TKこと河田 剛のUSA情報

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2009年04月

2009年04月29日

NFLドラフト(4)ドラフトの日

今、目の前でドラフト見てます。
いやぁー、おもしろい!!


詳しい意図はわかりませんが、指名権のトレード、指名権と現役選手のトレード等が頻繁に

行われています。たとえば、BROWNSは1巡指名権をJETSに渡したかわりに、3人の現役選手と

いくつかの他の順位での指名権を得ました。元々JETSはファーブが引退した後のエースQB

探しに苦労していました。そこで、指名順番を繰り上げてUSCの優秀なQBを獲得しにいきました。

BROWNSは即戦力がほしかったのか、もう少し(指名順位が)後でもとれるような選手を
一巡指名したかったのか。。。定かではありませんが、ドラフト中もめまぐるしいトレードが

行われていることに本当にびっくりしました。しかもそこに現役の選手まで絡んでくるとは。

 

STANFORDの選手も7位(最終順位)の最後ぐらいでいいから、指名されないかなぁ。。。

 

TK

 

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▲TVでは、CM中も次の指名までのカウントダウン(画面左下の方)と

ドラフト関連の情報(そのチームの戦力等)が画面に写ります

 

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▲私のオフィスのデスクです。

シーズン中はこのパソコンの2画面をフル活用してスカウティングをします。

左側に見える「狼群」はSTANFORDOFFENSE LINEのニックネーム(日本語バージョン)。

狼は常に群れで行動するからです。

OBIC SEAGULLS OLの“TWISTERS”の意味はなんでしたっけ?

#68しんのすけ君、近いうちにファンの皆様に説明してください

 

NFLドラフト(3)PRIVATE WORK OUT

☆PRIVATE WORK OUT

 

前回説明した、PRO TIMING DAYの後は、各チームのスカウトが情報を球団に持ち帰って

精査をしてドラフトの指名優先順位をつけていきます。その中で、
・この選手をもう一度見てみたい
・担当しているスカウトは良いと思っているが、他のスカウトやコーチ、チームのフロントに

 確かめてもらいたい

上記のようなケースで、チームが強い関心を寄せる選手を自分たちのファシリティーに招待して、

ドラフト前のこの期間に練習をさせることを「プラベートワークアウト」と呼んでいます。

 

もちろん、招待ですので、選手の移動や滞在、食事等はすべて招待した球団が持ちます。

選手によっては、球団側が出向いて、大学や選手の地元のハイスクール等で行うこともあります。

興味のある選手を目の前で見られるわけですから、球団にとっては願ってもないチャンスです。
また、選手やエージェント側からしても、最後のアピールのチャンスと言えるでしょう。


今まで紹介してきたようなプロセス(実際には、もっと長く、複雑かつ細かい)を経て、

運命のドラフトの日を迎えるわけです。

 

TK

 

2009年04月22日

NFLドラフト(2) PRO TIMING DAY

☆PRO TIMING DAY

 

これは、コンバインの後に各チームのスカウトがDIVISION-1(A)を中心に各大学をまわって

スカウト活動をすることをいいます。


目的は、プロ側から言えば、
 ・コンバインでは確認できなかったスキルのチェック
 ・コンバインに招待していない選手の中で、NFLにチャレンジしたい選手を見る(掘り出しものの発掘)
 ・指名を迷っている選手についての確認
カレッジのプレーヤー側から言えば、
 ・コンバインに招待されなかったが、アピールができる
 ・コンバイン時にケガや体調不良で見せられなかったポイントをアピールする

 

今年、STANFORD大学では4人がコンバインに招待されていました。招待されていなくて、
このPRO TIMING DAYでパフォーマンスをしたのが4人。合計8人がNFLスカウトと

エージェントの前でのパフォーマンスをしました。ちなみに、エージェントが来ているのは、

いい選手の情報を把握するためと、いい選手なのにエージェントが決まっていない

(ほとんどないですが)選手の発掘のためです。


種目は、スカウティングコンバインとほぼ同じ。少しだけスキル系のドリルが加わります。

当日は、午前7時の受付開始から約1時間半は、スカウトたちが練習や試合のビデオを再度
チェックする時間です。その後、午前中はいっぱいはウェイトトレーニング系のメニュー。
午後は、フィールドでのコンバインと同じテスト&スキルテスト。その間、スカウトたちは
選手を鋭い眼差しで見ています。そして、休憩時間になると、選手のもとに駆け寄って

いろいろな会話をしています。私には、その短い時間を利用して面接をしているように見えました。

 

一連のドリルが終了すると、やっぱりいい選手のところにはスカウトが続々と話をしにいきます。

どうやら、そこでは次のアポイント(PRIVATE WORK OUT )の話がされているようです。
PRIVATE WORK OUT については、また次回。

 

