TKこと河田 剛のUSA情報

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2012年05月17日

NFLドラフト結果

2012年のNFLドラフトは、大方の予想通り、我がSTANFORD大学のANDREW LUCK選手が全体1巡指名を勝ち取りました。

 

数週間前に本人から(COLTSから1位で指名される旨)聞いていたとはいえ、当日はTV画面の前で勝手に緊張して生中継を見守っていました。複数のメディアのドラフト予想、そして私たちが望んでいたよう「STANFORD大学から1巡指名が4名」という結果には残念ながらなりませんでしたが、1巡で2名、2巡上位で2名、計4名の選手が上位で指名され、フットボール部としても学校としても名誉であるドラフトであったことは間違いありません。

また、ドラフト直後には7名の選手が「ROOKIE FREE AGENT」としての所属チームが決まり、NFL選手になることを夢見てドラフトにエントリーしたすべての選手がNFLと契約を結び、STANFORD FOOTBALLにとって歴史に残る週末となりました。

 

すべての選手が春と夏のキャンプの中で生き残り、登録選手枠入りを勝ち取ることを望んでいますが、そんなに甘くないこともわかっています。

 

TK

 

2012年04月19日

NFLドラフト -PRO DAY 当日編-

前回、PRO DAY前日の準備の様子をお伝えしました。そして、いよいよ当日。 球団関係者、エージェント、メディアの受付には、朝7時の開始時刻を待たずして長蛇の列ができていました。当日はESPN(スポーツ専門チャンネル)で全米に生中継されますが、もちろんその主たる目的は、ドラフト全体1巡指名が予測されているQB、ANDREW LUCK選手のワークアウトを放送すること。LUCK選手の周りには常にカメラがつきまとっていました。

 

午前中はトレーニングルームで、午後はフィールドでのワークアウト、その後に各ポジションでのワークアウトというスケジュールはコンバインと同じでしたが、PRO DAYでは、ポジションごとのワークアウトの際に、NFLから来たコーチやスカウトがより具体的なリクエストをすることが可能です。


例えば、スピードは申し分ないが、キャッチング能力に疑問がある選手がいたとしましょう。NFL側のスタッフは、それを確認するためのドリルを行うことをリクエストすることができます。もちろん選手側はそれを拒否する権利もありますが、この期に及んで拒否する選手はあまりいません。

 

規定の測定プログラムを終えた後は、ポジションごとのワークアウトです。会場にいる、そしてテレビの前にいる誰もが見たいのはLUCK選手のワークアウト。それに配慮してなのか、彼がレシーバーに投げ分けるワークアウトが最初に行われました。彼は予め用意された27プレイのルートをレシーバー、タイトエンド、ランニングバックに投げ分けていきます。時には目の覚めるような直球を、時には浮かせた柔らかい球を、レシーバーが落球した1球を除けば、ほぼ完璧な内容で投げ分けていきました。その素晴らしいタッチのパスが決まるたびに、観客から歓声があがり、スカウトや球団関係者が顔を見合わせてヒソヒソ話をするのが見受けられました。

 

このLUCK選手のワークアウトには裏話があります。彼はエージェントを選定した後、自分のためだけのQBコーチを雇いました。というより、彼のエージェントがドラフトまでの間に彼の能力、つまり商品価値を向上させるために雇ったのです。シーズン終了後、エージェントの接触が解禁になった瞬間にエージェントと契約できるような能力の高い(ドラフトでの指名が予測される)選手にはたいてい、、コンバインやPRO DAYに向けてのスキルアップを助けるコーチがいますし、それを雇うのはほとんどの場合、その選手のエージェントです。

 

LUCK選手とエージェントが雇ったQBコーチは、昨年の全体一巡であったCAM NEWTON選手を指導したことで一躍脚光を浴びたコーチです。偶然にも数年前にSTANFORDで行われたQBキャンプにそのコーチがゲストコーチとして参加してきたときに仲良くなりましたが、当時はまだ無名で、「最近プライベートでQBをコーチする仕事を始めた」と言っていたのを覚えています。


彼はSTANFORDの近くに宿泊して、LUCK選手とワークアウトを重ねていましたが、LUCK選手がオフの日にも全米からドラフト候補選手が彼の指導を受けるためにSTANFORDを訪れワークアウトをしていました。そして、今回のPRO DAYで彼(LUCK選手のコーチ)の作り上げたスクリプト(プレイを事前に準備したリスト)や、それぞれのプレイの見せ方は完璧であり、まさにプロ中のプロを感じさせるものでした。同じようにQBとして評価の高いドラフト候補選手(彼には特別なコーチがついていません)のワークアウトとの違いは歴然でした。

 

今年のPRO DAYは、STANFORD FOOTBALLのドラフト候補選手にとって、総じて良い結果であったと思います。いよいよ来週26日から始まる「NFL DRAFT 2012」。今年はどのようなドラマが生まれるか、楽しみです。

 

以下の写真は、PRO DAYのワークアウト、スカウト、観客などの様子です。

 

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2012年03月22日

NFLドラフト -PRO DAY-

いよいよSTANFORD大学のグラウンドにて「PRO DAY」(正式にはPRO TIMING DAYというらしいです)が開かれます[現地時間22日(木)]。

 

今一度、この定義を簡単に説明しましょう。
・(基本的に)NFLコンバインで行われた種目を、もう一度各学校で行う。
・コンバインは招待された選手のみのパフォーマンスのため、招待されなかった選手や招待されていたのに怪我でパフォーマンスできなかった選手がパフォーマンスを見せる良い機会である。
・当日はスカウトだけでなく、エージェントの参加も可能である(パフォーマンスを見て、まだエージェントがいない選手をクライアントにする)。

 

球団としては、
1.ドラフト対象選手の再評価
2.“掘り出し物“の発掘
がメインの目的となります。

 

特に今年のSTANFORDには上位指名予定選手が4名もいますので、数十億円の投資となるドラフト1巡選手を見極める機会は何度あっても足らないでしょう。当日は数社のテレビ局がその様子を全米に生中継する予定ですし、各球団のトップがこのキャンパスを訪れることになるようです。


もうこちらでも報道されているので、具体的な名前を出しても問題ないでしょう。全体2巡目の指名権を持つ
レッドスキンズからは、オーナー、球団社長、GM、ヘッドコーチ、3人のコーチが、他の球団でも相当数の球団トップがこのキャンパスに現れるようです。

 

写真は、当日のために用意したクルデンシャル(入場許可証のようなもの)です。関係者を含め600以上は用意しました。

 

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当日の様子はまたお伝えします。

TK

 

 

2012年03月19日

NFLドラフト(STANFORDの上位指名予測選手について)

前回の記事でご紹介したコンバインにSTANFORD大から招待された6名の選手たちは、順当に行けば指名を受けるであろうと言われています。別の言い方をすれば、コンバインで大きく評判を落とすことがなかったと言えるでしょう。今回は、その中から、上位指名が予測される4選手をご紹介したいと思います。

 


◎ANDREW LUCK


言わずと知れた、全米NO.1のQBです。リーダーシップ、賢さ、フィジカル、どれをとっても非の打ちどころのないエリートQB。195cm、108kgのサイズながら、コンバインの40yd走では4秒67を記録。大学での4年間、NFLに近いシステムのオフェンスを率いていただけに、2012年の全体一位は間違いないとされています。NIKEと個人契約を結び、早々にCMらしきものが……しかもNIKEはすでに「青」いカラーの商品を彼に支給しています。「青」は、ドラフト一位指名権を持つCOLTSのチームカラーです。

 

彼は、22日(木)にSTANFORD大学で行われる「PRO DAY」に参加します。ドラフト一位指名が99%決まっているので、参加する、そしてパフォーマンスをする(ボールを投げる)必要はありません。そこで、彼に、「別に何もする必要ないだろう?」と聞いてみたところ、満面の笑みで、「みんなそう言うんだけど、俺がボールを投げるのは俺のためじゃなくて、チームメイト、特にレシーバーのためなんだよ。俺がパフォーマンスするって言えば、より多くのスカウトが来る。そうすれば、NFL選手になりたくてPRO DAYに参加するチームメイトがスカウトの目に触れる機会が増えるだろ」。そんなことをサラッと嫌味なく言えるのが、誰もが尊敬するリーダーである所以なのでしょう。

 

 

◎DAVID DeCASTRO


198cm、141kg。今回のドラフトにおいて、ガードの中で一番に指名を受けるであろうと言われている選手です。四角い、冷蔵庫のような体型ながら、体脂肪率は15%以下。40yd走でいいタイムを出すようなタイプではないものの、プル(ランニングバックのリードブロッカーに出る)した時のクイックネスには目を見張るものがあります。ある有名なNFLのオフェンスラインコーチが、ここ10年の中で3本の指に入るガードであると評価したことからも、その将来性がうかがえます。


彼は先のコンバインで100kgのベンチプレスを34回挙げました。噂によると、このドラフトでガードの一巡指名を予定しているあるチームが、球団社長、ヘッドコーチ、オフェンスコーディネーター、OLコーチをPRO DAYに派遣してくるそうです。

 


◎JONATHAN MATRTIN


201cm、137kg。両祖父母、両親、姉の全員がHARVARD大学卒。彼一人だけがフットボールをするために
STANFORD大学を選びました。

 

忘れもしません、彼が入学してきて最初の練習を見た後、当時のOLコーチと二人で顔を見合わせて「NFLだな……」とつぶやいたことを。寡黙で、コーチの指導を素直に受け止め、新しいドリルやテクニックにも積極的にチャレンジする選手です。先のコンバインではFOOD POISON(食あたり)を理由にほとんどのパフォーマンスを見送りましたが、多くのチームに招待されてプライベートワークアウトを行うようです。

 

 

◎COBY FLEENER


201cm、111kg。コンバインでのパフォーマンスは悪くなかったのですが、他のタイトエンドが予想以上のパフォーマンスを見せたため、結果としてコンバインで評価を下げてしまいました。現在は1巡目の後半か2巡目の前半ではないかと言われています。ワイドレシーバー並みのスピードとキャッチング能力が魅力の長身タイトエンドです。

 


来るPRO DAYには、全チームのスカウトはもちろん、コーチ陣や経営陣まで参加して、実際に選手のワークアウトを見ていきます。その様子や結果はまた後日リポートします。

 

TK

 

2012年03月02日

NFL Combine

2年前にも同じタイトルでお話をしました。そのコンバインが2月22日から始まっています。コンバインとは、簡単に説明すると、NFLまたはNFLの各チームがドラフトで指名予定選手のパフォーマンスを実際に見るために行われるものです。

 

 

NFLの球団側から見たドラフトに向けたプロセスを簡単にまとめてみました。

1・地域担当スカウトのスカウト活動(練習、試合、試合のビデオを各校に出向いて実際に見る)
2・スカウトの責任者、GM(ゼネラルマネージャー)や球団の社長が上位指名予測者を実際に見に行く(球団にもよりますが)
3・カレッジのシーズン終了を目安に各プレイヤーの評価をまとめる
4・コンバインへの招待希望選手のリストを提出する(リーグが招待選手を決定)
5・コンバインでのパフォーマンスを実際に見て評価する
6・各地各校で行われるPRO DAYで再評価する(コンバインに招待された選手+NFLには行きたいが招待されなかった選手が参加し、通常、各学校で行われる)
7・「もっと見てみたい選手」を見るために、プライベートワークアウト(球団の施設へ招待、あるいは選手の希望の地へ出向く)を開催することが可能
8・指名選手の優先順位を決め、ドラフトへ

 

 

現場のヘッドコーチや選手の契約を取り仕切るGMは、いろいろな選手の様々な評判や評価を聞いてはいても、選手のパフォーマンスを実際に見る機会はあまりありません。それを実現できるのがこの「コンバイン」といいうわけです。実際、各チームのほとんどの関係者がこの場に姿を見せますし、実際に「パフォーマンスを見て選手の優先順位を決めるチームがほとんどでしょう。

 

しかし、中にはコンバインに参加しながらも部分的にパフォーマンスをしない選手もいます。シーズン中やトレーニング中の怪我が理由の場合もありますが、それがビジネス的な理由である場合もあるようです。

 

コンバインに招待されるような選手はもちろんエリートであり、この時点ですでにエージェントと契約しています。エージェントが契約条件や指名順位の向上のために、特定の種目のパフォーマンスをさせないケースもあるようです。たとえば、ベンチプレスが苦手な選手が、パワーのなさを隠すためにベンチプレスをしなかったり、スピードがない選手がスピード系の種目を拒否したりと、その戦略はそれぞれですが、もうビジネスのつばぜり合いは始まっているのです。

 

我がSTANFORD大学は、今年度のコンバインに6名が招待されました。なんとそのうちの4名が各種メディアのドラフト予想で1巡指名(全体32位)になると予想されています。次回はその選手たちの詳細をリポートします。

 

ではまた。
TK

 

2012年02月21日

スーパーボウル、すみません……

先のスーパーボウルは、勝敗もスコアも予想がまったく当たらず、申し訳ございませんでした。

ペイトリオッツは、オフェンス、ディフェンスともに勝負どころでの反則で試合のモメンタムを逃してしまいました。ファンブルでボールを取ったと思ったら、フィールドに12人いたり(11人でプレイするのがルール)、きれいに3rd downを止めたと思ったらDLの選手がオフサイドしていたり。フットボールに限らず、スポーツに反則はついてまわりますが、良いプレイの後に反則の裁定が下されるほど、もったいないことはありませんね。

 

そんな、チャンスを生かせなかったペイトリオッツに対して、ジャイアンツは少ないチャンスを生かしての勝利でした。特にゲーム序盤でフロントがプレッシャーをかけてのセーフティーは、ペイトリオッツのハイパーオフェンスのスタートダッシュに絶妙なブレーキをかけました。

 

このゲームをもって、アメリカンフットボールの2011シーズンは終了しました。ロックアウトや我が師匠、JIM HARBAUGH率いる49ERSの躍進等、(個人的には)話題に事欠かないシーズンを楽しむことができました。NFLでは、これからフリーエージェントマーケットやトレードへの動きが活発になるとともに、ドラフトに向けてのコンバインやワークアウトが本格的に始まります。その様子も皆さんにわかりやすくお届けしていきたいと思います。

 

2012年のNFLシーズンはもう始まっています。

TK

 

2012年02月05日

スーパーボウル勝敗予想

いよいよ、世界で一番のスポーツイベント(と言っても過言ではないと思います)スーパーボウル。レギュラーシーズン13勝3敗の【NEW ENGLAND PATRIOTS】と9勝7敗から這い上がってきた(??)【NEW YORK GIANTS】の対戦です。

 

私の予想のポイントは2つです。


(1)PATRIOTSのキープレイヤーであるTEのROB GRONKOWSKI選手が怪我から復帰できるか?
  ・TEながらレギュラーシーズンのレシービングydは1327ydでNFL内で6位 
  ・TDレシーブは17回でNFLトップ
  ・2週間前の試合で負傷。出場は微妙と言われている


(2)GIANTSのDEFがPATRIOTSのハイパーオフェンス、特にパッシングをどう止めるか
  ・GIANTSのDLとLBが、いかにTOM BRADYにプレッシャーを与えるか
  ・一発でのロングゲインを最小限に
  ・決定力の高いOFFに対してのRED ZONEでの粘り
    (フィールドゴールは許してもTDは許さないDEFができるか?)

 

予想をする上での禁句を言ってしまいますが、前述のROB GRONKOWSKI選手が今までと同じようにプレイできるのであれば、PATRIOTSの勝利は揺るぎがないと思います。GIANTSは少ないチャンスをいかに生かしていくかが、カギとなるでしょう。その他、ターンオーバーバトルやキッキングの攻防等、ポイントを挙げればきりがありませんが、

 

38対24でPATRIOTSの勝利!!

 

と予測させていただきます。

 

TK

 

NFL日本公式サイトNFL JAPAN.COM>スーパーボウル2012特集

 

 

NFCチャンピオンシップ 49ers vs GIANTS

いい試合でした(49ers 17-20 GIANTS)。

 

私もSAN FRANCISCOのダウンタウンに出かけ、超満員のスポーツバーで観戦しました。地元の人たちにとっては残念な結果に終わりましたが、数日経過した後の地元マスコミでの論評は、総じて「よくがんばった、来年も!」みたいなものでした。

 

やはり、ゲームを分けたのはターンオーバーでしたね。しかも、スペシャルチームで、しかもあのタイミングで。コーチとして言うなら、あのファンブルは起こるべくして起こったと思います。パントカバーの選手がボールにアタックしたのは、紛れもない事実ですが、あのボールハンドリングではファンブルが起きてもしかたないでしょう……。NFLの中でもトップレベルのリターナーであるTED GINN Jr.の欠場により出場機会を得たKyle Williams選手は、プレイオフでもいい働きをみせていました。彼は我々Stanford大学と同じPAC-10(現PAC-12)の名門、Arizona State出身で2年目の選手です。私もチームのエースレシーバーだった彼の活躍を覚えています。

 

このことに起因して、私が2007年からこちらで働きだして最初に感じたことを鮮明に思い出します。
「細かいことは、あんまり教えないんだなぁ……」
そうなんです。細かいこと、この主題で言えば、ボールの扱い方等の細かいことはあまり教えないんです。なぜ教えないか……私が想定している理由は2つです。
・できる選手が入ってきている
・できない選手は使わない
特にNFLでは、そういった選手がいないことが前提であるといっても過言ではないと思います。今回のケースで言えば、彼がパントをキャッチしてから走り出す間の数秒間のことが、今まで問題にならなかった、そして、いつ問題になってもおかしくなかったことをコーチ陣が見逃していた-ということになるでしょう(あくまでも、個人的見解です)。

 

さて、今週末はスーパーボウル。続いて、予想をアップします。

 

See you soon!!
T.K.

 

2012年01月20日

NFLカンファレンス・チャンピオンシップ

「49ers vs SAINTSは、49ersが僅差で勝利」……私の先週の予想、当たりました!!


結果はともかく、素晴らしいゲーム内容でしたね。地元も、いたる所で相当の盛り上がりを見せていました。私が予測した4強入りは、
【AFC】
PATRIOTS
RAVENS
【NFC】
49ers
PACKERS

でした。一つだけ予想が外れてしまったのが、PACKERSです。レギュラーシーズンの戦績は、なんと15勝1敗。エースQBのAARON ROGERS選手はここ数年でリーグを代表するQBに成長した選手です。オフェンス・ディフェンスともバランスよく、どのゲームも「危なげなく勝っている」という印象が強いチームです。いや、“でした”……。そのPACKERSを37対20と【撃破】したのが、NEW YORK GIANTSです。レギュラーシーズンの戦績は9勝7敗で、
地区優勝はしているものの、ワイルドカード(シードなし)からのプレイオフ出場です。


「どうして、あのPACKERSが負けたのか?」……ひと言で言うなら、GIANTSがターンオーバーバトルで圧勝したと言えるでしょう。3ファンブルロスト・1インターセプトを喫したPACKERSに対し、GIANTSは1インターセプトのみ。そのうえ、GIANTSのエースQBであるELI MANNINGは、トータル330ydのパスで3TD。これでは、PACKERSが勝つチャンスはゼロに等しいでしょう。

 

さて、今週末はそれぞれのカンファレンスCHAMPIONSHIP。

 

AFCは、QB TOM BRADYを要する、PATRIOTSが勝ち上がってくることでしょう。

 

ここで、NFCのゲーム予想をしてみましょう。この試合を左右するであろう条件を記してみます。
【49ers】
・ホームゲーム。しかも久しぶりのCHAMPIONSHIPゲームで、地元のファンは大盛り上がりです。
・前回の試合は土曜日で、休養日がGIANTSより1日多い。この1日は大きいです。
・DEF中心に勝ってきているチーム。
【GIANTS】
・アウェイゲーム。
・前回の試合は日曜日(=休養日が1日少ない)。そのうえ、NEW YORKからSAN FRANCISCOへの移動(約5時間半)あり。
・時差3時間。試合時間は問題ないですが、アジャストに時間を要します。

上記のような要因から、49ersの勝利を予測させていただきます。GIANTSに勝機があるとするなら、QBであるELI MANNINGの調子が良く、ハイスコアリングなゲームになるか、ターンオーバーバトルで圧勝するかでしょう。

 

今週末、(こちらでは)日曜日の2試合、TVの前から離れられません!!

 

NFL JAPAN.COM >2011カンファレンス・チャンピオンシップ
 

TK

 

2012年01月13日

NFL ディビジョナル・プレイオフ

今週末、NFLのディビジョナル・プレイオフですね。 NFL JAPAN>ディビジョナル・プレイオフ

 

【AFC】
RAVENS vs TEXANS
PATRIOTS vs BRONCOS
【NFC】
GIANTS vs PACKERS
49ERS vs SAINTS


見たくても見れない好カードばかりです。

 

私が予想をする4強入りは、
RAVENS
PATRIOTS
PACKERS


そして、49ERSかSAINTS... この「49ERS vs SAINTS」を予測してみましょう。

 

地元であり、そして一緒に働いていたボスや仲間が多くいる49ERSの快勝と予測したいところですが、SAINTSはひと筋縄でいく相手ではありません。SUPER BOWLのMVPを経験しているQBのDREW BREES選手は、PRO BOWLに6回、ALL PROに4回選出されています。SAINTSは49ERSと同じWEST COAST OFFENSEベースのオフェンスを展開します。49ERSのQB、ALEX SMITHがいまひとつであるのに対して、DREW BREESはWEST COAST OFFENSEのお手本と言えるようなクォーターバッキングをします。リードの仕方、スクランブルへの判断やボールを捨てるタイミング等、すべてが一級品。身長は180cm足らずで、上位でのドラフトであったはずですが、TOP of TOPのピックではありませんでした。SAN DIEGO CHARGERSでの5年間はスターターとして活躍していたものの、パッとせず、2005年にSAINTSにトレードされてからALL PROに4回選出されるなど、NFLのトップQBとして活躍しています。

「鬼才・VIC FANGIO」率いる、49ERSディフェンスが彼にどれだけプレッシャーを与えて、彼のリードに混乱を与えるかが、勝負の分かれ目ではないかと思います。 さらには、このように実力が拮抗しているチーム同士の試合では、ターンオーバーとキッキングゲームが試合を分けることでしょう。


(サイズ的に)日本人が親しみを持てるトップQBと私の師匠とも言えるヘッドコーチが率いるチームの対決から目が離せません。私は僅差で49ERSが勝利することをここに予測しておきます。

 

ではまた。
TK

 

2012年01月08日

ティーボウ

NFLはレギュラーシーズンも終わり、プレイオフへと入ってきました。

 

今週末にAFCのワイルドカードゲームに臨むDENVER BRONCOSが、レギュラーシーズンの中盤からエースQBをティム・ティーボウ選手に変更しました。彼のプレイスタイルを簡単に表現するなら、「パスは苦手だけど、走らせると凄い」、そういうQBです。QBの年俸が高騰している近年、
【QBが走る機会が増える=ヒットされる機会が増える=怪我につながる=年俸(お金)を無駄にする可能性が高くなる】
このような構図(理由)から、QBがボールを持つ回数が多くなる「オプション」のようなオフェンスを展開するNFLのチームは少なくなりました。そんな中、BRONCOSのJOHN FOXヘッドコーチは、ティーボウ選手を中心としたオフェンスを展開することを決断しました。

 

しかし、選手もコーチも、そのスタイルのオフェンスには慣れていません。ここからは全米のメディアも知らない裏話です。

 

シーズン中盤、BRONCOSのあるアシスタントから私の同僚の元へ連絡がありました。要約すると、彼らはいくつかのカレッジに連絡を取り、プレイブックを探しているとのこと。ご察しの方もいらっしゃると思いますが、NFLでの経験が長く、またNFLに合った人材を採用しているBRONCOS(ほとんどのNFLチーム)では、ティーボウが得意とするようなスプレッドオプションに明るいスタッフがいないのです。彼らはプロスタイルの中でも少しだけスプレッドオプションを取り入れているようなカレッジを探していたらしく、我々STANFORDに一番に連絡してきたようです。残念ながら、プレイブックを渡すわけにはいかなかったので、いくつかのアイデアをシェアしたようですが、それぐらい困り果てたうえでのシステム変更だったようです。

 

しかし、裏でそんなドタバタ劇があったにも関わらずプレイオフに進出してしまうあたりは、さすがにプロ!だと称賛できるでしょう。また、その“付け焼刃”とも言えるようなシステムを軌道に乗せてしまうコーチングスタッフと、それを習得して実践し、しかも勝利に結びつけてしまう選手たちも凄いですね。

 

しばらくはSUPER BOWLに向けたNFLプレイオフのことを書いていきたいと思います。

 

ではまた。
TK

 

2012年01月06日

おめでとうございます

オービックシーガルズファンの皆様、明けましておめでとうございます。そして、オービックシーガルズに関わるすべての皆様、日本一おめでとうございます。昨年同様、2012年も素晴らしいスタートとなりましたね。


私は同じ時間帯に試合をしていたため参戦はできませんでしたが、粘りに粘ったうえでの逆転勝利であったとのこと。(STANFORDが敗戦したのもあり・・・…)ネットでチェックして、結果を見た瞬間、本当にうれしかったです。

 

Xリーグの歴史上、三連覇を成し遂げたチームがない中で新たな歴史を創るチャレンジ、単独チームとして初のドイツ遠征-今年のオービックシーガルズには大きなチャレンジ待ち受けていることでしょう。チームとファンが一丸となって、良い年になるようにがんばっていきましょう。


微力ながら、私もお手伝いできればと思っております。

 

ではまた。

TK

2011年12月21日

祝! 2連覇!!

JAPAN X BOWL 2連覇おめでとうございます!!

 

良かった……。本当に良かった。チーム関係者の皆さん、ファンの皆さん、おめでとうございます。遠くカリフォルニアからではありますが、選手やスタッフの苦労を見てきただけに、心の底からうれしく思います。

 

当日は、もちろんUSTREAM中継(ゆるすと)で参戦していました。こちらの午前2時からの中継でしたが、一睡もせずに参戦させていただきました。ゲーム内容の詳細はともかく、全員が全員の仕事をしっかりと果たした結果が見てとれました。言葉を変えれば、「オービックシーガルズらしいフットボールができた」試合だったのではないかと思います。

 

そしてなによりも、ファンの皆さんの声援が素晴らしかったです。スタンドの皆さんの熱い参戦も含め、「オービックシーガルズらしい試合」をみんなでやって、みんなで勝ち取った連覇なんだと思います。

 

もう1試合、「UNFINISHED BUSINESS」が残っています。新しい年の始めでありながら、シーズンを締めくくる、終わりでも始まりでもある試合ですね。もう1ゲーム、オービックシーガルズらしいゲームが見られることを期待してやみません。さぁ、がんばっていきましょう!!

 

TK

 

2011年12月15日

明日・12/16(金)「NFL倶楽部」(日本テレビ)に出ます

日本テレビで金曜深夜に放送されている「NFL倶楽部」。NFLファン、アメフトファンならご存知でしょうか。日本で唯一の、NFLのレギュラー情報番組で、オードリーのお二人が進行役。オービックシーガルズOBの安部奈知さんもゲスト解説者としてよく出演されています。

 

その番組に明日16(金)、私TKが出演いたします。恐縮ながら、「密着」レポのようです。よろしければ、ご覧ください。

 

「NFL倶楽部」トップページO.A.情報より

12/16(金)27:33~28:03 

「スタンフォード大学日本人コーチアシスタント!」
カレッジフットボールの名門、スタンフォード大学。
そこでOLコーチのアシスタントとして働く日本人河田さんに密着。

 

★このVTRがNFL JAPANサイトにアップされました。

見逃した方はこちらをどうぞ(12/19追記) 【イクマが行く!】米国名門校にTK!

 

2011年12月13日

HAR-BOWL

サンクスギビングデーであった11月24日(木)、RAVENSvs49ersの試合が行われました。この日は休日であり、国民のほとんどが家で夕食(主にターキー)をするため、最も視聴率が高いゲームのうちのひとつと言われています。

 

そんな大舞台、今年はJOHN HARBAUGH(RAVENS/兄)とJIM HARBAUGH(49ers/弟)の兄弟ヘッドコーチの対決となりました。こちらでは彼らの名字を取って「HAR- BOWL」と呼ばれていました。

 

結果は、ホームチームのRAIVENSが16対6で勝利しました。今シーズンは堅守を中心にミスの少ないオフェンスが得点を重ねていくのが“勝ちパターン”の49ersでしたが、RAVENSのディフェンスに9つのQB SACKを浴びて、12回あった3rd DOWNを2回しか更新できませんでした。特にディフェンスの強いチーム同士の戦いにおいてこの数字では勝てませんね。

 

さて、このJOHNとJIMの兄弟は、コーチングスタイル、特にマネジメント方法がまったく違うようです。


この世の中でただ一人だけ、両者のもとで働いた人がいます。現在、RAVENSでアシスタントをしている私の元同僚です。彼によると、JIM(弟)は典型的なワンマンスタイルで、「俺がルールだ!」的なマネジメント。JOHN(兄)は、詳細なルールを決めた上での細かいマネジメント-であるそうです。彼らの父、JACK HARBAUGHもコーチとして有名だった人で、何度となくSTANFORDの練習やゲームにいらっしゃっています。お父さんは弟寄りのコーチだと思います。

 

兄弟で、同じスポーツの頂点で働いているなんて、本当にうらやましい限りです。

ではまた。

2011年12月08日

MEGATRON

ここ数年低迷しているDETROIT LIONS。しかし、今年はがんばっております。開幕5連勝のあと、少し足踏みをしましたが、現在7勝5敗。プレーオフへの進出を争っています。


低迷が続いた“怪我の功名”で、ここ数年、若くていい選手が続々と入団しています。その中の筆頭が、WR#81 CALVIN JOHNSON選手です。2007年のドラフト全体2巡でLIONSに入団。5年目となる今シーズンは、レシーブ数、TD数、レシービングヤード等すべてのエリアで自己最高を記録するであろうと言われています。

 

誰が呼んだか、「メガトロン」。恐らく「トランスフォーマー」という映画(アニメ?)のキャラクターのうちの一つから名付けられたと思います(間違っていたらすいません……)。
Calvin Johnson *Megatron* Highlights(YouTube)


今シーズン12試合を消化して、(NFLでは)WRとしてはトップの12TD。レシービングヤードでは、全体で2位の1,092ヤード。特に目を引くのは、RED ZONE(敵陣25ヤード以内)に入った時の活躍です。日本語で説明するなら、「決定力のある選手」とでも言うのでしょう。とにかく、見ていてワクワクする選手です。

オービックシーガルズにも、次の大舞台で「決定力のある」MEGATRONが出現してくれることでしょう。

 

2011年12月02日

カンファレンスの移動

カレッジフットボール界の2011年を一つの単語で表すとしたら、「カンファレンス」という言葉が上位にくると思います。いろいろと複雑なのですが、簡潔に言うと、「各校がより良い条件を求めて、所属カンファレンスを変えた」という説明が正しいでしょう。


【放映権をはじめとする所属カンファレンスからの分配金】
ホームゲームでの収入(入場料・グッヅ売上等)以外のTVの放映権やBOWL GAME主催団体、カンファレンススポンサーからの収入はいったん所属カンファレンスに集約されて、その後、各校に分配されます。カンファレンスへの収入が多ければ多いほど、各校への分配金も多くなります。つまり、人気が高いカンファレンス、そして人気のある大学が多ければ多いほど、所属校が得る収入は多くなります。また、人気が出そうなゲームはTV放映があり、学校の宣伝になるわけです。BOISE STATEのようにマイナーカンファレンスにいながら強いチーム(学校)は、常に良い条件を探していますし、そのような学校を探しているカンファレンスも多くあるようです。

 

【ランキング】
1部校が150校以上あるカレッジフットボールでは、順位を絶対値で決めることはできません。投票やコンピューターによる評価等を組み合わせた「ランキング」でその強さを表現するしかありません。BOISE STATEの2011スケジュールをご覧ください。初戦でGEORGIA大学と対戦して以来、強豪校との対戦はありません。これではいかにハイスコアで勝っていても、全米ランキング上では評価されません。「弱い相手に勝ってるだけでしょ?」となってしまうのです。対戦スケジュールは、カンファレンス内とそれ以外の定期戦等で構成されるので、より強いカンファレンスに所属する方が全米でも評価されるのです。

 

【リクルーティング】
大きく、そして強いカンファレンスに所属する大学に、高校生は進学したがります。

 

上記のような理由から、今年は、来年からカンファレンスを移動することを表明した強豪校がいくつもありました。日本ではあまり考えられない話なのかもしれませんが、学生スポーツでありながら、「お金に左右されている」ことを改めて認識させられたシーズンでした。

 

TK

2011年11月30日

カレッジフットボール レギュラーシーズン終了

先週末のNOTRE DAME大学戦に勝利し、わがSTANFORDは11勝1敗でレギュラーシーズンを終了しました。

 

今年は新しいヘッドコーチ、そして新体制でのチャレンジでしたが、昨年と同じく素晴らしい成績でシーズンを終えることができました。全米ランキングは4位です。各カンファレンスのチャンピオン決定戦が行われる今週末の(上位校の)戦績次第では、もう一つ上に行く可能性もあります(下に行く可能性も少々)。

 

そして、全日程が終了した翌日の日曜日に、最終全米ランキングの発表とBOWL GAMEへの招待が決定します。すでに多くのメデイアで、「STANFORDはFIESTA BOWLへ」と報道されていますが、こればかりは神のみぞ知るです。実際、昨年はその招待について多くの混乱がありました(例年と違う選考基準に混乱しました)。

 

いろいろと決まり次第またご報告しますが、まずはレギュラーシーズンの終了をご報告させていただきました。

 

さて、今週末はオービックシーガルズの「戦」ですね。アメリカから、USTREAM中継を頼りに、熱く応援します。

 

TK

 

 

2011年11月09日

49ers

NFC-WESTの首位を走っている49ers。私の記憶が確かならば、昨年は6勝10敗だったはずです。NFLのシステムで特に大事だとされるQBは、昨年まで7年間鳴かず飛ばずだったALEX SMITHのまま。特にドラフト1位のQBが大活躍しているわけでもないこのチームに、今季どのような変化が起こったのでしょう? ある専門家は、「要因はわからないのに勝てるチームに変化した」とコメントしていました。

 

大きく変わったのはコーチングスタッフです。昨年まで私のボス、つまりSTANFOPRD大学のヘッドコーチであったJIM HARBAUGH氏がヘッドコーチに就任しました。そして、オフェンス、ディフェンスそれぞれの新しいコーディネーターは、彼がSTANFORDから連れていったコーチたちです。

 

言葉を選ばずお話ししますと、COACH HARBAUGHはワイルドです。万人に尊敬されるコーチでもなければ、飛び抜けた天才でもありません。独自性が高いがゆえに、フットボール界に敵も多いし、突拍子もないことを言い出したりします。

 

でも、「勝てるコーチ」なのです。勝負に勝つ何かを持っているんです。NFLのオーナーやGMがヘッドコーチに望むのは、一番に、勝つことでしょう。だから、それでいいんです。

 

彼は1勝11敗だったSTANFORD大学を4年間で12勝1敗にしました。しかし、NCAA(全米体育協会)によって運営されているカレッジスポーツという枠組みの中では、「いつ問題を起こしてもおかしくない」と言われていました。悪い意味にとらないでくださいね。彼はあまりにも「勝ち」にこだわりすぎるんです。私たちと遊びでやるテニスやバスケットボールも、勝つまで終わりませんでした(笑)。

 

良く聞こえないかもしれませんが、私は何をしでかすかわからない、目が離せない、そして何よりも勝てるコーチであるCOACH HARBAUGHを愛して止みません。なにより、私にここで働くチャンスをくれたのは彼ですから。

 

今後も49ersから目が離せませんね。

ではまた。

 

2011年11月08日

激闘USC戦

先のUSC(南カリフォルニア大学)戦は、3オーバータイムの末、56対48で勝利しました。

 

試合は、激しい攻防の末、残り39秒で同点に追いつき、USCの攻撃へ。数プレイで自陣40ヤードまで攻め込まれて残り9秒の場面。皆さんも、自分がオフェンスの選手やコーチだと思って、次のプレーを一緒に考えてみてください。
・タイムアウトは3つ残っている
・フィールドゴールの射程圏まではあと5ヤード
ここでボールキャリアが考えなければいけないことは何でしょうか。

 

時間をフィールドゴールのために残すことです。


一般的に、3秒あれば【蹴って・決まって・ゲームセット】に十分と言われています。しかし、このときの結果は、ボールキャリアががんばりすぎて時計が「0」になってしまったのです。USCからの抗議によりビデオレビューが行われましたが判定は覆らず、オーバータイムへ突入しました。

 

オーバータイムの攻撃は1回目・2回目とも両チームともTDを獲得し、48対48。3rdオーバータイムからは、トライフォーポイントで2ポイントコンバージョンをしなければいけません。Stanfordが中央のランでTD後、2ポイントも決めて56対48とし、USCが同点に追いつかなければゲームセットです。逆に私たちはここを守り切れば勝ちです。


1stプレイ、ショートパスが決まった後、いくつかのタックルミスでTDされたかと思いきや……レシーバーの足がサイドラインを割っていました。その後の1st DOWNゴール残り4ヤード……USCのRBがファンブルしたボールをリカバーしてゲームセット。攻められ続けながらも、あきらめずにがんばってくれたディフェンスに感謝です。私たちにとって、今シーズン最も苦しい試合であり、最も大きな勝利となりました。

 

試合後、USCのヘッドコーチであるLANE KIFFIN氏は、「1秒残っていたはずだ」としきりにメディアに訴えていました(結局、その発言に対してリーグから100万円の罰金が課せられました)。

 

この試合から、コーチとして学びました。

・あきらめないことが、勝利を生む。
・後からの言い訳はみっともない。


今回の場合、4Qの最後、タイムアウトが3つある中9秒残った時点で、タイムアウトを取って時間の使い方を選手に確認するべきでした。「ある程度ゲインしたらニーダウンをしろ!」と。その場で確認できなかったとしても、それを普段から教育しておくのがコーチの仕事です。フットボールは準備のスポーツ。どんな小さな可能性、ありえないようなシチュエーションのための準備をするのが、選手そしてコーチの仕事であります。

 

オービックシーガルズの準備は万全でしょうか。今一度「ふんどしを締め直して」臨もうではありませんか。

 

TK

 

 

2011年10月24日

HAPPY BIRTHDAY!! STEVE YOUNG

スティーブ・ヤング。


言わずと知れた、49ers黄金時代のQBです。30代半ばぐらいの人は、その雄姿が目に焼き付いているでしょう。彼は現役引退後も49ersのチームファシリティーがあるこのエリアに住んでいて、私もその姿をたまに見かけます。

 

先頃、その彼がSTANFORD大学の敷地内にあるショッピングモール「STANFORD SHOPPING CENTER」で家族や友人たちとの時間を楽しんでいたときのことです。こちらの映像をご覧ください。

Steve Young Birthday Flash Mob(YouTube)

この日は彼の誕生日だったそうです。なんだか“イキ”(粋)ですよね。日本では難しいとは思いますが、アメリカならではのお祝いの仕方なのでしょう。このような行為を「フラッシュモブ」(flash mob)と呼ぶようです。


日本でも、こんなことしている人や集団がいるのでしょうか??

 

TK

 

2011年10月21日

決戦

STANFORDは現在6連勝中です。今、アメリカのカレッジフットボールで一番連勝しているチームらしいです。今週末もそれを伸ばすべく、頑張っていきたいと思います。

 

さて、オービックシーガルズは今週末にまさに決戦を迎えようとしています。対するシルバースターはよきライバルであり、何度となく苦汁をなめさせられた宿敵でもあります。


今年の春、(シルバースター)のある選手と食事をしたときに、何気ない会話の中で彼はあること(あえて伏せておきますが)を断ったと言っていました。

 

「シーガルズに勝つためだ!」ときっぱりと言っていました。「シーガルズは常に走りこんでいるから、それには負けられん」とも言っていました。彼がやめたことというのは、走りこんで体力をつけるために邪魔なのものなのでしょう。とにかく、彼らは死ぬ気で勝ちにくるでしょう。それを上回るのは、タレント力や選手個々の能力だけでは難しい。選手やスタッフたちは、それを上回るような準備をしてくれていることを信じてやみません。

 

そして、ファンの皆さんは、どんな準備をしてくださっているでしょうか?


