Xリーグとは
アメフト小史 -大学で生まれ、日本でも約90年の歴史を持つ
アメリカンフットボール、略して “アメフト” 。過去に “アメラグ” と呼ばれたこともありますが、サッカー(アソシエイト・フットボール)からラグビーフットボール、ラグビーからアメリカンフットボールが生まれたことを考えると、 “アメフト” のほうが通りがいいようです。
本場アメリカでは約140年の歴史がある競技ですが、日本に上陸したのも意外に古く、1910年代だといわれています。ちなみに、最初に日本でアメリカンフットボールの試合が行われたのは、1925年、東京高等師範学校 (現筑波大学) 。その後、1934年に、立教大学のポール・ラッシュ博士の指導のもと、立教、明治、早稲田の3大学でアメフトチームが誕生し、翌年には、法政大学、慶應大学でもアメフト部が誕生しました。同じ年、関西では関西大学で創部されています。
その後は、本場アメリカで大学スポーツとして誕生し普及したのと同じように、日本でも大学を中心に発展していきました。日本大学フェニックスと関西学院大学ファイターズの2強時代は、お父さん世代の記憶に新しいところでしょう。
社会人のフットボールチームが産声をあげたのは、1970年代初頭。強豪大学のOBが集ったクラブチーム的な色彩が強いものでした。その後、実業団チームが増えて、徐々に日本の社会人アメリカンフットボール人口も増え、1984年には社会人協会が発足。実業団チームとクラブチームのトップチームが新たに編成された 「Xリーグ」 は、1996年に誕生しました。
Xリーグ公式サイト
チャンピオンシップを決める試合 -日本選手権は 「ライスボウル」
アメリカンフットボールの公式シーズンは、アメリカでは、9月~1月末。日本でも同様に、学生、社会人とも8月下旬から9月初旬に開幕し、年明け1月3日の日本選手権 「ライスボウル」 (RICE BOWL) が最大のゲームとなります。
なぜ、 “ボール” ではなく、 “ボウル” なのか-アメフトのスタジアムがすり鉢状 (ボウル) になっているため、ボウルと呼びます。また、選手権試合や大きな試合は、その地域の名産物の名前を冠した “○○ボウル” という名称が通例になっています。アメリカで有名なのは、ローズボウル、コットンボウル、オレンジボウル、スーパーボウルなど。日本は、日本の名産物である “ライス” を付けて 「ライスボウル」 と呼んでいます。
ライスボウルに進出できるのは、社会人代表と学生代表のそれぞれ1チーム。学生代表は「甲子園ボウル」の勝者、社会人代表は、社会人選手権である 「ジャパン エックス ボウル」(JAPAN X BOWL / JXB)の勝者が出場します。
Xリーグとは -社会人アメリカンフットボールのトップリーグ
社会人アメリカンフットボールのトップリーグが「Xリーグ」です。正式名称は、Japan American Football League Xcellence 。“X”には、「Xcellence(excellence)卓越、優秀」、「Xpert(expert)熟達した」、「Xciting (exciting)刺激的な、興奮させる」の意味が込められています。Xリーグは20チームからなり、下部リーグとして、X2、X3があります。
選手はすべてアマチュアで、 “一流の社会人、一流のフットボーラー” を目指しています。チームの運営形態は、社員選手だけが所属する実業団チームと、様々な職業の選手が集まるクラブチームの2種類が混在しています。クラブチームもスポンサー企業と契約し、スポンサー名をチーム名に冠しています。
リーグ戦の流れ -9試合で社会人日本一、10試合で日本一!
Xリーグの対戦方式は、リーグが発足した1996年からこれまでに3度変更されています。
当初は各6チームで構成される3つのディビジョン内で総当たり戦と、各々の上位2チーム計6チームが出場すえる決勝トーナメント(ファイナル6)の2シーズン制。2009年には、リーグ戦(ファーストステージ)と決勝トーナメントの間にセカンドステージが新設され、各ディビジョンの上位3チームがさらに2試合ずつを戦い、総合順位の上位4チームが決勝トーナメントを行う3ステージ制に変更されました。2016年には、実力が近いチーム同士を一部、ディビジョンを越えてマッチングする総当たりではないリーグ戦と、その上位4チームが進出する決勝トーナメントの2ステージ制になりました。
そして2019年から、前年の上位8チームからなるX1 SUPERと、その下に位置するX1 AREA(EAST、CENTRAL、WEST)12チームの計20チームがXリーグとなりました。X1 SUPERの8チームで総当たり戦を行い、上位4チームが決勝トーナメントに進みます。日本一(ライスボウル制覇)までの試合数は全10試合で以前と変わりませんが、実力伯仲の面白い試合がさらに増えることでしょう。
大まかな試合日程は、8月下旬~11月中旬にリーグ戦7試合を戦い、11月下旬が準決勝、12月に決勝となります。この決勝が日本社会人選手権で、「ジャパン エックス ボウル」 (JAPAN X BOWL / JXB) と呼ばれています。以前は 「東京スーパーボウル」 という名前で親しまれていましたが、全国的な普及と底辺の拡大を目的に、2003年に現在の名称となりました。
Xリーグ公式サイト>大会方式
春は “育成” のためのボウルゲーム、交流戦、国際試合
アメフトの本番は秋から冬、というのは本場アメリカと同じですが、春は何もしないのかというと、そうでもありません。ほとんどのチームは2月ごろから自主練習や体力トレーニングを始め、3月ごろからアメリカンフットボールの練習をします。そして5月ごろからは、春の公式戦として、 「パールボウルトーナメント」 (東地区のみの選手権試合。西地区では「グリーンボウルトーナメント」) が行われ、各地で開催される交流戦 (オープン戦) などとともに、チーム創りに力が注がれます。
なお、ワールドカップ(4年に一度、7月開催)のある年は、日本代表チームを強化するために春のパールボウルは中止となり、交流戦が組まれます (西地区は例年どおりグリーンボウルトーナメントを開催) 。