個人的には、コンバインに呼ばれない選手やドラフトにかからない選手はどうやってチャンスを
つかんでいるんだろう???と思っていましたが、昨年はじめてこのPRO TIMING DAYを知って、
納得がいきました。ここからは、エージェントの腕やコネクションが大きく作用してきます。
STANFORDの選手たちにもがんばってほしいです。

 

ではまた。

 

TK

2009年04月17日

NFLドラフト(1) コンバイン

2月に行われたNFLのスカウティングコンバインの後、4月の後半まで2ヵ月以上もあります。
その間、いったい何が行われているのでしょう。

 

NFLスカウティング・コンバイン→ PRO TIMING DAY → PRIVATE WORK OUT

→ (各チームで指名順位決定)ドラフト会議

 

簡単に説明すると上記のような感じです。
このブログが載る頃には、もうドラフトも終わっているかもしれませんが、

何回かに分けて、簡単に流れを説明します。

 

+++++

 

NFL スカウティング・コンバイン


秋のシーズン終了後にNFL行きを希望した選手の中で、NFLのチームが興味を示すであろう選手
(詳細は定かではないですが、各チームからリクエストがあるようです)がこのコンバインに
招待されます。毎年、COLTSのホームのRCAドームで行われますが、

NFLからの招待なので、飛行機代や宿泊費、食事等、すべてタダ。

今年はコンバインだけのスポンサー(アンダーアーマー)がついていたので、

選手はすごい数のグッズを支給されていました。
コンバインで行われる種目の詳細は割愛しますが、今年はコンバイン中のおもしろい話を

参加選手から聞いたので、シェアします。


ある有名なドラフト候補選手(センター)がいます。

彼はセンターには珍しく、2m近い身長と長いリーチ、ハードなプレースタイルがスカウトに

高評価を得ていました。しかし、ケガを理由にベンチプレス(100kgを何回挙げられるか)を

パスしました。実は、この選手はリーチが長い分、ベンチプレスが苦手だそうです。

噂の域を出ませんが、彼のエージェントはその手の策略をよくするらしく、

この種目で彼の評価(=指名順位=契約金&年俸)を下げることを嫌ったようです。
その他の種目でもそのようなことがよくあるらしいです。

ビジネスが始まってるんだなぁ……と強く感じました。

 

この他にも、いろんな裏話があるんですけど、それはまたの機会に! 

書けないものもありますけどねー。

次回はコンバインのあとについて書きます。

 

TK

 

2009年04月09日

SPRING GAMEのドラフト会議

STANFORD FOOTBALLでは、2月後半から3月中旬に7回、4月初旬に8回、

計15回のSPRING PRACTICEを行います。

NCAA規定で春は15回しか練習できません。

「そんなルール、俺が大学生の時にあったらなぁ」とか、思ったりしますが……。

NCAAルールについては、またじっくりと。


そのSPRING PRACTICEの締めくくりが、「SPRING GAME」と呼ばれる紅白戦です。

 

【紅白戦までのプロセス】
・ヘッドコーチはコミッショナーとなって中立の存在。
・コーチ、トレーナー、サポートスタッフ等をすべて2つのチームに分けて、ヘッドコーチを決める。
・コーチミーティングでドラフト会議の戦略(指名選手の順番・相手チームとの駆け引き等)を立てる。
・ドラフト会議で50人目の選手までを指名。残りの選手はポジションを考慮して振り分けられる。
・13、14回目の練習で、各チームごとの練習時間を1時間ずつ持つ。

 もちろん、(練習フィールドとスタジアムに)場所を分けて。


【試合のルール】
・スペシャルプレー(自分たちのプレーブックにないプレー)は2回まで。
・勝者は試合後のバーベキューでステーキやリブを食べ放題。敗者は小さなホットドッグ一つ。
・12分(本番はすべて15分)クォーターの試合形式。
・試合は一般公開。ビールとかポップコーンとかチアやバンドもあり。

 

と、まぁ、こんな感じですが、驚いたのはコーチたちの本気度合い。
ドラフト会議までに少なくとも10回はミーティングを重ねました。
しかも、SPRING PRACTICE期間なので、空いた時間(主に早朝か夜)を使いながらなので、
けっこうきつかったです。
主にモック・ドラフト(ドラフト会議のシミュレーション)でしたが、「向こうがこいつをピックしたら、
うちは必ずこいつを選ぶ」、みたいなことを延々とやっていました。

そして、ドラフト当日は、近くのレストランで朝7時から(コーチだけの)キックオフミーティングを

して本番へ臨みました。


ドラフト会議は、ヘッドコーチの司会進行により、チームのミーティングルームで行われます。
我がCARDINALチームは、ドラフトルームを設け、すべての選手の名前と指名優先順位の