忘れもしません、昨年の川崎球場での鹿島との準決勝(私もちょうど日本にいました)。観客全員が一体となっての「クラウド・ノイズ」。あのクラウド・ノイズは、相手のオフェンスの脅威であるだけでなく、フィールドにいる全員に、「スタンドの私たちも一緒に戦っている」ということを示しました。 選手があの声にどれだけ勇気づけられたことか!! 

 

土曜日のシルバースター戦、どうか皆さんも積極的に参戦してください。

 

シーガルズファミリーあげての健闘に期待して、関連する映像(YouTube)をご紹介します。

Football: Coach Richt's Challenge to the Fans: 2011
"Get Up" for Stanford Football


ではまた。

TK

 

2011年10月08日

マウスピース

STANFORD大学付属病院の研究の一環として、機械が内蔵されたマウスピースを使用しています。

 

データの発信機能も備わっているそうで、そこからデータを採集しているようです。どんな技術に変わっていくかは……まだ内緒みたいです。

 

ちなみに、NFLの49ersのチームドクターもSTANFORDの先生なので、同じようなことをしているそうです。

 

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ではまた。

TK

 

2011年10月03日

STUDENT SECTION

カレッジフットボールのファンは、各学校で独自の楽しみ方をしています。オリジナルのスクールソングがあったり、昔の歌や流行の歌を独特なアレンジで歌ったり踊ったり。

 

そんな中でも、共通点があります。それは、「STUDENT SECTION」というエリアがあることです。ファンの応援の仕方という観点で、NFLと大きく違う点とも言えるでしょう。

 

STUDENT SECTIONは、その名の通り、その学校の学生だけが観戦を許される場所であり、日本でいうサークルやその他の団体がレクリエーションの一環として団体で応援に駆けつける場所です。たいていの場合はホームチームの後ろの観客席に陣取り、クラウドノイズを立てたり、「ファーストダウン!」等、様々なコールをしたりして楽しんでいます。

 

熱狂的なファンが多いチームは、そのエリアの熱の入れようがすごいです。今でもはっきり覚えているのは、OREGON大学。開門に合わせてSTUDENT SECTIONに学生が殺到する姿です。入口が3階ぐらいの高さにあるスタンドでしたが、そこから、学生たちが溢れんばかりにダッシュして降りてきました。中には転んで滑り落ちていく学生もいたほど……。

 

下の写真は、先のARIZONA大戦。ARIZONA大学のSTUDENT SECTIONです。試合の2時間前で、周りのスタンドにはまだ誰もいませんが、このセクションだけ異様な盛り上がりをみせていました。

 

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日本のフットボール界にも、こんな熱狂的なファンが増えてくるといいですね。

 

ではまた。

TK

 

2011年09月27日

リクルーティング

昨年は全米4位でのシーズン終了。今年も目下3連勝。そんな私たちSTANFORD大学はリクルーティングが好調です。

 

以下は、アメリカのスポーツ専門チャンネルESPNの(大学向け)リクルーティング情報ページです。

 

STANFORD大学 
Noor Davis
Jordan Watkins

今までも何度かお伝えしてきましたが、高校生をランキングして、どの大学からオファーがきているとか、その選手がどこに興味があるのかとか、リクルーティングに関する情報が満載です。このサイトは高校生のリクルーティング専門ではないのに、これだけの情報が載っていることからも、どれだけ大きなビジネスであるか、容易に想像できますね。

 

私もビデオを見ましたが、上の二人は凄いです。近々、FIVE STARの大物がCOMMIT(STANFORDを選びましたという意思表示)するという噂も……。こちらも、またアップデイトします。


ではまた。
TK

 

3連勝

オービックシーガルズ3連勝、おめでとうございます。非常に喜ばしいです。このままの勢いで突っ走ってほしいです。

 

我々STANFORDも強豪ARIZONA大学を37対0で撃破し、3連勝です。全米ランキングも5位にあがりました。

 

試合内容はオフェンス、ディフェンスとも完璧とは言えないものの、危なげないものでした。しかし、一つだけ大きな問題というか痛手が。DEFのスターであり要であったSHANE SKOV選手を失いました。彼は前半のプレイ中に膝に怪我を負い、今季絶望となってしまいました。1年生からILBとして、DEFの中心選手として活躍していただけに、本当に残念です。


そのニュースが全米中に流れるぐらい、彼の存在は大きかったわけですが、「チャンピオンチームには必ずニューヒーローが生まれる」を信じて、残りシーズンを戦ったいきたいと思います。

 

 

+++++++++

●HOTEL @ARIZONA
STANFORD大フットボール部には一風変わったポリシーがあります。
「遠征の際には、その地区の一番いいホテルに泊まる」
目の飛び出るような料金のホテルは敬遠するそうですが、今回のARIZONA遠征でも砂漠の中のリゾートに宿泊しました。ホテルが運営する50ホールを超えるゴルフコースやプールなど、アリゾナの砂漠のど真ん中とは思えない充実ぶり。日本のみなさんが訪れることはなかなかないと思いますが、インフォメーションはこちらです。

 

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ではまた。

TK

 

2011年09月23日

NFLという世界

NFLの開幕とともに、なんとかロースターに残ろうとしている選手には、天国とそれ以外の分かれ道が待っています。

 

NFL各チームの「TRANSACTIONS」というページを見ると、選手との契約の状況が細かく記されています。たとえば、後述するCAROLINA PANTHERS>TRANSACTIONS。後でチェックしてみてください。

 


NFLが厳しい世界であるという具体例が近くにあったので、ご紹介したいと思います。

 

STANFORDの選手4人がドラフトされたこと、ドラフト外でチャレンジしている選手がいることは、以前に書かせていただきました。ドラフト組は順当に最終登録メンバーに残り、うち2人はスターターの一角を担っています。そして、ドラフト外選手の中でも、2人の(2人も)選手が最終ロースターに生き残りました。一人はWRのDOUG BALDWIN選手(SEA HAWKS)、もう一人はTHOMAS KEISER選手(PANTHERS)です。


彼は2008年にFRESH MAN ALL AMERICANに選出され、その後3シーズン、DEとして活躍しました。メディアに取り上げられる機会は少なかったものの、フィジカルでスピードのある選手でした。レッドシャツ(1年生の一年間をプレイしないこと)でしたので、もう1年プレイできるところをスキップしてドラフトに臨みました。しかし、どこからも声がかからず、チームメイトのSIONE FUA選手が2位でドラフトされたCAROLINA PANTHERSへドラフト外で入団。春シーズンと夏のキャンプで頭角を表し、53人の最終ロースターに残りました。


彼とは、同じイニシャル(TK)で呼ばれることが多かったこともあり、個人的にもかなり仲良くしていました。9月3日の最終ロースター決定のあとに話しましたが、それはそれは喜んでいましたし、STANFORDもチーム全体で祝福ムードでした。

 

ところが次の日、突然の解雇。いきさつはこういう感じです。
・最終ロースター決定=他の31チームも決定。
・他のチームの登録からあぶれた選手もいる。
・その中には経験豊富ないい選手もいる。
そうなんです。同じタイミングで解雇された選手には同じようないい選手が多くいるんです。そのような選手が解雇された理由がチームにとって問題ないようであれば、そして金額の折り合いがつけば、たとえルーキーの方が年俸が安くても、「経験豊富>ルーキー」という構図になってしまうのです。

 

KEISER選手の場合は同じポジションのベテラン選手に勝るものが少なかったのでしょう。彼はその3日後にPRACTICE SQUADの一員としてチームに残るチャンスを得ましたので、チームのフロントやコーチ陣に期待されていることは間違いありません。

 

知れば知るほど、厳しい世界です。そんな中で日本人が生き残る日が来るのでしょうか? ネガティブに思ってしまう反面、そんな、奇跡というべきことが起こる日を迎えることが楽しみでしかたありません。


ではまた。
TK

2011年09月08日

初戦突破!!

ブログの更新を怠っていてすいません。新体制でのキャンプや開幕でバタバタしておりました。


STANFORD大学の初戦は、57対3で危なげない勝利でした。細かいところで修正すべき点も数多くありましたが、勝つことが一番大事です。

 

次は5時間のフライトで大陸の反対側へ。DUKE大学との試合です。3時間の時差を超えての試合です。簡単に言えば正午の試合が私たちにとっては朝9時からのキックオフ。気温も湿度も高いNORTH CAROLINAでの試合ですので、相手より前に環境の変化とも戦わなければなりません。(全試合勝負どころではありますが、)序盤のキーになる試合です。詳細はまたレポートします。

 

 

オービックシーガルズ、初戦の勝利おめでとうございます。


スタッツしか見ていませんが、敵陣に攻め込んでのファンブルロスト等、修正すべき点が多いようですね。私の経験上、ターンオーバーが3つあって(相手は0)勝てるチームには、よっぽどのツキと実力があると考えられます。シーズン序盤でこの手のミスから学ぶことは、後半の大事な試合で生きてくるはずです。前向きすぎる意見かもしれませんが、オービックシーガルズはそういうチームなので、それに期待しましょう。

 

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☆記事の内容とはまったく関係ありませんが、この映像すごくないですか?
ちなみに彼はQBにもかかわらず(ベンチプレスはあまりやらせないし、腕が長いので不利なのに)100kgのベンチプレスを30回ぐらいやります。

☆選手が協力して、こういうCMをよく作ります。オービックシーガルズでもどうでしょう?

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2011年08月17日

コネクション

コネクション-「コネ」と言ったりしますが、辞書でひくと、「物事をうまく運ぶのに役に立つ親しい関係。縁故」と書いてあります。

 

こんなフレーズを聞いたことはないでしょうか。
「アメリカはコネ社会である」

 

特にフットボールの世界では顕著にみられることが多いです。具体的には、ヘッドコーチがクビになった際(もしくはどこかに引き抜かれた場合)は、ほとんどの場合、その他のアシスタントの契約もいったん白紙となります。なぜなら、新しいヘッドコーチがそのファミリー(一緒に働いていたメンバーの意)を連れてくるケースが多いからです。

 

ここで言えるのは、
・雇う側は、いったんすべての席を空けて、新ヘッドコーチの就任を待つのが通例である
・新しい組織の人事権は、新しいヘッドコーチが握る
ということです。

 

今まで何度かお伝えしてきましたが、「ヘッドコーチが白と言えば、黒いものも白」の世界。そして、他人の目を(日本人と比較して)気にしないアメリカ社会。カレッジフットボールでもNFLでも、上記のようなことが、第三者が見たら、「本当にそれで大丈夫なのか」という人事を引き起こすことがあります。

 

昨日までスーパーマーケットでアルバイトをしていたヘッドコーチの奥さんの弟がスタッフ入りしたり、50歳で無職のフットボールオタクがビデオスタッフになったり、ヘッドコーチが昔お世話になった人の息子(コーチ未経験)がアシスタントになったり……。

 

さて、タイムリーかつ具体的な事例を。

 

今年度のNFLドラフトでSTANFORD大学から4人の選手が指名されたことは以前申し上げました。その時に指名されなかった選手でNFLにチャレンジしたい選手は、「ルーキー・フリーエージェント」(ドラフト外入団)としてキャンプから参加することになります。今年はそのような選手が10人前後いましたが、その中から7人がNFLチームとの契約に至りました


驚くのは、そのうちの4人がSTANFORD大学の前ヘッドコーチJIM HARBAUGH氏がヘッドコーチとなった49ERSと契約をしたことです。まさに「コネ社会」といったところでしょうか。

 

しかし、例年とは違い、LOCK OUTがあった今年は、コネだけが理由ではないことが推測されます。49ERSの場合、ヘッドコーチと両コーディネータがSTANFORDから行きました。つまり、7月の後半からたった1ヵ月で新システムを浸透させなければなりません。その解決策の一つに、そのシステムを知り尽くした選手と契約するという方法があります。トレードやフリーエージェントの場合でも、コーチがよく知っている、逆に言えば選手がそのコーチのシステムを理解しているという関係の契約が成り立つことが少なくありません。49ERSの場合も、フィールドでコーチとなり得るような、システムを理解している選手と契約したことになります。

 

私も将来のためのコネづくりを意識して……と言いたいところですが、日々の勝負でいっぱいいっぱいの私には、そんなことを考える余裕などまったくありません。一生懸命働いたことが、結果としてそれにつながるといいなと思っています。

 

ではまた。
TK
 

2011年08月03日

NFL!!

誰もが待ち望んでいた、「ロックアウトの解除」。うれしい限りです。

 

昨年まで、一緒に働いていた49ersのディフェンス・アシスタントコーチと話をする機会がありました。

 

「準備はしていたが、怒涛の攻防が続いている。嵐のようだ」とひと言。要約すると、(ロックアウトが終わって)いつシーズンが始まってもいいように、あらゆる準備はしてきたが、それでも追いつかないぐらい忙しい、ということです。ロックアウト中は、コーチと選手の接触が一切できなかったため、どの段階でプレイブックを配ることができるかに合わせて、数種類のプレイブックの準備をしたりドラフト外入団選手の選定や受け入れ準備等、ロックアウトの解除が近くなってくるにつれ、オフィスに泊まることが多くなってきたとのことです。

 

ロックアウト解除によって、シーズン開催が決定してから数日間の間に、ルーキーフリーエージェント(ドラフト外選手)の選定及び契約交渉、トレードやフリーエージェント選手との交渉、キャンプインの準備等々。例年は3ヵ月でやればよかったことを、極端に言えば4日間ぐらいで終わらせなければなりません。

 

お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、49ersのようにコーチングスタッフが総入れ替えになったようなチームは当然不利になります。キャンプイン直前のこの時期からやっとインストールが始まるのですから……。また、ルーキーや移籍選手等の新戦力がスターターに名を連ねるようなチームも少々不利な感じがしますね。

 

とにかく、フットボールファンの誰もが待ち望んでいたゲームが約1ヵ月後に見ることができます。楽しみですね。

 

ではまた。
TK


☆ロックアウト(締め出し)
ストライキのように労働者が仕事を放棄するのとは逆に、雇用主、企業などが施設を閉鎖し、就労拒否という措置をとること。

 

2011年07月22日

Football Facilities

辞書によると、facility(ファシリティ)=施設、設備、機関。Football Facilitiesとは、フットボールチームの設備、つまり、練習フィールドやトレーニング設備、コーチのオフィス等を意味します。

 

あるサイトででジョージア大学(以下、UGA)の新しいファシリティについてレポートしていました。→YouTube映像


「驚き!」のひと言です。私たちSTANFORDの場合は、他のスポーツのコーチたちと同じビル内でスペースを分けて使っています。UGAのように「FOOTBALL専用ファシリティ」を持つチームは多くはないでしょう。UGAは昨年はボウルゲームも入れて負け越しでシーズンを終えましたが、ここ数年は以下のように素晴らしい戦績を残しています。
2006年 9勝4敗
2007年 11勝2敗
2008年 10勝3敗
2009年 8勝5敗
2010年 6勝7敗
推測の域を出ませんが、2007年&2008年の連続2ケタ勝利のあたりで、地元の資産家や卒業生から寄付の申し出があり、全米チャンピオンに向けて、この建物が建設されたのだと思います。

 

なぜそんな推測をするのかというと……私たちも同じような経験があるからです。昨年の最終戦の後、地元の資産家から「今年の成績に敬意を表し、FOOTBALL専用のファシリティを寄付する」という申し出がありました。その後、完成は2012年、総工費(寄付額)は40億円など、詳細な情報が発表されました。今回UGAのレポートを見たときに、私たちのそれとピッタリ重なったのです。再度申し上げますが、私の推測です。

 

他のメジャーカレッジでもここ数年、いくつかの「FOOTBALL専用ファシリティ」建設の話題が聞かれるようになりました。これら新しい建物に共通すること、いや共通する目的はなんだと思いますか?

 

「リクルーティング」です。STANFORD FOOTBALLで言えば、コーチ、選手自身は今のビルで十分なのです。
いくつかの「こうだったら、もう少し便利なのに……」はありますが、フットボールに集中するには十分な施設です。それをわざわざ「専用」に変えるのは、リクルーティングで競合する他のメジャーカレッジの施設がどんどん良くなっているからです。高校生は興味がある学校を訪問して、その名の通り「ファシリティ・ツアー」をします。
そして、その数日間のほとんどをその建物内で過ごします。つまり、そこで高校生やその親にいかに好印象を与えられるかが、一つの大きなポイントとなるのです。南部の名門LSU(Louisiana State University/ルイジアナ州立大学)にはリクルーティング専用のミーティングルームやヘッドコーチと高校生が歓談する大きな個室まであるそうです。

 

私たちの新しいファシリティも建設が始まっています。2年後にどんな建物ができ、その数年後にどんなプレイヤーが入ってきてくれるか、今から楽しみでしかたありません。

 

寄付と言えば、こんな例も。ネブラスカ大学の各選手のロッカーには「built in i-pad」があるそうです。昨年ドラフト1位(全体2巡)でLIONSにピックアップされたNdamukong Suh選手から寄付されたそうです→YouTube映像


TK

 

2011年07月19日

JAPAN 銅メダル

日本代表の皆さん、メキシコ戦での勝利、おめでとうございます。


3位という結果には、必ずしも満足していない方も多いと思いますが、勝って終わることが大事です。次の大会までずいぶん先のようでも、4年はあっという間です。ぜひ、今大会で見えた課題を一つひとつクリアして、次に向けて少しずつ修正し、進化していっていただければと思います。


すべての試合を見たわけではありませんし、細かいところまではわかりませんが、今回の日本チームの課題のひとつは、スペシャルチームではないかと思います。フットボールでは、3つの大きな「くくり」があります。オフェンス・ディフェンス・スペシャルチームです。簡単に言えば、試合を通じてどちらかのチームがオフェンスを制し、
もう一方のチームがディフェンスを制したならば、勝敗を決めるのはキッキングゲーム。つまり、スペシャルチームです。どうしても“急造”と言わざるを得ないナショナルチームでは、スペシャルチームは2の次になりがちです。そこをどのように時間を割いて、チームとして成長させていくかが、次の大会への課題になるのではと、勝手ながら考えています。

 

優勝はアメリカでしたね。一部を除いては無名のカレッジからきた選手やコーチ陣で優勝するのですから、フットボールの母国の底力は計り知れません。言葉を選ばず言えば、日本もカナダもメキシコも、国内では、トップレベルの選手がアメリカのトップレベル(NFLクラス)ではない選手に勝てなかったということになってしまいます。次の大会にいきなりNFL選手が出てくるとは思えませんので、まずは、今回出場してきたアメリカのレベルの選手たちを倒す実力をつけて、8年後、12年後にはNFLの選手を引きずり出す!ぐらいの意気込みで、がんばっていきましょう。


とはいえ、強行軍のスケジュールの中、見事に戦い抜いた 選手、スタッフの皆さん、本当にお疲れ様でした。ゆっくり休んでください。そして次は、国内のトップを目指して、万全の状態で秋のシーズンをスタートしてください。

 

TK

 

 

2011年07月15日

GO JAPAN !!

カナダ戦、本当に残念でした。いいゲームだっただけに……。私も途切れ途切れのUSTREAM中継で観戦していましたが、「手に汗握る」とはああいうことを言うのでしょう。途切れ途切れの映像でもエキサイトできたのですから。

 

そんなエキサイトできるゲームであった日本vsカナダ、そして前日に行われたUSA vs MEXICOについて、私の周り(STANFORD FOOTBALL)ではあまり話題になっていません。私だけが話題にしようとしている……という感じです。トレーニングキャンプ前の長いオフの期間だというのもありますが、誰も気に留めている様子はうかがえません。悲しいことではありますが、これが現実なのだと捉えています。

 

 

さて、過ぎたことは忘れて前進しましょう。最終戦はMEXICOとの対戦。最終戦にふさわしい、自分たちのフットボールをしてほしいです。


そしてその結果として、銅メダルを日本に、アメリカ大陸以外の国に、持ち帰ってほしいものです。この世界選手権のメダルが全部同じ大陸にあってはいけません! 一度負けたチーム同士の戦いです。敗戦から学んだことの多いチーム、それを勝利に生かせるチームはどちらなのでしょう。日本であってほしい!!

 

GO JAPAN !!

 

TK

 

2011年07月12日

ワールドカップ

ワールドカップが開幕しました。まず最初に、日本代表の選手の皆さん、スタッフの皆さんの努力に敬意を表したいと思います。日本のフットボールはプロではありません。ゆえに、仕事や家族、時間等、多くの犠牲を払っての出場であったことは間違いないでしょう。

 

一つでも多くの勝利を!
一つでも少ない怪我で!
優勝を!!

 

手前味噌ではありますが、私も第1回の大会に出場しております。その頃と比べると、いろんなことが変わっています。

 

まずは、出場国。1回目の時は(コソボ紛争の影響もあって)出場チーム中のライバルはメキシコだけでした。メキシコが逆ブロックにいたのも幸いして、その試合(決勝戦)に照準を絞っての調整がある程度可能でした。しかし、今回は出場国も増え、試合も2日に一度。しかも強敵となりそうな国も、アメリカ、カナダ、メキシコ、ドイツと多くなっています。まさにサバイバルレースですね。

 

もう一つ。インターネット環境や設備の向上による情報入手の速やかさです。第1回大会は1999年。リアルタイムでの情報入手、ましてやインターネットを通じてのlive映像配信など、ありえなかったでしょう。日本にいる家族や仲間と連絡を取る手段にも乏しく、ホテルにインターネット接続の手段があるかどうか確認した覚えもなく……。そもそも、ノート型パソコンを持ち歩く習慣もなく……という状況でした。

 

オーストリア、フランスと白星を重ねた日本。予選リーグ最終戦であるカナダ戦(日本時間13日22:00)に必ず勝利して、決勝への切符を手にしてほしいと願っています。選手、スタッフの皆さんがんばってください!

 

2011年06月30日

この時期のフットボール界

アメリカのフットボール界ではこの時期何が起こっているのでしょう?

 


●COLLEGE FOOTBALL


春シーズン後の4、5月、コーチングスタッフはリクルーティングのために全米を飛び回っていました。6月の前半はその情報の共有や新しい候補選手を見つけるためのオフィスワーク。基本的にはオフィスにいます。6月の後半は「CAMP」です。キャンプといっても、チームのそれではなく、子供や高校生向けのキャンプです。


STANFORDでは、2週間にわたって、下は4歳から上は高校生まで、年齢の低い順にこのキャンプが行われていきます。
・ポジション別(「SPECIALIST CAMP」や「QB ACADEMY」等)
・チームでのキャンプ(数チームが参加して最後はスクリメージまで)
・7 on 7のパッシングトーナメント
2週間、常にどこかで何かが行われていて、私たちもそれはそれは忙しい期間になります。中でも大事なのは、スカラシップ(奨学金)のオファーをするかどうか(こちら側が)悩んでいる学生を呼んで、パフォーマンスを見ることです。NCAAルールでは、個別に高校生のワークアウトや練習を大学側が見ることは禁止されています。ただし、キャンプに参加してきた生徒を見ることはなんの問題もありません。そうです、このキャンプはリクルーティングの一環でもあるんです。


STANFORDは、他のメジャーカレッジに比べ、全米からの入学者が多い学校です。田舎町から出たことがなくて、気づいたら地元のメジャーカレッジのファンだった……みたいなアスリート(もちろん学力は見極めます)を招待して、CALIFORNIAやSTANFORD FOOTBALLを知ってもらう、またとない機会なんです。

 

なので、キャンプ後半になるにつれて(年齢が上がる=リクルーティングの対象)、私たちの目の色も変わってきます。高校生にとっては、特にまだ若い1、2年生にとってはこのキャンプで良いパフォーマンスを見せれば、STANFORDから奨学金をもらうチャンスがあるわけですから、力も入ります。


現に、今年入学してくる、全米でも注目されているWRにそういう選手がいます。南部の田舎町から参加してきた選手で、コーチ陣は誰も知りませんでした。しかし、彼が参加したキャンプのランチタイムに「あのブルーのジャージの〇〇番見たか?」と話題になりました。そして、その2年後、STANFORDから一番にオファーを受けて、STANFORDを選びました。

 

中には、子供ではなく、成人男性や女性を対象とした「FANTASY CAMP」と呼ばれるユニークなキャンプを開催している学校もあります。アメリカには「フットボールは好きだけど、プレイしたのは子供の時だけ」というファンが多数います。そんな人たちを招待して体感させてしまうのがこのキャンプです。おもしろいのは、普段は学生を教えているコーチたちが、その素人たちに本気で、まるで学生を相手にしているかのように指導しているところです。時には、放送できないような言葉も飛び交っているようです。
http://www.pennstatefantasycamp.com/
https://www.youtube.com/watch?v=Ky6t0d5OVuo
https://www.youtube.com/watch?v=TmNmvy36dxo

 

とにかく、カレッジコーチにとってのこの時期はキャンプで忙しい時期なのです。しかし、キャンプと言っても、そのマインドの大半は(いつもと同じように)リクルーティングに注がれます。

 


●NFL


「ロックアウト」がなければ……、(チームにもよりますが)ドラフト終了後、新戦力を対象としたROOKIE CAMPが集中した日程で、週に数回行うOTA(Organized Team Activity)によってチームのビルディングが始まっています。しかし、ご存じのとおり「ロックアウト」(=雇用主側が労働者を職場に入れない)が行われているので、選手がチームのファシリティー(練習施設)に入ることは許されません。

 

ですので、チームで練習ができない選手たちは、プライベートでワークアウトをしているようです。STANFORDでもOBのNFL選手たちをよく見かけます。最近では、中心選手の呼びかけによって自主的に練習をしている選手たちも増えているようです。NFL JAPANのサイトでもESPNでもそんなニュースが増えてきました。

http://www.nfljapan.com/headlines/21929.html

 

かわいそうなのは、NFLを夢見る新人たちです。NFLではドラフトされた選手以外に十数人の選手がROOKIE FREE AGENTとして春の練習に参加します。ドラフトされなかった選手にとってはここがパフォーマンスどころですが、今年はまずその機会さえ与えられていません。ドラフト下位指名の選手にとっても同じです。1位や2位とは違って、キャンプでカットされる可能性の高い選手にとって、「NFLプレイヤーと一緒に練習をして自分を磨く」という絶好のチャンスである春のシーズンがないというのは、大きなダメージでしょう。

 

誰もが望まないこのロックアウト問題、早く解消するといですね。

 

2011年06月27日

TOPICS

カレッジフットボールのトピックスがいくつかありますので、お伝えしましょう。

 

 

JIM TRESSEL Resigned(JIM TRESSELが辞任)


10年間に渡り、名門「The Ohio State University」(オハイオ州立大学)を率いてきたジム・トラッセル氏がヘッドコーチを辞任しました(※余談ですが、ここはなぜか学校名の前に「THE」をつけます。特に卒業生などがつけるようです)。原因は選手が起こした不祥事です。


前回も書きましたが、アメリカのカレッジスポーツではNCAA(National Collegiate Athlete Association)という組織が、「学生スポーツ」であることを逸脱しないように厳しく目を光らせています。映画「BLIND SIDE」(邦題「幸せの隠れ場所」)の最後の方で主役のマイケル・オアーに厳しく質問をしていたのも、NCAAの人たち。彼らはリクルーティングに関するルール違反について調査をしていました。

 

昨年のBOWL GAMEの直前に、OHIO STATEの選手6名が処分されました(2011シーズン開幕から5ゲームの出場停止)。具体的には、地元(当然彼らは地元で大スター)のTATOO SHOP(イレズミを入れるところ)で代金を自分のサインと交換でタダにしたり、チャンピオンリングを売ったり、チームから支給されたグッズにサインして売ったりしたそうです。NCAAルールでは、「STUDENT ATHLETE」(なぜかこう呼びます)が、NCAAが公認した以外の利益を受けることやコストが値引きされたりする行為を禁止しています。NCAAが認めているのは奨学金であったり、練習やトレーニングの際に必要なシューズやウエア、シーズン中の食事等です。

 

それに関しておもしろいエピソードが。私がSTANFORD FOOTBALLで働きだした頃、コピー機の前にこんな内容の張り紙がありました。「STUDENT ATHLETEがここでコピーをとることは、NCAAルール違反です」。要は、生協等のコピースペースで有料でとるべきコピーを、ここでタダで取らせることは何か金品を渡しているのと同じことであるという解釈なんです。ですから、私たちはオフィスに来た学生たちにコピーもとらせられないし、キャンディひとつあげられません。まぁ、キャンディぐらいは勝手に取って行ったりりしますが……。

 

OHIO STATEで処分された6名のうちの一人、エースQBであるTERRELL PRYOR選手がNFL入りを表明しました。元々アーリーエントリーする能力があるQBのうちの一人とされていましたが、(ドラフト前に)一旦は拒否して大学でプレイを続けることに。しかし、5月に二度目の(同じような)スキャンダルが発覚した後、「もう、こんなのめんどくせぇー」と言わんばかりにNFL入りを表明しました。それらの不祥事の責任を取ってヘッドコーチが引退したのですから、なんだかやりきれない感じですね。

 

 

Cliff Harris suspended(Cliff Harrisが出場停止)


OREGON大学のDBの選手が交通違反により逮捕されました。このHARRIS選手、昨シーズンはまだ2年生ながら6つのインターセプト、そしてパントリターナーとしてもスクールレコードのTD数をたたき出す等、中心選手でした。ヘッドコーチから(少なくとも)開幕戦の出場は停止になることが発表されました。OREGONの初戦は強豪LSU(Louisiana State University)であるだけに、影響は少なくなさそうです。

 

 

Nevada starting WR Wimbery shot(ネバダ大のスターティングWR・Wimbery撃たれる)


ネバダ大学の選手が撃たれたそうです。私たちには想像できない銃社会に私は住んでいると、あらためて感じさせられます。

 

2011年06月23日

USC vs NCAA

USC=University of Southern Califonia(南カリフォルニア大学)
言わずと知れた名門中の名門。「NFL予備軍」とも称され、毎年ドラフトへ多くの選手を輩出しています。公立(州立)かと思いきや私立校で、一般的にはお金持ちの子弟が通う学校として知られています。学業も素晴らしい学校です。

 

NCAA=National Collegiate Athlete Association(全米大学体育協会)
英語表記の名の通り、全米のカレッジアスリートのすべてを取り仕切り、つかさどる団体です。日本でよく言われる「文武両道」という言葉ではなく、「学生の本分は勉強である」ということを前面に出した厳しいルールを設定し、それを厳しく運用・管理しています。

 


この両者が戦っています。 詳しくは昨年のブログを読み返してみてください。要約すると、2005年に(USC在学中だった)フットボール選手・レジー・ブッシュがNCAAルールに違反したことへの処分について争っているのです。具体的には、NCAAは以下のような処分を挙げています。
・2年間(2010・2011年度)のBOWL GAME出場資格の取り消し。
・スカラシップ(奨学金)数の削減(段階的に、3年間で30人分/※通常80人まで認められている)。 

 

数日前、USCが昨年から続けてきた不服の訴えをNCAAが最終的に認めず、上記の処分を決定する発表をしました。 よほどのことがない限り、この処分は決定し、いつからか定かではありませんが、上記2番目のリクルーティングにおける罰則が始まることでしょう。

 

カレッジフットボール界に身を置くものとして考えるに、奨学金の数が「30」減るということは……想像を絶する影響が出そうです。無理です。やっていけません。段階的とはいえ、「数年は勝てないけど我慢してね」と言われているようなものです。処分が確定してしまうことを前提とするなら、USC側がとれる対策は以下の2つだと思います。
・回転の早いJC(JUNIOR COLLEGE=短大)からトランスファー(転校)する選手を多く採る。
・今のうちに採れるだけとる!(上限はありますが)
  → (NCAAにアピールはしながらも……、)来る罰則を見すえて、

    今年の新加入選手は31人です。(普通は20人前後)

歴史的にみても、この種のペナルティを受けた学校は、その後、低迷しています。1980年代のSMU(Southern Methodist University/南メソジスト大学)や1990年代のTexas Tech(テキサス工科大学「)は、その後、ボウルゲームに出場するまでに相当の時間とお金を費やしました。どんな対策をとっても厳しいですが、名門の名が失われないようにしてほしいものです。

 

2011年06月01日

アメリカのアスリート

おもしろい記事を見つけました。フロリダ大学のランニングバックのDEMPS選手が陸上の競技会に出場し、100mのスプリントのジュニア・ワールドレコードを出したそうです。

 

その記録はなんと【10秒01】!!

 

一年の大半をフットボールに費やす日々の中で、春のシーズンが終わった後に参加した陸上の大会でのタイムがこれです。日本記録が【10秒00】ですので、アメリカという国にいるアスリートの底力は、並大抵ではないことがうかがい知れます。

 

このブログ上でも何度かお話ししてきましたが、アメリカでは子供のときから(スポーツは)シーズン制(シーズンによって競技するスポーツを選ぶ)であります。もちろん、日本の子供たちがそうであるように、(スポーツを)やらない子もいますが、やっている子はたいてい複数のスポーツをプレイしています。ですから。(同僚の)コーチの子供には「どんなスポーツをしているか?」ではなく「今、何のスポーツしてるの?」と質問するようにしています。


野球が終わればフットボール、その次はバスケットボール……というように、それぞれのシーズンに自分の好きなスポーツを選んで楽しんでいます。日本とは違い、シーズンによって自分の好きな、そして自分に合ったスポーツを選ぶことができるのです。そして年齢を重ねていくにつれて、その競技の数が絞られていって、その中から突出した選手がカレッジスポーツでの奨学金を得るようになるのが、トップアスリートのモデルケースと言えるでしょう。

 

実際、我がSTANFORD FOOTBALLでも数名の選手が野球やバスケットボール、陸上など他のスポーツをプレイしています。中でも、野球をプレイしている選手は高校時代から両方の競技で有名で、昨年は1年生ながら野球部の首位打者になりました。

 

ここ数年、日本の政界でもスポーツに関することが論じられる機会が増えてきたと聞いています。将来、スポーツに関する行政機関等が発足した際には、『複数競技のすゝめ』なる論文でも提出して、日本のスポーツ界の発展に寄与したいものです。

 

ではまた。
TK

 

2011年05月20日

PAC-10 ドラフト 2

先日お伝えしたレポートの続きです。

 

●オレゴン大学(1人)
昨年のPAC-10 チャンピオンであり、NATIONAL CHAMPION SHIP GAMEに出場を果たしたことも記憶に新しい、誰もが認める強豪チームです。しかし、ドラフトされたのはわずかに1人。PACKERSでルーキーイヤーから
PRO BOWLに出場したCLAY MATTHEWS選手の弟、CASEY MATTHEWSのみでした。彼は1年生からスターターを務め、怪我も少なくシーズンを通して安定的に力を発揮できる選手でした。「何が凄いのか?」、説明しづらい選手でありますが、笛が鳴った時に(常に)ボールの近くにいることや思い切りの良いブリッツが印象に残る選手でした。全米2位にもなるチームからドラフトされたのがわずか1人……どうしてでしょう??それだけ若い選手が中心だったということです。今年も恐ろしい存在です。

 

●オレゴン州立大(3人)
BEARSから2巡で指名されたDTのSTEPHEN PAEA選手。180cmそこそこですが、スタートの速さと下半身の粘りが印象強い選手でした。FALCONSから5巡指名のJACQUIZZ ROGERS選手。170cmはないであろう、小型のスピードRBです。人工芝のフィールドでは変幻自在の信じられない走りを連発。しかし、天然芝の柔らかいフィールドではいまいち、というのが私たちの評価でした。彼らとの対戦で一番怖いのはこのROGERS選手のラン攻撃でしたので、ホームゲームの時は芝を長めにして、しかもナイトゲーム(フィールドが少し湿るので)を選ぶのが鉄則でした。

 

●ワシントン大学(2人)
誰もが予想通りの指名選手。JAKE LOCKER(QB)とMASON FOSTER(LB)の2人でした。LOCKER選手は、高校卒業時にメジャーリーグからドラフト指名を受けたほどのアスリート。肩もさることながら機動力も抜群のQBです。FOSTER選手は、常にボールの近くにいるLB。チームでもリーグでも群を抜いてトップのタックル数です。この選手は間違いなく活躍すると思います。

 

●ワシントン州立大(1人)
ここ数年低迷が続いていますが、センターの選手がドラフト6巡で指名されていました。ディフェンスのアシスタントに「センターだけ普通だ」と聞いていたので、試合の時に注目して見ていましたが、機動力とリーダーシップを兼ね備えたいい選手でした。

 


その他、学校を軸にしてみたドラフトの面白いトピックスを!

 

●アラバマ大(5人)
5人ドラフトされていますが、そのうち4人が1巡!! 一昨年度のNATIONAL CHAMPION TEAMなので、今年のオレゴン大学のドラフト結果と同様に下級生が中心のチームだったのでしょう。そういうチームが必ず勝つとも限らないのが、このスポーツの面白いところです。

 

●アパラチアン州立大(3人)
DIVISION1-AA(日本で言うなら2部)のチームながら、ここ数年何人かドラフトされています。今年も下位指名ながら3人もピックアップされました。指名数だけ見ればオレゴン大学より上です。


ではまた。
TK

 

2011年05月14日

PAC-10 ドラフト

先日、STANFORDから4人の選手がドラフトされたことの詳細をお伝えしましたが、今回はSTANFORD大学が所属する「PAC-10」リーグ(※下記注釈参照)所属の他のチームのドラフト状況を見てみましょう。

 

●アリゾナ大学(3人)
ディフェンスの要であった3人の強烈なパスラッシャーがそれぞれドラフトされました(2巡、6巡、7巡)。同じ学年から3人ものDEがドラフトされるなんて凄いですね。

 

●アリゾナ州立大学(1人)
PACKERSから7巡で指名されたDTのLAWRENCE GUY選手が唯一の指名選手。サイズはありながらも横へのクイックネスが印象的な選手でした。

 

●カリフォルニア大学バークレー校(CAL)(4人)
昨シーズン久しぶりのランキング外、しかもボウルゲーム出場もなかったCALですが、それぞれ1、2、3、6巡でのピックアップ。やはりタレントレベルが高いことがうかがい知れます。SAINTSに1巡で指名されたCAMERON JORDAN選手は将来を嘱望されるアスリートDEです。

 

●南カリフォルニア大学(USC)(9人)
NFLの予備軍と言っても過言ではないUSC。今年も9人の選手が指名されています。ドラフト後、指名されなかった選手がROOKIE FREE AGENTとしてキャンプに参加できるシステムを鑑みると、今年も10人上の選手がNFLとの契約を結ぶ(ロースターに残るかは別の話です)ことになります。恐るべしです。しかし、例年と違うのは、下位での指名が多い点。指名された選手はそれぞれ(高校の時からトップリクルートとして)有名な選手でしたが、成績が振るわなかったり、USCのコーチングスタッフが入れ替わったことが、NFLスカウトの不安を解消しきれなかったのでしょう。

 

●カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)(3人)
ここ数年成績不振が続くUCLAですが、相変わらずタレントレベルは高いです。2巡でピックアップされた2人(AKEEM AYERS, RAHIN NOORE)は、NFLでも即戦力となるでしょう。

 

●スタンフォード大学(4人)
詳細は前回のレポートをご確認ください。4人ともぜひ最終ロースターの座を勝ち取ってほしいです。


残りの学校はまた次回に!

