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クリニック@韓国
2010年08月09日
先月のこと。パールボウル決勝後の週末に、新生コーチを中心とするグループ(オービックシーガルズの選手&コーチ)で韓国へ行ってきました。ソウル・バイキングスという社会人チームからの招待を受けて、フットボールクリニックをするのが目的でした。
対象は、防具をつけ始めて数週間という学生から社会人の若手までと幅広く、ソウル大学のフィールド・ターフの上で、賑やかなイベント開催となりました。
私が担当したオフェンスラインというポジションでは、主催者からの要望は、
・2日間のクリニックで基本的なゾーンスキームの習得
・それを使用したインサイド(ランプレーのみ)のスクリメージ
というものでした。
入部したての選手はともかく、大学の上級生や社会人の選手を起用すれば、2日目の最後にはインサイドのスクリメージぐらいはできるだろうと思っていましたが、彼らとの時間を重ねていくにつれて、そのゴールが遠ざかっていきました……。
「韓国にゾーンブロックをやっているチームはありません」
ちなみにゾーンブロックのことを「ジョン・ブロォークゥ」と発音するので、最初は、コーチか誰かの名前なのかと思ってしまいました。
「今日、初めてヘルメットをかぶったので、頭が痛いです……」
そして、……メガネ in ヘルメット
うーん、2日間のプログラムで……ゴールが達成できるのか?? とはいえ、考えている時間などありません。まずは、ランもパスも基本から、ということで、基本的なドリルを炎天下、繰り返しました。彼らは乾いたスポンジのように、いろいろなことを信じられないようなスピードで吸収していきます。運動能力の高いスポンジ(選手)は、いったん吸い込んだ水分を簡単には吐き出しませんし、まるで吸い込んだ水を自浄作用で濾過したいとばかりに質問を浴びせてきます。その貪欲さには驚かされました。
指導をしている中での雑感を箇条書きにしてみました。
・彼らには(日本人とは異種の)根性がある
・取り組む姿勢が素晴らしい
・儒教思想が根底にあるからなのか、日本から来たコーチを敬ってくれる
・防具やジャージ等のフットボール用品は、日本から15年前程遅れている模様。
フットボールの専門店は韓国国内にないそうです
・メガネ in ヘルメットはやめよう
・韓国にも日本のアニメが大好きなオタク的な人たちが存在する。日本語で話しかけてくる選手に
「なんでそんなに日本語できるの?」と尋ねたら、「ボクハ、ニホンノアニメダイスキデス!」と
にこやかに答えてくれました。
いろいろありましたが、最後のプログラムは、ランプレーのスクリメージです。40人弱いたオフェンスラインの中から10人(相手選手とのコンタクトが可能な選手)を選び抜き、デフェンスライン&ラインバッカーとユニットとしての勝負です。プレーコールはインサイド・ゾーンとアウトサイド・ゾーンのみと単純ですが、私の教えるゾーンブロッキングはセットしてからのコミュニケーションが多いため、簡単ではありません。しかし、彼らはハングル語と英語を駆使してコミュニケーションを取り続け、私としては満足のいくユニット練習ができました。練習最後の質問タイムも積極的かつ的を得た質問が多く、主観ではありますが、有意義なクリニックとなりました。
ゲストを迎え入れるホスピタリティと、「何かを学び取ろうとする姿勢」に感銘を受けた有意義な2日間でした。今後も機会があれば、日本だけとは言わず、アジア全体のフットボールの発展のお手伝いができればと思っております。
TK