TKこと河田 剛のUSA情報

最近の記事

2012年05月21日

ブログ終了のごあいさつ

皆様には突然のお知らせとなり恐縮ですが、今回をもってオービックシーガルズのサイト内での本ブログ「TKこと河田剛のUSA情報」を終了させていただきたいと思います。

 

これまで、私のブログをお読みいただき、誠にありがとうございました。

 

自分自身としては、生の情報をお伝えできたらと、精一杯努めてきましたが、つたない表現なども多々あったかと思います。今日までお付き合いいただきましたことに、あらためて厚く御礼申し上げます。

 

今後も、オービックシーガルズのコンサルタントとしての活動は続けていきます。というより続けていきたい!ですし、サイト内に登場させていただくこともあると思いますので、今後ともよろしくお願いします。

 

私がこの地(アメリカ)でフットボールに関わる者として働いている以上、こちらの情報をより正確にお伝えしていくことは、私の使命であるとも思っていますので、場所を移して同じような連載を始める予定です。その際は、またこちらのサイトで広報させていただきます。

 

あらためまして、今後ともオービックシーガルズをよろしくお願いします。

 

TK

 

2012年05月17日

NFLドラフト結果

2012年のNFLドラフトは、大方の予想通り、我がSTANFORD大学のANDREW LUCK選手が全体1巡指名を勝ち取りました。

 

数週間前に本人から(COLTSから1位で指名される旨)聞いていたとはいえ、当日はTV画面の前で勝手に緊張して生中継を見守っていました。複数のメディアのドラフト予想、そして私たちが望んでいたよう「STANFORD大学から1巡指名が4名」という結果には残念ながらなりませんでしたが、1巡で2名、2巡上位で2名、計4名の選手が上位で指名され、フットボール部としても学校としても名誉であるドラフトであったことは間違いありません。

また、ドラフト直後には7名の選手が「ROOKIE FREE AGENT」としての所属チームが決まり、NFL選手になることを夢見てドラフトにエントリーしたすべての選手がNFLと契約を結び、STANFORD FOOTBALLにとって歴史に残る週末となりました。

 

すべての選手が春と夏のキャンプの中で生き残り、登録選手枠入りを勝ち取ることを望んでいますが、そんなに甘くないこともわかっています。

 

TK

 

2012年04月19日

NFLドラフト -PRO DAY 当日編-

前回、PRO DAY前日の準備の様子をお伝えしました。そして、いよいよ当日。 球団関係者、エージェント、メディアの受付には、朝7時の開始時刻を待たずして長蛇の列ができていました。当日はESPN(スポーツ専門チャンネル)で全米に生中継されますが、もちろんその主たる目的は、ドラフト全体1巡指名が予測されているQB、ANDREW LUCK選手のワークアウトを放送すること。LUCK選手の周りには常にカメラがつきまとっていました。

 

午前中はトレーニングルームで、午後はフィールドでのワークアウト、その後に各ポジションでのワークアウトというスケジュールはコンバインと同じでしたが、PRO DAYでは、ポジションごとのワークアウトの際に、NFLから来たコーチやスカウトがより具体的なリクエストをすることが可能です。


例えば、スピードは申し分ないが、キャッチング能力に疑問がある選手がいたとしましょう。NFL側のスタッフは、それを確認するためのドリルを行うことをリクエストすることができます。もちろん選手側はそれを拒否する権利もありますが、この期に及んで拒否する選手はあまりいません。

 

規定の測定プログラムを終えた後は、ポジションごとのワークアウトです。会場にいる、そしてテレビの前にいる誰もが見たいのはLUCK選手のワークアウト。それに配慮してなのか、彼がレシーバーに投げ分けるワークアウトが最初に行われました。彼は予め用意された27プレイのルートをレシーバー、タイトエンド、ランニングバックに投げ分けていきます。時には目の覚めるような直球を、時には浮かせた柔らかい球を、レシーバーが落球した1球を除けば、ほぼ完璧な内容で投げ分けていきました。その素晴らしいタッチのパスが決まるたびに、観客から歓声があがり、スカウトや球団関係者が顔を見合わせてヒソヒソ話をするのが見受けられました。

 

このLUCK選手のワークアウトには裏話があります。彼はエージェントを選定した後、自分のためだけのQBコーチを雇いました。というより、彼のエージェントがドラフトまでの間に彼の能力、つまり商品価値を向上させるために雇ったのです。シーズン終了後、エージェントの接触が解禁になった瞬間にエージェントと契約できるような能力の高い(ドラフトでの指名が予測される)選手にはたいてい、、コンバインやPRO DAYに向けてのスキルアップを助けるコーチがいますし、それを雇うのはほとんどの場合、その選手のエージェントです。

 

