指していたものには遠く届きませんでしたが、
体格差をものともせずに、勝ち越して帰国する選手達は胸を張れると思います。

 

それに、今大会を通じて、選手達は本当に成長してみせました。
特に、アメリカ戦でみせた後半の粘りや、
フランス戦での思わぬ先制に動揺しない姿などは、象徴的なもの。

過去はもちろん、国内での戦いでは経験し得ない戦いを体感することで、
技術的なことはもちろん、精神的に鍛えられたのだと感じています。

 

中東の地で、驚くほどの体格差がある敵と、2日おきに潰し合う。
今までは 経験したことの無い、常識外のことだったでしょう。
でも、常識外の体験をしたからこそ、選手達は磨かれました。
常識外に身を置くからこそ、進化できるのです。

 

今回は、環境や対戦相手が自分の常識を超え、刺激をくれました。
これからは、自分で自分を常識の外に連れて行く力を身につけなければなりません。
そんな選手が増えたならば、今の日本フットボールの当たり前を変えてくれます。
関わった全ての選手にそれを期待し、常識外れの選手になって欲しいと願っています。

 

一方で、

選手に期待するだけでは無く、そんな選手達の出現率を上げる活動が不可欠。
まずは、U-19を含めた日本代表活動の継続、

具体的にはアメリカ想定の国際試合の継続開催を望みます。

 

そして、大会年には少なくとも2ヶ月程度の強化練習期間をおき、
国際試合を見据えた、人選と練習に取り組むべきと強く感じます。

そんなことの途切れない積み重ねが、世界一に近づいていく唯一の方法だと思うのです。

 

さて、今回はコーチングスタッフ筆頭に、
トレーナー、マネージャー陣から様々な場面でフォローしてもらいました。
本当にありがとうございました。
優秀な皆さんと戦うことができ、また勉強させてもらいました。

 

何よりも、今大会のコーチにと声かけしてくださった、

山嵜監督には、感謝しかありません。
貴重な機会をいただいたこともさることながら、
監督と接することで、色々なことを学ばせていただきました。

ありがとうございました。
何をどう学んだかは、申し訳ありませんが、

自分だけのものとさせてもらい、心に置いておきたいと思います。

 

オービックシーガルズは、

7/19「鴎道場」を皮切りに、Summer Seasonがスタート。
今年は、8月にアラバマでの遠征試合を予定しており、

このチャレンジにワクワクしています。


今シーズン、常識外のチームになれるかどうか。
まずは、アラバマでの戦いで、今までを大きく飛び越えてみせます。 

 

2014年07月15日

“U-19 in Kuwait” To Final

アメリカ代表と戦いました。
結果は0-43。完敗を認めざるをえません。

 

アメリカチームは、選抜者を集めて構成されただけあって、タレント揃い。
特に、スキルポジションには、
サイズ・スピードともに目を見張るような能力を持った選手が目につきました。
あの躍動する連中に、1on1で勝負していくためには、
一段違った取り組みが必要になるでしょう。

 

また、今回のアメリカチームの印象として、能力が高い人達の集まりということだけでなく、
考えられたフットボールを、しっかり遂行するチームであるということが強く残りました。


我々の試合に向けても、前の2試合とは違った、

我々に対して有効なプレーの準備をしてきましたし、
試合中に危ないと感じたことへのアジャストも、素早くきちんと形にしていました。

 

そういう意味では、本気でジャパンを潰しにきていた、と言えると思います。
試合の終盤、最後まで加点をしようとする姿勢からも、それを感じることができました。

 

本気できているアメリカに対して、選手達は臆することなく、

文字通り身体を張ってプレーをし、その心意気を体現して見せました。
試合の最後まで、1プレーに集中しようとし続ける姿は、誇るに足るものだったと思います。

 

今大会のルールによって、メキシコと同勝率ながら、5位決定戦に臨むこととなりましたが、
(勝ち点が同じ場合総失点の少ないチームが上位扱いとなる)
それは、固いゲーム運びを捨てて、

リスクをとったゲームプランを選んだ時に覚悟していたこと。


後は、全ての力を振り絞り、やりきって今大会を締めくくることが大事です。
短期間に成長著しい選手達が、やりきることができれば、

必ず勝利を摑むことができるはずです。

 

2014 U-19日本代表チームの最終戦、全てをフィールドで出しきります。

 

2014年07月13日

“U-19 in Kuwait" vs.USA

U-19日本代表は、2つの試合を終えました。
初戦のドイツ戦は48-20で勝利、2戦目メキシコ戦は24-24のドローとなりました。

 

メキシコ戦のドローは、ラスト49秒で追いつかれるという、悔しい結果。
私自身、かつてフル代表の国際試合でも、4Qになるとタックルが甘くなり、
逆転を許してしまうという展開を経験してきただけに、
終盤の苦しい時間帯を守りきるためのサポートができなかったこと、
本当に忸怩たる思いです。