色分けがされたマグネットプレートを準備して、万全の体制でした。

指名が発表されるたびに隣のドラフト会場からは(選手たちの)大歓声が聞こえます。

指名と指名の間は1分間しかないため、そこでは激論が繰り広げられます。
「次は絶対LBをとるべきだ!」
「いや、センターが必要だ!」
「その選手は、今指名する必要ない!」
「黙れ、俺がヘッドコーチだ!!」
みたいな激論を、指名ごとに交わしました。

結果的に、プランに近いドラフトになったので、これからの練習やチームビルディングが楽しみです。


このドラフトを通して何を感じたか。
「こいつらは、なんでも本気になる! そして、勝ちたがる! そして、それを楽しんでいる!」
ということです。

日本でコーチや選手をしているときは、なんでもけっこう冷静に見ていた方なのでびっくりしました。

息抜きでたまにやるバスケットでも、そこまでやらなくても……という場面が多く見られます。
でも、試合は本気でやるんだから、練習もどれだけ本気でやれるか、心身ともに本気が続くかって、
大事ですよね。あと、勝つことに執着しながら、それを楽しめるなんて、素晴らしい。

 

SPRING GAMEは、地元のファンにとっても一大イベントです。
STANFORDではそうでもないですが、USC(約90,000人)やNOTRE DAME(約80,000人)、
NEBRASKA(約80,000人)等では、SPRING GAMEのチケットは売り切れていることでしょう。

 

長すぎましたね。次は短編で!

 

TK

2009年04月03日

はじめまして。

オービックシーガルズファンの皆様、日本のアメリカンフットボール関係者の皆様、
そして、ただ通りすがっただけの未来のフットボールファンの皆様、はじめまして。
オービックシーガルズOBの河田剛(カワタツヨシ)と申します。

 

シーガルズ歴を申し上げますと、1995年から2003年の9年間選手として、
2004年から3年間コーチとしてお世話になりました。
2007年夏に渡米、サンフランシスコ近郊のSTANFORD大学でボランティアコーチとして
フットボールコーチを仕事にしております。 ※ボランティアですが、本業です。プロとして

やっています。たまたま(コーチとしての)給料が0円なだけです(笑)。

 

これから週に1回程度、アメリカンフットボールを中心とした話題や雑感などを

お届けしたいと思っております。
あまり脱線しないように、このブログの趣旨を記しますと……
1) アメリカンフットボールの本場の事情や情報をお伝えする。
2) オービックシーガルズやアメリカンフットボールに関わりの浅い、またはまったくない人に、
  シーガルズおよびフットボールに興味をもってもらう。
3) 「GOOD IN GOOD OUT」(from MICHAEL LEONARD 元シーガルズ・コーチ)

 

+++++


本日は、私の職場について。

 

サンフランシスコ近郊(空港から車で約30分)のSTANFORD大学という名門校です。
全米大学ランキングで常に5番以内に入る、それはそれは賢い私立の学校です。
スポーツも盛んで、全米の大学スポーツの中で最も(総合的に)優れた学校を選ぶ
DIRECTORS CUPでは、今年で15年連続のチャンピオンになっています。

 

「あれっ、フットボールはたいしたことないのに……」と思う方もいらっしゃると思いますが、
他の競技も含めた総合ポイントで争われますので、「平均して、強いクラブが多い」と
理解してください。

ちなみに、昨年の北京オリンピックでは、大学の卒業生を含むメダル獲得数が29個でした。

日本は、全体で28個だそうです……。

 

フットボールについては、2006年は1勝11敗で、コーチングスタッフは全員解雇。
2007年にヘッドコーチJIM HARBAUGHが就任して、4勝8敗。
昨年2008年は、あと1試合でボウルゲーム出場の可能性が得られる5勝7敗と、

お世辞にも強いといえるプログラムではありません。
しかし、今年や昨年のリクルーティング(有望な高校生プレイヤーの獲得)の成果、
若いスターターたちの経験値の向上など、2009年シーズンは明るい話題が多いです。

リーグは、「PAC-10(パック・テン)」という、アメリカの太平洋側に位置する10校で形成される

リーグに属しています。PAC-10にはスポーツの競合校が多く、勝つことが本当に難しい。
今年は、PAC-10チャンピオン目指してがんばります!!

 

と、こんな感じで、毎回テーマを設けていろんなこと書いていきますので、
ここではなく、オービックシーガルズのホームページをブックマークして、

最後にこのブログをチェックしてください。

 

TK

 

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▲ビル・ウォルシュのプレーブック見つけました。

STANFORDの元ヘッドコーチです

 

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▲昨年のコーチングスタッフ。上段左端が私です

 

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▲最初のシーズン(2007年)のゲーム前

 

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▲ホームスタジアムのSKY BOXの上から(フィールド)

 

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▲ホームスタジアムのSKY BOXの上から(キャンパスの一部)