LUCK選手とエージェントが雇ったQBコーチは、昨年の全体一巡であったCAM NEWTON選手を指導したことで一躍脚光を浴びたコーチです。偶然にも数年前にSTANFORDで行われたQBキャンプにそのコーチがゲストコーチとして参加してきたときに仲良くなりましたが、当時はまだ無名で、「最近プライベートでQBをコーチする仕事を始めた」と言っていたのを覚えています。


彼はSTANFORDの近くに宿泊して、LUCK選手とワークアウトを重ねていましたが、LUCK選手がオフの日にも全米からドラフト候補選手が彼の指導を受けるためにSTANFORDを訪れワークアウトをしていました。そして、今回のPRO DAYで彼(LUCK選手のコーチ)の作り上げたスクリプト(プレイを事前に準備したリスト)や、それぞれのプレイの見せ方は完璧であり、まさにプロ中のプロを感じさせるものでした。同じようにQBとして評価の高いドラフト候補選手(彼には特別なコーチがついていません)のワークアウトとの違いは歴然でした。

 

今年のPRO DAYは、STANFORD FOOTBALLのドラフト候補選手にとって、総じて良い結果であったと思います。いよいよ来週26日から始まる「NFL DRAFT 2012」。今年はどのようなドラマが生まれるか、楽しみです。

 

以下の写真は、PRO DAYのワークアウト、スカウト、観客などの様子です。

 

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2012年03月22日

NFLドラフト -PRO DAY-

いよいよSTANFORD大学のグラウンドにて「PRO DAY」(正式にはPRO TIMING DAYというらしいです)が開かれます[現地時間22日(木)]。

 

今一度、この定義を簡単に説明しましょう。
・(基本的に)NFLコンバインで行われた種目を、もう一度各学校で行う。
・コンバインは招待された選手のみのパフォーマンスのため、招待されなかった選手や招待されていたのに怪我でパフォーマンスできなかった選手がパフォーマンスを見せる良い機会である。
・当日はスカウトだけでなく、エージェントの参加も可能である(パフォーマンスを見て、まだエージェントがいない選手をクライアントにする)。

 

球団としては、
1.ドラフト対象選手の再評価
2.“掘り出し物“の発掘
がメインの目的となります。

 

特に今年のSTANFORDには上位指名予定選手が4名もいますので、数十億円の投資となるドラフト1巡選手を見極める機会は何度あっても足らないでしょう。当日は数社のテレビ局がその様子を全米に生中継する予定ですし、各球団のトップがこのキャンパスを訪れることになるようです。


もうこちらでも報道されているので、具体的な名前を出しても問題ないでしょう。全体2巡目の指名権を持つ
レッドスキンズからは、オーナー、球団社長、GM、ヘッドコーチ、3人のコーチが、他の球団でも相当数の球団トップがこのキャンパスに現れるようです。

 

写真は、当日のために用意したクルデンシャル(入場許可証のようなもの)です。関係者を含め600以上は用意しました。

 

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当日の様子はまたお伝えします。

TK

 

 

2012年03月19日

NFLドラフト(STANFORDの上位指名予測選手について)

前回の記事でご紹介したコンバインにSTANFORD大から招待された6名の選手たちは、順当に行けば指名を受けるであろうと言われています。別の言い方をすれば、コンバインで大きく評判を落とすことがなかったと言えるでしょう。今回は、その中から、上位指名が予測される4選手をご紹介したいと思います。

 


◎ANDREW LUCK


言わずと知れた、全米NO.1のQBです。リーダーシップ、賢さ、フィジカル、どれをとっても非の打ちどころのないエリートQB。195cm、108kgのサイズながら、コンバインの40yd走では4秒67を記録。大学での4年間、NFLに近いシステムのオフェンスを率いていただけに、2012年の全体一位は間違いないとされています。NIKEと個人契約を結び、早々にCMらしきものが……しかもNIKEはすでに「青」いカラーの商品を彼に支給しています。「青」は、ドラフト一位指名権を持つCOLTSのチームカラーです。

 

彼は、22日(木)にSTANFORD大学で行われる「PRO DAY」に参加します。ドラフト一位指名が99%決まっているので、参加する、そしてパフォーマンスをする(ボールを投げる)必要はありません。そこで、彼に、「別に何もする必要ないだろう?」と聞いてみたところ、満面の笑みで、「みんなそう言うんだけど、俺がボールを投げるのは俺のためじゃなくて、チームメイト、特にレシーバーのためなんだよ。俺がパフォーマンスするって言えば、より多くのスカウトが来る。そうすれば、NFL選手になりたくてPRO DAYに参加するチームメイトがスカウトの目に触れる機会が増えるだろ」。そんなことをサラッと嫌味なく言えるのが、誰もが尊敬するリーダーである所以なのでしょう。

 

 