 

TK

 


※【PAC-1O】パシフィック・テン・カンファレンス(Pacific Ten Conference , Pac-10 ):
アメリカ合衆国の大学スポーツにおけるカンファレンスのひとつ。創設は1959年。西部4州(アリゾナ州、オレゴン州、カリフォルニア州、ワシントン州)の10校が参加している。NCAA のDivision I (全スポーツ)、Division I-A (アメリカンフットボール)のメンバーである。
所属する10校は以下。
アリゾナ大学(UA)
アリゾナ州立大学(ASU)
オレゴン大学(U of O)
オレゴン州立大学(OSU / OS)
カリフォルニア大学バークレー校(Cal)
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)
スタンフォード大学
南カリフォルニア大学(USC)
ワシントン大学(UW)
ワシントン州立大学(WSU)

2011年05月09日

STANFORD FOOTBALL ドラフト

STANFORDでは今回のドラフトに12人の選手がエントリーしました。そして、先週末のドラフトではそのうち4人の選手が指名されました。全米4位のチーとしては少ない数ですが、以下が指名選手です。

 

◎SIONE FUA     CAROLINA PANTHERS 3巡
あまり大きくないですが、重心が低くドライブしづらい(OL目線……)INSIDE DLです。数チームのプライベートワークアウトに呼ばれたり、チーム側が見にきたりして、ドラフト直前に評価が急上昇しました。

 

◎OWEN MARECIC     CLEAVLAND BROWNS 4巡
カレッジフットボールでは珍しい、オフェンス&ディフェンスでスターターを務めた(いわゆる両面)選手です。

 

◎RICHARD SHERMAN    SEATTLE SEAHAWKS 5巡
元ワイドレシーバーですが、DBに転向したのが功を奏し(?)、ドラフトされました。あるスカウトはワイドレシーバーとしてドラフトされるかもと言っていましたが、どちらでのドラフトかは定かではありません。オフシーズンは、三段跳びの選手としても活躍していました。

 

◎RYAN WHALEN    CINCINNATI BENGALS 6巡
サイズはありませんが、あまりボールを落としたところを見たことないほど、堅実な選手です。入部当時はWALK ON(奨学金なしで勝手に入部してくること)でしたが、入部数週間後のキャンプ中にスカラシップ(奨学金)を獲得したという逸話の持ち主です。スペシャルチームでも大活躍していました。

 

 


このRYAN WHALEN選手は、スピードはアベレージでしたが、ボールを落とさない素晴らしいフットボールプレイヤーでした。レシーバーとしてだけでなく、スペシャルチーマーとしても4年間試合に出続けていました。2010年シーズンのスタッツは【41キャッチ・439yd・2TD】。数字上ではとてもドラフトされるような選手ではないと思います。

 

現に、昨年、STANFORDにはDOUG BALDWINというエースレシーバーがいました。数字【58キャッチ・857yd・9TD】も、印象としても、間違いなくエースでした。しかし彼はドラフトされませんでした。理由は一つ。スペシャルチームでの活躍がなかったことです。

 

NFLのスカウトたちは、QB、OL、DT以外の選手については、スペシャルチームでのプレイを必ず確認していきます。昨年のDOUG BALDWIN選手は怪我がちだったせいもありますが、スペシャルチームにおいて、リターナー以外のポジションでの活躍はありませんでした。反対に、今年のRYAN WHALEN選手は、キックとパントのリターンおよびカバーで4年間常に中心選手でした。

 

限られた登録選手数の中で生き残っていくには、大学時代にどれだけスター選手であったとしても、(特定のポジションを除いては)スペシャルチームでの活躍の実績や潜在能力が求められます。将来、NFLを目指す日本人選手は、積極的にスペシャルチームでプレイしてみてください。

 

TK

 

2011年05月06日

NFL ドラフト(結果)

いやぁー、驚きました。注目の全体1巡1位はオーバーン大学のCAM NEWTON(QB)選手でしたね。昨年度(2010シーズン)の大学全米No.1チームのQBです。195cm、110kgの大きな体格ながら40yd走は4.56と素晴らしいアスリートQBです。


私がQBとしての1位予測をしていたBLAIN GABBERRT選手は全体10位、QBとしては3番目の指名になってしまいました(2位はJAKE LOCKER)。さて、どうしてでしょう。

 

以下は私が考えている、1位CAM NEWTON選手のネガティブ要素です。

 

・JAMARCUS RUSSELLの“二の舞い”にならないか

 2007年にLSUからドラフト全体1巡1位でRAIDERSへ入団。鳴かず飛ばずのまま、

 2010年シーズンはどこかのチームのバックアップQBに。現在、一部の報道では

 体重が130kgに達し、所属チームを探してトライアウトを受けている状態。
 6年70億を超える大型契約の大型(体型)QBの悪しき実績にCAM NEWTONを

 重ね合わせる評論家も少なくありません。


・契約交渉が難航する可能性

 2009年にJC(短大)の全米チャンピオンになり、いくつものメジャーカレッジから
 トランスファー(転校)のオファーを受けた彼は、複数の学校に金銭を要求したと

 言われています。実際には、彼自身でなく父親からの要求であったとして、彼は

 処分を受けませんでした。インタビュー等を見る限り、本人はナイスガイな感じですが、

 家族を含めたお金の話である契約交渉のテーブルにその父親が絡んでくると、

 交渉は難航するのではないかと言われています。


・オフェンススタイルの違い
 彼を1位指名したCAROLINA PANTHERSは、新ヘッドコーチのもと、チーム再建に

 乗り出しています。2010シーズンのQBはNOTRE DAME大出身のルーキー
 JIMMY CLAUSEN選手でしたが、プロスタイルオフェンスを3年間率いた彼でさえも
 満足な結果を残すことができませんでした。しかも新オフェンスコーディネーターは、

 昨年までCHARGERSでノーブ・ターナーヘッドコーチのもと、「WEST COAST

 OFFENSEど真ん中」のシステムを採用していました。SHOT GUN中心のスプレッド

 スタイルオフェンスの経験が長いNEWTON選手がそこにどれだけフィットするかは

 甚だ疑問です。

 

ポジティブな要素を挙げるとするならば、彼の実績とアスリートとしてのポテンシャルでしょう。全米No.1のチームを率いた実績はまぎれもない事実ですし、コンバインでもその類稀なる能力を存分に発揮しています。たとえば、40yd走のタイムをとってみても、JAMARCUS RUSSELLが4.83と平凡であったのに対し、彼は4.56をたたき出しています。

 

否定的なことを多く書きましたが、予想が外れた“言い訳”でしかありません。彼の契約交渉がうまくまとまって、素晴らしいルーキーイヤーを迎えられることを望んでいます。特にPANTHERSは最近低迷が続いているので、頑張ってほしいです。

 

ではまた。
TK

 

2011年04月28日

NFLドラフト

いよいよ今週末に迫りました、NFLドラフト。今年はどんなドラマが生まれるのでしょうか。


先日、あるチームのスカウトと話をしました。今年のドラフトは、今までのそれとは様子がまったく違うようです。選手を指名する側の球団はこのドラフトを「今季唯一の補強策になるかもしれない」と位置づけて臨んでいるようです。

 

今年のNFLのオフシーズンは「ロックアウト」の影響で具体的な補強策となるトレードが行われていません。例年はオフシーズンのトレード等で補強ポイントをある程度絞ってからドラフトに臨めますが、今年はドラフトが先になってしまいます。彼曰く、いつもよりフォーカスポイントが多いので、ミーティングをはじめとする【やらなければいけないこと】が多すぎるそうです。普段はスカウトたちがやればいい仕事をコーチたちがサポートしているケースも多いようです。現に先月、NEW YORK JETSのレックス・ライアンヘッドコーチがSTANFORD大学の選手のプライベートワークアウト(ドラフト前に興味のある選手を招待してワークアウトを見学する)を開催していました。しかも、NFLのヘッドコーチが自らこちら(CALIFORNIA)に出向いてです。ちなみに、その選手はドラフト1位や2位になるような評価を得ている選手ではありません。その出来事は、「たとえ下位指名になるような選手でも、しっかり見極めておきたい」というJETSのドラフトへの姿勢を示しているように見えました。

 

さて、全体のドラフト1位ですが、どうやらディフェンスの選手に。ESPNのランキングでは上位3選手がディフェンスの選手です。私は個人的にはTEXAS A&MのVON MILLERという選手が好きです。あまり大きくはないですが、PASS RUSHが素晴らしいOLBです。QBではBLAIN GABBERT 、CAM NEWTON、JAKE LOCKERの3選手が注目されていますが、私の中ではBLAIN GABBERT選手がトップです。大学時代はNFLのシステムとは違うパッシングチームを率いていましたが、サイズ、走力、パッシング能力のどれをとってもNFLのQBのトップクラスになり得る逸材だと思います。

 

予想が難しい今年のドラフト、当日はESPNのライブから目が離せません。

 

ではまた。

TK

 

2011年04月14日

こんなところでも……

カリフォルニアの春の日差しを全身に浴びながら、STANFORD大学のキャンパス内を散歩していたときのこと。ランチタイムであったこともあり、多くの学生や観光客がSTUDENT UNION(学食などが集まっているエリアのこと)付近を行き交っていました。
 
授業がある平日ランチタイムのメインストリートは、いろいろなイベントや団体がブースを出してにぎわっていますが、そのうちの一つに「PRAY FOR JAPAN」の大きな文字を掲げている集団を発見しました。遠くから見た限りではTシャツのようなものを売っているようでした。


用事を済ませた後に、そのブースに立ち寄りTシャツを購入し、それを売っている彼らと話をしてみました。彼らはSTANFORDで勉強している日系の学生と日本の文化に興味があるアメリカ人や留学生で組織されている団体で、キャンパス内で日本の文化を紹介するような活動をしているそうです。東日本大震災のニュースが世界を揺るがした、その翌日からこの企画(Tシャツの売り上げを寄付する)が動き出したそうです。Tシャツは2週間で300枚近くを売り上げていて、追加の発注をかけたほどだとか。学生やキャンパス内を観光してる旅行者も含め、Tシャツを買わなくても声をかけてくれる人が多いとのことでした。私が地震の際に日本にいたことを話すと、日本の状況を心配する数々の質問をしてきてくれました。
 
その団体のみんなと話しているときに個人的に感じたことですが、みんなの「心配」は、その中に「期待」が込められているのではないか。日本の復興を期待することを含めた心配なのだと感じました。

 

「日本という国は必ず元に戻る力を秘めている。それを期待しています」という世界中の声が聞こえてきたような、春の日の出来事でした。
 
We are not alone.
 
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TK

 

2011年04月03日

We are not alone!!

3月26日にカリフォルニアに戻ってきました。

 

こちらに来てからというもの、日本の震災について聞かれなかった日はありません。選手、コーチ、トレーナー、同じビルで働いているすべての人に(話したことない人にまで)聞かれます。

 

サンフランシスコ周辺在住の日本人コミュニティでも募金をはじめとする様々な支援活動が行われていますし、ウェブサイトでもいろいろな支援サイトが立ち上がっています。私が好きなブランドから定期的に来るemailのトップページにも、こういうチャリティ商品がが掲載されています(→THE JAPAN HOPE POLO SHIRT)。

 

こちらにいて感じることは、「日本はひとりじゃない」ということです。

 

文法的にはおかしい表現かもしれませんが、心の底からそう思います。コーチの一人は、行きつけの日本食レストランに募金箱を置かせたそうです。別のコーチは、毎日、「俺にできることはないか?」と尋ねてくれます。
レストランの隣の席で私たちの話を聞いていたおばあさんは、涙を流しながら「日本の復興を心から祈っているし、あなたたちなら大丈夫よ!」と言ってくれました。

 

私たちは、ひとりじゃない。世界中に、心を痛めたり、なんらかの支援をしてくれている仲間がいます。目には見えませんが、そういった人たちの気持ちと一体となって、一歩一歩、復興に向かっていきましょう。

 

We are not alone!!

 

2011年03月29日

BELIEVE

ラトガーズ大学という学校があります。2000年にマイアミ大学でディフェンスコーディネーターだった有能なヘッドコーチを招聘して、ここ数年いい成績でしたが、昨年はBIG EASTの最下位になってしましました。

 

昨年10月、そのラトガーズ大学の試合で悲劇は起こりました。キックオフカバーに入っていたERIC LeGRAND選手が相手にヒットした際に、彼やその家族の人生を大きく変えるような怪我を負ってしまいました。
 

受傷当初は、
・命に関わる怪我である
・意識が戻るかわからない
・意識が戻ったとしても半身不随等の障害が……
などとメディアで騒がれましたが、彼の家族やチームメイトが掲げた「BELIEVE」という言葉とともに、彼の病状は着実に回復してきたそうです。担当の医師も驚くような回復ぶりだそうです。

 

こんな時だからこそ、私たちもいろいろなことを「BELIEVE」して前に進んでいきましょう。

 

2011年03月28日

NFL労使交渉

NFL(オーナー側)と選手会の交渉が長引いています。

 

最近の動きをピックアップしてみると……

 

NFLのコミッショナーであるロジャー・グッデル氏がNFLの登録選手全員に向けてE-MAILを発信したそうです。要約すると、「交渉を前進させよう」という内容らしい。


それに対しNFLプレイヤーの代表選手数人が手紙で返事をしたようです。そこには"Your statements are false."(あなたは間違っている)と書かれていたそうです。


ここ数週間、交渉が前向きに進んでいるように見えてはいましたが、ここに来てまた行き詰まってしまっているように見えます。ここまでの関係者の努力と、フットボールシーズンを心待ちにしているファンの気持ちを無駄にする事態にならないように祈るばかりです。

 

2011年03月27日

強い想いで続けたいこと

このたびの東日本大震災でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。また、今も避難生活が続く被災地の方々に心よりお見舞い申し上げ、一日も早く復興されることを心よりお祈りいたします。

 

突然に起こった予測もできない災害。あの一瞬が…と思われると、悔やんでも悔やみきれないことでしょう。遺された方々、そして支援地となる日本全体は、これから、その一瞬で失われたかけがえのない大きなモノを取り戻すために、「復興」という大きな試練に立ち向かうことになりました。


毎日毎日、少しでも前に進まなければいけません。


我がヘッドコーチである大橋さんが言った言葉を思い出します。
「大きなことを成し遂げようとするならば、小さなことを積み重ねていかなければならない」


今こそ日本国民全体が「復興」という大きな目標を掲げて、小さな努力を積み重ねることをスタートする時なのでしょう。どんなに細かいことでもいいと思います。被災地と私たち日本の未来のために。


 BETTER THAN NOTHING!!


被災された方々の苦しみを常に心に置きながら、小さな努力を意識的に積み重ねていきましょう。私もアメリカの地でできることを、可能な限りやり続けることにします。

 

2011年03月02日

サイニング・デイ

毎年2月の第1水曜日は、カレッジフットボール界にとって年度初の大きなイベントの日となります。それは、「National Letter of Intent Signing Day」と呼ばれ、カレッジフットボールチームにとって最も大事であることの一つと言われる、リクルーティング(高校生のスカウト)イベントなのです。

 

イベント好きなこの国の人たちは、その日を立派なイベントに仕立て上げています。たとえば、フットボールが強い高校や有名な選手がいる高校等では、体育館やホールにステージを作り上げて地元のテレビ局による中継をします(有名な選手は全米中継)。選手がオファーの来ている大学の中からどこを選ぶかを順番に発表していくという演出をするのです。「私が進学先として選んだのは〇〇大学です」。その時にマイクの前に並べられた(オファーの来ている各校の)帽子の中から意中の学校の帽子をピックアップします。それと同時に会場では大きな拍手と歓声が沸き上がったりします。映画『ブラインドサイド』の中にもそんなシーンがありましたね。

 

一方、(中継されている場合は)その選手をリクルーティングした大学のコーチングスタッフは、それを固唾を飲んで見守っています。中にはその日まで決断できていなかったり、それを(学校側に)伝えていなかったりすることもあり、最後に大逆転が起きたり……その日にはいろいろなドラマが生まれます。以下にいくつかリンクを載せておきます。

 

No.1 prospect Jadeveon Clowney makes his college choice

Jadeveon Clowney Senior Highlights

National Signing Day at St. Thomas Aquinas

リクルーティングは、こちらではビジネスです。高校生が商品であり、その情報を購入するのは大学側です。フットボールをプレイしている高校生にもそれをほしがっている大学側にも、学生スポーツであるがゆえにリクルーティングに関しては厳しいルールがあります。にも関わらず……(日本人の感覚としては)「そんなことしていいのか!?」というようなことがけっこうあります。私が一番驚いたのは、高校生のフットボールプレイヤーをランキングしてしまうことです。以下の二つは代表的なサイトです。
http://rivals100.rivals.com/
http://recruiting.scout.com/

 

そこには情報として
・高校生の名前
・記録(40yd走やベンチプレス、スクワット等)
・どの学校からオファーがあったか?
・どの学校に興味があるか?
・オファーがあった学校のうち、どこを訪問したか?

等が細かく書かれているだけでなく、各プレイヤーのハイライトビデオが視聴できるようになっています。一見、個人情報が……と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、高校生側からしたら、それを掲載することによってオファーが来るのであれば……ということで、双方にメリットがあるのでしょう。


そのサイトによって評価された、これから入ってくるSTANFORD大学の新入生のリストです(→こちら)。POS.(ポジション)の右横に書かれた数字は「そのポジションにおける全米ランキング」です。誰が決めたのかは定かではありませんが、おそらくそのサイト独自のネットワークや基準をもとに決められているのでしょう。


国民性の違いと言えばそれまでですが、ここまで個人をランキングしてそれを公開するというのは日本ではありえないと思います。またそれが立派なビジネスとして成り立っているのも、アメリカならではなのかもしれません。

 

TK

 

 

2011年02月16日

LOCK OUT

先日も予告しましたが、今回は「NFLのLOCK OUT」について書いてみたいと思います。


前回の記事で「LOCK OUTと呼ばれるストライキ」と書きましたが、間違っていました。

「ストライキ」=労働者側が、様々な不満やその改善を求めて集団的に労働を拒否すること。
「LOCK OUT」=労働者が雇用条件に同意するまで、雇用者が労働者を職場に立ち入らせない(NFLの場合、プレイさせない)こと。

双方の意見が対立しているといっても、どちらが条件提示をしているか、どちらがそれを受けて検討する側なのかによって、それを表す単語が変わってくるようです。

 

たとえば、1994-1995シーズンのメジャーリーグでのケースは「ストライキ」と呼ばれていますし、2004-2005シーズンのNHL(ホッケー)でのケースは「LOCK OUT」と呼ばれています。どちらのケースも相当数のファンが離れていき、それを取り戻すのにはかなりの時間と努力を要したというのが、こちらのメディアの見解です。そんな歴史的事実もあり、同じようなことは繰り返すべきではないという論調です。


もちろん、私も含めすべてのファンがそんな状況は望んでいないでしょう。現在の状況をいくつかのメデイアから拾ってみました。
・先週水曜日(2月9日)に予定されていたオーナー側代表と選手側代表の会談をオーナ側がキャンセル。
 次の火曜日に予定されていた会談も目途が立たず(2月10日のニュース)。
・あらゆる情報を総合すると、現在の協定(現地時間3月3日で無効となる)が効力をなくした瞬間から
 LOCK OUTは避けられない状況か? LOCK OUTイコール2011シーズンがなくなるわけではないが、
 予断を許さない状況下にある(2月8日のニュース)。
・今季から新しい契約や契約の見直しのチャンスがある選手は、この労使交渉が邪魔をして、
 契約交渉のテーブルにさえつけていない(2月5日のニュース)。

 

レギュラーシーズン終了後、新しいヘッドコーチが多く誕生した今年のNFL。そのヘッドコーチの数の10倍ぐらいのスタッフが新しく雇われています。そのうちの1人からこんな話を聞きました。
「契約書類にはLOCK OUTを想定した多くの文面が記されている。たとえばLOCK OUTに突入した際の給料の支払いや2011シーズンが開催されなかった時の扱いなど」
彼はそれを見て、今までただニュースの一つであったそれが自身の目前に迫っていることを実感したそうです。


以下、私の見解です。
1.時間的に、3月3日(現地時間)までに新しい協定に双方が調印することは難しい。
2.いったんLOCK OUTになる可能性は十分にあり得る。
3.収入を中心に失うものが大きすぎるため、シーズン開始までにはなんらかの結論に達し、
  シーズンがキャンセルされることはない。


ただ、なんとかシーズンの開催にこぎつけたとしても、すべてのことが例年通りに行われるとは限りません。たとえば雇用や設備投資等は、その速度が鈍化することは避けられないでしょう。その他、チームでの学生向けのインターン職やチアリーダーの募集・採用等、アメリカのみならず、世界中のNFLに関わる、またはそれを目指す人たちに影響が出ると言えるでしょう。


その人気ゆえにビジネスとしても大きくなり過ぎてしまったNFL。(ビッグビジネスなのでしょうがないですが、)関係する人たちがお金という欲に走り過ぎて、一番大事にしなければいけないファンを失うことだけは、避けてほしいものです。


ではまた。
TK

2011年02月14日

すいません。

スーパーボウル勝敗予想(パッカーズ28-31 スティーラーズ)、はずれました(結果はパッカーズ31-25スティーラーズ)。すいません……。日本ですので(アメリカではそれがギャンブルにもなったりしています)、それで賭けをして実害を被った方はいらっしゃらないと思いますし、スコア的に近いと言えば近い……。でも、ハズレはハズレ。申し訳ありません。

 

ゲーム内容はと言えば、今までも何度もお伝えしてきた「ターンオーバーバトルに勝ったチームが勝者になる」というような展開でしたね。あるコーチは「3 turn overs shouldn't be winner...」(3つもターンオーバーがあったチームが勝てるわけない)とつぶやいていました。後半の追い上げムードを一瞬にして断ち切ってしまったのも、ファンブルでしたね。

 

さて、例年であればスーパーボウルが終わると、コーチの人事異動やフリーエージェントを含めたトレードの動向、そしてドラフトへ向けての動きが盛んになってくるところです。現に今月の後半にはドラフトに向けたコンバイン(招待選手による合同のトライアウト)が開催されます。


が、しかし、その前に労使交渉という壁が立ちはだかっています。現在の協定の有効期限が3月4日。そこを一つの期限として交渉がまとまらない場合は、「LOCK OUT」と呼ばれるストライキに突入する可能性が高くなります。次回はその現状を詳しくレポートします。

 

TK

 

2011年02月04日

Super Bowl(4)- 勝敗予想!

パッカーズ 28 - 31 スティーラーズ

勝手な予想ですので、悪しからず。

 

昨日のレポートを書いてから、(レポートで拾えなかった)ある数字を見て驚きました。今年のNFLレギュラーシーズンのQB SACK数の1位がスティラーズで48.0、2位がパッカーズで47.0だったのです。両チームが3-4ディフェンスがベースであることを鑑みると、双方のサックリーダーはOLB(アウトサイドラインバッカー)であることは間違いありません。そのOLBがパスを予想し、スピードを活かしてラッシュしてくる3rd DOWNロングの
シチュエーションをつくらないことが、両チームのオフェンスのキーポイントとなるでしょう。

 

失点が少ない両チームのディフェンス。攻め込まれてからのふんばりでTDを与えずフィールドゴールやパントに抑え込んできた結果が数字から見てとれます。

 

オフェンスは、2週間の間でレッドゾーン(敵陣20yd以内)に入ってからのプレイ=TDにつながるプレイをどれだけ準備できているか、またそれを発揮できるかが試合の最終スコアにつながってくるでしょう。

 

逆にディフェンスは、攻め込まれながらもサックやインターセプトのビッグプレイでスコアを許さない、レギュラーシーズンと同じような戦い方、つまり勝ちパターンに持ち込みたいところではないでしょうか。

 

楽しみですね。当日は家で友人とささやかなパーティーをしながら観ようと思ってます。再度。個人的な予想ですので、クレーム等は受け付けません(笑)。

 

TK

 

NFL>スーパーボウル(英語) 日本時間2/7(月)8:30キックオフ NHKBS1で8:00~生中継

NFL JAPAN.COM(NFL日本公式サイト)

 

2011年02月03日

Super Bowl(3)- PITTSBURGH STEELERS

今日はもう一つの出場チーム、ピッツバーグ・スティーラーズについて。
 公式サイト(英語) NFL JAPAN.COM>ピッツバーグ・スティーラーズ 

 

以下の数字を見る限り、「悪くもないけど、良くもない普通のオフェンス」という感じがします。しかし、エースQBのベン・ロスリスバーガーが開幕4試合、オフにあった問題で出場停止処分を受けていたことを考えると、もう少しオフェンスの数字はよくなっていたのかもしれません。

 

●オフェンス


【レギュラーシーズン】NFL32チーム中
TOTAL OFF  14位
PASS OFF 14位
RUN OFF  11位
QB RATING  5位

 

【プレイオフ】出場チーム中
TOTAL OFF  5位
PASS OFF 7位
RUN OFF  4位
QB RATING 10位

 

ベン・ロスリスバーガー。言わずと知れた、NFLを代表するQBであると同時に、プレイオフに強いQBであります。私の記憶が確かならば、彼のプレイオフ勝率は実に83%(12勝10敗)、そして2度のスーパーボウルチャンピオン。こういう試合に強いのが彼です。

 

●ディフェンス

 

【レギュラーシーズン】NFL32チーム中
TOTAL DEF  31位
PASS DEF 21位
RUN DEF  32位

 

【プレイオフ】出場チーム中
データなし

 

数字的にはひどいですね……。まったくいいところなし、という感じでしょうか。しかし、シーズン中のスコアを見ると、10週目にペイトリオッツに39点を献上して敗戦した以外は、ほぼ20点以内におさえています。数字と結果をあわせて言うならば、「攻め込まれてはいるけど、タッチダウンは許さない。もしくは、攻め込まれていてもビッグプレイ(サックやターンオーバー)で挽回できる」と言えるのではないでしょうか。

 

明日はいよいよ勝敗予想を!

 

TK

 

NFL>スーパーボウル(英語) 日本時間2/7(月)8:30キックオフ NHKBS1で8:00~生中継

NFL JAPAN.COM(NFL日本公式サイト)

 

2011年02月02日

Super Bowl(2)- GREEN BAY PACKERS

今日は出場チームのうち、グリーンベイ・パッカーズについて。
 公式サイト(英語) NFL JAPAN.COM>グリーンベイ・パッカーズ 

 

先日も申し上げた通り、プレイオフに入ってから素晴らしい活躍をみせているAARON RODGERSを中心としたオフェンスは、プレイオフに入ってから絶好調。以下にオフェンスとディフェンスの特徴&数字と(どうでもいい)小話をまとめました。

 

●オフェンス


【レギュラーシーズン】NFL32チーム中
TOTAL OFF  9位
PASS OFF 5位
RUN OFF  24位
QB RATING  3位

 

【プレイオフ】出場チーム中
TOTAL OFF  1位
PASS OFF 1位
RUN OFF  2位
QB RATING  1位

 

数字だけ見ても、プレイオフに入ってから調子を上げていることがわかりますね。

中でもおもしろいのは、ドラフト6巡で入団したルーキーRBが活躍していることです。BUFFALOというあまりメジャーではない学校から下位指名されながら、シーズン前には4年で(約)1億6千万円の契約を勝ち取り、シーズンに突入しました。……まではよかったのですが、怪我のせいか(すいません、定かではありません……)、レギュラーシーズン13週目の49ers戦まで出場記録がありません。そして、13週目と14週目を合わせて29回のキャリーでレギュラーシーズンを終えました。しかし、プレイオフに入っていきなり頭角を現し、3ゲームで70回のキャリーで263ydと驚きの活躍を見せています。

こういう、「目を見張る新戦力が出てくるチーム」は必ず結果を残しますね。逆のことも言えるでしょう。

 

●ディフェンス

【レギュラーシーズン】NFL32チーム中
TOTAL DEF  28位
PASS DEF 28位
RUN DEF 15位

 

【プレイオフ】出場チーム中
データなし

 

数字的にはランディフェンスが普通な以外はかなり低迷していますが、特筆すべきは2年目ながら13.5サック(NFL4位)を決めているCLAY MATTHEWS。プレイオフに入ってからも3.5サックを挙げて大活躍を見せています。フットボール一家のマシューズファミリー(父親&叔父も有名なNFL選手)に産まれた彼の人生は順風満帆かと思いきや……2005年に名門USCに入学した時には、奨学金をもらうことができませんでした。その後、努力と類まれなるセンスを買われて2年時から奨学金をもらい、2009年のドラフト1巡(全体26位)でパッカーズに入団。ルーキーイヤーからPRO BOWLに出場しています。
プレイオフに入ってから3ゲームで7・5サック&6インターセプションというビッグプレイを勝利につなげてきているチームだと言えるでしょう。

 

TK

 

NFL>スーパーボウル(英語) 日本時間2/7(月)8:30キックオフ NHKBS1で8:00~生中継

NFL JAPAN.COM(NFL日本公式サイト)

 

2011年02月01日

Super Bowl(1)- スーパーボウルというイベントについて

さぁ、今週末(日本時間2/7(月)朝)は待ちに待ったスーパーボウルです。

 

こちらでは、別に出場チームのファンでなくても、誰かの家やスポーツバーなどに集まって観戦するのが通例となっています。STANFORD大学の近くにあるダウンタウンのスポーツバーでも当日は入場制限がされるそうで、チケットはもう売り切れているそうです。確か、シートを確保するのに30ドル、シートを確保できなくても(テレビを立ち見ですけどね……)15ドルぐらいと聞いた覚えがあります。どちらのチームも地元ではないので、どちらかのチームのコアなファンは多く見積もっても10%に満たないことでしょう。であるにもかかわらず、300人以上は収容できそうな大箱のスポーツバーの予約が1週間前には一杯になってしまう。アメリカにおいてスーパーボウルとは、それぐらいの価値や重要性があるイベントであると言えるでしょう。

 

正確な数字はわかりませんが、1年のうちで一番(しかもダントツで)ピザのデリバリーオーダーがされる日であり、テレビの視聴率も年間ランキングのトップの一角であるだろうし。この国では間違いなく一番のスポーツイベント。嘘か本当かわかりませんが、指名手配犯に観戦チケットを送って、のこのこと現れた犯人を逮捕したなんていう話もあるぐらいです。

 

日本では週の初め・月曜朝の生中継となるため、生で見られない方も多いと思いますが、世界の頂点を決めるに相応しいこの試合は、ぜひ生中継で見るべきであります。私もサラリーマン時代は、ミーティングなどの時間を調整して必ず毎年見ていました。みんなで世界の頂点と日本の頂点(オービックシーガルズ)を見比べてみましょう。届くものなのか、近づけるものなのかは別として、選手やスタッフのクオリティ、ファンの楽しみ方など、その差を認識することが大事だと思います。

 

明日は、出場チームについて。

TK

 

NFL>スーパーボウル(英語) 日本時間2/7(月)8:30キックオフ NHKBS1で8:00~生中継

NFL JAPAN.COM(NFL日本公式サイト)

 

2011年01月31日

プロボウル

1月30日(現地時間。日本時間1/31)にハワイにて「PRO BOWL」が開催されます。言わずと知れた、NFLのオールスターゲームです。出場選手は、選手からの投票+ファン投票で決まります。人気がある選手だけが選ばれるのではなく、(対戦相手が認めた)実力のある選手が選ばれることになります。昨年一度はマイアミに開催地が変わりましたが、選手たちの要望や地元からの強い要請+金銭面の努力もあって、今年からハワイでの開催に戻りました。

 

私も2005年の開催時に現地を訪れて観戦をしました。空港からプロボウル一色で、地元の人たちの力の入れ具合を感じ取ったことを覚えています。試合はハワイ大学のホームフィールドであるアロハスタジアムで行われますが、選手やスタッフはホノルルから車で1時間ぐらい西に行った「KO OLINA」というリゾートに宿泊していました(今はわかりませんが)。当時は、すべてのイベントがその周辺で行われていて、私も毎日ホノルルから通っていました。

 

チームをまとめるコーチ陣やスタッフ等は、プレイオフに入ってから敗退したチームのうちの一つが務めることになっていて、その年はATLANTA FALCONSのコーチがNFCのコーチングスタッフでした。オービックシーガルズに2年間在籍したROBERT PRINCE氏がチームにいたこともあり、たいていの場所に入れるパスをゲットした私は、(有名な選手だらけの)施設内を走り回っていました(笑)。


期間内の数あるイベントの中で最も印象的だったのは、(今はあるかわかりません。こういう名前かもわかりませんが……)「COMPETITION」でした。試合の数日前にも関わらず、QBのスローイング(肩の強さ・コントロールの良さ)を競うイベントや、WRのキャッチング能力を競うイベント、中でも一番盛り上がったのは、「NFL FASTEST MAN CONTEST」でした。陸上の100m競争のように、40yd走で誰が一番速いかを競います。
数回の予選を経て決勝へ。決勝では4人がチャンピオンを競います。ちょうどその年はFALCONSの選手が
優勝したのもあって、一緒にいたコーチングスタッフと盛り上がったのを覚えています。

 

この時期にハワイへ行ってプロボウルを観戦されるフットボール関係者の方が多いと思いますが、まだ行かれてない方はぜひ行ってみてください。絶対におすすめです。確かこの時期は「ホエール・ウォッチング」ができると思いますし、ノース・ショアの大きな波も魅力的です。海外へ行くのが不安な方でもNFL JAPANが毎年ツアーをやってますし、そこには普通では経験できないようなオプション(選手やチア等の交流等)もあったりしますので、そちらをご利用されるのもまたお勧めです。

 

来週(日本時間2/7(月))はスーパーボウルですね。次回は予想めいたものを!

TK

 

 

NFL>プロボウル(英語) 

NFL>スーパーボウル(英語) [2/6(日) 日本時間2/7(月)8:30キックオフ]

NFL JAPAN.COM(NFL日本公式サイト)

 

2011年01月24日

NFL Conference Championship

パッカーズの勝利(【ベアーズvs.パッカーズ】)を見届けた後、ジェッツとスティーラーズの試合を見ながらブログを書いております。


パッカーズは先週QBのアーロン・ロジャース選手が神がかり的なプレイを連発して勝利。この試合もその勢いのまま前半を14-0で折り返し、そのまま逃げ切りました。ロジャース選手は、先週の勢いまでとは言わないまでも、要所でピンポイントにいいパスを決めていましたね。

 

ところで、パッカーズが1Qの最初のシリーズにとったタッチダウンですが、どこかで見覚えがあります。あのプレイ、私たちも使ってます。あのプレイというよりも、あのスキームと言うべきものなのかもしれません。以下、その時の状況を箇条書きにしてみました。

・敵陣ゴール前での2nd downで残り1yd
・DLの大きな選手が(オフェンス)ハドルの中に入り、ランが予想されるフォーメーションから
・ブロッカーが多いサイドのパワープレイ
・QBはRBにボールを渡すフェイクをしてブーツレッグ、逆サイドのエンドゾーンへ駆け込みタッチダウン

100%の確証は持てませんが、おそらくこのプレイは味方もだまされています。我々のコールのシステムと同じであるなら(私はそう確信しています)、QBはディフェンスが(オフェンスがコールした)プレイサイドにオーバーシフトしてきた時には、ボールを抜いていいことになっています。つまり、RBにボールを渡すと見せかけて(手薄になっている逆サイドに)自分で走ってもいいよ、というコールです。QBとRBには、練習やミーティングの際にビデオ等で「こういうルックになったらフェイクにしよう」ということは伝えておきます。つまり、QBとRBの選手以外の9人はプレイが終わった後、「なんで、ボールがあっちに行ってるんだ??」ということになるわけです。あんまり気分のいいものではないですが、タッチダウンならいいか……という感じなのではないでしょうか??

 

現在、【スティーラーズvs.ジェッツ】は、前半を終えて24対3でスティラーズが圧倒的に有利な展開です。ホームフィールドアドバンテージも考えると、このままスティラーズの勝利となるのではないでしょうか。


次回は試合中とかでなく(すいません)、事前にゲーム展開も含めたスーパーボウルチャンピオンの予想をさせていただきたいと思います。パッカーズ対スティーラーズの対決となることを勝手に予想したまま……ではまた。

 

TK

 

スーパーボウル[2/6(日) 日本時間2/7(月)8:30キックオフ]

   →公式サイト(英語) NFL JAPAN.COM(NFL日本公式サイト)

 

2011年01月20日

オレンジボウル

去る1月3日にフロリダ州マイアミで行われた「オレンジボウル」に出場してきました。

 

「ボウルゲーム」はレギュラーシーズン終了後のプレイオフのようなもので、レギュラーシーズンの結果や最終ランキングによって、招待されるボウルゲームが変わってきます。詳細はこちらを。私たちが招待された「オレンジボウル」は、かつて4大ボウルと言われたボウルゲームのうちの一つであり、BCS (Bowl Championship Series) ランキングを最終的に決めるボウルゲームのうちの一つでもあります。

 

昨年、私たちは「SUN BOWL」というボウルゲームに招待されました。テキサス南部、メキシコ国境に隣接するエルパソという場所でのゲームでした。詳細はこちらを。すべてが初めての経験だった私には、ホテルでの生活やパーティー、地元の受け入れ態勢等が素晴らしく心地よかったことを覚えています。しかし、昨年は20位そこそこで招待されたボウルゲーム、今年は全米4位しかも名誉も伝統もあるオレンジボウルへの招待。どんな遠征、そして試合になるのか楽しみでした。

 

試合8日前の12月27日、いつもより大型のチャーター機で現地へ出発。6時間弱のフライトでマイアミへ着くと、タラップからバスにかけて、お揃いのオレンジのジャケットを着た受け入れ側の組織の人たちがトンネルを作って私たちを待ち受けていました。その数およそ80人。彼らは記念バッチ、スナック、パンフレットやオレンジ等のプレゼントが満載された袋を持って待ち構えていました。それを一人に二つも三つも渡しながら満面の笑みとともに「Welcome to Miami!!」。その表情や受け入れ態勢を見て、彼らもこの日を楽しみに待っていたことが感じ取れました。


空港ではそんな出迎えに驚かされ、バスに驚かされ(全体にOrange BowlとStanfordの写真)、警備体制にも驚かされ(白バイ18台、パトカー5台)、そして、着いたホテルにも驚かされました。ホテルはFontainbleau Miami Beach。 まさに「海辺に浮かぶ」ような巨大なリゾートでした。しかも、私の収入ではどう逆立ちしても泊まれないような高級ホテル。洗練されたレストランやバー、全米でも5本の指に入ると言われるクラブがホテル内に二つもあり、連夜、長蛇の列をなしていました。言うなれば、よく日本でニュースにもなっているようなアメリカのセレブたちがこぞって訪れる場所なのでしょう。私も数々のセレブを目撃しました。今まで、ハワイが地上で最高の楽園だと思っていた私は、それ以上の場所があることを身を持って体験しました(個人の物差しですので悪しからず……)。お金に余裕があって、ハワイに飽きた人はぜひ行ってみてください。心からお奨めします!

 

滞在中は、(試合が夜の8時半からだったこともあり)朝はゆっくり起床し昼までミーティング、午後から練習して夜はパーティ。そんな基本スケジュールで動いていました。前述したような、ともすると勘違いをしてしまいそうな場所でしたので、選手たちには31日(カウント・ダウンのために門限は0時半)以外は厳しい門限とベッドチェック(帰ってきているかのチェック)が課せられました。それが功を奏したのか、試合まで危なげなくいつも通りの調整をすることができました。

 

そうそう、肝心の試合の相手は、ACCのチャンピオンチームVIRGINIA TECH(バージニア工科大)です。NFLのスターQB、マイケル・ヴィック選手の出身校としても有名ですね。レギュラーシーズン終了後の全米ランキングは13位ながら、マイケル・ヴィックに勝るとも劣らないアスリートQBと全米ナンバー1のターンオーバー&インターセプト数を誇るディフェンスが売りのチームです。


試合内容は、前半オフェンスがうまく進まずに、SAFETYを取られる等、我慢の展開になりましたが、後半にANDREW LUCKのパス攻撃が炸裂、ディフェンスもQBをうまく囲んでスクランブルを許さず、(後半は)両方ともゲームプラン通りの展開となりました。終わってみれば、オフェンスはANDREW LUCKが4TDパス、ディフェンスはそのアスリートQBを8SACKと、スコアだけ見れば「横綱相撲」と言えるような試合になりました(40-12で勝利)。MVPはもちろんANDREW LUCK。試合の後はもちろん門限なしのパーティーナイトでした。

 

翌日、2機のチャーター機(遅れて来ていた学校関係者等も含んで)で6時間強をかけて、SAN JOSE空港→バスでキャンパスへ。キャンパスでは千人近くのファンが出迎え、バスを降りても動けないほどの騒ぎになっていました。


1月11日に発表された最終全米ランキングでは、全米4位という学校始まって以来の好成績でシーズンを終了することができました。VISAのトラブルから始まり、いろいろとあったシーズンでしたが、「終わり良ければ……」で、個人的にもチームとしても、来シーズン以降につながればいいと思う今日この頃です。……と締めたいところですが、シーズン終了の数日後、ヘッドコーチが49ersへ行くことが正式に決まりました。そのまた数日後、オフェンスコーディネーターであったDAVID SHAWがヘッドコーチに就任することに。今、組閣の真っ最中であります。DAVIDとは今までもいい関係で仕事をしてきたので、STANFORDに残って一緒に仕事ができるよう祈るばかりです。

 

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▲この大型機でマイアミへ!