 

ただ、まだ敗戦はありません。
選手達の必死のプレーが、負け無しでアメリカに挑む舞台をつくりあげました。
彼らは、体格的には1.5倍ほどもある相手に対して、互角以上の勝負してのけたのです。
このことは、コンタクトスポーツにおいて、非常に希有なことであり、
賞賛に値することです。
その勇敢さは、まさしく誇らしいものであり、
必ずこれからの戦いにつながっていくものと、確信します。

 

それにしても、選手達の変化の速度は、凄まじいものがあります。
国内で強化練習をしていた時とは、

まるで違うチームになったといっても過言ではありません。


未知の環境・対戦相手に出会い、今までの常識という殻を突き破ったことで、
成長は加速しているように思います。
若いがゆえの、柔軟性を目の当たりにしていると、こちらが学ぶことが多いです。
どこまで、どんな風に変わっていくのか、楽しみでなりません。

 

さて、いよいよ明日はアメリカ戦。

U-19の代表選手達は、これからの選手達ばかりですので、
近い将来、メジャーカレッジや果てはNFLで活躍するような選手も存在しています。
ある意味、この世代だけが、本当のアメリカチームと言えるのかも知れません。
そんなチームと雌雄を決する戦いができるのですから、痺れますね。
ワクワクします。

 

日々、進化するチームが、アメリカチームとどんな戦いをするのか、
皆さんも楽しみにしてください。

 

2014年07月07日

U-19 World Championship in Kuwait

現在、中東の地クウェートにおります。
光栄なことに、U-19の世界大会に帯同させていただくことになり、
世界一を目指してのチームづくりに関わっています。
非常に貴重な経験をさせてもらっています。

 

日本のフットボールチームは、ほとんど海外遠征を経験しません。
戦いの舞台や相手は、普段から接しているということで、自分の常識の範疇内にあります。
ところが、海外遠征ともなると、全くその常識が通用しません。
多分こうなるだろう、ああなるだろうということを想像することすらできないのです。

 

今回は、イスラム圏での試合ということで、「ラマダン」の渦中に放り込まれました。
ご存知の方も多いと思うのですが、この「ラマダン」期間中イスラム教徒の方々は、
日の出から日の入りまでの間、全く何も口にしません。
食事はもとより、水もタバコも口に入るもの一切です。

 

外気は最高気温50度弱の世界。
よく、脱水症状にならないものだと思いますが、何も摂取しないのです。
(まあ、この暑さの中、外にいる人は見かけませんが)

 

もちろん、我々は異教徒ということで、断食を強いられることはありませんが、
ひと目につくところでの飲食は避けなければなりませんし、
何よりも、人々の活動が日没後なので、我々の行動も日没後が中心となります。


そんな、生活習慣の変更をも余儀なくされるのが、海外遠征です。

こういった状況下での戦いでは、

「今までの」「いつもの」といった概念を捨てなければなりません。
「今」何をすべきかを考え、瞬発力を持って行動することが、重要です。


当然、いつも以上に強い意志、メンタルタフネスが不可欠になります。
19歳以下の若者には、いささか過酷な気もしますが、世界で戦う他競技の選手は、
もっと若年の頃から、厳しい環境にさらされているはず。
これは、日本のフットボールが進化していくための挑戦であり、好機でもあります。

 

今回選ばれた選手達は、その好機をしっかりと捉え、日々成長しているように見えます。
若いので、未熟さからのポカもありますが、一方で吸収も早い。
フットボーラーとしての成長はもちろんのこと、人間としても変化し続けています。
この期間中に、彼らがどこまで化けるのか、本当に楽しみです。

 

厳しい状況下での戦いについて、チームの監督である山嵜先生がこんなお話をされました。


「キツい試合であればあるほど、ミスをした方が負けるという考えにしばられがちだが、
ミスをしないようにとプレーしても意味がない。ミスは起こしてしまうものだ。
問題は、ミスが起きてしまったプレーに対して、どれほど本気で取り組んだかどうか。
全身全霊を込めたプレーで起きたミスは、それを取り返すための次のアクションにつながる。
本気でやっていない中で発生したミスは、次にはつながらない。次はない」

 

現在、U-19チームが置かれている状況下で、最も大切なことのひとつだと感じました。
状況・環境に左右されず、目の前のことを全力でやりきる。
そのことから、「次」が見えてくる。
優勝という高みを目指して、目の前の今を戦いきるチームにしていきます。

 

U-19は、今から約半日後、ドイツチームとの初戦を迎えます。
現地時間7/7(月)23:00キックオフ。
広大なアジアの地を挟んでおりますが、皆さんの念はきっと届くと思います。
応援よろしくお願いします。

 

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