◎DAVID DeCASTRO


198cm、141kg。今回のドラフトにおいて、ガードの中で一番に指名を受けるであろうと言われている選手です。四角い、冷蔵庫のような体型ながら、体脂肪率は15%以下。40yd走でいいタイムを出すようなタイプではないものの、プル(ランニングバックのリードブロッカーに出る)した時のクイックネスには目を見張るものがあります。ある有名なNFLのオフェンスラインコーチが、ここ10年の中で3本の指に入るガードであると評価したことからも、その将来性がうかがえます。


彼は先のコンバインで100kgのベンチプレスを34回挙げました。噂によると、このドラフトでガードの一巡指名を予定しているあるチームが、球団社長、ヘッドコーチ、オフェンスコーディネーター、OLコーチをPRO DAYに派遣してくるそうです。

 


◎JONATHAN MATRTIN


201cm、137kg。両祖父母、両親、姉の全員がHARVARD大学卒。彼一人だけがフットボールをするために
STANFORD大学を選びました。

 

忘れもしません、彼が入学してきて最初の練習を見た後、当時のOLコーチと二人で顔を見合わせて「NFLだな……」とつぶやいたことを。寡黙で、コーチの指導を素直に受け止め、新しいドリルやテクニックにも積極的にチャレンジする選手です。先のコンバインではFOOD POISON(食あたり)を理由にほとんどのパフォーマンスを見送りましたが、多くのチームに招待されてプライベートワークアウトを行うようです。

 

 

◎COBY FLEENER


201cm、111kg。コンバインでのパフォーマンスは悪くなかったのですが、他のタイトエンドが予想以上のパフォーマンスを見せたため、結果としてコンバインで評価を下げてしまいました。現在は1巡目の後半か2巡目の前半ではないかと言われています。ワイドレシーバー並みのスピードとキャッチング能力が魅力の長身タイトエンドです。

 


来るPRO DAYには、全チームのスカウトはもちろん、コーチ陣や経営陣まで参加して、実際に選手のワークアウトを見ていきます。その様子や結果はまた後日リポートします。

 

TK

 

2012年03月02日

NFL Combine

2年前にも同じタイトルでお話をしました。そのコンバインが2月22日から始まっています。コンバインとは、簡単に説明すると、NFLまたはNFLの各チームがドラフトで指名予定選手のパフォーマンスを実際に見るために行われるものです。

 

 

NFLの球団側から見たドラフトに向けたプロセスを簡単にまとめてみました。

1・地域担当スカウトのスカウト活動(練習、試合、試合のビデオを各校に出向いて実際に見る)
2・スカウトの責任者、GM(ゼネラルマネージャー)や球団の社長が上位指名予測者を実際に見に行く(球団にもよりますが)
3・カレッジのシーズン終了を目安に各プレイヤーの評価をまとめる
4・コンバインへの招待希望選手のリストを提出する(リーグが招待選手を決定)
5・コンバインでのパフォーマンスを実際に見て評価する
6・各地各校で行われるPRO DAYで再評価する(コンバインに招待された選手+NFLには行きたいが招待されなかった選手が参加し、通常、各学校で行われる)
7・「もっと見てみたい選手」を見るために、プライベートワークアウト(球団の施設へ招待、あるいは選手の希望の地へ出向く)を開催することが可能
8・指名選手の優先順位を決め、ドラフトへ

 

 

現場のヘッドコーチや選手の契約を取り仕切るGMは、いろいろな選手の様々な評判や評価を聞いてはいても、選手のパフォーマンスを実際に見る機会はあまりありません。それを実現できるのがこの「コンバイン」といいうわけです。実際、各チームのほとんどの関係者がこの場に姿を見せますし、実際に「パフォーマンスを見て選手の優先順位を決めるチームがほとんどでしょう。

 

しかし、中にはコンバインに参加しながらも部分的にパフォーマンスをしない選手もいます。シーズン中やトレーニング中の怪我が理由の場合もありますが、それがビジネス的な理由である場合もあるようです。

 

コンバインに招待されるような選手はもちろんエリートであり、この時点ですでにエージェントと契約しています。エージェントが契約条件や指名順位の向上のために、特定の種目のパフォーマンスをさせないケースもあるようです。たとえば、ベンチプレスが苦手な選手が、パワーのなさを隠すためにベンチプレスをしなかったり、スピードがない選手がスピード系の種目を拒否したりと、その戦略はそれぞれですが、もうビジネスのつばぜり合いは始まっているのです。

 

我がSTANFORD大学は、今年度のコンバインに6名が招待されました。なんとそのうちの4名が各種メディアのドラフト予想で1巡指名(全体32位)になると予想されています。次回はその選手たちの詳細をリポートします。

 

ではまた。
TK

 