 

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▲空港に着いて飛行機のタラップを降りてびっくり! バスには、Stanford football & Orange Bowlの写真が

 

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▲素晴らしいホテルに宿泊させてもらいました。周りの環境、ホテル内の施設、部屋、接客、どれをとっても一流でした。やはりBCSのボウルゲームは違います

 

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▲ホテルのバーとクラブの様子です。大晦日は、2つのクラブ&バー&プールでカウントダウンパーティー。どれも入場料だけで6万円以上!! なのに、長蛇の列でした。各会場で、有名なDJや歌手がメインゲストだったそうです。名前は忘れましたが、同僚やコーチの娘たちは飛び上がって喜んでいました


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▲左がエースQBであり、間違いなくドラフト全体一巡で指名されるであろうAndrew Luck。この写真を撮った後、

リダ(真ん中の女性) 「Andrew、もう一枚撮らせて!」   Andrew 「もちろん!何枚でも(笑)」
リダ 「TK、ちょっとどいててくれる!」  TK(写真右)「・・・・」

 

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▲3日目はホテルのプライベートビーチでチーム関係者全員でのパーティー。ジェットスキーやパラセーリング等、マリンスポーツし放題!! 

 

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▲パーティーの途中、こんな飛行機まで(見えるかなぁー・・・)

 

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▲ゲーム直前は、いたるところでいろんなパーティーが開かれていたようです

 

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▲試合前のスタジアム外

 

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▲選手入場

 

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▲国歌斉唱

 

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▲試合中

 

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▲ハーフタイムショーには有名な歌手。(すいません、知りません) 

 

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▲試合後にインタビューを受けるコーチ・ホルツとそれを囲む選手たち

 

ではまた。
TK

 

2011年01月12日

NFLプレイオフ

皆さん、明けましておめでとうございます。そして「日本一」おめでとうございます。今年も、このブログとオービックシーガルズと私をよろしくお願いします。

 

今、NFLのプレイオフ・WILD CARD(COLTS vs JETS)を見ながら執筆中です。両方に知り合い(友達)がいるので、どっちを応援していいか迷うところでありますが、自分の将来のためにはCOLTSを応援するのが賢明かと思って、そうしています。(編集部注:1月9日、17-16でJETSの勝利)

 

つい数時間前のこと、SEATTLE SEAHAWKSが歴史的な勝利を飾りました。簡単に言うと「大番狂わせ」という言葉になるのでしょう。それぞれのレギュラーシーズンの成績は、

SAINTS 11勝5敗(※2010 SUPER BOWL CHAMPION)
SEAHAWKS 7勝9敗

ですが、なぜかSEAHAWKSのホームでの試合になりました。これはSEAHAWKSが7勝9敗ながらDIVISION優勝を果たしたことによる結果です。勝敗数を数えるとおかしいかもしれませんが、現行のNFLのシステムではそうなってしまいます。勝敗数やここ数年の成績を見ても、SAINTS優勢は動かざるものでしたが、それを跳ね除け、SEAHAWKS が勝利を収めました。

 

その勝利には、「12番目の選手」の大活躍があったことは言うまでもありません。SEAHAWKSのホームQUWEST FIELDはアメリカで(世界で?)最もアウェーチームがプレイしづらいスタジアムと言われています。そうです、クラウドノイズが凄いんです。聞けば、オーナーがスタジアムを建設する際にそのようにオーダーしたんだとか……。試合内容はともかく、点の取り合いの最中に垣間見える「ホームフィールド・アドバンテージ」は、ここアメリカでいろんなゲームを観戦している私でもびっくりするほどでした。実際にSAINTSのオフェンスがそれが元で罰退したシーンも数回ありました。中継を見ていると、スタジアム内の至る所に「12」という番号がディスプレイされていました。これは、オービックシーガルズも昨シーズン中に多く使っていた「ファン=12番目の選手」という意味です。スタンドで応援しているファンの中にも「12」のジャージを着ていた人が多かったように見えました。

 

私の記憶が確かならば……SEAHAWKSは数年前からこのフレーズを強調し始めましたが、これに異を唱えたチームがありました。TEXAS A&Mという大学です。この学校はもう随分前からこの「12番目の選手」という表現を使用しており、SEAHAWKSがそれを使用することは、その権利(なんの権利か忘れました)の侵害にあたると訴えたのです。法廷での係争になったのか?どんな結果だったのか?はわかりませんが、オービックシーガルズも12番目の選手、つまりファンの皆さんにそれぐらいのプライドを持てるような、そして皆さんにもそれを持ってもらえるようなチームなれたらうれしいですね。

 

今年は、ただ愛されるチームではなく、その愛を持って一緒に戦えるような素晴らしいチームを目指しましょう(誰とも話し合ってない、勝手に決めた目標です。悪しからず・・・)。今年が、オービックシーガルズにとって、ファンの皆様にとって、良い年になりますように。

 

TK

 

2010年12月27日

おもしろい映像

おもしろい映像(YouTube)が隣のコーチ(元OL)から回ってきました。2番目はオフェンスラインの夢の一つであります(笑)。

 

OL's discpline  OL's dream

2010年12月24日

Unfinished Business

オービックシーガルズに関わるすべての皆様、「日本一、おめでとうございます」


本当にうれしい、自分が選手やコーチをやっていた時よりもうれしい瞬間だったかもしれません。こちらでは真夜中の試合だったため、朝一に自分のデスクで大きく深呼吸をしてから、オービックシーガルズのホームページへジャンプ、結果を見て、机をたたいて喜びました。あまりにそのリアクションが大きかったので、周りの人が「大丈夫か?」とか「戦争でも始まったか?」と聞いてきました(笑)。それほどうれしかったんです!!

 

私事で恐縮ですが……ここ数年、VISAの手続等で自分の歴史を振り返ったり、書類におこしたりする機会が多くあります。その中で主な入賞歴を書く際に、
【選手として】
・社会人選手権 (JAPAN X BOWL) 優勝3回
・日本選手権 (RICE BOWL) 優勝2回
【コーチとして】
・社会人選手権 (JAPAN X BOWL) 優勝1回
・日本選手権 (RICE BOWL) 優勝1回
と微妙な表記をすることが、面倒であるし、なんとも言えない苦い思い出を思い出す機会となっています。簡単に「選手として3回、コーチとして1回、日本一になっています」と書ければいいのですが、日本選手権を真の日本一と呼ぶならば、勝ったのは「選手として2回、コーチとして1回」となります。そうなんです……。2002年のシーズン、私たちはJAPAN X BOWLで富士通フロンティアーズに勝利して社会人日本一になったものの、日本選手権で学生日本一に大敗したのでした。私はあまり後悔をしない性分でありますが、(選手生活の中で)数少ない後悔がこの試合であります。


そして、その相手は今シーズン、オービックシーガルズが次に迎え撃つ立命館大学でした。当時、観戦に来ていた上司が敗戦の次の日にこう言いました。
「あっち(立命館)の方が元気に見えた。だってみんなソックス下げてて若い感じに見えた。
シーガルズのおっさんたちはみんなソックス上がってたし……」
ソックスの件は抜きにして……、学生の方が元気に見えたという話には少しショックを受けました。自分たちは(勝手にですが……)「大人げのない社会人チーム」を謳っていたのに、それが最後の最高の舞台で発揮できなかったなんて……。

 

「Unfinished Business」
未完の仕事。2002年のその時のことを思い出して掲題しました。そんなものが記憶にも、そして記録にも残らないように、残り少ない期間を大切に過ごしていきましょう。そして、みんなで「真の日本一」になろうではありませんか。私も(遠くからですが……)その輪に参加させてもらいます。

 

ではまた。
TK

 

2010年12月15日

NFL -信じられない話3

STEPHEN NEALという選手がいます。NEW ENGLAND PATRIOTS のオフェンスラインの先発メンバーの一角を担っています。

 

実は彼も大学時代にフットボールの経験がありません。高校でフットボールを経験した後、大学時代はレスリングをしていました。レスリングでは全米チャンピオンと全米最優秀選手を獲得。高校時代にレスリングをしていた友人に聞いてみると、全米中にその名を轟すほどの有名選手であったそうです。

 

バスケットボール選手がタイトエンドになら、NFLという世界であってもまだ説明がつくような気がします。でも、大学時代にフットボールコーチングを受けてないオフェンスラインの選手が、NFLで、しかもスーパーボウルチャンピオンにまで……。フットボールを経験したことがある、特にラインの経験がある方には、その信じられない度合いが身に染みてわかっていただけると思います。

 

可能性、そしてそれにチャレンジすること、失敗することを恐れないこと。そしてそういった(無謀ともいえる)チャレンジでも積極的に応援する環境が、信じられない奇跡を呼ぶのだと思います。私もそんなチャレンジをしている一人ですが、そんな人がいたら応援してあげたいと思っています。

 

ではまた。
TK

2010年12月14日

NFL -信じられない話2

前回の続きです。

 

ANTONIO GATES-言わずと知れたSAN DIEGO CHARGERSのALL PRO TIGHT ENDです。

 

ミシガンに生まれ、高校時代はバスケットとフットボールのスター選手でした。彼は地元のMICHIGAN STATEを進学先に選びました。もちろん、フットボールとバスケットボールの両方をプレイすることを彼は望みましたが、当時ヘッドコーチであったニック・セイバンに「フットボールに専念しろ!」と言われたため、転校を決意。その後、3つのカレッジや短大でバスケットボールをプレイした後、KENT STATEという大学に落ち着くことになります。このKENT STATEという学校はバスケットボールでは名門ですが、フットボールではいわゆるDIVISION-1(1部)のではありません。そういう事情もあったのか、両方をプレイしたいと転校したものの、バスケットに専念することになったようです。


彼の活躍で、KENT STATEは全米の大学選手権(FINAL TOURNAMENT) にも出場しました。しかしその後、彼はNBA入りを希望しましたが叶わず、NFLにチャレンジすることを決意します。エージェントを通じて、複数の球団のスカウトを前にパフォーマンスを見せ、ドラフト外で2003年にCHARGERSに入団。ルーキーイヤーから素晴らしい活躍を見せ、今日に至っています。

 

大学時代にフットボール経験のない、なんのコーチングも受けてない選手が、あのTOP OF TOPであるNFLで活躍して、リーグを代表する選手になるなんて……。これも、アメリカのスポーツ対する考え方、取り組み方が生んだ奇跡なのかもしれません。

 

TK

 

2010年12月13日

NFL-信じられない話1

アメリカのカレッジフットボールの世界に身を置く私にとって、NFLは「雲の上」であり、「夢のまた夢」なのであります。NFLでプレイしたいとかいうことではなく、「こんないい選手でもロースターに入れないのか?」「こんないい選手でもドラフトされないのか?」という観点での話です。

 

以前にもお話ししましたが、アメリカでは子どものときから複数のスポーツをプレイすることが一般的です。NBAのスターであるLEBRON JAMESも高校ではフットボールもしていて、それはそれは有名な選手だったそうです。


現在、STEELERSの控えQBであり、OREGON大学時代はスタープレイヤーであったDENNIS DICKSONは、3年生のシーズンが終わった後、メジャーリーグのアトランタブレーブスからドラフト指名を受けました。高校時代に野球とフットボールの両方で有名だった彼が進学したOREGON大学には(当時は)野球部がありませんでした。指名を機に、彼はフットボールのオフシーズン中はマイナーリーグで野球をすることを決意します。ルーキーリーグで活躍した後、2007年のフットボールシーズンに戻ってくると、フットボールでも大活躍。NFLドラフトでSTEELERSから5巡目で指名を受け、現在も貴重な控えQBとして活躍しています。

 

彼が両方のスポーツで活躍できている大きな要因は2つあると思います。
1. 彼の能力
2. それぞれのスポーツをプレイする、そしてスキルを伸ばすチャンスがあった

残念ながら今の日本には2.がないように見受けられます。トップレベルの選手が他のスポーツもやっているという話は聞いたことがありません。日本では、子どものときになんらかの要因でその競技を選んだがために、他の競技に対する適性を試すチャンスを失っているケースが多いと言えるでしょう。例として適当かは疑問ですが、日本のプロ野球ではなかなか1軍にあがれないような選手の中にも、中学や高校時代にサッカーやラグビー、アメリカンフットボールと出合い、それぞれを大学生まで続けることができたなら、いずれかの競技で日本代表になるぐらいの選手がいるかもしれません。

 

私たちはアメリカンフットボールという(他の競技に比べると)リベラルなスポーツに携わっています。お子さんをお持ちで何かスポーツをやらせたいと思っている場合は、一つに絞らず自由に選択させてあげてください。野球とフラッグフットボール!! 筆者の経験上、これがベストマッチです。ただし、根拠はありません。私が経験してきた、そして大好きなスポーツだからです(笑)。

 

近い将来、NHK高校野球中継のスターティングメンバー発表の際に、「走攻守、三拍子そろった外野手。オフシーズンはアメリカンフットボールの選手としても活躍中です」みたいなアナウンスが聞けたら、うれしいですねー。

 

TK

 

2010年12月12日

The 12th Man

今、諸般の事情により日本に滞在中です。もちろん、オービックシーガルズの先週末の鹿島戦にも参戦しました。試合内容はともかく、「勝利」という一番の目的を果たすことができたのは、素晴らしいことです。あのような競り合いをものにできたことは、今後の日本一へのプロセスにおいて、大きなプラスになることでしょう。

 

さて、掲題の「The 12th Man」ですが、アメリカではよく使われる表現であります。 フットボールでは11人の選手がフィールドでプレイするので、「12番目の選手=ファン」という表現を使い、「一緒に戦おう!」という気持ちを表現したものです。バスケットでは「The 6th Man」と言われています。

 

これは私見ですが、鹿島戦で最も活躍した選手は、KJでもなくシミケンでもなく菅原でもなく、名前のない、名前を特定することのできない、「The 12th Man」でした。この選手、これまでもずっと頑張り続けてくれていたのですが、今年の活躍とその成長ぶりは目を見張るものがあります。具体的には、相手のオフェンスが3rd downや4th downになった時のノイズの大きさが今までとは比べものにならないぐらい大きく、また「団結」を感じるものとなっていたのです。観客数やスタジアムの大きさ等の違いはありますが、私がアメリカで日々感じているものに近い「魂」を感じるノイズでした。

 

さぁ、次は東京ドームですね。この東京ドームという会場では、「フィールドへの距離(が遠い)」という、The 12th Manが活躍するのを妨害する負の要因が存在します。今までと同じでは11番目までの選手に声が届きません。どうしましょう?

 

立ち上がろう!

 

その時が来たら立ち上がって、大きな声を届けましょう。アメリカでは、2nd DOWNの攻撃が終わるや否や、観客は立ち上がってノイズを作り出します。(日本ではそういう文化が浸透していないので)座って見ている方への配慮は必要ですが、できる限り立ち上がって、選手に声を届けましょう。そして、その声には「The 12th Manとして一緒に戦っている気持ちやプライド」を乗せてください。チームメイトは必ずそれに応えてくれるでしょう。

 

X- LEAGUEの運営をされている役員の方々、今年は「ALL X- LEAGUE」に12番目の新しいポジションを加えてみてはどうでしょう? 誰が見ても明らかですね、その栄冠に輝くのは、オービックシーガルズ所属の「The 12th Man」であることは。 もう一点付け加えると、そのThe 12th Manを育て、コーディネイトした(The 12th Manのコーチというべき)チアやスタッフたちには、COACH OF THE YEARの称号を与えてあげたいですね。

 

ではまた。
TK

 

2010年12月11日

NFLの危機

NFLもカレッジフットボールも日本のX-LEAGUEもシーズン終盤または大詰めに入ってきました。この時期になると、コーチやスタッフ、選手も含めた「来年度に向けての動き」が活発化してきます。特にNFLは毎年の一大イベントである「ドラフト会議」への動きが活発化してきます。

 

その中で、気になるニュースが……。NFLチームの(ドラフト中心とした)来年に向けての動きが鈍化しているそうです。簡単に言うと、「来年はNFLの開催が危ぶまれている」ようです。私の同僚でNFLでのコーチ経験がある人が、「今までもそういう危機はあったけど、今回は本当にやばい」と言っていました。


その要因は「労使交渉」にあるようです。選手会 vs オーナー+NFL(リーグ)という構図のようですが、年俸の高騰を阻止しようとするオーナー側とより良い条件求める選手会の対立が年々激化してその交渉がまとまらず、来年は選手側のストライキが起きてもおかしくないぐらいのレベルにあるようです。


詳細はもう少し勉強してリポートしますが、開催が危ぶまれているのは紛れもない事実だそうです。来年、NFLの試合観戦を予定していたり、チアでのチャレンジをしようとしている方がいらっしゃったら、頭に入れておいたほうがよさそうです。

 

また情報をアップデイトします。

TK

2010年12月10日

ORANGE BOWL

前回、STANFORD大学の試合結果をレポートしてから約1ヵ月経過しました。ARIZONA大戦の後も順調に勝利を重ね、終わってみれば11勝1敗という素晴らしい成績でレギュラーシーズンを終えることができました。STANFORD史上初の好成績ですし、BCSランキング(最終の順位を決めるランキング)も4位と誰もが予想し得なかった結果となりました(→ランキング)。 

そして、その好成績のご褒美ともいえるBOWL GAMEの招待では、大方の予想を覆し、年明け1月3日に行われる「ORAGE BOWL」への招待が決定しました。地図上では対角線のフロリダ州マイアミでの開催なので、観客動員という点では微妙ですが、楽しんできたいと思っています。詳細はまたレポートさせていただきます。

 

TK

2010年12月01日

NFL 夢のある話

MINNESOTA VIKINGSのヘッドコーチ・チルドレス氏が成績不振を理由にクビになってしまいました。私の目の前に座っているコーチが昨年までVIKINGSのアシスタントをしていたので、氏の話はよく聞いていました。
「彼は本当にいいコーチだけど、少し変わっているんだよ。だから球団内でもよく思ってない人が多かったりする。つまり結果がでているうちはいいけど、成績が悪くなり始めたら危ないと思う」
数日前に、その言葉が現実になってしまったわけです。

 

余談はさておき、そのVIKINGSにGREG CAMARILLOという選手がいます。彼はSTANFORD大学から車で5分の高校を卒業して、STANFORDに入学してきました。父親はSTANFORD大学で教授をしています。高校での成績がトップクラスだった彼は、地元であり父親の職場でもあるSTANFORD大学を進学先に選びました。そしてフットボール部の門を叩きました。……「門を叩いた」と表現したのには理由があります。そう、彼は奨学金のオファーを受けて入部してきた多くの選手とは違い、自ら入部してきた「WALK ON」の選手だったのです。WALK ONで入部してきた選手がレギュラーとして試合に出られる確率はかなり低い。ましてや、その選手がNFL入りして活躍する確率なんて、天文学的数字と言えるでしょう。


彼と一緒にプレイしていた私の同僚に尋ねたところ、
「He was a walk on punter with good hands and speed.」
という答えがかえってきました。要は大した選手ではなかったようです。大学の3年生からやっとレシーバーとして出場できるようになりました。卒業後、NFLへの夢を捨てきれず、NFLのスカウト達が他の選手を目当てに来たトライアウトに参加し、スピードとクイックネスがあることだけは認められました。その後、運よくSAN DIEGO CHARGERSのスプリングキャンプに参加することになり、そこでレシーバーコーチをしていたJAMES LOFTON(元NFLの名WR。STANFORD卒)の目に留まりました。JAMES LOFTON自身も、大学3年生ぐらいまではただ足の速いだけのレシーバーだったそうで、実際、陸上の幅跳びで全米チャンピオンになったそうです。そしてGREGは4年生の時にBILL WALSHに出会ってレシーバーとしての才能を開花させ、ドラフト1位でNFLへ。JAMES LOFTONは、(特に期待もされず)春のキャンプに来たGREGを見て、

「大学時代の自分を見るようだった」

と言ったそうです。同じ大学出身というのもあったのでしょうか、GREGを熱心に指導したそうです。するとメキメキと腕を上げ、PRACTICE SQUAD(練習のようなもの)としてチームに生き残りました。その後、契約や解雇を繰り返して2007年にMIAMI DOLPHINSと正式契約にこぎつけました。そして、彼のキャリア初のNFLの試合、しかもオーバータイム(延長戦)に64ydのタッチダウンパスをキャッチして衝撃的なデビューを果たしたのです。その後2年間DOLPHINSで不動のエースとして活躍し、2008年11月23日には3年6億円で契約を延長。が……その3日後、試合で前十字靭帯を断絶、2009年のシーズンを棒に振りました。そして、今シーズン序盤にVIKINGSへトレードされたわけですが、それなりの年俸をキープしつつ、それなりの活躍をしています。

 

さて、WALK ONプレイヤーがNFLプレイヤーとして活躍するというこのサクセストーリーには、それを裏付ける面白い話があります。なんとこのGREG CAMARILLO選手は大学時代に一度もTDを記録していません。NFLにいるほとんどの選手が大学時代から大活躍しているスター選手です。当然、彼らは記憶ばかりでなく多くの記録も残しています。そんな中で、彼が2007年にDOLPHINSでのデビュー戦で記録したタッチダウンは、高校以来のタッチダウンだったことになります。


こんな話を聞くと、「夢をあきらめること」はばかばかしくなりますね。

 

ではまた。
TK

 

2010年11月12日

ARIZONA戦

シーズンも深まってくると、すべての試合が「大一番」になってきます。オービックシーガルズも、負けたら終わりの試合が始まりましたね。我がSTANFORDにも先週そのような試合がありました。


全米ランキングが13位の私たちが、全米ランキング15位のARIZONA大学と戦いました。「勝ったチームがROSE BOWLへの近道を手に入れる」と言われていた試合。現在、同じカンファレンスのOREGON大学が全米ランキングの1位であるため、このままいけば彼らは全米チャンピオンを決めるBOWL GAMEへ出場することになり、その(PAC-10チャンピオンとしてのBOWL GAME出場権利)空席を1敗同士の両校が争う形になりました。

 

ARIZONA大のエースQBは、これもNFL注目のNICK FOLES。大きなオフェンスラインに守られテンポの良いパスを決めてきます。この日も彼のパスが炸裂するかと思いきや、前半の勝負どころでレシーバーがポロリ……。こちらはと言えば、エースQBのANDREW LUCKのパスと5人のRBにボールをキャリーさせたランニングゲームが炸裂。終わってみれば42対17での大勝となりました。


次の日発表されたランキング(何種類かあります)では、軒並み10位以内へランクアップ。最終的な全米ランキングを決するBCSランキングは6位にまでアップしました。この先3試合のすべてに勝利して、少しでもランキングを上げて、ROSE BOWLもしくはそれ以上のBOWL GAMEに出場したいものです。


この試合で、ESPNがキャンパスツアーをしていました。アメリカでも有数の敷地と景観を誇るといわれているキャンパスです。


ではまた。
TK

 

2010年11月06日

WASHINGTON 戦

41対0で勝利しました。

 

NFL注目のQB、JAKE LOCKERを擁して強豪USCを破ったWASHINGTON大学ですが、ここ数試合良かったり悪かったりが続いています。たまたま彼の悪い時にあたったのかもしれませんが、DEFが完封、オフェンスもゲームプラン通りの、まさに快勝でした。


この試合、NFL注目のQB二人の対決とあって、雨にも関わらずほとんどのNFLチームのスカウトが試合会場に現れました。なかにはGMが乗り込んできたチームもあったようです。結局その対決は我がSTANFORDのANDREW LUCKに軍配があがりました。彼は2年生ながらチームのリーダーであります。そのリーダーが試合開始5プレイ目にオプションから51yd独走タッチダウンでチームに勢いをつけてくれました。昔から「人は背中で動かすものだ」とよく言われますが、彼はその言葉がぴったりはまる人物です。彼については、またゆっくりレポートします。

 

さて、次の試合は、全米10位の我々と13位のARIZONAとの対戦です。ABCでの全米中継も決まりましたし、全米注目の試合となることでしょう。自分たちのゲームをして、いい報告ができるように、がんばります。


では。

TK

 

2010年11月05日

TRAGEDY

そのままの言葉を表題にしています。「悲劇」「惨事」と訳しますが、そんなアクシデントが起きてしまいました。 私が昨年のNOTRE DAME JAPAN BOWLでお世話になり、そしてSTANFORDのライバルでもあるNOTRE DAME大学で事故は起こってしまいました。

 

10月27日の水曜日、NOTRE DAMEのフットボール部の学生アシスタントが練習中に死亡しました。練習のビデオを撮るために登っていたいたタワーが強風に煽られ倒壊。彼は約20メートルの高さからタワーとともに地面に叩きつけられたようです。NOTRE DAME大学は学生のボランティアアシスタントたちがチームをサポートしていることで有名です、私も昨年のイベントで彼らにはお世話になりました。彼と面識はないですが、昨年の経験から、彼がどのような姿勢で(一生懸命)働いていたかは容易に想像できます。彼の働きも現場も想像できるだけに、私にとっても辛い事件です。NOTRE DAMEは先週の試合で彼のイニシャルの入ったヘルメットを着用し、すべてのイベント事を中止して試合に臨みました。


この事故で、メデイアは30mを超える風速の中、(インドアのフィールドがあるにも関わらず)屋外での練習を決行したヘッドコーチの判断を責め立てています。「勝つためにより良い練習内容や環境を選択する」というヘッドコーチの判断には賛同できるので、その善し悪しについては判断をしかねます。でも、ここで一つ言えることは、私たちのような競技をするチームには必ず「縁の下の力持ち」がいるということです。フットボールでいうとマネージャーやトレーナー、試合の運営を手伝ってくれるスタッフやチア、それを観に来てくれるファン等、数えきれない裏方の力があるということです。競技者に「それを一時も忘れるな!」とは言いませんが、事あるごとにそれを思い出してほしいと思います。


最後に、彼の冥福を祈るとともに、このブログを読んでくれているすべての競技アスリートが、それを再認識してくれることを強く願います。

 

TK

 

2010年11月04日

WASHINGTON STATE戦

バイ・ウィーク(シーズン中、唯一試合のない週末)の後は、ここまで1勝6敗と負けが込んでいるWASHINGTON STATEとの試合でした。

 

WASHINGTON STATEは3年前にNFLにドラフトされた素晴らしいQBとWRを失ってから負けが先行しています。昨年は先発と2番目のQBを失うなど不運も続いていますが、リクルーティングでも成果が出ていません。我がヘッドコーチのJIM HARBAUGHがシーズン前のプレスカンファレンスで「今シーズンのPAC-10は激戦だ。10チーム中9チームにチャンピオンのチャンスがある」と言って物議を醸しましたが、メディアもその内容を否定するものではなく、「JIM HARBAUGHは相変わらずおもしろい」というような論調がほとんどでした。個々の選手のレベルというよりは、コーチ陣を含めたチーム全体の歯車がうまく噛み合っていない感じがみてとれます。

 

試合は終始リードする楽な試合かと思いきや、4Qにディフェンスが3つのTDパスを許し、勝ったものの、後味の悪い試合結果となってしまいました(38-28)。

 

観客数も4万人弱と、5万2000人を動員したUSC戦と比べると減少しました。こちらのファンは良くも悪くも正直です。いいカードであれば人が集まりますし、そうでないと減ります。特に私たちのようにコアなファンが少ない(NOTRE DAMEやOHIO STATE等のようには、何があっても満員とはならない)チームは、

自分たちの成績や対戦カードの良し悪し=観客数=収入

という図式が成り立ってしまいます。具体的な数字は割愛させていただきますが、我がSTANORDも1勝11敗だった2006年シーズンと7勝1敗中である今年とでは、収入が(桁が変わるぐらい)大きく異なります。今年はこのままいけば、収入記録が塗り替えられそうな勢いだそうです。


ただ、すべてのチームが目指すところは単年や数年単位の数字を得ることではなく、前述したように

いつも満員

になるような、コアなファンが多い愛されるチームになることであると思います。余談ですが、USCの体育競技全体の収入は80億円、OHIO STATEの収入は100億円を超えるそうです。ご察しの通り、そのほとんどがFOOTBALLです。

愛されるチーム=ファンが増える=収入が増える

オービックシーガルズもこんな素晴らしいサイクルを生んでいきたいものですね。


ではまた。
TK

 

2010年10月21日

もう出てしまいました。

開幕から7週目が終了したカレッジフットボールですが、今年も成績不振によりヘッドコーチがクビになってしまう学校が出てきてしまいました。BIG-10の名門校(どこも名門ですが……)、UNIVERSITY OF MINNESOTAです。記事はこちら


開幕戦に勝利したあと、6連敗。強いリーグそして強い相手との試合が続く中での結果ですので「しょうがない」という声もありますが、カレッジスポーツであるとともにビジネスであるが故に結果が要求されるこの世界。結果が出ていなければ言い訳のしようがありません。

 

ミネソタ大学は昨シーズンに新しいスタジアムをオープン(約3年の月日と約250億円の総工費)させたばかりですし、そういう意味でも目に見える結果が求められていたのかもしれません。

 

NFLでもCOW BOYSのヘッドコーチ交代の噂が出てきたり、49ersではオフェンス・コーディネーターがクビになったりしてますね。こういう話を聞くたびに、こちらでのスポーツが「ビジネスであること」、「目に見える結果が求められること」を痛感します。


さぁ、オービックシーガルズはいよいよ大一番ですね。

 

言葉を選びませんが……、どんなに恥ずかしくたって、笑われるような作戦だって、卑怯な手段だって、試合が終わった時に1点でも相手より上回っていればいいんです。選手もファンも、関係者全員一丸となって、勝利をもぎ取りましょう!! 

 

良い報告待ってます。

 

TK

 

2010年10月14日

USC戦

「(OREGONの)敗戦から学ぶ」と申し上げましたが、学べていなかったみたいです。またしても、オフェンスが3つのファンブル、しかも最後のファンブルは、6点リードの4Q残り約5分。そうです、いちばんボールを渡してはいけないところでのファンブルでした。

 

そのままタッチダウンを取られ、残り1分を残して1点差の2ミニッツオフェンス。その前にQBアンドリューがオフェンス全員に声をかけました。「ENJOY OUR BALL!!」、自分たちのフットボールを楽しもうと。その(2年生にして全米NO.1と言われる)アンドリューの指揮するオフェンスはあっという間に敵陣の12ydまですすみ、4秒を残してタイムアウト。すべてをキッカーの30ydフィールドゴールに託しました。


成功!! 劇的な「さよならフィールドゴール」での勝利。勝ったことは本当に良かったですが、反省点も多数ある試合になりました。次週は「バイ・ウイーク」といって、レギュラーシーズン中、唯一試合がない週末です。数日のオフを有意義に過ごして、次の試合に備えます。

 

オービックシーガルズは、次が大一番ですね。自分たちのフットボールを、きわどい場面で楽しめるように、がんばっていきましょう。

 


写真をいくつか。

 

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▲同僚のAARONが見せてくれた、SUPER BOWL RING。ダイヤが光りすぎて写りません(左)。撮影モードを変えて(右)!

 

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▲この季節(シーズン中)になると、NFLのスカウトが頻繁に練習を見に来ます。ほとんどのスカウトたちはこんなスケジュールです。
【午前7:00】 オフィスに到着。練習やビデオのビデオを見まくる。たいていのスカウトはお土産を持ってきます。だいたいがドーナツかベーグルです(写真)。
【午後】コーチ陣にヒアリング。練習を見学。シーズン中のため、パート別の練習までしか見られません。

 

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▲USC戦の翌日は早朝から自分の仕事を片付け、OAKLANDへRAIDERSの試合を観戦に行きました。同僚のモーガンの叔父さんが、対戦相手のSAN DIEGO CHARGERSのヘッドコーチ(お父さんはCOLTSのQBコーチ)なので、幸運にもVIP席……というよりVIP“ルーム”で観戦できました。

NFLの試合は何度か観ていますが、RAIDERSはなんだか違います。「熱狂的な」ファンはどこにでもいると思いますが、RAIDERSのファンは見た目も実際も恐いんです。気のせいか、喧嘩やヤジも他のスタジアムより目立ちますし、それに比例して警官の数も多かったような気がします。とにかくファンは終始総立ちでした。食べ物も飲み物も無料。しかもきれいなブロンドガールが運んできてくれます。ただし、周りのどこを見てCHARGERSを応援している席や部屋はなかったので、少し身の危険を感じながらの観戦となりました。アウェイチームのファンはわざわざ危険を冒してまで、OAKLANDには応援に来ないそうです。

 

TK

 

2010年10月13日

敗戦

OREGON大学戦、52対31で大敗いたしました。espn記事 チーム公式サイト記事

 

1Qは、敵のミスに乗じて21対3、前半を31対24で折り返しました。しかし、後半ファンブル等のミスを連発。終わってみれば、大敗になってしまいました。4つのターンオーバー+敵陣ゴール前でのファンブル……それで勝てるチームは、ないに等しいでしょう。

 

それにしてもOREGON大学の応援は凄かったです。全米中継であること、オレゴンが全米のトップランキング
であることも手伝ってか、2年前に経験したそれとは全く別物でした。観客数は7万人強でしたが、USCやUCLAの10万人近い応援をはるかに上回るクラウドノイズでした。

 

試合後、ある選手が、「負けを経験せずにチャンピオンになれるチームは少ない。大切なのはこの敗戦から何を学んで、それをどう生かすかだ!」と言ってました。次もまた強豪のUSCです。敗戦から学んだことをいかせるよう、がんばっていきます。


ではまた。

TK

 

2010年10月04日

いざ、OREGON!!

オレゴン州のEUGENEというところに来ています。

 

明日、同じカンファレンスで全勝同士、OREGON大学との試合です。OREGON大学が全米ランキング4位、我々STANFORDが全米9位。今週一番の注目カードらしく、テレビでもウェブでも、連日このゲームや両校のことが報道されています。

 

試合内容や戦力分析の他に、巷では「OREGONがどんなユニフォームを着るか?」が話題になっています。
ESPNでは、 The Ducks will choose from their 5,675,418 options. と書かれています。何をどのように組み合わせるのか定かではないですが(恐らくスパイクやソックスの色等の組み合わせも加算されているはず)、500万通りを超えるバリエーションの中から選べると書かれています。それが話題になっているのは、STANFORDがアウェイで着るユニフォームは白一色で統一されていることが広く知られているからです。「白とカラフルの戦いはどちらが勝つのか?」という見出しもありました。

 

さて、試合ですが、相手が強ければ強いほど、「自分たちのやってきたことができるかどうか?」が大事になってきます。ユニフォームの色や、メディアやファンがどう感じているのか、ではなく、自分たちが何をしたいか、そして何ができるのかが勝敗の鍵を握ります。全米のトップレベル同士の試合。自分たちがやってきたことができたチームが勝つことになるでしょう。


「JUST DO WHAT WE DO!!」-できたかどうか、また報告しますね。オービックシーガルズのみんなも「DO YOU GUYS DO!!」でがんばってください。

 

TK

 

2010年09月28日

NOTRE DAMEとの試合

勝ちました

 

ディフェンスが控えメンバーが出場するまでは、フィールドゴール2つに抑える堅守で、数字よりも圧勝という感じでした。オフェンスが攻め切れないものの、キッカーが5本中5本のフィールドゴールを成功(スクールレコード)させ、着実にポイントを重ねました。チームにとっても私にとっても特別な勝利となりました。
 
この勝利で全米ランキングも9位(AP)と上昇、次は全米5位のオレゴン大学とのアウェイゲームです。オレゴンは素晴らしいアスリートの集団で、ここまでの4試合もすべて大勝をおさめています。全勝同士、しかも同じカンファレンス内での戦いですので、もちろん全米生中継。当日はESPNカレッジフットボールの名物イベントがスタジアムで行われる予定です。
 
個人的には、強いチームと戦うのが楽しみでしかたありません。チーム全体もそのような雰囲気ですし、それを感じるたびに、チーとしての成長を感じています。
 
日本は、暑くなったり寒くなったり、たいへんみたいですね。皆様、ご自愛くださいませ。

 

TK

 

2010年09月27日

ジェレマイア

今年の春にOREGON大学の紹介をしたときに少し触れましたが、昨年のPAC-10チャンピオンであるOREGON大学のエースQBの名前を掲題しました。春はそのジェレマイア・マソリ選手が窃盗で逮捕されて、チームから1年間の出場停止を言い渡されたことを紹介しましたが、その彼が6月初旬にまたも逮捕をされました。容疑はマリファナの吸引と交通違反だったようです。それが発覚してすぐに彼はチームからキックアウト(追い出される、クビになること)されました。本当に素晴らしいアスリートでありQBなんですが、更生には至らなかったようです。

 

そんな彼が、シーズン開幕に向けてまたひと騒動を起こしました。理由の詳細はよくわかりませんが、オレゴンをキックアウトされたジェレマイアがなぜかミシシッピ大学(通称Ole Miss)に転向して、スターティングQBになろうとしているではありませんか……!? アメリカの大学スポーツを統括するNCAAは一度は否定をしましたが、ミシシッピ大学側のアピールによって、一転それを許可しました。アピールの詳細は割愛しますが、こちらでは「うまくルールの隙間をついた」というような言い方をされています。

 

Ole Missと言えば、映画「BLIND SIDE」でも有名になった名門校です。イーライ・マニングやデュース・マカリスター選手等もこの学校のOBです。しかし、ここ最近は不振が続いています。その起死回生を狙ったのか?とか、そこまでして勝ちたいか?とか、メディアでは叩かれていますが、こちらではよくあることのようです。カレッジフットボールにおいて、勝つこと(いい成績をおさめること)は直接大学の収入につながってきます。だからこそ、優秀なコーチの獲得や選手の獲得(高校生のリクルーティング)にお金をかけるのです。今のところ、彼の加入による劇的な効果は現れていないようですが、このようなケースはこれからも目にするのだろうと思っています。

 

「勝つためなら、なんでもありなのか?」 

私の中で、その疑問に対する答えが、(日本でコーチをしていた時と比較して)少し変わってきたような気がする今日この頃です。

 

TK

 

2010年09月25日

NOTRE DAME大学

遠征でNOTRE DAME大学に来ています。

 

我々STANFORD大学は西海岸にありますので、インディアナ州にあるNOTRE DAMEとは3時間の時差があります。そのため、普通の遠征の際には(現地に)金曜日入るのを、体を(時間に)慣らすために木曜日から入ります。金曜日は敵地のスタジアムで軽くウォークスルーのみで、試合に備えます。

 

ご存知の方も多いと思いますが、フットボール発祥の地であるアメリカにおいても、ここNOTRE DAMEは特別な存在です。強くても弱くても、常に注目を浴びていますし、ファンの数も高校生のリクルーティングにおいても、常に全米のトップクラスです。特に地域との結びつきが非常に高いカレッジフットボールにおいて、全米各地にファンがいることで有名です。

 

聞くところによると、飛行機を利用してフットボールの試合に訪れるファンが最も多い学校だそうです。最も多いというよりは、そんな学校はNOTRE DAME以外に存在しないんだと思います。その証拠に、私たちの宿泊しているホテルのパンフレットが今ここにありますが、なんと……
 FOOTBALL WEEKEND SPECIAL!!
 1泊450ドル~,AT LEAST 2 NIGHTS
要は、2泊以上しか受け付けません=料金は9万円~です。ここは少しいいホテルですが、この周辺のホテルはすべて同じような料金だそうです。信じられませんね。

 

その他、NOTRE DAMEファンのお金持ちは、学校の周りにフットボールシーズンのためだけに家を持っていたりするそうです。そして、シーズン中は週末だけ、ここサウスベンドを訪れて観戦を楽しむそうです。実際に、私の同僚の家族の友達でそのような人がいたので、昨日その家にお邪魔してきました。家の中すべてがファイティング・アイリッシュ(NOTRE DAME大学のニックネーム)一色で、ある意味クレイジーな感じでした。

 

さて、そんなクレイジーなファンを持つ、私たちにとっても特別なNOTRE DAME大学との試合でありますが、やることは特に変わりません。
「DO WHAT WE DO!!」
自分たちが練習してきたことをやるだけです。とはいえ、81,000人のアウェイゲームですので、それに対する対策は必要ですが……良い報告ができるように、がんばります。

 

TK

 

2010年09月17日

寄付

アメリカという国は、
国土が日本の25倍
人口が日本の2.4倍
GDPが日本の約3倍

 

数字は数字でしかありませんが、実感値としてひと言。

 

