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NFLドラフト -PRO DAY 当日編-
2012年04月19日
前回、PRO DAY前日の準備の様子をお伝えしました。そして、いよいよ当日。 球団関係者、エージェント、メディアの受付には、朝7時の開始時刻を待たずして長蛇の列ができていました。当日はESPN(スポーツ専門チャンネル)で全米に生中継されますが、もちろんその主たる目的は、ドラフト全体1巡指名が予測されているQB、ANDREW LUCK選手のワークアウトを放送すること。LUCK選手の周りには常にカメラがつきまとっていました。
午前中はトレーニングルームで、午後はフィールドでのワークアウト、その後に各ポジションでのワークアウトというスケジュールはコンバインと同じでしたが、PRO DAYでは、ポジションごとのワークアウトの際に、NFLから来たコーチやスカウトがより具体的なリクエストをすることが可能です。
例えば、スピードは申し分ないが、キャッチング能力に疑問がある選手がいたとしましょう。NFL側のスタッフは、それを確認するためのドリルを行うことをリクエストすることができます。もちろん選手側はそれを拒否する権利もありますが、この期に及んで拒否する選手はあまりいません。
規定の測定プログラムを終えた後は、ポジションごとのワークアウトです。会場にいる、そしてテレビの前にいる誰もが見たいのはLUCK選手のワークアウト。それに配慮してなのか、彼がレシーバーに投げ分けるワークアウトが最初に行われました。彼は予め用意された27プレイのルートをレシーバー、タイトエンド、ランニングバックに投げ分けていきます。時には目の覚めるような直球を、時には浮かせた柔らかい球を、レシーバーが落球した1球を除けば、ほぼ完璧な内容で投げ分けていきました。その素晴らしいタッチのパスが決まるたびに、観客から歓声があがり、スカウトや球団関係者が顔を見合わせてヒソヒソ話をするのが見受けられました。
このLUCK選手のワークアウトには裏話があります。彼はエージェントを選定した後、自分のためだけのQBコーチを雇いました。というより、彼のエージェントがドラフトまでの間に彼の能力、つまり商品価値を向上させるために雇ったのです。シーズン終了後、エージェントの接触が解禁になった瞬間にエージェントと契約できるような能力の高い(ドラフトでの指名が予測される)選手にはたいてい、、コンバインやPRO DAYに向けてのスキルアップを助けるコーチがいますし、それを雇うのはほとんどの場合、その選手のエージェントです。
LUCK選手とエージェントが雇ったQBコーチは、昨年の全体一巡であったCAM NEWTON選手を指導したことで一躍脚光を浴びたコーチです。偶然にも数年前にSTANFORDで行われたQBキャンプにそのコーチがゲストコーチとして参加してきたときに仲良くなりましたが、当時はまだ無名で、「最近プライベートでQBをコーチする仕事を始めた」と言っていたのを覚えています。
彼はSTANFORDの近くに宿泊して、LUCK選手とワークアウトを重ねていましたが、LUCK選手がオフの日にも全米からドラフト候補選手が彼の指導を受けるためにSTANFORDを訪れワークアウトをしていました。そして、今回のPRO DAYで彼(LUCK選手のコーチ)の作り上げたスクリプト(プレイを事前に準備したリスト)や、それぞれのプレイの見せ方は完璧であり、まさにプロ中のプロを感じさせるものでした。同じようにQBとして評価の高いドラフト候補選手(彼には特別なコーチがついていません)のワークアウトとの違いは歴然でした。
今年のPRO DAYは、STANFORD FOOTBALLのドラフト候補選手にとって、総じて良い結果であったと思います。いよいよ来週26日から始まる「NFL DRAFT 2012」。今年はどのようなドラマが生まれるか、楽しみです。
以下の写真は、PRO DAYのワークアウト、スカウト、観客などの様子です。