2012年02月21日

スーパーボウル、すみません……

先のスーパーボウルは、勝敗もスコアも予想がまったく当たらず、申し訳ございませんでした。

ペイトリオッツは、オフェンス、ディフェンスともに勝負どころでの反則で試合のモメンタムを逃してしまいました。ファンブルでボールを取ったと思ったら、フィールドに12人いたり(11人でプレイするのがルール)、きれいに3rd downを止めたと思ったらDLの選手がオフサイドしていたり。フットボールに限らず、スポーツに反則はついてまわりますが、良いプレイの後に反則の裁定が下されるほど、もったいないことはありませんね。

 

そんな、チャンスを生かせなかったペイトリオッツに対して、ジャイアンツは少ないチャンスを生かしての勝利でした。特にゲーム序盤でフロントがプレッシャーをかけてのセーフティーは、ペイトリオッツのハイパーオフェンスのスタートダッシュに絶妙なブレーキをかけました。

 

このゲームをもって、アメリカンフットボールの2011シーズンは終了しました。ロックアウトや我が師匠、JIM HARBAUGH率いる49ERSの躍進等、(個人的には)話題に事欠かないシーズンを楽しむことができました。NFLでは、これからフリーエージェントマーケットやトレードへの動きが活発になるとともに、ドラフトに向けてのコンバインやワークアウトが本格的に始まります。その様子も皆さんにわかりやすくお届けしていきたいと思います。

 

2012年のNFLシーズンはもう始まっています。

TK

 

2012年02月05日

スーパーボウル勝敗予想

いよいよ、世界で一番のスポーツイベント(と言っても過言ではないと思います)スーパーボウル。レギュラーシーズン13勝3敗の【NEW ENGLAND PATRIOTS】と9勝7敗から這い上がってきた(??)【NEW YORK GIANTS】の対戦です。

 

私の予想のポイントは2つです。


(1)PATRIOTSのキープレイヤーであるTEのROB GRONKOWSKI選手が怪我から復帰できるか?
  ・TEながらレギュラーシーズンのレシービングydは1327ydでNFL内で6位 
  ・TDレシーブは17回でNFLトップ
  ・2週間前の試合で負傷。出場は微妙と言われている


(2)GIANTSのDEFがPATRIOTSのハイパーオフェンス、特にパッシングをどう止めるか
  ・GIANTSのDLとLBが、いかにTOM BRADYにプレッシャーを与えるか
  ・一発でのロングゲインを最小限に
  ・決定力の高いOFFに対してのRED ZONEでの粘り
    (フィールドゴールは許してもTDは許さないDEFができるか?)

 

予想をする上での禁句を言ってしまいますが、前述のROB GRONKOWSKI選手が今までと同じようにプレイできるのであれば、PATRIOTSの勝利は揺るぎがないと思います。GIANTSは少ないチャンスをいかに生かしていくかが、カギとなるでしょう。その他、ターンオーバーバトルやキッキングの攻防等、ポイントを挙げればきりがありませんが、

 

38対24でPATRIOTSの勝利!!

 

と予測させていただきます。

 

TK

 

NFL日本公式サイトNFL JAPAN.COM>スーパーボウル2012特集

 

 

NFCチャンピオンシップ 49ers vs GIANTS

いい試合でした(49ers 17-20 GIANTS)。

 

私もSAN FRANCISCOのダウンタウンに出かけ、超満員のスポーツバーで観戦しました。地元の人たちにとっては残念な結果に終わりましたが、数日経過した後の地元マスコミでの論評は、総じて「よくがんばった、来年も!」みたいなものでした。

 

やはり、ゲームを分けたのはターンオーバーでしたね。しかも、スペシャルチームで、しかもあのタイミングで。コーチとして言うなら、あのファンブルは起こるべくして起こったと思います。パントカバーの選手がボールにアタックしたのは、紛れもない事実ですが、あのボールハンドリングではファンブルが起きてもしかたないでしょう……。NFLの中でもトップレベルのリターナーであるTED GINN Jr.の欠場により出場機会を得たKyle Williams選手は、プレイオフでもいい働きをみせていました。彼は我々Stanford大学と同じPAC-10(現PAC-12)の名門、Arizona State出身で2年目の選手です。私もチームのエースレシーバーだった彼の活躍を覚えています。

 

このことに起因して、私が2007年からこちらで働きだして最初に感じたことを鮮明に思い出します。
「細かいことは、あんまり教えないんだなぁ……」
そうなんです。細かいこと、この主題で言えば、ボールの扱い方等の細かいことはあまり教えないんです。なぜ教えないか……私が想定している理由は2つです。
・できる選手が入ってきている
・できない選手は使わない
特にNFLでは、そういった選手がいないことが前提であるといっても過言ではないと思います。今回のケースで言えば、彼がパントをキャッチしてから走り出す間の数秒間のことが、今まで問題にならなかった、そして、いつ問題になってもおかしくなかったことをコーチ陣が見逃していた-ということになるでしょう(あくまでも、個人的見解です)。

 

さて、今週末はスーパーボウル。続いて、予想をアップします。

 

See you soon!!
T.K.