ご存知の方もいるかと思いますが、アメリカには信じられないような金持ちが大勢います。シリコンバレーの中心という土地柄もあるかもしれませんが、(日本では)到底信じられないようなストーリーを多く耳にします。

 

彼らのお金の使い道のひとつが「寄付」です。(日本に比べて寄付をすると優遇される)税制の違いと言ってしまえばそれまでですが、彼らは学校や福祉をはじめとした公共性の高いもの、そして自分の出身校等の自分や家族と関係が深いところに莫大な寄付をします。日本でももう一般的になった「ネーミング・ライツ」のように、寄付によってスタジアムやビル等にその人の名前がついたりします。

 

STANFORD大学は世界で一番寄付金が多い学校だそうです。グーグルやヒューレット・パッカード、ヤフー等、STANFORD大学の学生が起業した会社も多いですし、政治家や投資家、スポーツ選手に至るまで、多種多様なお金持ちのOBから桁違いの寄付が寄せられているそうです。

 

それを物語るストーリーがあります。以前、日本の(誰もが知るような)大企業が、STANFORDに数億円を寄付したそうです。日本の企業側は、STANFORDからどれだけのお偉いさんが出てきて、どのような接待を受けられるのかを(口には出さないまでも)期待していたそうです。しかし、会合に出てきたのは、数十もあるうちの一つの学部長で、軽く「ありがとう、これからもよろしく」ぐらいのことを言われてごく簡単に終わってしまったそうです。その態度と話の内容から、「それぐらいの寄付は、いつも、しかも個人レベルからもらっているから」という言葉がにじみ出ていたそうです。

 

最近、(私が)驚いた寄付の話があります。皆さん、フィル・ナイト氏をご存知でしょうか。言わずと知れたNIKEの創業者であります。STANFORD大学卒でNIKE社を設立し、巨万の富を得た彼が、2年前にSTANFORD大学の ビジネススクール拡大とそのビル新築のために150億円を寄付しました。現在、建設工事が進んでいますが、広大な土地に華やかなビルができあがりつつあります。

 

その他にも、キャンパス内はスポンサー(お金を出した人や企業)の名前がついた建物ばかりです。日本も、スポーツや教育に関しての寄付を(アメリカと同じぐらい)優遇する税制ができあがったらいいですね。

 

ではまた。
TK

 

2010年09月16日

二足の草鞋(わらじ)

さて、この前、バイキングスと契約したとお話ししたTOBY GERHARTですが、野球で活躍していたことでも有名です。

 

こちらの大学野球は春先から夏にかけて行われますが、彼はフットボールの最終年を迎える前の記者会見で、「メジャーリーグから高い順位で指名されたら、そちらを選びたい」 という意味の言葉を発して私たちをひやっとさせました。結局、メジャーリーグのドラフト前に、フットボールを選ぶと発表したため指名はされませんでしたが、野球の名門STANFORDで常にクリーンアップを打つようなすばらしい選手でした。

 

アメリカでは子供の時からシーズンによって(自分の好きな)スポーツをプレイします。もちろん、途中でやめてしまったり、スポーツが得意でないためにすべてのスポーツを諦めてしまうケースもあるでしょうが、いろいろなスポーツを経験しながら、それぞれのスポーツの動きを他のスポーツに生かしながら、アスリートとして成長していくわけです。


大学でいくつものスポーツをやっている選手はよほどのアスリートですが、こちらでは(レベルを問わなければ)珍しいことではありません。たとえば、昨年リターナーでALL AMERICANのセカンドチームに選ばれた、我がSTANFORDのWR、クリス・オウス選手は、高校時代に100mを10秒35で走ったそうです。ある日、学校の廊下を歩いていたら、陸上部のコーチに「大会に出てくれないか」と言われたの がきっかけだと聞きましたが、わずか10日足らずの練習でこの記録だったそうです。クリス曰く「誰にも邪魔されないでまっすぐ走るなんて、こんなに簡単なことはない!」。


まぁ、おっしゃるとおりなんですけど。日本でも、そんなシステムができるといいですね。オリンピックのメダルも増えるのではないでしょうか。

 

TK

 

2010年09月15日

開幕&UCLA戦

2010シーズンが開幕しました。

 

初戦はSACRAMENT STATEという、DIVISION-1 AA、日本で言うなら2部のチームと対戦。大勝で終わりましたが、いろいろと課題の残る試合でもありました。

 

続いては、名門UCLAのホーム「ROSE BOWL STADIUM」に乗り込んでの大一番。10万人のブーイングやクラウドノイズとも戦わなければなりません。日本では考えられないことですが、試合中に隣の人の会話ができないぐらいの時があります。そのために、ホームのスタジアムで大音量の音楽を鳴らしっぱなしで練習しました。


結果は、35対0で勝利。アウェイでのUCLAへの勝利は、15年ぶり。アウェイでの完封ゲームは実に30年ぶりだぞうです。 ゲーム内容と言えば、ディフェンスが要所を締めて、オフェンスがTDは取れなくてもフィールドゴールで加点するという展開でした。ハイズマン候補のANDREWは、パス成功率は低かったものの、要所で素晴らしいパスとスクランブルを決めて、勝利に貢献しました。

 

クラウドノイズとの戦いについては、人数はそうでもありませんでした。UCLAはSTANFORDと同じ学期制を取っているので、学生が夏休みから戻ってきていないんです。私が今まで体験してきたUCLAは10月以降だったため、学生と地元のファンが相まって満員のブーイングを浴びていたのですが、今回は少し軽めでした。とはいえ、5万人を超す歓声は、十二分に邪魔になりました(笑)。我々が所属するPAC-10のチャンピオンは2011年1月1日にROSE BOWLに出場することになるので、「ここに戻ってくるぞ!」という、いい動機づけの試合となりました。


ところで、UCLAは(高校生の)リクルーティングでは常に全米のトップクラスをキープしています。成績不振なのに、どうして高校生が全米から集まってくるかのか?想像の域を出ませんし、いくつも要因があるのでしょうが、一番大きいのは環境であると思います。リクルートする際、(当然と言えば当然ですが)必ず両親や家族を伴って訪問してくる高校生に キャンパスやスタジアムを案内します。そこで高校生やその家族の心をがっちり掴んでいるのでしょう。キャンパスはビバリーヒルズに程ほど近いWEST WOODというきれいな街の一画を占めています治安の安定しないLOS ANGELSの中では比較的治安もよく、ヤシの木やゴルフ場等、緑の多い素晴らしい環境にあります。その上、キャンパスから少し離れた「ROSE BOWL STADIUM」に連れて行かれて、見たこともないような10万人収容の大きなスタジアムと、芝生の多いこの国の中にあっても見たことのないようなきれいに手入れされた芝生を見せられるわけです。生徒はもちろん、両親や家族にとっても、環境のよさは学校を選ぶ大きな要因になります。特にこの国において男子が物事を決める際には、「ママ」の意思がそれを大きく左右します。 私もリクルーティングの手伝いをする中で、何度も「ママと相談する」とか「ママが決めたから」 という話を聞いたことがあります。したがって、こちら側も、母親をいかに大事に扱うかを考えます。たとえば、キャンパスツアーやキャンパス内のショッピングセンターへの案内、ディナー等も、基本的には母親にいかに好印象を与えるかが大事なんです。


今回のUCLA戦は7時半キックオフでした。遅いですよね。理由はもちろんテレビ中継です。1試合のテレビ中継で私たちが得られる収入は、日本のそれとは比べ物にならない金額です。その辺の詳細はまた説明します。試合が終わって飛行機で地元に帰ってくるのが朝の3時半、試合のレビューのミーティングが8時から、その前にやらなきゃいけないことに約2時間半。……寝るのを諦めて、このブログを書いています。


オービックシーガルズも調子がいいようですね。こちらもまた、いいご報告ができるように、がんばります。

 

では。
TK

 

2010年09月14日

TOBY GERHART

更新が滞っておりました。申し訳ございません。 VISAのことでいろいろと苦労をしておりまして、8月のキャンプスタートにも間に合わず、酷暑の日本で精神的にしんどい日々を送っておりました。「仕事はあって、必要とされているのに、働くことを許されない」。こんなことがあっていいのでしょうか?あるんです、しょうがないんです。世の中には、どうにかなることと、どうにもならないことがあることを思い知らされました。特に今まで、「なんとかなってきた」ことが多かった私には、想像を絶するつらい日々でした。

 

かたちはどうあれ、幸運にも開幕に間にあうようにこちらに戻ってくることができました。仕事もこちらでのブログも遅れを取り戻すべく、直向に精進してまいります。

 

◇ ◇ ◇

 

さて、昨年、我がSTANFORD大学躍進のキーマンとなったTOBY GERHART選手。13試合で実に1800yd・27TDという驚異的な記録を残して、MINNESOTA VIKINGSに2位でドラフトされました。春のキャンプから評価が高かったTOBYが、先日バイキングスと4年契約を正式に結びました

 

1年あたり1億円弱の契約になります(わかりやすいように100円=$1と計算しています)。最近、NFLなどで多い契約の用語に「guaranteed money」というのがあります。これは、契約後の成績に関わらず、ギャランティーされる、保証される金額のこと。「signing bonus」とも言いますが、つまり、サインしただけでもらえるお金という意味です。極端な話、契約書にサインした次の日に選手生命が断たれるようなアクシデントがあったとしても、そのお金を受け取ることができます。TOBYの場合は、$1.939 million in guaranteed moneyとありますので、約2億円近いお金が保証されていることになります。

 

皆さんもご存じのメジャーリーグ。ここでは年俸3億円で契約すれば、次の日に解雇されても怪我をしても、2軍に落とされても、3億円がもらえます(例外を除いて)。しかし、NFLの契約は違います。様々なオプションの契約や、怪我をした際の条項等、年々複雑になっているそうです。背景には、労使交渉や、(野球に比べて)怪我のリスクが高いということがあるようです。そんな事情もあって、サイニング・ボーナスと呼ばれるお金ができたのでしょうね。

 

それにしても、契約の金額が桁外れです……。

 

ではまた。

TK

2010年08月09日

BIG TIME GUYS

日本語訳をつけるなら、「大物たち」とでも言うのでしょうか?? 私はSTANFORDにいることで、多くの「大物たち」と出会います。特にコーチングスタッフの中にはNFLの経験者が多く、私もどこかでその名を聞いたことがある往年の名選手と今、一緒に働いていたりします。今日はそのうちの3人を紹介しましょう。

 

AARON MOOREHEAD
彼はイリノイ大学を卒業後、COLTSで5年間WRとして活躍していました。在籍中にSUPER BOWLチャンピオンにもなっています。ということは、スーパーボウル・リングも持っています。見せてもらいましたし、はめてみました。重く、見たことないぐらいの光を放っていました。彼のお父さんもNFLの選手だったそうで、世界で一組だけ、親子でスーパーボウルチャンピオンになっている親子だそうです。画質がよくないですが、彼のスーパーキャッチ(YouTube)です。

 

CHESTER McGLOCKTON
彼はクレムソン大学を卒業後、ドラフト一巡で指名されてNFL入りしました。その後、12年間DLとして活躍。なんとオール・プロに3回選出、プロボウルに4回出場しているBIG TIME GUYです。ある日の私との会話(トレーニングルームにて)
TK 「チェスター、大学の時はどれぐらいトレーニングしてた?」
C 「ほとんどしてなかったよ。だって、強かったもん。コーチに文句言われても

  同じように答えてた」(笑)
TK 「あっっ、っそう」(笑)
C 「本気でやったの、NFL行ってからだなぁ」
BIG TIME GUYは、普通の人の物さしでは計れないですね……。

 

STEVE WISNIEWSKI
彼もまたNFLで活躍していました。PENN STATE時代にALL-AMERICANに2回選出。その後ドラフト2位でレイダース入り、13年間の現役生活で、なっなんと! 8回のプロボウル出場です。物腰が柔らかく、指導も本当に丁寧ないいお父さんという感じですが、あるサイトでは、20世紀を代表する「ダーティー・プレーヤー」である、と紹介されています。チェスターに聞いてみたところ、ダーティーなプレーをすることで有名だったそうです。


とまぁ、「一流に育てたければ、一流の中で育てろ!」という、ヘッドコーチの方針をそのまま表したスタッフなのであります。私も彼らの経験値から生まれる、一流の指導を盗むべく精進してまいります。

 

最後にひと言お断りを! 

I am not a''Name Dropper''.

 

TK

 

Guest from Stanford

7月15日から1週間ほど、Stanford大学からゲストコーチを招きました。主にオービックシーガルズコーチ陣とのコミュニケーションでしたが、それはそれは有意義な時間となりました。

 

アメリカのカレッジフットボールのコーチにとって、この時期は長いオフ(約1ヵ月)。シーズン前の大切な、本来は家族とゆっくり過ごすバケーション中に太平洋を横断して日本に来ていただくことは、そんなに簡単なことではありません。今回は家族同伴という条件の下、この企画が実現しました。

 

期間中、コーチはオービックシーガルズのコーチ陣とミーティング、その間家族は観光をして、夜に合流するというのが主なスケジュールでした。その中で、特に印象的だったのは、MIT(マサチューセッツ工科大学)の機械工学卒であり、その博士号を持つコーチの奥さんが私に浴びせ倒してくる「日本に対する素朴な疑問」でした。以下、皆さんも「外国の人から見たら、日本人はこう見えるんだ」という観点で読んでください。

 

◎日本はどうして新車ばっかり走っているのか? トヨタとかニッサンがあるからか?
そういえば、アメリカではもっと多くの「汚い車」が走っています。オンボロに見えたり、凄い煙を噴出しながら走っている車も多い。これは車検制度(アメリカには日本のような厳格な制度がありません)の問題と国民性の問題であると説明しておきました。国民性の違いとは……アメリカ人は周りの目をあまり気にしない ⇔ 日本人は気にする、というように説明しておきました(※あくまで主観です。ご容赦ください)。彼女には、その(見た目を気にして、かつ整備された)車がすべて新車に見えたようです。

 

KidZania(キッザニア)は素晴らしい!! どうしてアメリカにないのか?
彼女は子供が職業体験をできる、この場所に感動していました。実際、二人の子供は一度行った楽しさが忘れられず、滞在中に2回も行きました。なんにでも興味を持つ彼女は、キッザニアの起源について知りたがっていました。オービックシーガルズの並河GM曰く、この職業体験アトラクション(勝手に命名)は、メキシコが起源のようです。しかし、メキシコでは、遊びの一環としてではなく、リアルな職業訓練の色が濃いようです。子供が早く働き始めなければならないという現実の中、そのような施設が作られたようです。

 

◎Tシャツや街中の看板等、変な英語がいっぱい使われている!
そう言われてみれば……ですが、本当に意味のない、またはは理解しがたい英単語がいろいろな所で見受けられます。特に彼女はTシャツなど着ているものに目をつけたようで、いちいち私に報告してきました。
It doesn't make any sense!! (意味がわからない!意味がない!)
ショッピングモールを歩いていると、彼女がある若い女性を指差して「T.K. あの娘に声かけてデートに誘っておいで!」と言ってきました。オフィス街にほど近いモールだったので、会社のランチタイムではないかと思われました。普通の女性らしい服装でしたが、背中に一文「I am boring.」 私は退屈(ひま)です……。その他、理解しがたい(文として成立しない)英単語の乱用を、彼女は不思議に、時におもしろく思ったようです。感覚的には、私たちが海外で見る変な漢字のTシャツと同じようなことなんでしょう。皆さん、海外へ行く時は気をつけましょう。

 

◎日本のアバクロ(アバクロンビー&フィッチ)はおかしい!
これは私も日本人として恥ずかしかったです。銀座店に行ったことがある方はご存知かもしれませんが、「見せ筋」を身にまとった若いお兄さんが上半身裸で店内にいたり、女性の店員が音楽に合わせて(クラブのように)踊っていたり、店内が必要以上に暗かったり。アメリカのそれと同じ点は、商品でもある香水が店内に振りまかれているぐらいだったような気がします。島国に住む私たちが大陸の文化を間違った形で取り入れてしまった典型と言えるでしょう。


その他、ここでは紹介しきれない、数々の的を得た(しかもど真ん中)質問がありました。彼女を案内しながら、日本のことをわかってもらうべき私たちが、逆にいろいろなことに気づかされた1週間でありました。

 

TK

 

クリニック@韓国

先月のこと。パールボウル決勝後の週末に、新生コーチを中心とするグループ(オービックシーガルズの選手&コーチ)で韓国へ行ってきました。ソウル・バイキングスという社会人チームからの招待を受けて、フットボールクリニックをするのが目的でした。

 

対象は、防具をつけ始めて数週間という学生から社会人の若手までと幅広く、ソウル大学のフィールド・ターフの上で、賑やかなイベント開催となりました。

 

私が担当したオフェンスラインというポジションでは、主催者からの要望は、
・2日間のクリニックで基本的なゾーンスキームの習得
・それを使用したインサイド(ランプレーのみ)のスクリメージ
というものでした。

入部したての選手はともかく、大学の上級生や社会人の選手を起用すれば、2日目の最後にはインサイドのスクリメージぐらいはできるだろうと思っていましたが、彼らとの時間を重ねていくにつれて、そのゴールが遠ざかっていきました……。
 
「韓国にゾーンブロックをやっているチームはありません」 
ちなみにゾーンブロックのことを「ジョン・ブロォークゥ」と発音するので、最初は、コーチか誰かの名前なのかと思ってしまいました。
 
「今日、初めてヘルメットをかぶったので、頭が痛いです……」
そして、……メガネ in ヘルメット

 

うーん、2日間のプログラムで……ゴールが達成できるのか??  とはいえ、考えている時間などありません。まずは、ランもパスも基本から、ということで、基本的なドリルを炎天下、繰り返しました。彼らは乾いたスポンジのように、いろいろなことを信じられないようなスピードで吸収していきます。運動能力の高いスポンジ(選手)は、いったん吸い込んだ水分を簡単には吐き出しませんし、まるで吸い込んだ水を自浄作用で濾過したいとばかりに質問を浴びせてきます。その貪欲さには驚かされました。

 

指導をしている中での雑感を箇条書きにしてみました。
・彼らには(日本人とは異種の)根性がある
・取り組む姿勢が素晴らしい
・儒教思想が根底にあるからなのか、日本から来たコーチを敬ってくれる
・防具やジャージ等のフットボール用品は、日本から15年前程遅れている模様。

 フットボールの専門店は韓国国内にないそうです
・メガネ in ヘルメットはやめよう
・韓国にも日本のアニメが大好きなオタク的な人たちが存在する。日本語で話しかけてくる選手に
 「なんでそんなに日本語できるの?」と尋ねたら、「ボクハ、ニホンノアニメダイスキデス!」と
 にこやかに答えてくれました。


いろいろありましたが、最後のプログラムは、ランプレーのスクリメージです。40人弱いたオフェンスラインの中から10人(相手選手とのコンタクトが可能な選手)を選び抜き、デフェンスライン&ラインバッカーとユニットとしての勝負です。プレーコールはインサイド・ゾーンとアウトサイド・ゾーンのみと単純ですが、私の教えるゾーンブロッキングはセットしてからのコミュニケーションが多いため、簡単ではありません。しかし、彼らはハングル語と英語を駆使してコミュニケーションを取り続け、私としては満足のいくユニット練習ができました。練習最後の質問タイムも積極的かつ的を得た質問が多く、主観ではありますが、有意義なクリニックとなりました。

 

ゲストを迎え入れるホスピタリティと、「何かを学び取ろうとする姿勢」に感銘を受けた有意義な2日間でした。今後も機会があれば、日本だけとは言わず、アジア全体のフットボールの発展のお手伝いができればと思っております。

 

TK

 

2010年07月07日

PEARL BOWL

OBIC SEAGULLSファンの皆様、パールボウルの応援ありがとうございました。
結果はご存知の通りですが、「敗戦から学ぶ事多し」と信じて、精進していきます。

 

試合(特に敗戦)の後にいつも思うのですが、
誰も負けようと思っていないのに、勝負には敗者が存在してしまう……
どうしようもないことですが、どうせやる勝負なら絶対に勝ちたいですよね。

 

Winning isn't everything, it's the only thing.
かつてUCLAフットボール部のヘッドコーチであったHenry Russell Sandersさんが放った名言です。
(※世間的にはVince Lombardiの名言になっていますが、彼はそれを広めた人のようです。)
訳すと「勝負に勝つことだけがすべてではない、でも勝つことだけのためにやってるんだ!」とでも
なるのでしょう。

 

今回の試合、細かいシーンは割愛しますが、オフェンスの力不足で勝利を逃したことは否めません。
名将・野村克也監督の言葉を借りれば、「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし」です。
オフェンスが力を発揮できなかった、この負けについて深く掘り下げて、それを解決したうえで
来たるシーズンに備えるべく、コーチたちは動き出しております。

 

遠い昔になりますが、当時の主将であった池之上貴裕さんが、
選手はもちろん、スタッフ、チア、家族やファンも含めて、勝ちたいと思う気持ちの絶対数が
強いチームが勝つんや!
」と言っていたのを覚えています。

 

おっしゃるとおりだと思います。オービックシーガルズに限らず、他のチームの選手も勝ちたいと
思っているはずです。残念ながらそれを測れるメジャーは存在しませんが、そのような思いは、
人間の本能に訴えかけてくるものですし、試合を見ていればわかるものだと思います。

 

秋に向けて、オービックシーガルズファンをはじめとする、(直接関わっている)選手やスタッフ
以外の人たちに「勝ちたい!」と思ってもらえるような、「勝ちたい!」をフィールドで表現できる
チームになるべく、オフシーズンを過ごしてほしいものです。

 

ではまた。
TK

2010年06月28日

USC

皆さんもご存知の、University of Southern California(南カリフォルニア大学)の

略称です。

ロス・アンジェルスの中心部にある、プライベートスクール(私立の学校)です。

実は、私も数年前までパブリックスクール(公立の学校)だと思い込んでいましたが、

由緒正しき私立の名門校です。学力的には、全米でもトップランク、州内では

ライバルであるUCLAと並ぶ難関校と言えるでしょう。
 
フットボールでも(言わずと知れた)名門校です。PAC-10カンファレンスでは、

2008年まで8年連続優勝。全米ランキングでは常に上位にその名があるようなチームです。

USCのフットボールは、同じカンファレンスの私たちから見ても、驚くことが多いです。

少し並べてみましょう。
・ホームスタジアム(LA コロシアム)の収容人数は、98,000人。
・ホームゲームチケットは、発売後数時間ですべて完売。
・ここ数年、毎年10人弱がドラフトで指名されている(ドラフト外での入団は別)。
・2008年シーズン終了後にドラフトされた3人のラインバッカーは、みんなNFLで

 スターターもしくはスタータークラスで試合出場。
・昨年までヘッドコーチだったピート・キャロル氏は、昨年カンファレンス内5位だった

 にも関わらず、NFLシアトルシーホークスへ引き抜かれた。
  ※アメリカでは好成績でなかったコーチがキャリアアップする(引き抜きにあう)のは稀。
・そのピート・キャロル氏のUSC時代の年俸は4億7千万円。
と、まぁ……すべてがケタ外れ。それがUSCフットボールなのです。


2週間ほど前、全米のフットボール界を震撼させるニュースが舞い込んできました。
USCがNCAA(全米体育協会)のルールに違反したとして、NCAAからペナルティーを
科せられたとのこと。フットボール部というよりは、すべてのスポーツを取り仕切っている

USCのAtheletic Dept.への処分でした。

 

メディアには理由として、レジー・ブッシュが2005年にハイズマン賞を受賞した際に受けた

接待や家族に対するサービス等が取り上げられています。その他にも、現在NBAで

プレイするUSC出身の選手に関するルール違反や、その他のスポーツでも軽微な違反が

あったようです。
フットボール部には、
・今年度と来年度ののBOWL GAME出場資格の取り消し。
・スカラシップ(奨学金)数の削減(3年間で30人分)。
  ※ 通常80人まで認められています。
その他のスポーツへのペナルティーは不明ですが、年間あたり10人の(いわば)特待生が

入学してこなくなることは、カレッジのフットボールチームにとって相当な痛手です。

USCはここ数年、リクルーティングランキング(数社のメディアが発表する、どれだけ良い

新入生が入学するかのランキング)では常に3位以内をキープする学校であり、

そのプレイヤーたちが数年後に高い確率でNFL入りしていくような学校でもあります。

言葉を換えれば、「NFL入りを目指すトップアスリートがもっとも入学したい学校のうちのひとつ」

とも言えるでしょう。


過去、このようなペナルティーを受けた学校は、数年後から数年間低迷してしまうケースが

多いのですが、私見ですが……USCには「どうしてこいつが控えなのかがわからない」

選手も多いため、
奨学金の枠が減る=選手層が薄くなる=災い転じて……

というような構図が見えそうな気もします。

 

普通に考えると、毎年試合をする相手が弱体化していくのは好ましいように思えますが、

私は以下のような理由から、USCにがんばってほしいと思っています。
・強いUSCに勝ちたい。
・昔から見ているUSCが弱いのを見るのはつらい。
・明日は我が身である。
  ※ NCAAルールにはグレイゾーンが多いため、知らずに違反をしていたり、学校側が

    規制するには限界があるケースが多々あり。今回のは 「たまたま刺された」とは

    言えないケースですが、他のチームや一個人が行っていることで明るみに出ていない

    だけのケースも多いように思われるからです。

 

USCには、今週末、NCAAに対する弁明のチャンスが与えられているようです。
同じカンファレンス、同じ州内のライバルとして、この苦難を乗り切ってほしいものです。

 

ではまた。
TK

 

2010年06月16日

Toe Dipper

前回言い残しました、掲題の言葉です。

 

Toeはつま先、Dipはこの場合、「何かに何かをつける、浸す」ことを表現しています。
直訳すると、「つま先をつける(落とす)人」(のこと)となるのでしょう。

 

想像してみましょう。
海辺の波打ち際で、海には入りたいのに(なんらかの理由があって)入っていくことを
決心できず、つま先だけを水にちょこちょこ浸けて、結局は入っていかない様子を……。

 

その様を実際の生活の場面に置き換えて、
「何をするにも、なんらかの理由をつけて、二の足を踏んでしまう」人のことを、
Tow Dipperと呼んだりします。
主観ではありますが、この表現はアメリカ人の多くが持っている(国民性ともいえるかも
しれません)、(いい意味で)「あんまり考えずに、まずやってみる」というマインドと

相反する人のことを皮肉った言葉であるのかもしれません。

 

思えば、私も2007年に会社を退職するまでは、いろんなことに理由をつけて

次の一歩を踏み出せていませんでした。でも、そういうのを変えるのって、

ちょっとしたきっかけなんですよね。

私の場合は、アメリカであるチームのキャンプを視察した際にそれは訪れました……

が、それは割愛させていただきます。

 

私たちは海に囲まれた(世界から見れば)小さな島国に住んでいます。
それが故に、Toe Dipperと呼ばれるに値する人が多いのかもしれませんね(笑)。
でも、Toe Dipperが悪いと言っているわけではありません。人にはそれぞれの考えや
人生がありますし、物事を慎重に進めて成功している人もいるわけですから。

 

しかし、フットボールにおいては違いますね。
選手はToeをDipすることなく、決められたプレイを思いっきりやってほしいです。
逆にコーチは、時にはTow Dipper、時に大胆に、ゲームを進めていかなければなりません。

7月1日の東京ドームでは、決められたことを一心不乱にプレイし続ける、
オービックシーガルズの選手を見てみたい、いや、見れるものだと信じています。

 

ではまた。
TK

 

2010年06月07日

Name Dropper

アメリカで暮らしていると、いろいろなおもしろい英語に出合います。
それは日本の中学や高校、大学では決して習うことのない、ネイティブならではの

表現とも言えるでしょう。掲題の“Name Dropper”もそのひとつです。

 

先日、このブログにコンドリーザ・ライスさんのことを書いた後に、
それを見た(「読んだ」ではない……写真だけを見た)アメリカ人の友達から
You wanna be a name dropper?” というメッセージが届きました。
勘のいい人はもうおわかりかもしれませんが、Name Dropperとは、
 
有名な人の名前を出して、(それに便乗して)自分の存在を大きく見せようとする人
                                  
のことを言います(勝手な解釈ですのでお許しを……)。

話の中で、有名な人の名前(name)を落としていく(drop)さまを表して言うのでしょう。
日本のことわざで言うなら「人のふんどしで相撲をとる」、
故事成語で言うなら「虎の威を借る狐」、という表現があてはまるのでしょう。

前回の話から、私がそう見えてしまっていたら……悲しいですが……そうならないよう、
自分のふんどしで自信を持って相撲がとれるようにがんばっていきたいと思っております。


ちなみに、この言葉どんな意味かわかりますか?
Tow dipper
 
答えは来週!
TK

 

2010年05月24日

コンドリーザ・ライス

というフルネームよりは、「ライス国務長官」と呼んだほうが、記憶の細胞をくすぐるのでは

ないでしょうか??

 

彼女との出会いは、2008のシーズン中に彼女が我がSTNAFORDのフットボールオフィスに
現れたときでした。彼女は、ブッシュ政権での国務長官としての任務終了後、STANFORDの
キャンパスで国際政治学の教授として教鞭を執っています。元々、アメリカ政府で働く前も
同職に就いていました。見た目は、言葉を選ばず言えば……「きれい、かつグッドシェイプな
おばさん」でした。

 

そんな彼女がオフィスに現れたのは、STANFORDを進学先として選ぶかを、他の名門校と

迷っている高校生と面談するためでした。高校生とその両親は、彼女とのミーティングの後、

ほどなくしてSTANFORDを進学先として選んだのでした。

 

その後、幾度となく、彼女のリクルーティング(高校生のスカウト活動)の際のスピーチを聞く

ことになりましたが、(そんな簡単に表現したくはないですが)ひと言で言うと「聡明」というのが、

彼女に適当な日本語であると言えるでしょう。
彼女のスピーチで驚くのは、
1)同じ話を聞いたことがない。
2)すべての質問に対して、明確かつ完璧な答えがある。
3)わかりやすい。

 

彼女が高校生のフットボールプレイヤーに話すことを要約すれば、「STANFORD大学で

フットボールをしなさい」ということになるのでしょうが、彼女は直接的な表現は使いません。
たとえば、
・自分の人生を例にとっての「情熱」に関する話
・自分とフットボールの出会いについて
・自分がやっていたピアノについて
・自分が研究している国際政治学の話。
こんな話を例にとって、自分のSTANFORD FOOTBALLに対する思いと、その一員になってほしい
という彼女の意思を(間接的なのに)直接伝えていきます。高校生本人ばかりでなく、両親の心にも

訴えかけます。特に黒人選手の両親には、深く印象づいていることでしょう。

 

彼女は、アメリカでは「次期NFLコミッショナー候補」と言われているぐらいフットボールが好きです。

本人曰く、父親がフットボールコーチで、彼がフットボールを教えていたのを見ているうちに

好きになったようです。デンバーの大学を卒業後、NOTRE DAME大学で博士号、その後、

STANFORD大学で教授就任と、アカデミックにもフットボールにも長けている二つの学校と
関係が深いことも(彼女曰く、偶然)、それを示すに十分なエピソードと言えるでしょう。

 

もう一つ、おもしろいエピソードがあります。昨年の最終戦、STANFORD vs NOTRE DAME

@STANFORDで、彼女が試合開始のセレモニーに「名誉キャプテン」として参加しました。

チームのキャプテンたちと一緒にサイドラインからフィールド中央まで歩いて、コイントスに

参加をしました。(もちろん)両校と関係性が深い彼女に対しては盛大なスタンディング

オベーションが送られました。


その後、試合開始に向けてセキュリティーたちがVIPシートへの案内を始めたところ、彼女は
「私はあそこ行きます!」とメインスタンドの一番上にあるスポッターブースを指差しました。
彼女は試合終了まで、スポッター席でヘッドセットを着けて、試合を観戦……というよりも、
試合に参加していたそうです。

 

tk100524.JPG

 

彼女とは、今後もリレーションを深めていきたいと思います。そして、いつか「日本人のNFL選手

誕生」や「日本のフットボール界発展」のために、協力をしてもらえる日が来てほしいものです。


コンドリーザ・ライスとSTANFORDに関するニュース on ESPN

 

TK

 

2010年05月13日

SSP

SSP-Stanfordの私のオフィスでよく使われる言葉です。
hameless elf romotion
の頭文字を取った言葉です(Shameless=恥を知らない、慎みのない、厚かましい)。
日本語で言えば、「自画自賛」という四字熟語があてはまるのでしょう。

 

要約すると、
(そうでもないことに対して)
「自分は凄い!」「私は素晴らしいことを成し遂げた!」と、
自分を自分で賞賛し、さらにそれを人と共有しようとするさまを言うのでしょう。

 

良くも悪くも、(一般的に)アメリカ人はこのSSPが得意です。そうでない人もいますけど……。
逆に、日本人は自分をプロモーションすることが苦手だと思います。
アメリカの人たちは、間違えることや人と違うことをすることを「恥」とは思いません。
それが(たとえ間違っていても)、自分をプロモーションする能力を向上させている

のではないかと思います。
アメリカと日本の教育の違いについては、またどこかで時間を割いて(私なりの考えを)
説明させていただきます。

 

さて、前置きはこのぐらいにして。


あまり得意ではないのですが、その“SSP”をさせてください。
ここ数週間で、私のことがいくつかのメディアに露出しました。
以下、ご覧いただければと思います。
Japan Times「Football coach Kawata finds a home at Stanford」(英語)
NFL Japan コラム「名門スタンフォード大に日本人スタッフ、夢はNFL入り」
IFAF (アメリカンフットボール国際連盟) ニュース

 「TSUYOSHI KAWATA GIVES BACK TO JAPANESE FOOTBALL」(英語)


今週末はオービックシーガルズ、春の初戦ですね。
試合は、自分たちがミーティングや練習で何を培ってきたのかをプロモーションする場です。
オービックシーガルズは元来(普通の日本のチームに比べたら……)、

Self Promotionが得意なチームです。
それがShameless Self Promotion になるのか、
Solid(素晴らしい) Self Promotionになるのかは、
春の初戦、つまりスタートダッシュ次第であると私は思います。

 

皆さん、お楽しみに!

TK

 

2010年05月06日

帰国しています

先月23日より、VISA取得のため帰国しております。
滞在期間中は、主にオービックシーガルズのお手伝い、お付き合いのある大学チームの

お手伝い等、フットボールの活動を中心に生活していきます。
 
さて、本日でオービックシーガルズの練習参加3日目を終えましたが、
「みんなフットボールを楽しんでいるなぁー」と感じました。
 
私の仕事は、自分がSTANFORDやアメリカのフットボールで学んできたことをシーガルズに

還元することですが、それを伝えていく前に、みんながフットボールを楽しんでいることに

気づかされました。それって大事ですね。

プレイヤーは忙しい中、全国各地から集まって練習をしています。しかもきつーーい練習を……。

その時間を楽しめているなんて、すばらしいことだと思います。
 
でも、悲しいかな、楽しいだけでは勝てないんですね。
みんなの楽しい雰囲気や楽しむその姿勢はそのままに、それを勝てるチームに、

そして勝つ方向に方向付けていくのがコーチの重要な仕事の一つであると私は思います。
特に今年のシーガルズのように、コーチングスタッフが変わったり、過去数年勝てていないような

チームには、それが勝敗を分けるポイントの一つになるのであろうと思います。
 
選手は、楽しく、そして勝利に貪欲に!
コーチは、結果としての勝利(日本一)を!
 
そんなことを(勝手に)理想像にしてみる、春の夕べin 新習志野です。
 
ではまた。

TK

 

2010年04月23日

小島智子(NFLタンパベイ・バッカニアーズ)

tk100423.jpg 彼女と初めて会ったのは、今年1月にフロリダ州オーランドで行われた

コーチのコンベンションでした(個人的には昔からの友達のように

感じているし接していますが……)。
昨年から友人を介して電話で会話はしていましたが、(異常気象で

寒かったものの)フロリダには馴染まない柔らかくも暖かい日差しの

中から彼女は颯爽と現れました。

 

その道に精通した人や、人間としての大きさを感じた時などに人は

オーラを感じるといいいますが、私は彼女にそれを感じました。

ただ、マイケル・ジョーダン(この数日後、マイアミで遭遇)、

コーチ・ホルツに感じたオーラとは違うそれであったのを、

昨日のことのように覚えています。


私は自分の気持ちを言葉にするのが得意ではありませんが、

あえて表現するなら……なんか変な表現ですが、

NFLチアリーダーであるオーラと、(いい意味で)何も飾らない

関西のおばちゃんのオーラが混ざったようなオーラを感じました。

今までアメリカ人を含む数多くのチアリーダーに会ってきましたが、

                 彼女ほどこの言葉が似合うチアリーダーはいませんでした。

 

THE REAL

 

彼女は本当に本物です。本物中の本物です。
電話だけでなく会って話してみて、それに気付かされました。

 

さて、感動の(私だけです)対面後、急いでコーチ・ホルツの講演を聴きに行きました。
4,000人ぐらいの聴衆がいたでしょうか。後ろの方は立ち見でごった返していました。
ふと彼女を探してみると……見当たりません。
あまりにも混雑しているし、このあとコーチ・ホルツと会食もするので、

私は外へ出ていましたが、ドアを開けて中を覗いてみると……いました!
どうやって辿りついたのか、立ち見の人をかきわけて、いい場所で聞き入っていました。

物怖じしないというのかなんというのか……。

 

その後、友人二人と彼女を連れて、コーチ・ホルツに招待されたディナー会場へと
向かいました。なんとそこは、コーチ・ホルツの教え子で、活躍中のコーチたちの

同窓会のような場でした。メジャーカレッジのヘッドコーチや、5回もプロボウルに

選ばれた元NFL選手をはじめとする凄いメンバーの中に、小さな島国出身の

おっさん3人と美女一人……そんなアウェイな雰囲気の中、コーチ・ホルツが

まず私をみんなに紹介、その後コーチ・ホルツに彼女を紹介しました。

その瞬間、今まで何もなかったところに、急に何かが生まれたような雰囲気になり、、

アルプスの万年雪が溶けたかのように会話が弾みだしました。

 

その一部始終を見ていて、

この国におけるNFLチアリーダーの存在、
周囲からの尊敬の念、

女性ではなく一人の人間としての敬意

等を思い知らされました。
思い知らされたと表現したのは、アメリカで夢を追っている者としてのジェラシーからです。


コーチ・ホルツも相当彼女を気に入ったらしく、一生懸命話しかけていました。
彼女のおかげで、ノートルダムOB会(しかも選ばれた人のみ)には場違いな私たちが

大歓迎を受けることとなりました。

 

つい先程、その彼女から電話がありました。
彼女が8シーズン目となるオーディションに受かったのは周知の事実でありますが、
なんと、今シーズンのキャプテンに選ばれたそうです。
日々英語と格闘中の私にとって、本当に信じられないほど素晴らしいことです。
まだ半分ぐらい信じられていません。ので、彼女のブログを読み返して確認しています。

 

AGAIN, SHE IS THE REAL.