 

2012年01月20日

NFLカンファレンス・チャンピオンシップ

「49ers vs SAINTSは、49ersが僅差で勝利」……私の先週の予想、当たりました!!


結果はともかく、素晴らしいゲーム内容でしたね。地元も、いたる所で相当の盛り上がりを見せていました。私が予測した4強入りは、
【AFC】
PATRIOTS
RAVENS
【NFC】
49ers
PACKERS

でした。一つだけ予想が外れてしまったのが、PACKERSです。レギュラーシーズンの戦績は、なんと15勝1敗。エースQBのAARON ROGERS選手はここ数年でリーグを代表するQBに成長した選手です。オフェンス・ディフェンスともバランスよく、どのゲームも「危なげなく勝っている」という印象が強いチームです。いや、“でした”……。そのPACKERSを37対20と【撃破】したのが、NEW YORK GIANTSです。レギュラーシーズンの戦績は9勝7敗で、
地区優勝はしているものの、ワイルドカード(シードなし)からのプレイオフ出場です。


「どうして、あのPACKERSが負けたのか?」……ひと言で言うなら、GIANTSがターンオーバーバトルで圧勝したと言えるでしょう。3ファンブルロスト・1インターセプトを喫したPACKERSに対し、GIANTSは1インターセプトのみ。そのうえ、GIANTSのエースQBであるELI MANNINGは、トータル330ydのパスで3TD。これでは、PACKERSが勝つチャンスはゼロに等しいでしょう。

 

さて、今週末はそれぞれのカンファレンスCHAMPIONSHIP。

 

AFCは、QB TOM BRADYを要する、PATRIOTSが勝ち上がってくることでしょう。

 

ここで、NFCのゲーム予想をしてみましょう。この試合を左右するであろう条件を記してみます。
【49ers】
・ホームゲーム。しかも久しぶりのCHAMPIONSHIPゲームで、地元のファンは大盛り上がりです。
・前回の試合は土曜日で、休養日がGIANTSより1日多い。この1日は大きいです。
・DEF中心に勝ってきているチーム。
【GIANTS】
・アウェイゲーム。
・前回の試合は日曜日(=休養日が1日少ない)。そのうえ、NEW YORKからSAN FRANCISCOへの移動(約5時間半)あり。
・時差3時間。試合時間は問題ないですが、アジャストに時間を要します。

上記のような要因から、49ersの勝利を予測させていただきます。GIANTSに勝機があるとするなら、QBであるELI MANNINGの調子が良く、ハイスコアリングなゲームになるか、ターンオーバーバトルで圧勝するかでしょう。

 

今週末、(こちらでは)日曜日の2試合、TVの前から離れられません!!

 

NFL JAPAN.COM >2011カンファレンス・チャンピオンシップ
 

TK

 

2012年01月13日

NFL ディビジョナル・プレイオフ

今週末、NFLのディビジョナル・プレイオフですね。 NFL JAPAN>ディビジョナル・プレイオフ

 

【AFC】
RAVENS vs TEXANS
PATRIOTS vs BRONCOS
【NFC】
GIANTS vs PACKERS
49ERS vs SAINTS


見たくても見れない好カードばかりです。

 

私が予想をする4強入りは、
RAVENS
PATRIOTS
PACKERS


そして、49ERSかSAINTS... この「49ERS vs SAINTS」を予測してみましょう。

 

地元であり、そして一緒に働いていたボスや仲間が多くいる49ERSの快勝と予測したいところですが、SAINTSはひと筋縄でいく相手ではありません。SUPER BOWLのMVPを経験しているQBのDREW BREES選手は、PRO BOWLに6回、ALL PROに4回選出されています。SAINTSは49ERSと同じWEST COAST OFFENSEベースのオフェンスを展開します。49ERSのQB、ALEX SMITHがいまひとつであるのに対して、DREW BREESはWEST COAST OFFENSEのお手本と言えるようなクォーターバッキングをします。リードの仕方、スクランブルへの判断やボールを捨てるタイミング等、すべてが一級品。身長は180cm足らずで、上位でのドラフトであったはずですが、TOP of TOPのピックではありませんでした。SAN DIEGO CHARGERSでの5年間はスターターとして活躍していたものの、パッとせず、2005年にSAINTSにトレードされてからALL PROに4回選出されるなど、NFLのトップQBとして活躍しています。

「鬼才・VIC FANGIO」率いる、49ERSディフェンスが彼にどれだけプレッシャーを与えて、彼のリードに混乱を与えるかが、勝負の分かれ目ではないかと思います。 さらには、このように実力が拮抗しているチーム同士の試合では、ターンオーバーとキッキングゲームが試合を分けることでしょう。


(サイズ的に)日本人が親しみを持てるトップQBと私の師匠とも言えるヘッドコーチが率いるチームの対決から目が離せません。私は僅差で49ERSが勝利することをここに予測しておきます。

 

ではまた。
TK

 

2012年01月08日

ティーボウ

NFLはレギュラーシーズンも終わり、プレイオフへと入ってきました。

 

今週末にAFCのワイルドカードゲームに臨むDENVER BRONCOSが、レギュラーシーズンの中盤からエースQBをティム・ティーボウ選手に変更しました。彼のプレイスタイルを簡単に表現するなら、「パスは苦手だけど、走らせると凄い」、そういうQBです。QBの年俸が高騰している近年、
【QBが走る機会が増える=ヒットされる機会が増える=怪我につながる=年俸(お金)を無駄にする可能性が高くなる】
このような構図(理由)から、QBがボールを持つ回数が多くなる「オプション」のようなオフェンスを展開するNFLのチームは少なくなりました。そんな中、BRONCOSのJOHN FOXヘッドコーチは、ティーボウ選手を中心としたオフェンスを展開することを決断しました。

 

しかし、選手もコーチも、そのスタイルのオフェンスには慣れていません。ここからは全米のメディアも知らない裏話です。

 

シーズン中盤、BRONCOSのあるアシスタントから私の同僚の元へ連絡がありました。要約すると、彼らはいくつかのカレッジに連絡を取り、プレイブックを探しているとのこと。ご察しの方もいらっしゃると思いますが、NFLでの経験が長く、またNFLに合った人材を採用しているBRONCOS(ほとんどのNFLチーム)では、ティーボウが得意とするようなスプレッドオプションに明るいスタッフがいないのです。彼らはプロスタイルの中でも少しだけスプレッドオプションを取り入れているようなカレッジを探していたらしく、我々STANFORDに一番に連絡してきたようです。残念ながら、プレイブックを渡すわけにはいかなかったので、いくつかのアイデアをシェアしたようですが、それぐらい困り果てたうえでのシステム変更だったようです。

 

しかし、裏でそんなドタバタ劇があったにも関わらずプレイオフに進出してしまうあたりは、さすがにプロ!だと称賛できるでしょう。また、その“付け焼刃”とも言えるようなシステムを軌道に乗せてしまうコーチングスタッフと、それを習得して実践し、しかも勝利に結びつけてしまう選手たちも凄いですね。

 

しばらくはSUPER BOWLに向けたNFLプレイオフのことを書いていきたいと思います。

 

ではまた。
TK

 

2012年01月06日

おめでとうございます

オービックシーガルズファンの皆様、明けましておめでとうございます。そして、オービックシーガルズに関わるすべての皆様、日本一おめでとうございます。昨年同様、2012年も素晴らしいスタートとなりましたね。


私は同じ時間帯に試合をしていたため参戦はできませんでしたが、粘りに粘ったうえでの逆転勝利であったとのこと。(STANFORDが敗戦したのもあり・・・…)ネットでチェックして、結果を見た瞬間、本当にうれしかったです。

 

Xリーグの歴史上、三連覇を成し遂げたチームがない中で新たな歴史を創るチャレンジ、単独チームとして初のドイツ遠征-今年のオービックシーガルズには大きなチャレンジ待ち受けていることでしょう。チームとファンが一丸となって、良い年になるようにがんばっていきましょう。


微力ながら、私もお手伝いできればと思っております。

 

ではまた。

TK

2011年12月21日

祝! 2連覇!!

JAPAN X BOWL 2連覇おめでとうございます!!

 

良かった……。本当に良かった。チーム関係者の皆さん、ファンの皆さん、おめでとうございます。遠くカリフォルニアからではありますが、選手やスタッフの苦労を見てきただけに、心の底からうれしく思います。

 

当日は、もちろんUSTREAM中継(ゆるすと)で参戦していました。こちらの午前2時からの中継でしたが、一睡もせずに参戦させていただきました。ゲーム内容の詳細はともかく、全員が全員の仕事をしっかりと果たした結果が見てとれました。言葉を変えれば、「オービックシーガルズらしいフットボールができた」試合だったのではないかと思います。

 

そしてなによりも、ファンの皆さんの声援が素晴らしかったです。スタンドの皆さんの熱い参戦も含め、「オービックシーガルズらしい試合」をみんなでやって、みんなで勝ち取った連覇なんだと思います。

 

もう1試合、「UNFINISHED BUSINESS」が残っています。新しい年の始めでありながら、シーズンを締めくくる、終わりでも始まりでもある試合ですね。もう1ゲーム、オービックシーガルズらしいゲームが見られることを期待してやみません。さぁ、がんばっていきましょう!!