 

世の中、(特にそれが確認できないことが多い海外での経験等)少し関わったぐらいで

プロやその権威を語るUNREALが多い中、 彼女は本物の中の本物、THE REALです。

 

彼女と私の共通の話題を一つ。
アメリカの生活の話ですが、私たちはけっこう苦労を重ねております。
彼女がなんにも飾らない女性なのであえて書きますが、NFLのチアは華やかに見える反面、

そんなにお金をもらえるわけではありません。チームによっては出るところもあるようですが、

(住む場所にもよりますが)十分に生活をしていけるようなお金ではないと思います。
私もボランティアに毛が生えたようなものですから、二人が貧乏話を共有するときは
話が尽きません。あまり夢を壊したくないので、詳細については割愛しますが、
同じような境遇でありながら、そしてアメリカ人ばかりのチームでありながら、
キャプテンに選ばれるような彼女の活躍には頭が下がります。
そして、いい刺激になります。

 

ともちゃん、キャプテンになると重圧もあるでしょうが、
そのままの飾らないREALなともちゃんで、がんばってください。

 

NFL タンパベイ・バッカニアーズ チアリーダーズ

 

2010年04月12日

PRO DAY

3月下旬にSTANFORD大学で「PRO DAY」が開催されました。
昨年のブログにも書きましたが、NFLドラフトのステップの一つです。

 

2月下旬に行われたコンバインには(NFLから)招待を受けた選手しか参加できません。
それ以外の選手でNFL選手になりたい選手は、各球団のスカウトやフロントが訪れるこの日に
アピールするしかありません。
怪我等でコンバインに招待されながらもパフォーマンスができなかった選手、招待を受けて
パフォーマンスをしたものの、もう一度アピールしたい選手も参加が可能です。

 

昨年の躍進を受けて、今年はすべての球団から複数名の参加があったため、
選手のエージェントや報道関係者も含め150名近い大所帯での開催になりました。

 

トレーニングルームでのベンチプレス(NFLのトライアウトでは約100kgを何回上げられるかを
指標とします)から始まり、午後はフィールドで40yd走やシャトル等、コンバインと同じ種目を、
その後は各ポジションに分かれてパスキャッチやアジリティー等の基本となる動きをテストしました。

 

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▲40yd走をする選手(遠いので見にくいですが)

 

各スカウトが注目するTOBY GERHART選手は、ポジション別のドリルのみの参加でしたが、
各スカウトが鋭い眼差しでチェックしていました。知り合いのスカウトと話しましたが、
TOBYとTEのDRAY選手は評価が高いそうです。

 

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▲ポジション別ドリルをするTOBY選手


彼曰く「同じような選手がいるなら、間違いなくSTANFORDの選手を指名するよ」とのこと。
理由は、
1)NFL(今回の会話で言うとそのスカウトのチーム)の多くのチームが採用している
オフェンスシステムをSTANFORDが使っている
2)賢い
3)入団後、問題を起こす可能性が低い
とのことでした。まぁ、同じような選手がいることは少ないでしょうし、

そこを差別化するのがプロのスカウトの目なんでしょうけど。

 

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▲タイムを取るスカウト陣。真剣です

 

4月の22日からのドラフト会議が楽しみです。

TK

 

2010年03月30日

最近の写真を一挙に掲載します

友だちの紹介で知り合った方が、なんと昔フットボールをやっていたとのこと。

しかもマイアミで数店舗のお寿司屋さんを展開中だと!

1月中旬に図々しくも訪問してきました。

マイアミのダウンタウンのど真ん中の超高層マンションにお住まいでした。

マイアミ一望です! でも、少し寒かった。。。

 


 

フロリダは異常気象。寒くてビーチも閑散としていました。

 

 

しょうがないので、湿地帯をボートで探検するツアーに。

ワニがそこらじゅうに…… 

 

 

サウスビーチという有名な観光地。

なんか、日本人のいない、高級で落ち着いたワイキキビーチみたいな感じでした。

 

 

3月中旬のオフに、地元サンノゼ・シャークス(アイスホッケー)の試合を観にいきました。

アメリカでは、フットボール→バスケットor野球→ホッケーの順番で人気があると言われていますし、

そう感じています。なので……どこかでバカにしていた私……でしたが、本当におもしろかったです。

皆さんもアメリカに来たら、ぜひ行ってみてください! 行く価値ありです!

中には私のファン??もいました(笑)。

観客に対するサービスや盛り上げ方など、勉強になります。

 


 

では、また!

TK 

 

2010年03月23日

五十幡佳美

よしみ(下段左から3人目)は、STANFORDやSAN FRANCISCOから車で30分ぐらいの

OAKLANDという都市をホームにするNBAのGOLDEN STATE WARRIORSのチアリーダーです。 
NFLではRAIDERS、MLBではATHLETICSで有名な都市ですね。

 

よしみとは共通の友人を通じて日本で知り合いました。
彼女は当時、オール三菱ライオンズのチアをしていたと思います。
知り合った当初は、まさか彼女がこんな近くでNBAのチアになるなんて……。


彼女は、2008年に知り合いのほそーいコネをたどってSAN FRANCISCOへ降り立ちました。
そしてGOLDEN STATE WARRIORSのオーディションを受け、インターンという形で
チームに参加するチャンスを得ました。
その後、語学学校に通いながら、チームに帯同してダンスの実力を磨き(すいません。わかりませんが、

多分磨いたんだと思います)、2009年に晴れてWARRIOR GIRLSの一員になりました。
オーディションには受かったものの……そこには異国で働く私たちにとって一番大きな問題が
立ちはだかっていました。そう、VISAです。
よしみの場合は、アメリカで活躍するチアの先駆者たちが残してくれた「道標」であるO-VISA取得へ。
しかし、これがなかなかうまく進まず……幾多のトラブルを乗り越えて、
「VISAが取れましたー!!」という声を電話で聞いたときのことは今でも忘れません。


よしみはSTNAFORDの試合にも何度も来てくれていますし、(試合中相手をできない

私に代わって、)私の大事なゲストの素晴らしいアテンドもしてくれました。

そしてこの春、やっとよしみの試合を観にいくチャンスが訪れました。
初めてのNBA観戦でしたが、あの有名なLAKERSの試合運びよりも、KOBE BRYANTの

プレイよりも、わずかに及ばなかった試合結果よりも、よしみが一生懸命そして楽しそうに

踊っている姿が印象的で、(彼女のここまでの苦労を思うと)涙が出そうになりました。

 

ここに彼女のブログがあります。
私、実は彼女のブログでお手本にしているところがあります。
それは文章表現でもなく、レイアウトでもなく、「自分の気持ちを素直に書く」というところです。
目には見えませんが、彼女の夢に対する真摯な取り組みや素直な気持ちがまっすぐ伝わってきます。
特に個人がその責任において書いているブログには、(別に期待もされていないのに)
読者の期待に踊らされて変に飾ってみたり、事実を誇張してみたり、セレブでもないのに
セレブ風に書いてみたり……と邪念にとらわれてしまっているものを数多く目にします。
私はそんなのを見かけるたびに、よしみのブログを見て目と心の洗濯をします。

 

彼女に「来年はどうするの?」と聞いたとき、否定的なニュアンスを含んだ「まだわからない」
という答えが返っていました。
彼女にはチャンスがある限り、時間やその他の状況が許す限り、最前線でがんばってほしい。
私のように、そのパフォーマンスを見て感動する人がいる限り。
でも、そこは本人にしかわからないことですし、彼女がする決断に異を唱えるつもりはありません。
それが友達としての敬意であると私は思っています。

 

残りの試合を悔いのないように、がんばってください。

TK

オレゴン大学

昨年、私たちが所属するリーグ【PAC-10】のチャンピオンになったオレゴン大学
NIKEの創始者であるフィル・ナイトの母校としても有名ですね。

 

それが故に、NIKEのオレゴン大学のフットボールに対するサポートは半端ではありません。
ユニフォームを例にとると、彼らはシーズン中に同じ色(上下&ヘルメット)の
ユニフォームを着ることはありません。
2008年はヘルメット、ユニフォームの上下、それぞれを4色ずつ持っていました(スクールカラーの

緑・黄色、その他に白と黒)。見た目を考えなければ、単純に64通りの組み合わせが可能です。
2009年シーズンは、それにシルバーやスローバックユニフォーム(昔のユニフォームを再現

したもの)を加えたり、カレッジフットボールではあまり見られなかったシルバーメタリックの

数字や文字を使ったり、見ていて飽きない、それでいてオレゴン大学であることをしっかり主張する、
素晴らしいプロダクトがNIKEから提供されていました。
スパイクや選手やスタッフが着るウエアも、同じNIKEのサポートをもらっている私達とは

違ったものが支給されたりしています。

 

前置きはこれぐらいにして……

 

そのオレゴン大学のフットボール部が今、たいへんなことになっています。
昨シーズンのROSE BOWL出場から今日に至るまでに、実に7人の逮捕者を出すという
とんでもない事態に陥っています。
そのうち2人はエースQBとエースRBです。

エースQBのジェレマイア・マソリ選手は学内の寮からパソコン等を盗み出した窃盗容疑、
昨シーズン1年生ながら1600yd近くを走ったラマイケル・ジェームス選手は彼女に対する

暴力行為でそれぞれ起訴されています。
その他にもチアリーダーが飲酒運転で捕まったりと、オレゴン大学はこちらのメディアを

連日賑わせています。

 

オレゴン大学はJC(Jr. College)から転校してくる選手が多いです。
奨学金をもらって入学してくる選手のほとんどは素晴らしいアスリートですが、
学力はそんなに問われません(最低限は必要ですが)。
それとこれをリンクするのは必ずしも正しくないかもしれませんが、日本でもそうであるように、

学力とトラブル発生の確率には相関関係がみてとれると言えるでしょう。

 

例えば、このエースQBは将来を嘱望される素晴らしいアスリートですが、高校を退学になっています。
STANFORDからほど近い、あるハイスクール(TOM BRADYの母校)で1年生のときに、
学内で窃盗事件を起こしました。
その後、親戚を頼ってハワイのSt. LOUIS HIGH SCHOOLに転校、SAN FRANCISCO近郊の

短大へ進学し、1年生で短大の全米チャンピオンになりました。
それを認められてオレゴン大学にスカウトされましたが、4年生という最後の年を残してこの事件を

起こしました。
ちなみに、それだけのアスリートである彼が、奨学金を得て4年生の大学へ行けなかったのも、

学力の足りなさであったという話です。

 

幸いSTANFORD大学はそのような問題とは無縁ですが、細かいトラブルは幾つか見てきています。
「明日は我が身」
注目が集まるスポーツのチームである以上、(何かあった際には)普通の人の何倍もの責任が
おしかかってきます。
私を含め、気を引き締めていきたいものです。

 

では。

TK

 

2010年03月17日

恐れていたことが……

いつかのブログでアメリカのコーチのビジネスについてお伝えしたかと思います。

以下、その中からの引用です。

たとえ、複数年契約の途中であっても、

たとえ、選手やスタッフやファンに後ろ指を指されようとも、

たとえ、上司にあたるコーチや同僚に対する裏切り行為であったとしても、

すべてはこのひと言で片づけられてしまいます。

「ビジネスだからね!」

 

これは、コーチが他のチームからのオファーを受けてチームを去っていく時の様子を

(私なりに)表現したものです。

これを書いている時には、まさか自分の身近でそんなことが起こるとは思ってもいませんでした……。

 

春季キャンプの直前のある日。

数回前のブログで名前を挙げた、前シカゴベアーズのオフェンスコーディネーターである

RON TURNER氏が、NFLのインディアナポリス・コルツからQBコーチのオファーがあって、

快諾したというニュースがオフィスを駆け巡りました。

情報を総合すると、どうやら本当らしい。

いろいろな人が彼の個室に入っては出て行くのを見て、私も確信しました。

 

私も彼の部屋に行き、

「おめでとうございます。2週間でしたが、ありがとうございました。

いつか一緒に仕事ができることを楽しみにしています」

という内容の言葉を伝えました。

 

その際、彼から出てきた言葉は、

「申し訳ない、でもビジネスなんだ……」

 

私もすっかりこの社会に馴染んでしまったのか、なんだか不思議と納得してしまいました。

自分なりに(その言葉を悪く思わなかった)理由を分析すると……

2週間ながらも、彼が残した功績が大きかったからだろう、という結論に達しました。

彼はNFLというTOP of TOPから、私たちが望んでいたあらゆる(詳細な)答えをもたらしました。

主にパッシングゲームのことでしたが、(私が聞いていても)それはそれはわかりやすく、

納得のいく説明ばかりでした。

 

以前、このブログで「アメリカでのコーチ業はビジネスであり、義理や人情がない!」と

否定的な意見をお伝えした覚えがありますが、そこに一文、【但し書き】を加えたいと思います。

「去っていく人が、私たちに残した功績を考慮する」

 

私も早く、(自分の残した功績を称えられて、)みんなに心からの拍手をもらいながら

巣立っていけるようなコーチになりたいと思います。

 

では、また。

TK

 

2010年03月04日

NFL Combine

今年も始まりました、コンバイン。

2010NFLドラフトの大切なプロセスです。


この日のために、ドラフト候補生たちは、それぞれのエージェントが用意した特別な施設を使って

体やスキルを磨いていきます。そういう選手(エージェントが特別なジムやトレーナーを手配して

くれるような)ばかりではないと思いますが、ここ数年はそういった類の話をよく聞きます。


このコンバイン、NFLより招待された選手しかパフォーマンスできません。
ここ数年、STANFORDからはあまり招待されていなかったのですが、今年は5人も招待されて

いたため、(生中継されている)コンバインを見る私たちも熱が入りました。

その中で、今年も凄いの見つけました。
(OL コーチという)職業柄、どうしても太ったシルエットが気になってしまいますが、
OLのパフォーマンスでとんでもない映像を見ました。以下の選手です。
Bruce Campbell 

メリーランド大学のキャンベル選手。
体重130kg超にも関わらず、体脂肪率5%、40ydを4秒85という驚異的な記録。
その他のフットワーク系の種目の動きも素晴らしかったです。
Trent Williams 

オクラホマ大学のウィリアムス選手。
この選手も130kgを超えてますが、4秒88でした。
サンボウルで対戦したときも、素晴らしいスピードだったことを覚えています。

その他にも、「さすが!」と言えるようなパフォーマンスが随所に見られる、印象深いコンバインでした。
まぁ、印象深いのは、身内が出ているからかもしれませんね。


NFL-JAPANのニュースでも紹介されていましたが、TOBYはどこにドラフトされるのか楽しみです。
と言っても、騒いでいるのは私たちだけで、本人はいたって冷静です。
先日話をしたときにも、「早くコンバイン終わらせて、野球やりたーい!」って言ってました。
そう、TOBYは野球部にも所属しているので、来週からは野球のフィールドで大暴れの予定なんです。
アメリカならではですねー。

 

TK

 

2010年03月01日

NFL化?(NFLか!?)

アメリカに帰ってきて約10日、やっといろんなことに慣れてきました。

 

帰ってきてびっくりしたのが、コーチングスタッフの入れ替えです。
聞いてはいましたが、実際に彼らのために働き出すと、変わったことを実感します。
掲題していますが、新しく来たコーチのうち5人は(選手&コーチとして)NFL経験者です。

 

・RON TURNER なんと去年まで、シカゴベアーズのオフェンスコーディネーターでした。
・VIC FANGIO 去年までレイブンズのLBコーチ。あのレイ・ルイスを教えていたことになります。
・DEREK MASON 昨年までバイキングスのDBを担当。
・CHESTER McGLOCKTON 1992年ドラフト1順でNFL入りしたDL。

                    1994年から3年連続オールプロ、4年連続プロボウル出場。
・AARON MOOREHEAD 2003年から5年間、コルツでWRとしてプレイ。

                  スーパーボウルリング保持者。

 

で、今いるコーチも含めNFL経験者は…8人!!
なんだか、ヘッドコーチは我がチームをNFL化しようとしているのではないかと感じる

今日この頃です。。。
メリットもデメリットもありますが、これから自分の進路を選ぶ高校生にとっては、

魅力の一つになると思います。
なぜなら、大学に入る際に、奨学金のオファーをもらって学校を選べるような立場にある

学生のうちのほとんどがNFL選手になることを夢見ているからです。

早いうちからNFLのコーチに教えてもらえることは、NFLへの近道とも言えるでしょう。

 

私もこの変化に遅れることなく、いろいろなことを吸収していきたいと思います。

 

ではまた。

 

TK

 

2010年02月22日

(アメリカでの)コーチという職業

日本の会社でも(よほど古い体質の会社でない限り)、会社に貢献するような

実績(業績)をあげた人は、昇給や昇進を含む処遇面での評価が得られるでしょう。
アメリカのフットボールコーチ業界でも、規模やシステムの違いはありますが、

それは同じことです。

 

特に、良い成績をあげたコーチには「すぐに」と言っても過言ではないぐらい、

次の仕事のオファーがきます。
日本で言えば、ヘッドハンティングのオファーがくることになるのでしょう。

 

身近な例を挙げると、昨年好成績だった我がSTANFORD大学のヘッドコーチである

JIM HARBAUGHには、NFLから2つ、カレッジ界から2つの大きなオファーがありました。
そのうちの一つは、総額で(年俸)3億円近くのオファーであったと推測されています。
彼は今後のことや家族のことを考え、すべてのオファーを断りましたが、
STANFORDを捨てて他のチームへ行くことも視野に入れての検討であったことは間違いありません。
アシスタントコーチたちへのオファーも多かったようです。

現に4人のコーチが他のカレッジに引き抜かれました。そのうち一人はヘッドコーチに、

二人はコーディネーターに就任しました。


USCを8年連続でPAC-10チャンピオンに導いたPETE CARROL氏の場合も、

NFLからのオファーを受けてSEATTLE SEAHAWKSのヘッドコーチに就任しましたね。
彼の場合は、NFLでの経験が長いため、毎年候補に挙がっていましたが、いつも断っていました。
彼はいつも「USCが好きだ!」というのを理由に断っていましたが、今年は断りきれなかったようです。
勝手な詮索ですが、その理由にはずばりお金があると思います。
彼は2年前にUSCと新たな契約を結びました。年俸約5億円という、カレッジ界ではあり得ない

破格の契約で話題になりましたが、今回のシアトルからのオファーは6億とも7億とも言われています。

アメリカでのフットボールコーチのこのような動きをひと言で表すならば、

「マネーゲーム」と言えると思います。


たとえ、複数年契約の途中であっても、
たとえ、選手やスタッフやファンに後ろ指を指されようとも、
たとえ、上司にあたるコーチや同僚に対する裏切り行為であったとしても、
すべてはこのひと言で片付けられてしまいます。
    「ビジネスだからね!」

 

こんな話があります。
ある大学のヘッドコーチが、喉から手が出るほどほしい高校生の選手とその両親を

数人集めて、熱弁をふるいました。
「俺たちには君たちが必要だ! 我々が全米チャンピオンになるためには、

どうしても君たちの力添えが必要だ!」
そう言った2日前に、他のメジャーカレッジからのオファーを快諾していたそうです。
そして数日後、記者会見で他の学校へ移ることを発表したのです。
私はこの話を聞いて、その根性とプロセスにどうしても納得いかず、周囲に聞きまわりました。
「アメリカではこんなのありなのか!」
1件だけが(百歩譲って)私寄りの答え「ああいう奴とは一緒に仕事をしたくないね!」、
残りの8件は「ビジネスだからしょうがない……」。


そうか。ビジネスだから、義理や人情はいらないのか……。

なんだか、なんともいえない悲しい気持ちになりました。
私は日本人ですので、そのような場面に遭遇したなら、義理や人情を大事にしたいです。
と思う反面、早く「ビジネスだからね!」と言ってもおかしくないようなコーチになりたいと思う
今日この頃であります。

 

TK

 

スーパーボウル

遅ればせながら……

いやー、いい試合でした。本当に楽しめる内容でしたね。
お互いの長所が多く出た試合ではなかったでしょうか。

 

ところで、私はこの試合を違う観点から見ていました。
それは、試合の前にあるコーチが言っていたことを思い出したからです。
  「実力が均衡しているチームが同士が対戦するとき、

     その勝敗を分けるのはスペシャルチームである!」
おっしゃる通りだと思います。

 

そんな観点で見ていたからかもしれませんが……
・SAINTSは、40ヤード以上のフィールドゴールを3本(COLTSは1度失敗)。
・SAINTSは、(1回)パントを敵陣の5ヤード以内に落とした。
・SAINTSは後半開始のキックオフでオンサイドキックを敢行、攻撃権を得た。
以上のようなことが、勝因の一つとして挙げられるでしょう。

 

フットボールには、大きく分けて3つのカテゴリーでの勝負があります。
オフェンス・ディフェンス・スペシャルチームです。
実力が均衡しているので、3つの勝負のうちオフェンス・ディフェンスを1勝1敗で

終わるとするならば、残っているのはスペシャルチームです。
しかし、NFLではあまりスペシャルチームの練習に時間を使いません。
限られた時間の中で、いかに密度の濃い、精度の高い準備(練習)をできたのかが、
勝敗を分けたのではないでしょうか??


来年は、どのような戦いが繰り広げられるか楽しみですね。

世界で一番実力が均衡しているフットボールの試合であるはずのスーパーボウルですから、
来年もスペシャルチームが勝敗を分けることになるのではないでしょうか。

 

ではまた。

TK

 

2010年02月15日

WEST COAST オフェンス

スーパボウルに向けての戦いを見ていて気づいたことがあります。

 

ベスト4(カンファレンス・チャンピオンシップ)に残った4チームのうち3チームが、
掲題のウエストコーストオフェンスがベースのオフェンスシステムを採用しています。
別になにかの資料を見たわけではないですが、COLTS以外のVIKINGS、JETS、SAINTSが、
そんな感じのオフェンスをしていました。

 

なぜ、わかるのか? 自分たちのベースもウエストコーストだからです。

 

たまに現地の放送で練習風景や各チームの特集等を目にした際に、
プレイコールがまったく同じだったりするのを見て確信しました。
現在、NFLの多くのチームがこのウエストコーストオフェンスを採用しています。
ご存知の方も多いと思いますが、元STANFORD大学&SAN FRANCISCO 49ERSの
ヘッドコーチであるBILL WALSH氏が始めた(創めた)とされるオフェンスシステムとして、
(フットボール界では)あまりにも有名です。

 

簡単に説明すると……
短いパスを多用して、フィールドを縦にも横にも広く使うオフェンス-とでも説明しておきましょう。
ランというよりもパスコースとプロテクションのことをセットでそう呼んでいると理解しています。
実際にプレイやパスルートの名前もまったく同じのまま現存して使用されています。

 

このウエストコーストオフェンス。プレイコールが長いんです。
チームによっては、それに番号をふってしまって、数字だけのところも多いんですが、
STANFORD大学を含む多くのチームが昔のままのシステムを踏襲しています。
例えば、こんな感じです。
「STRONG RIGHT SLOT F RT PASS 96 COUNTER X BULL DOG Y DEEP CROSS」
もっとも特徴的なのは、パスコースをできるだけそのまま伝えることです。
このプレイの場合、2人がパスコースへでるため、その2人にそれぞれコースを指示しています。
STANFORD大学では、それにQBがチョイスできる2つ目3つ目のプレイを
同時に入れたりすることもあるので、とんでもない長さのプレイコールができあがります。
「WEST RIGHT SLOT U COUNTER 96 CROSS BOSS KILL 2JET ALLEY HB

BALOON ALERT U LT 95 WEAK ON 1 ON 1 READY」
と、まぁこんな感じです。
やっぱりフットボールは、賢い人じゃないと厳しいですね……。
 
プレイオフでは、同じオフェンスシステムを持ったチームの対決もありましたね。
まだゆっくりビデオを見てないので、そんな観点から見てみようと思っています。
楽しみです。
 
しかし、日本は寒い……。

 

2010年01月27日

NFLプレーオフ出場者見聞録

PLAY OFFに出場しているチームから選手をピックアップして、
私が見たり聞いたり(ほとんど聞いたり)した情報をお伝えします。
多少マニアックかもしれませんが、お付き合いを。


カート・ワーナー (アリゾナ・カーディナルス)

 

彼はNOTHERN IOWAというまったく無名のカレッジを卒業後、NFL EUROPEや
ARENA FOOTBALLを経てNFLのスターティングQBの座を勝ち取りました。
フットボール選手だけでは生活できず、アルバイトをして生計を立てていた話は

あまりにも有名ですね。

 

そのカート・ワーナーとチームメイトだったコーチがSTANFORDにいて、
彼の話を聞いたことがあります。

 

アメリカでは、フットボールに直接関係ない、いわば「走りこみ」のような練習を
コンディショニングと呼びます。その際、スピードに差が出過ぎないようにスキル、ビッグスキル、

ラインマンの(一般的にですが)3つにグループ分けをします。
スキルはWR/RB/DB、ビッグスキルはLB/TE/DE/QB、ラインマンはOL/DTのような感じです。
カート・ワーナーは、ビックスキルの中の誰よりも早く走ることができるそうです。
その差があまりにも大きいので、スキルチームに入れて走らせたそうですが、
それでもレシーバーやDBにも引けをとらないスピードと持久力を発揮していたそうです。

 

私の友人曰く、「30代半ばの体力ではない! アスリートとしての能力が非常に高い」、
素晴らしいQBだそうです。

 


レイ・ルイス (ボルチモア・レイブンズ)

 

元レイブンズのコーチから聞いた話です。

 

見た目は恐いレイ・ルイス選手。
フィールドでは素晴らしいリーダーシップを発揮するそうです。

 

(彼の)私生活についてあまり知る人はいないそうですが、
毎週、試合の前日に自分の家にチームメイトを招いてパーティーをするそうです。
移動のないホームゲームの時だけだそうですが、彼の家に集まってやることととは……
ピザを食べながら対戦相手のビデオを見続けるだけだそうです。
そこにはフットボール以外の会話はほとんどないそうです。

 

見た目は恐いですが、フットボールに対しては真摯で、
若手からも尊敬を集める良きリーダーだそうです。

 

 

SUPER BOWLはコルツとセインツになりましたね。
次回は勝手な予想をしてみたいと思います。    

                            ⇒NFL JAPAN.COM 「スーパーボウル特集2010」

 

 

 

あっ、ところで、日本に帰国しています。
御用の方はお早めに!(笑)

 

TK

 

2010年01月20日

NFLプレーオフ

いよいよ佳境に入ってきましたね。

 

BOWL GAMEのことをどうしても伝えたくてダラダラと書いていたら、
NFLがもうベスト4まできてしまいました。


VIKINGS(12-4)、COLTS(14-2)、SAINTS(13-3)の3チームはレギュラーシーズンの

勝敗をみても順当と言えるのではないでしょうか。

残り1チームはNEW YORK JETS(9-7)です。レギュラーシーズン7敗を喫したJETSが、

わずか3敗しかしていないCHARGERSを破ってAFC CHAMPIONSHIPへの切符を手にしました。

 

私は以下の理由でJETSのファンです。
1)友人がスターター(レギュラー)として出場している。 #65 RG BRANDON MOORE選手
2)OLコーチ(アシスタントヘッドコーチ)が友人のお父さんである。
  元RAIDERSとネブラスカ大のヘッドコーチ、ビル・キャラハン氏
3)NFL TOKYOに来日した際に帯同させてもらった。
4)ルーキーのQBがSTANFORDと同じPAC-10(USC)出身なので、(勝手に)馴染みがある。
5)同じオフェンスシステムである。(プレイコールも似ていて、聞けばわかります)

 

というわけで、近所のスポーツバーでJETSを応援しながらの観戦でした。
結果は……少ないチャンスを確実にスコアしたJETSが、チャンスにFGでスコア(3回はずし)
できなかった上に勝負どころでインターセプトを献上してしまったCHARGERSに勝利する
という番狂わせとなりました。

もう一つは、CHARGERSは反則が多かったですね。

これも試合を左右する大きなマイナス要因です。
とにかく、JETSファンである私にとっては、会心の勝利でありました。


次の相手はCOLTSですが、JETSの強みがディフェンスとランオフェンスであることを考えると……
ディフェンスがCOLTSのハイパーオフェンスにロングゲインや一発でタッチダウンを許さずに、
(幾つかのタッチダウンは取られたとしても)勝負どころで踏ん張ってパントやFGにおさえる。
そしてオフェンスは、ラン・短いパス・プレイアクションを交えながらボールと時間を
コントロールして、ロースコアのゲームに持ち込む!
それしか勝つ方法はないのでは……と思ってしまうぐらい、COLTSは強いんですよねー。。。

 

SAINTSとVIKINGSの対戦も見逃せませんが、今日はこの辺で!

 

TK

 

 ⇒NFL日本公式サイト  ⇒NFL.com(英語)

 

最近の写真(2)

たまっている写真を放出します。

 

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▲現地(エル・パソ)に到着すると、私たちにチームを警護するパトカーが3台、白バイが6台。
バス移動の際は、(観光であっても)どこにでもついてきました。しかもSTANFORD仕様。

 

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▲3日目、朝起きたら雪が……。
ここはテキサスで、しかもメキシコとの国境があるぐらい南なはず……。

 

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▲SUN BOWLスタジアムは、山の中腹を無理矢理切り開いたようなロケーション。
スコアボードの裏は岩山です。

 

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▲スタジアムから国境をはさんで見るメキシコ。住宅が密集しています。

 

TK

 

2010年01月11日

最近の写真(1)

「ブログなのに写真が少ない!」
という声が聞こえてきそうなので、最近の写真をドサッと!!

 

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▲ロッカーに飾られたクリスマスツリーです。なにも、こんなものを飾らなくても……。

 

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▲ボウルゲームのために配られたものの一部です。
スタッフ(少なくても25人)全員と選手全員(約100人)に配られました。
ボウルゲームに出るということは、これぐらい(お金を使っても痛くない)の
意味があるということなんでしょう。

 

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▲「TYSUYOSHI」……って、俺のことか!? 「Y」は、いりませんけど……
って、私もアメリカ人の名前を正しくスペルできませんから、しょうがないですね。

 

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▲私の「L」と「R」の発音を矯正するために、オフィスをシェアしている二人が
書いてくれました。「T.K.、これを一日最低5回は復唱しろ!」って、おまえら、
それ聞いて笑ってるじゃないか!?
でも、なんにもしないより(笑われても)発音が良くなるはず! 本当に毎日やってます。

 

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▲11月から引っ越した部屋はLOS ALTOS HILLSという丘(山)にあります。
広大な庭には鹿の群れが住みついています。庭を見たらいたので、撮ってみました。
わかりづらいですか……?


近いうちに第2弾を!

 

TK

 

2010年01月06日

RICE BOWL

鹿島と関大、素晴らしい戦いだったようですね。

 

特に関大は社会人相手によく戦いました。


失礼かもしれませんが、私が昨年の冬に訪れて選手たちを見たときには、

とてもライスボウルで戦えるようには見えませんでした。それがなんと……!
見たことがあるだけに、選手やコーチたちの努力が半端ではなかったことが容易に想像できます。
関大はシーガルズOBの西岡君がコーチをしてますね。それもうれしいポイントの一つです。

でも、ほんとは……(オービックシーガルズが)そこにいられない、(自分が)関われないのが
残念でなりません。

選手・関係者の方は、両チームの勇姿を目に焼きつけておきましょう!!

 

ところで、出場した両チームには共通点があります。

両チームとも、コーチが昨年の春に (私を慕って?頼って?)STANFORDにフットボールの

勉強に来ていたのです。
GRさんは(自分が持っているシステムでもある)WEST COAST全般を、ITAさんは

WEST COASTとゾーンブロッキングをそれぞれ勉強していかれました。特にITAさんは

日本では私とITAさんしか持っていないであろう「マル秘資料」を持って日本に帰っていきました。
それぞれ、(それが)どう作用したかはわかりませんが、日本のフットボール界の頂点を極める
試合にその2チームが出ているのは、うれしいことです。

 

オービックシーガルズファンの皆様、「敵であるチームに手を貸しているのでは……?」なんて
言わないでください。

私は(日本の)フットボール界全体の発展のためと自分の夢の実現のために ここにいます。

それぞれのチームのスキルやチーム力のアップがそれにつながると信じています。

特に、一緒に仕事をした仲間や一緒に戦った仲間とは、(現在の)所属チームを問わず、

機会があればいろいろなことを共有したいと思っています。

ですので、その辺はフラットかつフレキシブルに対応をしておりますので、ご理解を!

でも、その中でもオービックシーガルズは特別ですけどね。

 

今年(来年は)こそは、その舞台を勝ち取りましょう!
GO OBIC SEAGULLS!

 

TK

 

@エル・パソ

26日に地元を発ち、約2時間のフライトでエル・パソへ到着しました。

 

着いたらまず空港で大歓迎が! 

なんだか地元のSUN BOWL実行委員会みたいな集団やら バンドやらで、空港出口で30分

ぐらいの歓迎レセプション。

その後、地元警察の先導で、ノンストップでホテルへ(信号も無視)。

ホテルにチェックイン後、すぐにパーティー会場へバスで移動(もちろんノンストップ)。

カジノに隣接する大きなホールで、テキサス名物のバーベキューを食べながらのレセプションパーティー。Oklahomaの選手やスタッフ、地元の実行委員会も含めると500人ぐらいの大所帯での

パーティーでした。

生バンドの演奏や双方のチームからの代表者が3人ずつ出ての余興大会等、それはそれは

盛り上がりました。

中でも最後のダンスバトルでは、黒人アスリートの独壇場かと思いきや、優勝したのは

STANFORDの白人のLBの選手でした。


とにかく、アメリカ人はどんな状況でも楽しむことを忘れません。

それが数日後にプライドをかけて戦う相手であってもです。

 

パーティーを終えてホテルに戻ると、ホテルの入口近くに「PLAYERS HOSPITALITY ROOM」
なるものが。かなり大きな宴会場のようなスペースに、プレイヤーがくつろぐためのスペースが。
そこには、
・ビリヤード台
・アーケードゲーム機(ゲームセンターにおいてあるようなゲーム) 6台
・大きなテレビ
・20人以上がくつろげる大きなソファ
・ドリンク飲み放題のバーカウンター
・スナックやドーナツが食べ放題
・アイス食べ放題

至れり尽くせりというのは、このことを言うのではないか、というような素晴らしい空間でした。
さらに、ホテルの最上階のスイートルームには、コーチ&スタッフとその家族向けの同じような

スペースが。もちろんこちらはアルコールあり。数人のコーチやスタッフはこの部屋に入り浸って

ました(笑)。

 

この後、試合までの4日間、昼間は練習、夜はパーティーという日々が続きました。

おもしろいのは、ほとんどの企画に、選手は選手同士、スタッフはスタッフ同士で参加するということです。
たとえば、選手が「BOWL BEFORE BOWL GAME」(ボウルゲームの前にボウリングで対決!!)

なるイベントに参加しているとき、両チームのコーチやスタッフは地元の警察や自治体主催の
パーティーへ参加していました。

そのほかにも選手が数人ピックアップされて、小児病院や軍隊を慰問したり、記者会見に出席したり、

連日、イベントまたイベントの繰り返しでした。


その中でも、前回説明したようなレギュラーシーズンと同じようなスケジュールと練習量をこなして

31日のボウルゲームに臨まなくてはいけません。

選手のコンディショニングを維持するためにコーチ陣が最優先にしたのは、とにかく睡眠時間を

多く取らせることです。ミーティングを早く切り上げたり、朝食の時間を遅らせたりして、

慌ただしいスケジュールの中でも睡眠時間だけは確保するようにしました。

そこだけは徹底したので、試合当日はベストの状態であった選手が多いと思います。

 

さて、このエル・パソという土地。

テキサス州の西の端で、メキシコとの国境に位置しています。
あちらこちらで国境のフェンスを目にしましたし、その向こうの(言葉を選ばず言えば)スラム街のように

住宅が密集している地域が、石を投げれば届くぐらいの距離で見えるのです。

なんだか、あんなフェンス一つで……と不思議な感じでした。
例年は国境を越えて観光に行ったりするそうですが、今年はフェンスを越えたまさにその地域で
麻薬の利権を巡ってのマフィアの抗争が繰り広げられているらしく、メキシコ観光は中止になりました。

 

いくつものイベントを経て、やっと試合当日になりました。
試合はその名の通り、SUN BOWL STADIUMで行われました。

このスタジアムはUTEP(UNIVERSITY OF TEXAS EL PASO)の本拠地でもあり、キャンパス内に

スタジアムがあります。
山の中腹に無理矢理キャンパスをつくった感じの構造になっていて、スタジアムもそんなロケーション。

5万人強のスタジアムでしたが、チケットは売り切れの満員、絶好の舞台でした。

 

試合は終始Oklahomaに主導権を取られ、31-27で負けてしまいました。

両チームともエースQBを負傷で欠いた試合になりましたが、点差以上に実力の差を見せつけられた

試合になったように思います。

驚いたのは、Oklahomaの選手のサイズや個人の能力の高さでした。

Oklahomaも怪我人が多く、若いプレイヤー中心でしたが、末恐ろしい選手が数多くいました。

近い将来、彼らとNational Championをかけるような試合ができれば、その際はリベンジしたいと

思います。

 

なんだかまとまりませんが、ボウルゲームに出場するということは、アメリカのカレッジフットボールに

おいて本当に意味のあることであることを、身をもって体験してきました。

そして、そこには信じられない ぐらいのお金がかかっていることも目の当たりにしてきました。

日本のフットボール界の発展に欠かせないものの一つに「お金」があります。

今回のボウルゲームでは、地元の組織委員会とボウルゲームの冠スポンサーでほとんどの資金を

賄っています。

特に印象的だったのは、地元のそれぞれの規模の企業からうまくお金を集めているということでした。

今回の経験が少しでも日本のフットボールに還元できれば……と願う今日この頃です。

 

TK

 

ボウルゲームまで

ボウルゲームの相手が12月5日に決定してから、 試合に向けた準備が始まりました。


私たちは、Oklahoma大学のビデオを見てスカウティングをはじめました。

といっても、ある程度の予測はついていましたし、スケジュールがそれほどタイトでないので
(試合までは3週間強あります)、レギュラーシーズンのそれに比べれば楽なもんです。

 

選手は最終戦後、束の間のオフ!とはいかずに、ファイナル(テスト)に追われているようです。
ご存知のように、STANFORDは世界でも有数のアカデミックスクール(頭の良い学校)

ですので、テストやレポートも相当難しいようです。

たまにロッカーで言葉を交わす選手たちは、一様にファイナルのことを口にしていましたし、

ロッカーで勉強していたりレポートを作成している選手も数多く見られました。

 

コーチたちは、選手がファイナルの間、全米各地へリクルーティング(高校生をスカウトする活動)に

向かいました。

来年9月に入学する高校生はほぼ固まりつつありますが、まだ決心がついていない高校生を

口説きに行ったり、ジュニア(日本で言えば高校2年生)で有望な選手に挨拶を始めたりと、

コーチたちのリクルーティング活動に「休息」という文字はありません。

 

コーチたちがリクルーティングに出ている間、我々アシスタントたちはゆるーい時間を過ごしていました。

前の週にスカウティングレポートも終了しているので、みんなでバスケットをしたりゴルフをしたりして

遊んでいました。7月の中旬から1日のオフもなかったので、それぐらいは許してほしいと(勝手に)

思ってます。

 

コーチたちがリクルーティングから帰ってくる12月12日の土曜日。

ふとスケジュールを見ると「HOTEL CHECK IN」と書いてあります。

「何これ!?」と聞いてみると……キャンパス内の寮に住んでいるプレイヤーのためにホテルが

用意されているとのこと。
ファイナルが終わると寮から一度追い出されてしまうようで、ボウルゲームへ出発するまでの2週間を
キャンパスの目の前にあるホテルで過ごすようです。

この辺ではけっこう良いグレードのシェラトンホテル……だったので、試しに「俺も!」と言ってみたら、

すんなりOK!ということで、私も出発までホテルで過ごすことになりました。

しかも、一応コーチ扱いにしてもらったので、かなりいい部屋でした。

 

さぁ、12日からボウルゲームに向けた練習が始まりました。
私たちは、ボウルゲームまでの期間をレギュラーシーズンのスケジュールを3回繰り返すような
スケジューリングですすんでいくことを決めていました。
具体的には、
12日(初日)→ 普段の月曜日のスケジュール(ウォークスルー中心の軽めのメニュー)
13日(2日目)→ 火曜日のメニュー
               (基本的となるゲームプランのインストールと2時間半ぐらいの長めの練習)
3日目→ 水曜日のメニュー(火曜日とほぼ同じ)
4日目→ 木曜日のメニュー(少し軽め、2時間弱のメニュー)
5日目→ 金曜日のメニュー(1時間弱、ウォークスルーのみ)
6、7日目→ オフ
8日目からは月曜日のメニューを繰り返し。

 

これを23日まで繰り返して、クリスマスイヴはオフ、クリスマスは滞在しているホテルでチーム

全員で クリスマスパーティーをしました。

そして、26日にチャーター機2機で、現地エル・パソ(テキサス)へ!

 

このボウルゲームで現地に着くまでに感じたこと。
・(エースQBが怪我でいない以外)チームの仕上がり良し。
・ボウルゲームに行くだけで、どれだけギア(グッズ)くれるんだよ!
・関係者多すぎ! レギュラーシーズンでは見たことない人たちがいっぱい同行してきました。
・いろんなことに金かかりすぎ!
・カレッジフットボール……どれだけ金あるんだろう(かかるんだろう)……

 

次回はエル・パソに着陸してからのことを!