 

TK

 

2011年12月15日

明日・12/16(金)「NFL倶楽部」(日本テレビ)に出ます

日本テレビで金曜深夜に放送されている「NFL倶楽部」。NFLファン、アメフトファンならご存知でしょうか。日本で唯一の、NFLのレギュラー情報番組で、オードリーのお二人が進行役。オービックシーガルズOBの安部奈知さんもゲスト解説者としてよく出演されています。

 

その番組に明日16(金)、私TKが出演いたします。恐縮ながら、「密着」レポのようです。よろしければ、ご覧ください。

 

「NFL倶楽部」トップページO.A.情報より

12/16(金)27:33~28:03 

「スタンフォード大学日本人コーチアシスタント!」
カレッジフットボールの名門、スタンフォード大学。
そこでOLコーチのアシスタントとして働く日本人河田さんに密着。

 

★このVTRがNFL JAPANサイトにアップされました。

見逃した方はこちらをどうぞ(12/19追記) 【イクマが行く!】米国名門校にTK!

 

2011年12月13日

HAR-BOWL

サンクスギビングデーであった11月24日(木)、RAVENSvs49ersの試合が行われました。この日は休日であり、国民のほとんどが家で夕食(主にターキー)をするため、最も視聴率が高いゲームのうちのひとつと言われています。

 

そんな大舞台、今年はJOHN HARBAUGH(RAVENS/兄)とJIM HARBAUGH(49ers/弟)の兄弟ヘッドコーチの対決となりました。こちらでは彼らの名字を取って「HAR- BOWL」と呼ばれていました。

 

結果は、ホームチームのRAIVENSが16対6で勝利しました。今シーズンは堅守を中心にミスの少ないオフェンスが得点を重ねていくのが“勝ちパターン”の49ersでしたが、RAVENSのディフェンスに9つのQB SACKを浴びて、12回あった3rd DOWNを2回しか更新できませんでした。特にディフェンスの強いチーム同士の戦いにおいてこの数字では勝てませんね。

 

さて、このJOHNとJIMの兄弟は、コーチングスタイル、特にマネジメント方法がまったく違うようです。


この世の中でただ一人だけ、両者のもとで働いた人がいます。現在、RAVENSでアシスタントをしている私の元同僚です。彼によると、JIM(弟)は典型的なワンマンスタイルで、「俺がルールだ!」的なマネジメント。JOHN(兄)は、詳細なルールを決めた上での細かいマネジメント-であるそうです。彼らの父、JACK HARBAUGHもコーチとして有名だった人で、何度となくSTANFORDの練習やゲームにいらっしゃっています。お父さんは弟寄りのコーチだと思います。

 

兄弟で、同じスポーツの頂点で働いているなんて、本当にうらやましい限りです。

ではまた。

2011年12月08日

MEGATRON

ここ数年低迷しているDETROIT LIONS。しかし、今年はがんばっております。開幕5連勝のあと、少し足踏みをしましたが、現在7勝5敗。プレーオフへの進出を争っています。


低迷が続いた“怪我の功名”で、ここ数年、若くていい選手が続々と入団しています。その中の筆頭が、WR#81 CALVIN JOHNSON選手です。2007年のドラフト全体2巡でLIONSに入団。5年目となる今シーズンは、レシーブ数、TD数、レシービングヤード等すべてのエリアで自己最高を記録するであろうと言われています。

 

誰が呼んだか、「メガトロン」。恐らく「トランスフォーマー」という映画(アニメ?)のキャラクターのうちの一つから名付けられたと思います(間違っていたらすいません……)。
Calvin Johnson *Megatron* Highlights(YouTube)


今シーズン12試合を消化して、(NFLでは)WRとしてはトップの12TD。レシービングヤードでは、全体で2位の1,092ヤード。特に目を引くのは、RED ZONE(敵陣25ヤード以内)に入った時の活躍です。日本語で説明するなら、「決定力のある選手」とでも言うのでしょう。とにかく、見ていてワクワクする選手です。

オービックシーガルズにも、次の大舞台で「決定力のある」MEGATRONが出現してくれることでしょう。

 

2011年12月02日

カンファレンスの移動

カレッジフットボール界の2011年を一つの単語で表すとしたら、「カンファレンス」という言葉が上位にくると思います。いろいろと複雑なのですが、簡潔に言うと、「各校がより良い条件を求めて、所属カンファレンスを変えた」という説明が正しいでしょう。


【放映権をはじめとする所属カンファレンスからの分配金】
ホームゲームでの収入(入場料・グッヅ売上等)以外のTVの放映権やBOWL GAME主催団体、カンファレンススポンサーからの収入はいったん所属カンファレンスに集約されて、その後、各校に分配されます。カンファレンスへの収入が多ければ多いほど、各校への分配金も多くなります。つまり、人気が高いカンファレンス、そして人気のある大学が多ければ多いほど、所属校が得る収入は多くなります。また、人気が出そうなゲームはTV放映があり、学校の宣伝になるわけです。BOISE STATEのようにマイナーカンファレンスにいながら強いチーム(学校)は、常に良い条件を探していますし、そのような学校を探しているカンファレンスも多くあるようです。

 

【ランキング】
1部校が150校以上あるカレッジフットボールでは、順位を絶対値で決めることはできません。投票やコンピューターによる評価等を組み合わせた「ランキング」でその強さを表現するしかありません。BOISE STATEの2011スケジュールをご覧ください。初戦でGEORGIA大学と対戦して以来、強豪校との対戦はありません。これではいかにハイスコアで勝っていても、全米ランキング上では評価されません。「弱い相手に勝ってるだけでしょ?」となってしまうのです。対戦スケジュールは、カンファレンス内とそれ以外の定期戦等で構成されるので、より強いカンファレンスに所属する方が全米でも評価されるのです。

 

【リクルーティング】
大きく、そして強いカンファレンスに所属する大学に、高校生は進学したがります。

 

上記のような理由から、今年は、来年からカンファレンスを移動することを表明した強豪校がいくつもありました。日本ではあまり考えられない話なのかもしれませんが、学生スポーツでありながら、「お金に左右されている」ことを改めて認識させられたシーズンでした。

 

TK

2011年11月30日

カレッジフットボール レギュラーシーズン終了

先週末のNOTRE DAME大学戦に勝利し、わがSTANFORDは11勝1敗でレギュラーシーズンを終了しました。

 

今年は新しいヘッドコーチ、そして新体制でのチャレンジでしたが、昨年と同じく素晴らしい成績でシーズンを終えることができました。全米ランキングは4位です。各カンファレンスのチャンピオン決定戦が行われる今週末の(上位校の)戦績次第では、もう一つ上に行く可能性もあります(下に行く可能性も少々)。

 

そして、全日程が終了した翌日の日曜日に、最終全米ランキングの発表とBOWL GAMEへの招待が決定します。すでに多くのメデイアで、「STANFORDはFIESTA BOWLへ」と報道されていますが、こればかりは神のみぞ知るです。実際、昨年はその招待について多くの混乱がありました(例年と違う選考基準に混乱しました)。

 

いろいろと決まり次第またご報告しますが、まずはレギュラーシーズンの終了をご報告させていただきました。

 

さて、今週末はオービックシーガルズの「戦」ですね。アメリカから、USTREAM中継を頼りに、熱く応援します。

 

TK

 

 

2011年11月09日

49ers

NFC-WESTの首位を走っている49ers。私の記憶が確かならば、昨年は6勝10敗だったはずです。NFLのシステムで特に大事だとされるQBは、昨年まで7年間鳴かず飛ばずだったALEX SMITHのまま。特にドラフト1位のQBが大活躍しているわけでもないこのチームに、今季どのような変化が起こったのでしょう? ある専門家は、「要因はわからないのに勝てるチームに変化した」とコメントしていました。

 

大きく変わったのはコーチングスタッフです。昨年まで私のボス、つまりSTANFOPRD大学のヘッドコーチであったJIM HARBAUGH氏がヘッドコーチに就任しました。そして、オフェンス、ディフェンスそれぞれの新しいコーディネーターは、彼がSTANFORDから連れていったコーチたちです。

 

言葉を選ばずお話ししますと、COACH HARBAUGHはワイルドです。万人に尊敬されるコーチでもなければ、飛び抜けた天才でもありません。独自性が高いがゆえに、フットボール界に敵も多いし、突拍子もないことを言い出したりします。

 

でも、「勝てるコーチ」なのです。勝負に勝つ何かを持っているんです。NFLのオーナーやGMがヘッドコーチに望むのは、一番に、勝つことでしょう。だから、それでいいんです。

 

彼は1勝11敗だったSTANFORD大学を4年間で12勝1敗にしました。しかし、NCAA(全米体育協会)によって運営されているカレッジスポーツという枠組みの中では、「いつ問題を起こしてもおかしくない」と言われていました。悪い意味にとらないでくださいね。彼はあまりにも「勝ち」にこだわりすぎるんです。私たちと遊びでやるテニスやバスケットボールも、勝つまで終わりませんでした(笑)。

 

良く聞こえないかもしれませんが、私は何をしでかすかわからない、目が離せない、そして何よりも勝てるコーチであるCOACH HARBAUGHを愛して止みません。なにより、私にここで働くチャンスをくれたのは彼ですから。

 

今後も49ersから目が離せませんね。

ではまた。