 

TK

 

2009年12月16日

取り急ぎご報告

TOBYのハイズマン賞、ダメでした。
あれだけ騒いでしまったので、取り急ぎご報告です。

 

結果は僅差での次点でした。
ハイズマン史上、稀に見る僅差だったそうです。
当日はオフィスでスタッフ全員でテレビを見ていました。
発表の瞬間、ここでは書けないような(悪い)言葉の連発でした。

 

受賞したアラバマ大学のマーク・イングラム選手は、
・まだ2年生。
・1542ヤードのラン、15TD → いずれもTOBYには大きく及ばず。
・12試合中、3試合はDIVISION-1AAに属する(誰が見ても勝利が明らかなような隠した)対戦相手。
  → STANFORDは(そのような相手は)1試合のみ。
・獲得50ヤード以下の試合が3試合も。

 

いろいろな理由があると思いますが、本当に納得のいかない結果に終わってしまいました。

 

なんだか、これ、「負け犬の遠吠え」になってますね。
コントロールできないことはあきらめて、
自分たちがなんとかできるBOWL GAMEの勝利に向けて精進したいと思います。

 

ではまた。
TK

 

2009年12月12日

ハイズマン トロフィー

ハイズマン トロフィー-今年のリーグ戦終盤までは、「全米最優秀選手」に送られる、
ただの賞だと思ってました。


しかし、シーズンが進むにしたがって、私たちのチームの中からその賞の候補が出る

可能性が高くなってきたことがニュースになりはじめました。
その選手とは、RB#7 TOBY GERHERT選手STANFORDのサイトもその話題で持ちきりです。

TOBYの今年の成績は(12試合)-
・311回のキャリー
・1,736ヤード獲得(ランのみ)
・26タッチダウン
中でも、26回のタッチダウンが評価されたようです。

 

彼は野球選手でもあります。
昨年はメジャーリーグのドラフト候補に頻繁に名前があがっていましたが、
「上位で指名されないと野球は続けない」と発表したこともあって、

メジャーからは指名されませんでした。

 

今週はいろいろなAWARD(賞)が発表される週なんですが、

先ほどDOAK WALKER AWARDという「全米最優秀ランニングバック」が発表されて、

TOBYが受賞しました。

そして、今週の土曜日、いよいよハイズマン賞が発表されます。
世間の予想では、なんとTOBYが1位! 2位につけているINGRAM選手もRBです。
とにかく、私のいるチームから、私の働いている間に、そんな選手が出てくれないかなぁー、
と願ってやまない今日この頃です。皆さんも祈っていてください。

 

ではまた。

TK

 

ボウルゲーム

前回、「ボウルゲーム」について少し触れましたが、先週の日曜日、

我々STANFORD大学がSUN BOWL(12月31日)へ招待されることが発表されました。

日本では「ボウルゲームがあることは知ってるけど、システムがわからない」人が

多いと思いますので、少し説明したいと思います。

 

アメリカでは、カレッジのトップリーグ(DIVISION-1A)に150校を超える学校がひしめき
あっています。その約150校がそれぞれ10校前後のリーグ(一般的に「カンファレンス」と
呼ばれます)を形成して、レギュラーシーズンの12試合(一部の学校は13試合)を戦います。

STANFORDを例にとると、PAC-10というカンファレンスに所属していて、そこで毎年9校と

対戦する他に、カンファレンス外の大学と3試合行います

(そのうちの1試合はNOTRE DAME大との定期戦です)。

 

・150校が
・10校前後のカンファレンスに分かれて
・年間12試合
・同じカンファレンス=毎年試合をする


お気づきのように、すべての学校が対戦して「真の全米NO.1」を決めることは不可能です。
そのために、「全米ランキング」なるものが存在し、毎週ランキングを決定しているわけです。

 

【ここからはフィクションです】-----------------------------------------------

宮本君は熱狂的なWEST VIRGINIAのファン。

河村君は熱狂的なSTANFORDのファンです。

10月のある日、宮本君と河村君が錦糸町の定食屋で食事をしている時、

些細なことから口論となりました。

河村「STANFORD強いなぁー。。。全米ランキング19位ですからねー。あっ、

   WEST VIRGINIAは、先週の敗戦でランキング(25位まで)からもれちゃいましたねー」
宮本「アホごと言うな! WEST VIRGINIAの方が強いにきまってるだろう! 

   全米ランキングなんて、あてになるか!」
河村「先々週まではランキングが上のほうが強い!ランキングがすべてだ!みたいな言い方
   してたくせに。。。」

 

……とまぁ、こんなふうに険悪な雰囲気で食事が始まりました。
そこへ、彼らの先輩である並河氏が現れました。並河氏はビジネスで巨万の富を得て、
フットボール界へ多額の寄付をしていることで有名です。

 

並河「なんや、この険悪なムードは……?」
宮本「河村がアホなこと言うんです……」
河村「アホなこと言ってるのは、宮本さんの方です。なんにも知らないくせに……」
並河「よっしゃ、二人の言いたいことはわかったし、どっちも間違ってはいない!
   どうだ、うちの会社がスポンサーになるから、シーズン終了後に直接対決やってみようや! 

   せっかくだから、地方自治体も巻き込んだ一大イベントにしよう。
   もちろん、うちの会社の名前をつけたボウルゲームにするけどな」

---------------------------------------------------------------------------

 

実際に、こんなやりとりがあったかはさておき(ありません。フィクションです)、
この広いアメリカで、違うカンファレンスの強いチーム同士が戦ったらどうなるだろう?
というのが、ボウルゲームだと思ってください。

 

もちろん、すべてのチームがボウルゲームに出場できるわけではありません。
出場権を得るには、シーズンで6勝以上をあげることが最低条件になります。
最低条件と言ったのは、6勝以上をあげていても、必ず出られる(招待される)保障はないから。

たとえば、(その年は)あまり強くないカンファレンスでの6勝と、
相手が強いところばかりでの6勝では評価のされ方が変わってきます。

 

では、どのボウルゲームに、どのように招待されるのか?
いくつかのボウルゲームを除いては、明確な決まりがあるわけではありません。
たとえば、かの有名な「ROSE BOWL」。

その名のとおり、ROSE BOWL STADIUMで行われますが、これは毎年、

PAC-10カンファレンスチャンピオンとBIG-10カンファレンスチャンピオンの戦いになります。

私たちが今回招待された「SUN BOWL」は例年、BIG-12とPAC-10の3位前後のチームが
招待されているゲームです。
全部で33試合あるボウルゲームは、12月19日から来年の1月7日まで、毎日のように続きます。
中でもBCS(BOWL CHAMPIONSHIP SERIES)と呼ばれる次の5つは、
10位以内の順位を決定するBOWL GAMEになっています。
特に、BCS CHAMPIONSHIPは、全米ランキング1位と2位が戦う特別な試合です。
・ROSE BOWL
・SUGAR BOWL
・FIESTA BOWL
・ORANGE BOWL
・BCS CHAMPIONSHIP

 

ボウルゲームはある意味、お祭りのようなものです。
私たちは、12月31日の試合に向けて、12月26日に現地(テキサス州エルパソ)入りします。
現地では数回の練習、観光やレクリエーション、パーティー等が予定されているようです。
選手やスタッフにはそれぞれに約8万円相当のプレゼントが用意されているらしいです
(さすがに現金は渡せないので……)。
テキサスのはずれ(メキシコとの国境付近)ですので、どれぐらいのファンが観戦に来るのか

まったく予想できませんが、せっかくなので楽しんできたい思います。

 

おっ、大事なことを忘れていました。対戦相手はあのオクラホマ大学。
ここ数年、全米チャンピオンを常に争っていた競合校です。
今年はエースQBの怪我で低迷しましたが、個々の能力ではとても及ばない相手では

ないかと思っています。私にとっては初のボウルゲームですので、最後に勝って来年に

つなげたいと思っています。

 

皆さんの中でエルパソ付近にお知り合いがいる方がいれば、

なんらかの方法で私に辿りついてください。チケット用意できますよ。
あっ、でも、どれだけオービックシーガルズに近いか?、

どれだけオービックシーガルズのファンか? という条件がありますけど。

 

TK

 

2009年12月01日

NFLについて

最終戦でNOTRE DAME大学に逆転勝利して、8勝4敗でレギュラーシーズンを終了しました。
成績が良かったため、この後にもう1試合、BOWL GAMEと呼ばれるプレーオフのような試合を
1試合やってシーズン終了となります。こちらは、対戦相手等決定したら、また書きます。

 

さて、「NFLについて、あまり知らない人にもわかるように説明をしてほしい」という

リクエストがありましたので、簡単に説明をと思ったのですが、
(皆さんに嘘を教えないように)あらためて勉強してみました。
私も知ってるようで知らなかったことだらけでした。
ウィキペディアに詳細までわかりやすく説明されているので、まずはこちらをご覧ください。
ウィキペディア>NFL

NFLはアメリカ全土(本土)の32チームから成り立っています。32チームを

「AFC(American Football Conference)」 と 「NFC(National Football Conference)」に
均等に(16チームずつ)分け、それをまた東西南北の4つの地区(4チームずつ)に分け、
各地区で成績の良いチームがプレーオフを経て、

優勝決定戦となるスーパーボウルへの出場権を争います。
出場チームの選考方法等は、後ほど、プレーオフの時期に説明しますね。

 

現在、NFLは開幕から12週目。レギュラーシーズンは16週ですので、終盤戦ですね。
もう、プレーオフ進出がほぼ決まっているチームや、
中にはディビジョン内の優勝が決まっているチームも出てきています。

 

こちらに住んでいると肌で感じますが、フットボールはアメリカでは群を抜いてNO.1スポーツです。
日本にいた時は、「アメリカの4大スポーツ」として、アイスホッケー(NHL)・バスケットボール(NBA)・

野球(MLB)・フットボール(NFL)があると認識していましたが、人気とファンの熱狂度という点では、
フットボールが他のスポーツを大きく引き離しています。
私の中では、トップスポーツとそれに続く3大スポーツだと(勝手に)解釈しています。

 

人気と興行収入は当然比例し、人気のあるチームのレギュラーシーズンのチケットは、
開幕前の発売日当日に売り切れてしまうほどです。当然、それらの収入から選手に

支払われる年俸、選手やスタッフへの待遇、その他いろいろなことが桁外れです。

ほんの一例を-。
・2009年、全体1位指名のMATTHEW STAFFORD選手の契約金は、

 史上最高で6年総額約78億円でした。 
  参考までに、読売巨人軍の1位の選手は総額で2億円でしたね。
  もっと参考までに、日本のプロ野球は140試合ぐらい。NFLは16試合です。
  (※選手寿命や危険度の違いがあるので、同じ土俵に並べるべきではないですが……。)
・ほとんどのチームが、チームロゴが入った移動用ジェット機を所有しています。
 チームによっては、予備のために2機。故障したら遠征に行けないですからね。。。
・選手でもプライベートジェットを所有している人が多くいるそうです。
  (※国土の違いでしょうか、(一般の人でも)こちらは飛行機での移動が多いです。)

 

とにもかくにも、日本のスポーツとは、スケールとその扱い方が違うというのが私の印象です。

それゆえの問題も数多くありますが、とりあえず今日はこれぐらいで。
おやすみなさい。

 

TK

 

  NFL日本公式サイトはこちら

 

2009年11月30日

敗戦

オービックシーガルズ、残念でした。


誰も負けようと思ってないのに、そこには勝敗がある。
スポーツの残酷なところと、愛すべきところですね。
歴史は変えられないので、来年の日本一に向けて、何をするのか考えましょう。

そして動き出しましょう。
あっ、でも心も体も休めることをお忘れなく。

 

こちらは先日、CAL(UNIVERSITY OF CALIFORNIA BERKLY)にホームで敗戦しました。
2ミニッツの最後の最後、残り10ヤード地点でインターセプトを喫して終了。。。
こんなに悔しいと思った試合は、初めてかもしれないです。

 

さて、このSTANFORD vs CALの試合は、普通の試合ではありません。
なんとこの広いアメリカにあって、車で30分ぐらいで着いてしまう位置にある両校は、

昔からのライバルなんです。
今年でなんと112回目の対戦となります。
私たちはこの勝負に「THE AXE」(斧)と呼ばれている斧をモチーフにした盾(トロフィー??)を

賭けて戦っています。
つまり勝った方がこの盾を1年間保有できるんです。
この試合だけ、最終戦かその前の試合に毎年スケジューリングされますし、

学校や地域全体でその1週間を(異常なぐらい)盛り上げるゲームになっています。

 

我が校が所属するPAC-10リーグは、西海岸(太平洋側=PACIFIC)の10校で構成されています。
そして、それぞれが以下のようにライバルチームを持っています。
USC - UCLA
STANFORD - CAL
ARIZONA STATE - UNIVERSITY OF ARIZONA
OREGON STATE - UNIVERSITY OF OREGON
WASHINGTON STATE - UNIVERSITY OF WASHINGTON
それぞれの試合が、チームの成績に関係なくほぼ満員になって、1年で一番盛り上がります。

 

これだけ一生懸命説明するぐらいだいじなゲームに負けてしまったわけなんです。。。
選手もコーチも、それはそれはショックでした。

しかし、そんなこと言ってられません。
次はあのNOTRE DAME大学との試合であり、レギュラーシーズンの最終戦です。
私にとっても、NOTRE DAME JAPAN BOWLで一緒に働いたスタッフと相対する、
(それだけに)絶対負けられない試合です。
できる限りのことをして、勝利に貢献したいと思います。

 

来週から(ちょっと遅いですが)NFLのことを書いていこうと思います。

ではまた。

 

TK

 

2009年11月17日

USC戦

つい昨日、USC (UNIVERSITY OF SOUTHERN CALIFORNIA)に勝利しました。
しかも55対21の歴史的大勝でした。

 

敵地へ乗り込んでのゲームが苦手な私たちにとっては厳しいゲーム。
しかもUSCの本拠地L.A.コロシアムは超満員の9万5千人。
STANFORDのファンは1,000人もいなかったんじゃないかと思われます。

 

試合は前半を21対7で折り返して、後半はタッチダウンを取り合う展開に。
最後まで集中力を切らさなかったSTANFORDが4Qに27点を奪って(DEFのINTERECEPT

RETURN TDを含む)勝利するという、(私たちにとって は)この上ない内容でした。
勝因はいくつかありますが、個人的にはPLAYERが自信を持ってPLAYしていることが
手に取るように感じられたことが、何よりもうれしかったです。
あと2戦、まだ少し残っているPAC-10(STANFORDが所属している太平洋側の10校から

なるリーグ)チャンピオンへの可能性を信じて、1分1秒を大事にすごしていきたいと思います。

 

ESPNのトップもSTANFORDだらけです(11月16日15時現在)。

この中でも紹介されていますが、STANFORDは全米ランキングの17位まで上がってきました。
なんだか実感が湧きませんが、一昨年4勝、昨年5勝(いずれも12戦のうち)のチームが
ここまでくるとは……っていうのは、見ている人が言うことですね。
私も今は次の試合のことしか考えてません。次のご報告をお楽しみに!

 

-とこれを書いている間に、オービックシーガルズ IBM戦勝利のニュース!!
GREAT JOB!!
さぁ、次はリベンジの電工戦ですね。
自分たちの力を信じて、シーガルズらしく、自信を持って戦おう!!
GO SEAGULLS!!

 

TK

 

2009年11月10日

OREGON大学戦

昨日、OREGON大学との試合に51-42で勝利しました。

 

TVでは今日も一日中、「奇跡の勝利」みたいな報道がされていましたが、
当事者から見れば、言い方はおかしいかもしれませんが、「勝つべくして勝った」試合なんです。
どうしてか? 勝つために練習しているからです。
すべてが勝つためのスカウティングやゲームプランやミーティングなんです。
コーチングスタッフは喜ぶのは昨日で終わり。

今日の早朝から次の土曜日のUSC戦への準備を始めています。

 

ゲーム内容はというと、ゲームプランどおり、ランとパスの割合が半々ぐらいで、

うまくボールと時計をコントロールしながらも、要所でロングパスが決まるという素晴らしい内容でした。
結局、パントは2回しか蹴っていないと思います。


戦略面よりもなによりも、今回の試合では、精神面で相手を上回れたと感じました。

先週の練習やミーティングでは、「信じること」という言葉を繰り返しヘッドコーチが言い続けていました。
この大きな試合に臨むにあたって、
「仲間や家族、自分たちのやってきたこと、何よりも自分を信じることを大事にしよう」
というのをテーマに、今週は練習をしてきました。


私もまったく同感です。
やっぱり自信のある人がやることとそうでない人がやることは違いますよね。
しかし、何の苦労もないところに自信は生まれません。
スポーツの場合は、その根拠となるのが練習であると私は思っています。
今週、私たちは試合で自信が持てるような練習ができたのだと思います。
そしてその集合体が信じることを生み出して、迷いの無いプレイができたのでしょう。
古いですが、スクールウォーズ(昔のテレビドラマ)で滝沢先生が言っていた、

「信は力なり」を思い出しました。

仲間を信じて、残りの3試合、がんばっていきます。


けっこうなニュースになっていたので、見てください。⇒記事

 

TK

 

 

敗戦・圧勝-vsARIZONA大

前回、OREGON STATEに惨敗した後、ARIZONAへ遠征に行きました。


敵地へ乗り込んでのゲームに極端に弱い私たちにとって、鬼門の2連戦。

結果は、逆転に次ぐ逆転の末、負けました。
再三のチャンスを生かせなかったのが敗因です。
逆にASUに、少ないチャンスを素晴らしい集中力と粘りでものにされた結果の敗戦でした。

 

試合とは関係ありませんが、試合前に、サイドラインで「こんにちは!」と声をかけられました。
直接話したことはなかったですが、元鹿島の池野君でした(立命館大出身)。
仕事で来ていたようですが、あんなところで日本人に声をかけられたのは、なんだかうれしかったです。

 

次の週はASUをホームに迎えての一戦。
この試合はランもパスも好調で、ここ数年、リーグの優勝争いの常連だったASUに圧勝しました。


この勝利でSTANFORDは5勝3敗。

あと1勝でBOWL GAMEへ出場できる権利を得る(100%ではない)ところまできました。
残り4試合を残して、昨年と同様の5勝。しかし、あと1勝が遠い。。。
残り4試合の相手はすべて全米ランキングに入っている(毎週25位まで発表)強豪なんです。
OREGON(6位)、 USC(12位)、CAL(21位)、NOTRE DAME(22位)。

各社のニュースでも、これは厳しいスケジュールであると取り沙汰されていました。

 

今週末はその中でも一番ランクが高い(強い)OREGON大学です。

しかも先週、USCに47-20で圧勝しています。
素晴らしいアスリート集団が繰り広げるスプレッドオプションは破壊力抜群です。
うちのDEFはどうやって止めるのか、見当もつきません。。。
OFFとしてできることは、うちのDEFをフィールドから遠ざけることしかなさそうな気がします。
ボールコントロールをして、チャンスを逃さない。
そんな戦い方をして、ひと泡吹かせてやりたいもんです。

 

TK

 

2009年10月19日

NFL(どうでもいい)情報 49ers編

今回は、少し趣向を変えて、NFLの情報(ただし、どうでもいい?)情報をお伝えします。

 

●地元49ersが絶好調です。

 

昨シーズン途中からエースの座に着いたショーン・ヒルやフランク・ゴア等が大活躍してますね。
ヘッドコーチであるマイク・シングレタリーは、私たちの世代にはたまらないシカゴ・ベアーズの

スター選手(LB)でした。2003、2004年のシーズンはレイブンズのLBコーチ、その後、

49ersのヘッドコーチとなったマイク・ノーランと一緒に49ersのLBコーチに就任。

昨年、シーズン途中に成績不振を理由に解雇されたマイク・ノーランの後任として

ヘッドコーチになりました。 お気づきかもしれませんが……そう、彼はヘッドコーチばかりか、

コーディネーターの経験もありません。

アメリカのフットボール界、ましてやNFLではあまり聞かない話です。

それだけリーダーシップやコミュニケーション能力等の、人をひきつける力が優れているんでしょうね。

そうでないと無理だと思います。


私のボスである、STANFORDのオフェンスコーディネーターがレイブンズ時代の同僚と

いうこともあり、私も二度ほどお会いしたことがありますが、なんというか……人間としての

大きさを感じる人でありました。


私たちは試合の前日にゲストスピーカーを呼んで、士気を高めるミーティングをします。
2年前にコーチ・シングレタリーも来てくれましたが、その時は「神は・・・」、「神は・・・」と宗教的な

話に終始していたことを覚えています。英語力のなさも手伝って、(少なくとも私にとっては)

そんなに「おもしろい話」ではなかったような気がしたのですが、詳しい内容はさておき、

(私の意に反して)スピーチが終わった際には、スタンディングオベーションで、

しばらく拍手が鳴り止みませんでした。

敬謙なクリスチャンが多いこの国では、神についてと、フットボールというチームスポーツを

組み合わせた話というのは、貴重で気高いものなのかもしれません。

今思えば、内容の詳細は理解できずとも、説得力のある話し方であったことは間違いありません。

 

●その49ersのオフェンスコーディネーターのジミー・レイという大ベテランのコーチがいます。
年齢63歳、コーチングキャリアは40年近くあるのではないでしょうか。実は私、この方に2回も
会ったことがあります。(定かではありませんが)2003年ぐらいにJETSがNFL TOKYOに

来日した時と、2005年に私がJETSのファシリティーを訪問した際に。

 

見た目も中身も「おじいちゃん」なんですが、私の友人であるビル・キャラハン(JETS ASSISTANT

HEAD COACH)の息子も、JETSのOLの選手も、私の同僚の親友である49ersの選手も

口を揃えてこう言います。
「このおじいちゃん、ミーティング中、すぐ寝ちゃうんだよー……」
本当らしいです。周りのコーチが優秀なんでしょうか???
姿勢や態度が重視される日本ではありえないのかもしれませんが、現実と優先順位、

そしてなによりも結果が重視されるこの国ならではなのかもしれません。。。

 

●49ersの本拠地であるキャンドルスティックパークは、サンフランシスコの海沿いにあります。
埋立地であることも手伝ってか、時間によってグラウンドの硬さが変わるそうです。

潮の干満に関係しているとか。。。アメリカのスタジアムという感じで、スタンドの上部から海への

景色等、観戦するにはまったく問題ないんですが、一つだけ問題が……。
昨年、試合を残り1分まで観戦して、家路に着こうと駐車場を出ようと……出られない……

車の列がまったく動かない。。。埋立地、しかも山を削って造ったような立地ゆえ、

駐車場事情が最悪なんです。結局30分で帰れるところが3時間近くに。駐車場を出るのに2時間以上。

アメリカ人に言わせれば、
「そんなに急がなくても、駐車場でビールでも飲んでれば!」

なんでしょうけど、日本人にはちょっと信じられない、そんな事情があります。

観戦に来られる方はご注意を!

 

TK

 

勝ちました! 負けました!

10月3日、まだ無敗のUCLAをホームに迎えての試合。

 

ランプレイで終始フィールドと時計を支配して、会心の勝利!
何年も勝てていなかったUCLA、しかも昨年は終了6秒前に逆転負けしていただけに、

格別にうれしかったです。これで4勝1敗となって、カンファレンス内では無敗なので(同率)首位に!
翌日のESPNではランキングにこそ入らなかったものの、もう少しでランキングみたいな
ポジションにノミネートされていました。

 

そこで迎えた10月10日のOREGON STATEとのアウェイゲーム。


試合開始の1stプレイ。用意してきたTD狙いのプレイアクションパス、レシバーはワイドオープン、
QBもそこへストライクのパス、実に60ydを超えるパス、ボールを追いかけるDBは10yd後方。
がしかし、ポロリ……。この国でフットボールをしていて思うこと
「チャンスをものにできる率と勝率は、比例の関係にある!」
そりゃ、勝てないよ。。。その後はアウェイのクラウドノイズも手伝って(後半持ち直したもの)
38-28で敗戦。

 

このOREGON STATEのスタジアム、満員になっても4万人そこそこですが、ノイズが凄い。
スタジアム全体を見渡してみると……納得。観客の応援(騒音)が外に逃げづらい構造になっている。
3つのビルの谷間にスタジアムがある感じで、観客席の上の方は相当急な構造に。
そう言えば、シーホークスのスタジアムも「世界で一番クラウドノイズが大きいスタジアムに!」
というテーマで設計されたとか言ってたような。。。

 

いやー、しかしフットボールというのはいろいろなことを教えてくれます。
勝って調子にのってる時は奈落の底へ、そうかと思えば、急に持ち上げてくれたり。。。
諸行無常・盛者必衰、ですねー。

 

オービックシーガルズの前節は、フットボールの神様が何かを教えてくれた試合だったようですね。
勝って反省ができるなんて、幸せだ!

GO! OBIC SEAGULLS!!

 

TK

 

最高ですか?

オービックシーガルズ・前キャプテンの庄子君がよく言ってました。
「シーガルズ、最高だよー!」


プレイヤー、チアはもとより、関係者の多くの人が「シーガルズは最高だ」と

思っているのではないでしょうか? 私もそのうちの一人です。

 

私がシーガルズでコーチをしていた頃の話です。

オフの期間を使って、コーチ全員で集まっていろいろな研修をしました。

私たちの仕事はチームを日本一にすることですから、それは真剣に、数週間に渡って研修や

勉強をしました。詳細については割愛しますが、その中で印象に残っている話題があります。

 

「最高」と「最強」の違い。
庄子君がキャプテンだったこともあり(?)、当時のシーガルズを評するにあたって、
最高のチームという表現がよく用いられていたような気がします。
(私だけなのかもしれませんが……)私の中での意味の違いを説明すると、

 

最高
・最も高い(良い・優れている)
・誰でもなれる、言える
   → 事実に基づいていても、いなくてもそう表現できる

最強
・最も強い
・より事実に基づいた表現である(そうでなくても使うことはあるが)
   → 勝負に勝ったもの、チャンピオンを評するに相応しい表現である

 

言葉を選ばず言えば、自己満足で「俺たち最高だぜー!」と言っているか、

他のチームや世間にも認められる強いチームであるか、ということになるでしょう。

オービックシーガルズは、いつでも最高のチームです。それは、誰もが認めていることだと思います。

でも、選手でもスタッフでも関係者でもファンでも、そこで満足している人がいるならば、

最強への道はより険しいものになってしまうでしょう。

今一度、「最強」がゴールであることを確認して、ここからの厳しい道のりを勝ち抜いていきましょう。

 

シーズンが終わったら、みんなに聞いてみたいと思います。
「オービックシーガルズは最強ですか?」

 

Go OBIC SEAGULLS!!!

 

TK

 

2009年09月29日

VSワシントン大学

昨日、先週の試合で全米ランキング3位だったUSCに勝って勢いに乗る
ワシントン大学との試合がありました。

 

ワシントン大学は、名門校でありながら、

昨年は12戦全敗でコーチングスタッフが総入れ替えになったチームです。
新しいコーチ陣は元USCのコーチングスタッフが中心で、
選手は同じでありながらも素晴らしいチームに生まれ変わっていました。
しかも、先週のBIG UP SETで全米ランキング24位にランクイン、
強豪をホームに迎えての試合になりました。

 

結果は34-14で勝ちました!!

 

低迷していたデフェンスが奮起しての勝利だったので、価値のある勝利です。
次はUCLAを迎えてのホームゲーム。楽しみです。
相手が強ければ強いほど楽しみなのは、

オービックシーガルズで培った勝負への姿勢だと思います。


また、いい報告をしますね。

 

たまっている写真を!

 

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▲キャンプの前に作ったPLAY BOOKです。厚いでしょー??


STANFORDでは、PLAY BOOKはキャンプ終了とともに回収します。
その後、毎週のゲームごとにGAME BOOKというゲームプランや
スカウティングレポートが入っているものを配布&回収します。

 

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▲私のシーズン中の仕事の一部です。左のモニターにデータとして取り込まれた
相手チームの試合の映像を、右側にその内容を打ち込むデータシートをセットして
スカウティングを進めていきます

 

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▲試合の直前にできあがったコールシート+リストバンドです

 

ではまた。

TK

2009年09月24日

敗戦

先週、ノースカロライナへの遠征について触れましたが、負けて帰ってきました。。。
飛行機で5時間半の遠征で負けて帰ってくるほど、アホらしいことはありません。
ゲーム内容も含め、二度と過ごしたくない時間になってしまいました。

 

このゲームでは、アメリカでのアウェイゲームのタフさを思い知らされました。
相手は、日本ではあまりなじみはないですが、WAKE FOREST UNIVERSITYという
ACC(ATLANTIC COAST CONFERENCE)の強豪です。
今年は実力的には突出したものはないんですが、素晴らしいフットボールチームです。


相手の実力はともかく、アウェイの恐ろしさとは……

1)相手チームはシーズン直前になんらかの理由をつけて、試合のキックオフを正午に早めました。
 → 西海岸と東海岸では3時間の時差があるので、私たちにとっては(西海岸の時間では)
  朝9時のキックオフになります。今回の時間変更の理由は定かではありませんが、
  大陸をまたぐ試合には、こうした嫌がらせに近い行為がたまにあるそうです。
2)審判は全員ACCの所属でした。
 → 当方にとっては「不本意な判定」がいくつかありました(すべて勝負を賭けた場面やプレイ)。
3)細かいこと
 → ロッカーのクーラーが故障していて、蒸し風呂のようでした。
  ロッカーのトイレにトイレットペーパーなし。

 

とにかくストレスのたまることが多い遠征でした。でも、こういうことはよくあることだそうです。
アスリート揃いのスピードのあるチームに対しては芝を長めに刈ってみたり、
チームが前日入りしてグランドコンディションを確かめて帰った後に芝を短く刈ってしまったり、
シーズン前半のまだ暑い時期に、(西日の当たる)暑い方をアウェイ側のベンチにしてみたり。。。

 

まぁ、私たちの場合のそれは、敗因の1%にも満たないことでした。
今週末の試合に向けて精進します。

 

オービックシーガルズも調子いいみたいですね。今後が楽しみです。

GO OBIC SEAGULLS & CARDINAL!!

 

TK

 

2009年09月10日

時間が……

ありません。。。
今週の平均睡眠時間、3時間。。。

時間がないので、最近のUSAフットボールについて、徒然なるままに。

 

・初戦のWASHINGTO STATEに勝利しました。
AWAYゲームでしたが、ほぼプラン通りのゲームができました。
この学校、WASHINGTON州のいちばん東側に位置していて、周りにはなんにもありません。
そう、あまり娯楽がないんです。なので、FOOTBALLの開幕を待っていた田舎の人たちが
大挙して訪れたスタジアムは超満員! それはそれは凄いクラウドノイズでした。
 
・何回か前のブログで、一年生がスターターになることの難しさを説きましたが……出ました!
しかも名門USCで! プレシーズンのランキングでTOP5に入っていた、

USCのQBのスターターはなんと入学したての1年生です。
MATT BERKLEY選手は、この学年でNO.1のQBにランクされた逸材です。
しかも、GPA(日本で言う評定平均)がパーフェクト。そうオール5なんです。
初戦はあまりピリッとしていませんでしたが、末恐ろしいです。
(と言っても、50点以上取ってましたが。。。)

 

・明日からNORTH CALROLINAへ遠征に行きます。キックオフは12時です。
アメリカの東西の時差を考えると。。。なんと、朝9時のキックオフになります。
そのため、今週は4時半にミーティングを開始したり5時半から練習したり、大変です。
 
・COWBOYSの新しいスタジアムでのPRE SEASON GAMEをTV観戦しました。
フィールドの中央付近に位置する巨大なスクリーンは横幅50mはあるでしょう。。。
なんとこのスクリーンだけで、前のスタジアムができてしまうぐらいのコストだそうです。
ちなみに40億円ぐらい。。。

 

・NFLの開幕も近づいています。

先週、NFLでは3人のオフェンスコーディネーターが解雇されました。
理由はどうあれ、1ヵ月以上のキャンプを経て、なぜこのタイミングで??
そのうちの一人は私の師匠とも呼べるジェフ・ジャゴジンスキーです。
彼とはアトランタに行ったときに初めて会って、その後も何度かフットボールについて

話す機会がありましたが、これほど天才を感じた人はいません。
COACH JAGSは昨年のオフにBOSTON COLLEGEのヘッドコーチを解雇になったばかり。
しかもその理由はNY JETSのヘッドコーチのインタビュー(面接)を受けたからというだけでした。
なんだか不運続きですが、この人は近いうちにどこかのチームのヘッドコーチになるに違いありません。

 

明日も4時半ミーティング、その後6時間のフライト……もう寝ます。

 

TK

2009年09月03日

オービックシーガルズの練習

ご無沙汰です。更新遅れて申し訳ありません。
不幸が続きまして、日本に6日間だけ帰国していました。
キャンプも終盤だったので、抜けづらいかと思いきや・・・
「いつでもファミリーが一番!」というひと言で、すんなり帰国できました。

 

滞在中、オービックシーガルズの練習に行ってきました。


ひと言で言うと、「懐かしい・・・」

実は、(練習を見ていて)初めは「なんだかぬるいなー」って、感じてしまいました。
でも、時間が経つとともに、みんなの本気度合いが妙な懐かしさとともに伝わってきて、
楽しかったです。

 

実は最初ぬるいと感じてしまったのには理由があります。


アメリカのカレッジのコーチとプレイヤーの関係は、ひと言で言えば「絶対服従」です。
コーチの言うことがおかしくても、不満があっても、その場では「Yes, coach!」です。
人間ですから、あとで陰口叩いたりすることはありますが、

基本的には上下関係がはっきりしています。
(チームにもよりますが)カレッジフットボール界のミーティングや練習は、いわば、
軍隊の演習みたいなものなんです。
みんなキビキビと無駄口一つ叩かず、テンポよく練習やミーティングをこなしていきます。
なので、シーガルズの練習を見た瞬間に、なんだか(自分の中での)練習というものとは
違う練習に違和感を感じたのです。

 

でも、目が慣れていくと、決してダラダラやっているわけではなく、
みんな一生懸命取り組んでいるし、「勝ちたい」という気持ちが伝わってきました。


一つ、うらやましくも懐かしくも感じたのは、みんなが練習を楽しんでいること。
一つひとつのかけ声や、コミュニケーションを見ていても、楽しもうとする雰囲気が伝わってくる。
特にOLのパートを少しのぞいたときに、みんながしょうもないこと言い合って、
楽しみながら練習しているのを見て、「俺もこんなこと率先してやってたなぁー・・・」と
昔を思い出してニヤついてしまいました。
本人たちは意識してないのかもしれないけど、久しぶりの私は

「本当にいいチームだなー。。。」と素直に感じられました。

 

でも、一つだけ足らないことがあります。

 

「CHAMPIONSHIP」

 

エダ君の恩師の言葉を借りれば、「強いチームが勝つのではなく、勝ったチームが強い!」。
ただの、楽しい、そこそこ強いチームで終わるのか、本当の強いチームになるのかは、
プレイヤー・スタッフ・チア・ファンをはじめとする、私たち次第です。
特に、それを直接的に動かすことのできる、プレイヤーとコーチの皆さんには、
今一度ふんどしを締め直して、初戦に臨んでほしいものです。

 

GO OBIC SEAGULLS!!

 

TK

 

2009年08月20日

キャンプ

皆さんは1ヵ月ものキャンプ(合宿)をしたことがありますか?

 

私は、ここに来るまでなかったです。
もう3年目なので慣れましたが、1ヵ月もの間、数日のオフは除いて、

練習とミーティングが嵐のように行われていきます。
そもそも、アメリカでの新学期は9月からです。

日本で言えば、(春休みが1ヵ月あると仮定したら)3月の1ヵ月キャンプをした後、

4月の第1週目に、全国ネットで中継される開幕戦がやってくるわけです。
もちろんオープン戦など(NCAAの規定上)できません。

だから、長期のキャンプが必要なんです。
こちらに来て肌で感じていますが、1年生でスターターになるなんてことは、

とんでもないことなんです。
ましてやQBでなんて。。。怪物と言えるでしょう。

 

6月にハイスクールを卒業した有望な新人たちは、7月にはキャンパスに集まって、

ストレングスコーチのプログラムに基づいて上級生と一緒に練習を開始します。

7月の後半までは、(これもNCAAの規定上)フットボールのコーチが帯同した練習は

できませんので、ストレングスコーチのプログラム以外は、自分たちで練習をしています。

STANFORDだからなのかはわかりませんが、(特に)スキルポジションの選手たちは、

自分でスクリプトワーク等をして、練習をしたり新人向けのウォークスルー等を行っていました。

 

キャンプが始まってもう1週間経ちますが、眠いです。

毎朝6時にはオフィスへ向かい、帰れるのは早くて23時ぐらい。

でも、きついとかしんどいとか思ったことは一度もありません。
なぜなら、FOOTBALLだからです。

睡眠時間以外は、自分の好きなことをやってるので、楽しくてしょうがないです。

なかには、どうでもいい仕事もありますが、そんなときには開幕戦のフィールドに
立っている姿を想像して、テンション上げて乗り切っています。

 


ノートル・ダム・ジャパン・ボウルから帰国後にロッカーを開けたら、今年のギア

(日本ではグッズとか言いますが、 アメリカでは通じません)が支給されていました。

STANFORDはNIKEがスポンサーですので、NIKEのギアしか身に付けられません。

まぁ、制服みたいなものですね。

今回支給されたのはキャンプ用のギアで、今年支給されるギアのほんの一部でしかありません。

これは自慢とかではなく、皆さんに「本物」を伝えたいだけなので、気を悪くされたら申し訳ありません。
アメリカではこれが当たり前なんです。

選手にはフィールドのコンディションにあわせてスパイクが5つも6つも支給されますし、

(私みたいなアシスタントでも)年間5、6足の靴は支給されます。
去年はTV中継が多かったせいか、ほとんど毎試合新しい靴だった覚えがあります。
NFLなんかはこれの2、3倍は支給されるようですが。。。
ちなみに今年のギアは、デザインもクオリティもマテリアルもなかなかです。

 

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ではまた。

TK

 

2009年08月12日

最後に。NDJBのお礼

またもや掲題の件です。

 

試合の後、試合会場やパーティで数多くのALL JAPANの選手と話をしました。
みんなそれぞれの感想を述べていましたが、総じて
「(思っていたより)たいしたことなかった」
「もう少しランプレーがいけたと思う……」
「負けた気がしない」
といった内容の感想が多かったように記憶しています。

 

ノムさんの言葉を借りると、「勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし」ですが、

(試合直後なのでビデオを見ての反省ができていないからなのか?)
不思議な負けをしてしまったかのようなコメントがありました。

 

主観ですが、この試合はチャンスを活かす能力の差が大きく出た試合であると思います。
古谷君(#20)も絶賛していた#41のLB MICHAEL GOOLSBY選手が試合前に

言っていた言葉を思い出します。
「1プレーや個人を見れば勝ち負けはあるかもしれないけど、試合が終わったときに
チームとして負けるはずがない。俺たちは本当に小さいときから何回もフットボールの
試合をしてきて、何度もきわどい場面を勝ち抜いてきている。そこを勝ち抜いてきた

からこそ、NOTRE DAMEでフットボールをすることができたのだ」


その言葉の通り、場数というか、修羅場というか、ピンチやチャンスを経験し、且つ
勝ち抜いてきた経験の差が歴然としていたような気がしました。
そしてこれこそが、私がアメリカへ行ってから何度も見せつけられ、味わわされてきた
「底力」なのだろうと思います。

 

NDJBでは、事前の準備段階から本番まで、本当にたくさんの皆様にお世話になりました。
オーガナイザーの山田晋三君。(普段も寝てるか起きてるかわかりづらい顔ですが。失礼!)
ほとんど寝ずに私たちの対応をしてくれました。
このプロジェクトの責任者でもあった戸張さん、私のわがままをなんでも聞いてくれた田中さん、
完璧な通訳をしてくれた壁谷さん、何から何までありがとう「シゲ」、オービックシーガルズ
ファミリーでもある都野さん、リッツカールトンの竹田さん、細かい配慮をしてくださった
ツアーオデッセイの住野さん、グラウンドを貸してくださったうえに練習のお手伝いまで
していただいた内田監督さんをはじめとする日大の方々、汗だくでがんばってくれた鈴木君、
同行したアメリカ人の家族の女の子(8歳)よりも小さいのに細かいことに気遣いしてくれた
酒井さん、大阪からわざわざお手伝いに来てくれた辻さん、練習を手伝ってくれたジョルディー、
通訳から選手の家族の対応までありがとう千春、周囲にに振り回されながらもがんばって
くれたライ、チケットなど裏方的なサポートをしてくれた藤島君、その他にも数え切れない
方たちの支えがありました。あらためて、本当にありがとうございます。

 

こちらに帰国したその足でオフィスに出勤。キャンプの準備が始まりました。
次回はそのキャンプの様子を!

 

TK

2009年08月03日

日本へ

7月16日(木)から3日間の練習の後、19日(日)の早朝にホテルを発ち日本へ。
記念にNOTRE DAMEのキャンパスを写真に!

 

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▲NOTRE DAMEキャンパスのすごいところは、すべての建物が同じような
色調と素材で作られていること。50年前の建物も昨日できた建物も、外観は

同じように見えます。クラッシックにつくられています

 

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▲有名な「TOUCH DOWN JESUS」-意図的ではなく、昔からあったものが
そう見えるだけだそうです

 

言い忘れてましたが、最終日の練習でFBのスターターであったディーン・ライトル選手が

アキレス腱を断絶。。。190㎝以上ありながら、ブロックはもちろん、パスキャッチもできる

素晴らしい選手だったんですが。
3日間のキャンプで相当数の怪我人を出した挙句、疲れも取れていないのに、

12時間超のフライト……どうなることやら???と思ったのを強く覚えています。

 

成田に着くと、数多くの日本の関係者の方々が出迎えてくれました。

日本人のホスピタリティを久しぶりに感じながらバスへ乗り込み、ホテルへ。
今回一番びっくりしたことの一つが、私たちが滞在したホテル-六本木・ミッドタウンの

「ザ・リッツ・カールトン東京」。凄すぎます!! 安い部屋でも1泊4万円前後。

そこに100人を超える大所帯が。

 

(こういう使い方があっているのかは疑問ですが)75年前にPAUL RUSH先生が
おっしゃった「DO YOUR BEST IT MUST BE FIRST CLASS」という言葉を

思い出しました。あとは試合当日にFIRST CLASSのフットボールを見せるだけ!

と気を引き締めて、日本での練習場所である日本大学へ。

 

内田監督をはじめとする、日本大学の皆さんの受け入れ(サポート体制)も素晴らしく、
何一つストレスもなく練習が進んでいきました。
(ALL JAPAN TEAMのDBコーチであるモリタク(森コーチ)がウロウロしていたことと、
オービックシーガルズOBのサンチェ(白坂コーチ)がうざかったこと以外は……笑)

 

ところが、ここでもやっぱりケガが。エースQBのトニー・ライス、二本目のQBのガッツィー、
スターターRBのゼラース等、いずれも肉離れかその寸前の症状で練習を切り上げる

ことに。連れてきたQBは二人だけ。さぁ、どうしようか? 

そこに救世主が現れました。元々DBで登録のエンベローズが高校時代にQBをやっていた

らしく、急遽抜擢。いきなりパスの練習に入ったら、これがなかなかいい球を。しかも

オプションもできる。卒業間もないアスリートであったこと、DBとしての出場機会が少ない

ことが幸いし、ゲームでもスターターを務めることになりました。

RBも怪我人が多く、RBコーチのレジーが急遽スタイルするはめに。。。しかし、スタイルして

ウォームアップをして5分後、まるでコントのように肉離れ(笑)。しかし、ここにももう一人の

救世主が。#39ブランドン・ホイト選手。今回のチームで最強ユニットであったLBの中から、
高校時代にRBをやっていた選手(本人曰く、あんまりやってなかった)で若くて動きのいい

彼がコンバートされました。彼は現役時代は、(あのノートルダムの)キャプテン。練習中も

動きがよく、理解度やリーダーシップも秀逸でした。個人的には彼のLBとしてのプレイを

もっと見てみたかったですが、試合では立派にRBとして活躍してくれました。

 

ゲーム中は、私はスポッター席からコーディネータをサポートしました。スタンフォードでも
(インカムから)声は聞こえますが、あまり発言をする機会があるわけではないので、
試合前は自分の発信した情報がプレイコールに直接関わってくることに不安を覚えました。

しかも試合中は興奮状態に強いテキサス訛り……。本当に不安でした。

でも、なんとかなるもんです。大きなミスもなく、1Qにパーソナルやフォーメーションで偏った

傾向を発見したときには、けっこう誉めていただきました。

 

試合は、オフェンスに怪我人が多い中、【ディフェンスでスコアする】という急遽できた目標も

達成でき、デフェンスとしては会心のゲームであったと言えると思います。
終了に近づいてくると、COACH DARNELLとCOACH LEWIS(二人ともコーチ業は引退)が
「これが俺たちの最後のディフェンスプレイコールかな」と冗談とも本気とも取れる(寂しい)コメント。
「TK、早くどっかのヘッドコーチになって、俺たちを雇ってくれ! 

 もう現場に戻る気はないが、おまえからのオファーなら断る理由がない」
「わかった。努力します。でもあと50年ぐらい必要だ!」
「医療の進歩に賭けよう!」
みたいなアメリカンジョークを交わしながら、試合終了の瞬間を迎えたことを覚えていますし、
忘れることはないでしょう。

 

試合終了後、フィールドへ降りて選手やスタッフ全員と握手。心からうれしく、ホッとできた

時間でした。日本の、特にオービックシーガルズの選手やコーチとも言葉を交わして、
最高の時間を過ごすことができました。ロッカーに帰ってからも、コーチ・ホルツからの
ねぎらいの言葉と「さぁ、あの歌を歌おう!」のかけ声のもと、
ノートルダムのファイトソングを全員で大合唱!!

輪の中心にいて、誰よりも大きな声で、満面の笑みでファイトソングを熱唱する
コーチ・ホルツの顔は一生忘れることはないでしょう。

 

日本側には大きなケガがなかったようでよかったー、と話していると、ノートルダム側は
けっこうな怪我人が。アキレス腱断絶1名、靭帯断絶(損傷)2名、強度の脳しんとう2名etc.
帰国してから本格的な検査をということでしたが、この試合がいい思い出のままであることを
望んでやみません。

 

最後に、家族をはじめ、この機会を与えてくれたすべての人に、あらためて感謝の意を。
ありがとうございました。

 

TK

2009年07月31日

NOTRE DAME JAPAN BOWL

サウスベンド(NOTRE DAMEの所在地)での練習、日本での練習&試合で、

更新が滞っていました。申し訳ありません。

期間中のことをレポートします。

 

--------------------


キャンパス内でのミーティングは、大きなアリーナの一角にある「モノグラム・クラブ」と

言われる、OB会組織のホール内で行われます。このアリーナとその中にあるミーティング

ルームやホールのいたる所に、NOTRE DAMEの歴史や栄光を称えるディスプレイが

施されています。

 

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▲ハイズマン・トロフィー×7個。信じられません。。。

 

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▲最新の受賞者は、WRコーチも務めたティム・ブラウン氏。
そう考えると、けっこう昔だな。。。

 

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▲昔のユニフォーム等

 

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▲若き日のジョー・モンタナ

 

歴史とその重みを感じながら、日々の練習の準備とミーティングを行いました。

 


今回のディフェンスのゲームプランは-

 

1)パッシングゲームに絞る
オールジャパンチームが本当のFULL BACK & TEをセレクトしていなかったため、
80%以上がパスで、ランはチェンジアップでの使用のみであろうと予測
・ショートパスへの対応
 → アンダーゾーンを守るためのカバーを多めに準備
・ドロー&スクリーンへの対応
 → ラッシュコントロールのために序盤から多めに使用するであろう
・木下選手を中心にカバーするカバレッジコールを準備
 → 身長が(アメリカ人に比べ)大きくないため、フィールドサイド(広い方)のNO.2かNO.3に

   配置して、短いパスを取らせて走らせるパターンが多いと予測
・セミロールやロールアウト等の対応
 → 必ず投げるポイントを動かしてくる

 

2)ランは二の次
・早いタイミングのオプションへの対応
 → ゲームの早い段階で、QBとRBどちらがいいランナーかを判断しアジャストする。

   基本的にはQBを走らせて、集まってハードヒット! QBは高田選手しかいないものと考えた

 

少ないスカウティング資料をもとに、上記のようなメインのゲームプランを立てて、

練習が開始されました。

 

5回の練習を終えての感想は-
・怪我人が多い(急に運動したんじゃ、肉離れも起こるよ……)
・ゾーンの受け渡しやそのコミュニケーションはほぼ完璧
・LBのユニットが素晴らしい

 

ディフェンス・コーディネーターのCOACH DARNELL曰く、
「OFFENSEはやりたいことをやればいい。でもDEFENSEはリアクションが大事だ!
何が起こるか、それにどう対応するかがDEFENSEの良し悪しを決めるし、一番の醍醐味でもある!」
-おっしゃるとおりです、コーチ。

今までOFFENSE側でしか働いたことのなかった私にとって、素晴らしい経験となりました。

 

サウスベンドでの練習期間中は、スタジアム内のロッカーで着替えて、練習フィールドへ。

そのロッカールームがまた素晴らしい。言葉では難しいので写真でご紹介します。

 

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▲着いたらすでにセットアップが完了していました。ゴールドのヘルメットに
ダグラス社へスペシャルオーダーのNOTRE DAMEカラーのショルダーパッド

 

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▲ジャージもショーツも、かけられるところや向きまで決まっています

 

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▲噂のフィールドへの通路

 

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▲コーチは別のロッカーです

 

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▲私のロッカーも

 

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▲ヘッドコーチは別の部屋


次回は、日本に着いてからのことを。

 

TK

 

2009年07月17日

Go Irish!!

サウスベンドに来て3日間のキャンプの準備が終わり、いよいよ今日から練習を開始しました。

一回目の練習が終わってホテルに戻ってきたところですが、やっぱりみんな凄いです。

なかには???な選手もいますが、総合していうと、素晴らしいチームができあがりそうな

雰囲気です。

 

今日は17時からウエルカム・ディナー、約1時間のミーティングの後、いよいよフィールドへ。

 

コーチングスタッフの人数の関係でディフェンスのアシスタントをしていますが、

どこのポジションを見ても、スターター選手のレベルは非常に高いです。特にLBは、歴代の

3人のキャプテンをはじめとして、若くて動ける選手が中心のユニットになっています。
今日、一番驚いたのは、ディフェンス陣のコミュニケーションです。今日、初めてしゃべった

選手同士もいるであろうユニットが、いとも簡単にカバーやラッシュのアジャストコールを

出し合っていました。まるで、つい昨日まで一緒に練習していたかのように。。。
また、ミーティング中の質問も的確で、理解力も信じられないぐらい高い。
ディフェンスコーディネータのcoach Darnellも満足そうに、
「TK、賢い奴らは教え甲斐があるなぁー」

とニコニコしていました。

 

明日からの練習が楽しみですが、その準備で寝られそうもないので、今日はここまで。
NOTRE DAME JAPAN BOWLまで、できる限りの情報をお伝えしていこうと思ってますので、

こまめにチェックしてみてください。
ではまた。

 

TK

 

2009年07月13日

いざ!

日本から帰国しました。


やはりカリフォルニアの気候が一番です。
午前9時ぐらいにこちらの空港に着いたのですが、日差しは強くても日陰は肌寒いぐらいの
カラッとした晴天でした。これから2日間カリフォルニアで過ごして、その後SOUTH BENDへ
乗り込み、NOTRE DAME LEGENDSのキャンプの準備を開始します。キャンプ前ですので、

この2日間もその準備で睡眠とれそうにありません。。。NOTRE DAMEのためにも、

日本のフットボール界のためにも「必死のパッチ」でがんばります!!

 

NOTRE DAME JAPAN BOWLについて、一つアイデアがありまして、共有します。
今、私やその他のコーチが作っている資料、具体的には-
・プレイブック(OFFENSE DEFENSE KICKING)
・スカウティングレポート
・ゲームプラン
・その他、試合準備のための資料
これらを、(ゲームが終わったら)日本のフットボール協会へ寄贈したいと思います。
アメリカのフットボールチームが試合に関してどのような準備をするのか?を

日本の皆さんに知っていただきたいからです。具体的なオペレーションは(協会の方で)

考えていただく必要がありますが、できるだけ多くの人が閲覧できるようにしていただきたいと

思っています。

 

が、しかし。。。これはまだ私のアイデアレベルです。COACH HOLTZをはじめ、

然るべきところに確認をしなければなりませんが、(日本の)フットボールの発展に関しての

活動の一環であるとお願いすれば、断られることはないと思います。

 

バタバタしておりますが、「大好きなフットボールのこと」「日本のフットボール界の発展に
(間接的ですが)携わっていること」を心からうれしく思い、忙しい時間を楽しんでおります。
あっ、でも、日本のフットボール界の発展のことは考えていますが、日本が勝てばいいとは、
1%も思っていません。私は(今は)NOTRE DAMEのために働いています。

自分のチームが勝つことしか考えておりません。悪しからず。。。
ではまた。

 

TK

 

 

2009年07月03日

帰国中

日本に帰ってきて4日。

 

いやー、天気が気持ち悪いです。同じぐらいの気温なのに、湿度が2~3倍で本当に

ジメジメした感じです。でも、食べ物は本当に最高です。アメリカで4ヶ月で6Kgほど

落としてきましたが、もうすでに2,3Kg戻っている感じがします。
 
今は、NEW ERA BOWLのお手伝いで神戸に来ています。
今日から合流しましたが、あんまりお手伝いすることも無さそうでした。。。
なぜかというと、関西学生リーグのコーチ(STANFORD側でコーチをされている)の方々が

本当に優秀だからです。皆さん、英語もしっかり理解していらっしゃるし、システムの理解度も

本当に高いんです。
STANFORDのコーチ陣は、もう少しコミュニケーションに苦労するのかと思っていたらしく、
私が(3日遅れて)合流した際、「べつにTKのヘルプいらねーやー!」って笑っていました。

あと2日の練習で、どれだけのチームができあがるか本当に楽しみです。
 
話は変わりますが、NOTRE DAME JAPAN BOWL2009のスペシャルゲスト二人

(ジョー・モンタナ、マイク・ゴリック)の来日がキャンセルされてしまいました。


悲しいですが、しょうがないですね。アメリカでは「ファミリーに関する理由」と言われてしまえば、

(よぽど契約で縛られているような約束でない限り)それ以上詮索はしませんし、

しょうがないこととして片付けられます。日本の家族の結びつきが希薄だとは言いませんが、

アメリカでのそれは本当に大きなものです。
NFLの有名なヘッドコーチが、春の大事なルーキーキャンプを欠席した際、他のコーチング
スタッフに向かって、「娘の卒業式なんだ! それより大事なことがあったら教えてくれ!」と

当たり前のように言ったそうです。彼は他のコーチや選手に対しても、「ファミリーを最優先に

しろ!」といつも言っていたそうです。


ジョーとは、先日会った際に「日本で何して遊ぼうか……?』と10分ぐらい入念な打ち合わせを

しましたし、彼は前回の来日のことや今回の訪日について本当に嬉しそうに話をしていました。
私も、私たちも残念ですが、一番残念がっているのは本人であると思います。
なので、許してあげてください。
 
では、また来週!
 
TK

2009年06月24日

帰国

今週の土曜日から日本に帰ります。

 

今年は「NEW ERA BOWL」(7月4日/関西学生アメリカンフットボール連盟)に

STANFORDとUCLA/SAN JOSE STATEが招待されました。

STANFORDのコーチに「おまえが来ない理由がない!」と言われまして、
「NOTRE DAME JAPAN BOWL」の前でやること満載なんですが、友人の結婚式や

他の予定がいくつも重なっているので、行くことにしました。


STANFORDからは、二人のコーチと6人のプレイヤーと私が参加することになります。
彼らと日本でフットボールに携われるなんて、本当に楽しみです。

また、今回帰国している期間中に、日本のフットボールの発展につながるようなミーティングが

いくつかあるので、こちらも本当に楽しみです。具体的になり次第、皆さんとも共有しますね。

 

出発前の多忙と子供向けのキャンプで、昨日は1時間睡眠でした。。。
今日はこれぐらいで。。。寝かせてください。

 

TK

2009年06月18日

ROBERT PRINCE

皆さん、こんにちは。
いよいよパールボウルの決勝ですね。

 

このようなBIG GAMEをどう戦えばいいのか!?
答えは簡単!! 「楽しむ!」ことです。
ファンの皆さんはそこに注目してみてください。

楽しそうに見えるチームが、最終的に勝つことになるでしょう。

選手の諸君は、ぜひ、ゲームを楽しんでほしいと思います。

 

 

さて、掲題の人物、ご存知でしょうか?
ROBERT PRINCE-古いシーガルズファンの方なら、ご存知かもしれませんが……

1996年~1997年、シーガルズでオフェンスコーディネターを務めていたコーチです。

アメリカに帰ってから素晴らしいキャリアを積んで、今年からSEATTLE SEAHAWKSの

レシーバーコーチに就任しました。
日本人の母を持つハーフで、7歳ぐらいまで沖縄で過ごしました。それもあってか、

本当に日本語をよく覚えていて、すぐに当時のシーガルズに溶け込みました。

彼との思い出について話すと尽きませんが、とにかく頭がよく、みんなに元気を与えてくれる、

底抜けに明るいコーチでした。

 

私がこちらに来てからも、いつも電話で話をしていますし、悩んでいることについても

的確にアドバイスをしてくれます。彼との縁があったので、SEAHAWKSヘッドコーチの

JIM MORA Jr.やオフェンスコーディネーターのGREG KNAPPとも仲良くさせてもらっています。


で、今回彼らがミニキャンプを行っているタイミングに訪問することを許されました。

彼らのオフェンスはSTANFORDのオフェンスと似たスタイルであることはわかっていたので、

彼らの練習を見ることは本当に楽しみでした。

 

先週の木曜日、再会を本当に楽しみに、SEA HAWKSの練習施設をシアトルに訪ねました。
ひと言で言うと、「ケタ外れ!」でした。(訪問した順番で)写真を中心に紹介しましょう。

 

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▲ここ全体がオフィス兼練習施設。トレーニングルームも室内練習場も、
チケットオフィスもマーケティングも、すべてここに集約されています

 

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▲この施設は大きな湖に面していて、チーム専用の船着場も持っています。
フリーエージェントの大型契約で加入したTJ.HOUSHMANDZADAH選手が
施設見学に来たときは、この船着場に水上飛行機で登場したそうです

 

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▲一番面積を取っていたのはこの室内練習場。シアトルは雨が多いですからねー

 

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▲キャンプ中なので、施設内のいたるところにある液晶TVにスケジュールが映し出されます

 

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▲ロバート・プリンス本人と対面! 

キャンプ中なので、ちょっとピリピリしてます。年とったなぁー。。。

 

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▲いざ、練習へ! フルコートの天然芝3面。うまくとれば4面はいけそうでした。

練習ごとに(2部練でも)芝の手入れをしていました

 

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▲午前の練習終了後、カフェテリア(食堂)でランチ。

選手・スタッフ・施設内で働いている人・ 報道陣・ゲスト等、

この施設内に入った人(入れた人)はすべてタダ。信じられません。
デザート、ドリンク、アイスクリームまで。。。

 

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▲カフェテリアの目の前は湖。高級ホテルのレストランみたいでした

 

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▲ランチの後、ロバートがスタッフミーティングに行っている間に、机の上の資料を

盗み撮り(笑)。すべてのシーズンのオフシーズンの補強状況やコーチングスタッフの

交代と新しいコーチの持っている戦術等、あらゆることがレポートに載っています

 

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▲キャンプが終了して、開放感に浸っている(本来の)ロバート

 

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▲ちょっと時間があったので、シアトルを観光。スターバックスの発祥の地です。

(魚)市場の一角にひっそりとありました

 

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▲フェリーに乗ったので、そこからのダウンタウン。きれいでした

 


まとめますと……
とにかくすべてがケタ外れでした。
オフェンスについては、システム全体・プレイコール(名前)・コミュニケーションコール等、

ほとんど同じことをやっていました。が、しかし、スピードを含め、ケタ外れのクオリティ。
施設についても、言葉では説明できないようなことばかりだったので、(普段は撮らない)

写真を一生懸命に撮ってみました。何よりも、コーチやスカウト等のスタッフが

本当に素晴らしい。いい出会いもたくさんありました。

 

あんまりよくまとまりませんが、グラウンドで一つ気づいたことが。


選手たちは、みんなプレイすることを(間違いなく)楽しんでいました。
年俸5億以上もらってる選手から、カットされるギリギリのラインにいる選手まで、

全員が楽しそうに練習していました。
個人的に感じたのは、その楽しさの裏には、相当の「自信」がある、
そしてその奥には、その自信をもてるような「努力」があるということです。

 

TK

 

2009年06月11日

留学(VISA取得)エージェント

世の中にはいろいろな仕事があります。

その中には、本当にスペシャリティ(特別なスキルや資格、人材等)が必要な業種もあります。

そのうちの一つが掲題の業種「留学のエージェント」であると思います。

 

しかし最近、「もしかして、そこにスペシャリティが必要であると考えている時点で私が

騙されているのではないか……」と思うような出来事やエピソードを数多く耳にします。

 

こちらに来ている、ある留学生(短期間)から聞いたところによると、

彼が使った留学エージェントは、
・契約を迫ってくる(「今月中に契約すれば」云々)。とにかく毎日のように家にまで電話が

 かかってくる。
・来てみたら、まったく条件が違う(一人部屋と聞いていたのに外国人と4人部屋、
 シャワーが男女兼用etc.)
・契約(出発)前は「困ったことがあったら、なんでも電話してね!」。こちらに来て条件について

 クレームの電話をすると、「それは、そっちの学校に聞いてくれ!」と無責任な対応。
-話を聞いてみると、出てくるわ出てくるわ。他の留学生も不満だらけ……。

共通していることは、「L社には気をつけろ!」ということ。別にその1社を責めるわけではない

ですが、本当に無責任な会社が多いようです。

 

実は私もそれについて苦い思い出が。
昨夏にVISA取得のため帰国した際、港区内の某社に依頼をしました。

なんだか経験も豊富そうだし、特段の理由もなく、そこに決めたのが間違いでした。
・折り返し電話が来ない。
・対応が遅い(時差の関係、郵便事情の悪さ等の言い訳ばかり)。
・専門職なのに知識なし(それにより、取得が1ヵ月以上も延びました)。
・頭にきて「担当者を変えろ!」と言った後に出てきた管理職もまた同じミス。

-その会社がどれだけイケてないかを説明しだすとひと晩かかるので割愛しますが、
最後には、温厚なこの私が「上を出せ!上を!」と“殴りこみ”に行ったぐらい、
「自分がそこに依頼したことが恥ずかしい」会社でした。

 

そして、その“殴りこみ”には社長が対応するということだったので、今までの対応の悪さを

時系列でまとめた上に、その会社とビジネスの問題点をまとめた資料を作成して臨みました。

そこまでしたのは、実際に出た損失(フライトの変更費用)を補填させるという目的があった

からですが……。これって普通に考えたら、面倒くさい客なんだろうなぁー……と思いながらも、

厳しい態度で臨みました。以下は、その際まとめた資料の抜粋です。
・会社全体としての対応の悪さ(折り返し、メール返信)。
・マーケットと顧客に甘やかされたビジネス(他業種と比べると消費者の優位性が著しく低い)。
・他国の大使館や他国の学校等のBLACK BOXが介在するビジネスゆえ、(言い訳できる)

 逃げ道が多い。
・経験値が少ない消費者がほとんどのため、エージェント優位を保ちながらビジネスを展開できる。
・VISA取得後、すぐに出発する利用者が多いため、問題が表面化しないのでは……?
・ONLY ONE ⇔ ONE OF THEM
・手続きや取得の困難さをプロモーション し、 顧客の(エージェントに対する)依存度を高める。

 「どんな小さな書類のミスでも、突き返される可能性があります」と言っておいて、

 自分たちは書類のミスばかり。
-ひと言で言うと、「VISAを取るのは難しいよー……」とハードルを上げておいて、自分たちは

いいかげんなことばかり。社長はとにかく謝り倒しで返金に応じましたが、こちらはキャンプの

準備の仕事に遅れて、精神的なダメージまで……。

 

なんだか怒りがこみ上げてきてうまくまとまりませんが、こっちへ来てみると、意外に自分で

すべての手続きをしてVISAを取得してきている人も数多くいます。しかも私と同じ種類のVISAを。

そういう人たちに言わせると、手間と時間はかかるけど、自分一人でも十分対応できるぐらいの

情報は、大使館のHPをはじめとするインターネットや書籍でも得られるそうです。

私は(滞在期間中の保険も含めてですが)50万円以上もそのポンコツ・エージェントに払って

しまいました。でも、学生やそういったことに時間の割けない忙しい人たちは、エージェントを

使うしかない方法がないですからね。
そこで、お伝えしたいのは、
・慌てずにゆっくりと、自分に合ったエージェントを選ぶ。
・「この人は本当に自分のためにやってくれそうか?」を判断する。
  
※自分や会社の売上のためにやっていないかを疑え!
  ※「決めるなら今だよ」「今ここで決断しないでどうするんだよ」「今決めないと後悔するよ」

   的な発言には注意しましょう。
・なれなれしい言葉遣いには注意!
  
※営業してくる人のほとんどは留学経験者で、先輩風を吹かせて、(特に学生諸君には)

   けっこうな割合でタメ口です。個人的な意見ですが、隣のブースで聞いていて本当に

   不愉快でした。「そうだね!言ってることはわかるけど、親がお金出してくれるうちに

   行ってきちゃった方がいいよ! 私がそうだったし」……。
・成功事例を頼る。友達や先輩等の事例を聞き、信頼できる営業マンを探す。


長くなりましたが、必要以上に臆病になる必要はないですが、

エージェント選びは慎重にしましょう。
ではまた。

 

TK


▼本文とはまったく関係ないですが、同僚のCASEYです。 STANFORD卒で、ドラフトされて

3年間NFLでプレイした後、 今はSTANFORDの大学院(入学するのが本当に難しいです)に

行きながらコーチの勉強をしています。 (負けましたが)SUPERBOWLにも出ています。

ポップコーン、でかいでしょ?

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2009年06月03日

NOTRE DAME JAPAN BOWL

突然ですが、私も「ノートルダム・ジャパン・ボウル」[7/25(土)東京ドーム]に参戦します。

しかし、(残念ながら)NOTRE DAME 側のコーチ・アシスタントとしてです。

 

このゲームの話を聞いた際に、「ALL JAPANのために何かできないか?」と、まず思いました。

 

しかし、オフ期間とはいえ、STANFORDでの仕事やイベントが多数あること、
(VISAの関係上&金銭的にも)そう何度も日本との行き来ができないこと等の理由により
日本側への直接的な関与は現実的ではありませんでした。

 

次に、私はこんなことを考えるようになりました。
「NOTRE DAME側で何かできないか?」


私が彼らのアシストをすることで、日本のFOOTBALLのレベルの高さを認知してもらったり、
彼らのような一流のコーチたちの戦略を日本のFOOTBALL界に還元したりすることで、
(間接的ではありますが)日本のFOOTBALL界発展の役に立てるのではないか?と。

 

数ヵ月後、日本側のイベントオーガナイザーのY氏がプレス発表のためにNOTRE DAMEを
訪れるという連絡が入りました。しかもその週末は、我々STANFORDとの対戦です。
何の因果か……と思い、私が考えていることをY氏に相談しました。

Y氏は私のよき理解者であり、私がここ(STANFORDでのアシスタント)に至るまでに
幾度となくお世話になった人物でもあります。彼は私の考えに賛同し、NOTRE DAME側の
オーガナイザーであるP氏を試合前のフィールドで紹介してくれました。
その時は(試合前だったため)なんの具体的な話もできずに、名刺だけをもらって帰りました。

 

2008年シーズン終了後、P氏と連絡を取り合い、そのアシスタントの仕事に就くためには

どうしたらよいのかを話し合いました。私は彼との相談の通りにRESUME(レジュメ

=こちらでは履歴書をそう呼ぶ場合があります)を作成し、コーチミーティングが行われる

直前に送付しました。数日後、P氏から連絡があり、
「たぶん、大丈夫だ!」と。そして数日後、なんと自宅にCOACH HOLTZからの手紙が……
要約すると、「WELCOME TO OUR TEAM!!」とのこと。本当に心からうれしかったのを
覚えています。

 

4月中旬のスタッフミーティングに参加し、正式にコーチンングスタッフの一員となりました。

それはもうそうそうたるメンバーで、STANFORDのコーチたちも「BIG NAMEばっかりだなぁー」と

驚くぐらいのメンバーの中にポツンと、片言の英語のアジア人が……って、感じであったと思います。


で、私が何をするのか??と状況を見ながら判断すると、どうやら、オフェンスも

ディフェンスもすべてのアシスタント業務が私のところにまわってくることになりそうです。

というか、すでにさばききれないほどまわってきています。
皆さんもお気づきかもしれませんが、[レジェンドコーチ=年齢が高い=コンピュータ操作が苦手]

という方程式が成り立ちます。
そうなんです、すべてのコンピュータを使用する業務が私の元に……なのです。

 

たとえば、ディフェンスのプレイブックの作成。全部で200ページ近くになります。
ある日、ディフェンスコーディネターのCOACH DARNELLから荷物が届き、

中を見てみると2007年のTEXAS A&Mのプレイブック。
「もしかして……」と思っていると、

「TK、それ作れるか?」 と電話が。
もちろん、「YES, COACH!!」と即答!
「どれぐらい時間をいただけるのでしょうか?」
「どれぐらいでできる?」

(紙だけ渡されても、素材もないし、テキストも打ち込まなきゃならないし、しかも200ページ……)

と内心思いながらも、口から思わず出てしまったのは、
「10日間いただけますか?」
「頼む!」
「YES, COACH!」

 

それから1週間強、私の眠れぬ日々が始まりました。
・英語で ・馴染みの薄いディフェンス ・(自分の)クオリティに対するこだわり
・PLAY MAKER(ソフト)の使い勝手の悪さ……こんなこととパワーポイントとの格闘の日々。
しかし、
1)普通に作ったのでは普通のアメリカ人と同じである
     → ちょっとしたデザインやディテイルにもこだわる!
2)約束の10日間で仕上げてもインパクトが少ない
    →1~2日、短縮する!!

そんなゴールへ向けてがんばった結果がこれ↓です。

 

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作成中は、
「こんなもん、絶対全部使うわけない!」
「どうみても同じ作り方(PLAY MAKERとパワーポイント)してるのになぁー……」
等の愚痴も一人でこぼしましたが、以前にお話した「勝つために働く」という言葉が
私の支えとなりました。結果、8日間で自分の(ある程度)納得のいくクオリティの

プレイブックができあがりました。

 

長くなりましたが、私はいつでも勝つために働いています。
NOTRE DAMEの一員として、ALL JAPANに勝つことで、日本のFOOTBALL界への

恩返しおよび貢献ができればと強く思っている今日この頃でございます。

 

TK

 

2009年05月28日

しろたさん

オービックシーガルのOBで、現在は杉並区立和田中学校の校長をしている
代田昭久さんという人がいるのをご存知でしょうか?

 

私がシーガルズに入部した頃は、もう引退されていたので、一緒にプレーしたことは

ありませんが、なんだか、いろんな場面で一緒になることが多くて、妙に親近感がわく

先輩なので、仲良くさせてもらっています。私は代田さんを本当に尊敬しているんですが、

本人やその周りからは、そのように見えないらしいです。でも、尊敬してます。

 

数年前にその代田さんが、(私にとっては)いきなり公立中学校の校長に就任しました。
「なんで?」と一瞬思いましたが、代田さんがやってきたことを改めて考えると、
必然なのかなぁー。。。と思ったことを覚えています。代田さんは、リクルート時代に

大学生を対象としたキャリアスクール事業を経験したり、起業後に、村上龍の著作

『13才のハローワーク』(幻冬舎刊)に共感して、その本の公式サイトを運営したり、

(途中にそうでない時期もあっただろうが)一貫して教育関連事業に携わってきました。


いきなり公務員、しかも学校だなんて、本当にたいへんでしょうね。。。
でも、あのまじめさとピュアな心があれば、ゴールは見えてくるはず!
本当に応援しています。

 

前ふりはこれぐらいにして。
この写真の書「武士道」は、その代田さんが書いてくれたものです。

 

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2007年、USC(南カリフォルニア大学)に劇的な勝利をした次の日、Jim Harbaugh
(ヘッドコーチ)のオフィスから「T.K. 、ブシドウって何だ!?」と大きな叫び声が……。
たまたま『武士道』の英語バージョンを読んだことがあったので、簡単に説明をしました。
彼の友人である海軍の偉い人から、
「大きな勝利に浮かれることなく、武士道精神を持って、残りのシーズンをがんばれ!」
みたいなメールがきたらしいのです。彼はその日のチームミーティングで、それはそれは
うれしそうに、武士道についてみんなに説明していました。

 

その年のオフに帰国した際、代田さんが達筆なのを聞きつけ、お願いして書いてもらいました。
ヘッドコーチは本当に喜んでいました。部屋の真ん中の、誰でも見える場所に貼ってあるので、
いろんな人(特に好奇心旺盛なプレーヤーたち)がその意味を私に質問してきます。

もちろん、しっかり説明して、その人の知識になるように、その人の将来に役立つようにと

「教育」をしています。

 

代田さんの書いた「書」がこんなに遠い所で、間接的ではありますが、人の「教育」に役立って

います。代田さん、これからもオービックシーガルズが誇れるOBとして、がんばってください。

 

★上の写真--ヘッドコーチの部屋の真ん中のドアに貼ってあります。

アル・デイビス(レイダースのオーナー)の写真と 「書」よりも、

ジョン・ハーボウ(実兄でレイブンズのヘッドコーチ)の写真よりも、

目立つ位置に貼ってあります。

 

TK

 

2009年05月20日

コーチ留学

「コーチ留学」、なんだか響きがいいですね。

 

アメリカにいると、いろいろなところで耳にします。
そして、その人たちの噂を聞いたり、書いているブログを読んだり、

機会があれば直接会って話したりもしています。

 

最近読んだブログの中に、ある競技のコーチが、こちらで勉強している様子を綴っている

ものがありました。その競技はオリンピック種目であり、日本も世界のトップレベルに

入っているスポーツです。
読んでみて……誤解を恐れずに言うと、残念というか、なんと言うか……。

 

彼のブログの構成は、
・練習メニューの箇条書き(70%)
・コーチとの会話の内容(5%)
・アメリカ生活について(10%)
・その他(15%)

 

個人的な感想を一言にまとめると、
「そんなの、その競技に精通してて少し英語ができれば、誰でもできる!」。
あとは、多少のコネも必要ですけど。

 

でも、「コーチ留学」という言葉を使うのなら、それでいいんでしょうか?
自分が勉強したことを日本に持ち帰って、個人やチームのために活用する-というのが

留学なんでしょうか?
でも、貴重な経験ですので、個人的なステイタスや目的だけでなく、その競技全体の

発展に役立ててほしいものです。

 

で、何が言いたいのかというと、「自分はそうではない」ということです。
私は意図的に、「コーチの勉強」とか「フットボールを学ぶために来た」という英語の

表現を避けています。日本人だとわかると、そのような質問されることが多いので。

 

私には、(オフの時期=特に今の時期)フットボール部以外のクラブをサポートする

仕事もあります。そして、フットボールの仕事をする時はいつも、

「勝つために働いている」と思って仕事をしています。

こちらに(長期間)滞在して、フットボールのことを学んで、それを持ち帰ることは、

フットボールを知っている人なら誰にでもできること。
このチームの中で自分にしかできないことをやり抜く!

-それこそが、私がこの地で生き残っていくただ一つの道であると信じています。

 

表現下手のために、ご気分を害された方がいたら、申し訳ありません。
ただの私の「こだわり」と「意地」ですので、気にしないでください。

 

早稲田大学アメリカンフットボール部からUSC(南カリフォルニア大学)にコーチ留学に

来ていた濱部さん(濱部 昇 助監督)は、

(早稲田大学のウェブサイトには「コーチ留学」と書いてありますが、)
私の観点で言うと、コーチ留学ではありませんでした。
濱部さんは立派にチームの一員として認められていました。
濱部さんについては、また書きますね。    →早稲田大学米式蹴球部>USCレポート

 

ではまた。

TK

 

2009年05月14日

がんばろう!日本のフットボール!

先日、私のやりたいことをお話したので、それに関連する話題を一つ。

 

先日のNFLドラフトでNEW ENGLAND PATRIOTSから2巡目(全体58位)で指名された
Sebastian Vollmerという選手がいます。

 

NFLドラフトのレポートを読んでいただくとわかりますが-

(抜粋)

Vollmer is one of the more unusual stories in this year's draft class.
He did not start playing football until he was 14 years old,
but still helped his German prep school win two national championships.
U.S. college coaches lined up to sign Vollmer after he appeared

in the 2004 Global Junior Championships in San Diego.

Vollmer spoke almost no English when he signed with Houston.

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彼はドイツ人です。
ドイツのPREP SCHOOL(高校のようなものなのでしょうか?)でフットボールを始め、
2004年の「U-19世界大会」でアメリカのカレッジコーチの目にとまり、ヒューストン大学で
プレイすることになったようです。しかもその時には、ほとんど英語が話せなかったようです。


奨学金をもらうまでにどれぐらいの時間がかかったのか?等の詳細プロセスは不明ですが、
(私としては)「また、違う国に先を越されたか……」という感じです。

ドイツ人とは根本的にサイズが違います。むしろアメリカ人より大きかったりするかな……。
言語もドイツ語のほうが(日本語より)はるかに英語に近いことでしょう。
しかし、言葉も文化も違う所で、彼はわずか数年でNFLにドラフトされるまでの選手になりました。

 

6月末にオハイオ州で行われる「U-19 WORLD CUP」(Junior World Championship)で、

日本の選手の活躍は、必ずアメリカのカレッジのコーチたちの目に留まることでしょう。

私が上記のニュースをある知り合いのメジャーカレッジのヘッドコーチに伝えたところ、

(私の夢を知っている彼は)担当のコーチを派遣するとニコニコしながら言ってくれました。


そんなチャンスもありますし、日本代表の選手は「初優勝」目指してがんばってください。

 

TK

 

2009年05月08日

ここに「在る」意味

まずは、選手および関係者の皆様、初戦の勝利おめでとうございます。
春に良ければすべて良し!なので、パーフェクトシーズン目指してがんばってください。

 

皆さんからよく「日本に帰ってからどうするの?」って聞かれます。
結論から申し上げますと、こちらでフットボールコーチの仕事を続けようと思っています。
それは、永住したいとか、日本を捨てるという意味ではなく、
私のやりたいことがここでしか実現できないからです。

 

では、どうしてここでなくてはいけないのか?

 

私は日本で15年間選手として、3年間コーチとして、フットボールに携わってきました。
その中で、(詳細のプロセスは割愛しますが)一つの大きな夢ができあがりました。
それは「日本人の NFL PLAYER をつくりたい!」という夢です。

 

では、どういう方法で? 

 

私がフットボールをいろいろな立場で経験して、分析してきた中で、夢を実現させるために

出した結論は、「MADE in U.S.A.の選手を育成する」ということです。


国内でもいろいろな指導者や関係者がいろいろな立場で選手を育成しています。
それを否定する気はまったくありませんし、むしろ、そういった活動をしていらっしゃる方々には
頭の下がる思いです。しかし、今までアメリカのフットボールにチャレンジしてきた選手たちを
見ていると、言葉や文化の壁がそこに立ちはだかっていることは事実です。
STANFORDにもカナダ人の選手がいます。私の夢の実現性について彼と話をした時に、
彼は「TKの言うとおりだ!」と賛同してくれました。彼曰く、今、NFLに在籍している
(毎年ROSTERに残るような)カナダ人の選手は10名ぐらいいるそうです。
でも、その全員がアメリカのカレッジでのフットボール経験者だそうです(この前、カナダの
大学から一人ドラフトされましたが)。「国境を接していて、かつ、同じ英語圏とはいえ、
文化はまるっきり違うし、スポーツの在り方が違う。だから、本当にNFLを目指す高校生は、
アメリカのカレッジでプレイしたがるんだよ」とのこと。

 

具体的に私がしたいことは、「アメリカでプレイしてみたい!」と思っている高校生や大学生の

選手をサポートすることです。直接的に自分の学校にリクルーティングできるのが一番ですが、

それはまず私自身がポジション(フルタイムでのコーチ)を獲得しなければなりません。
(それにはあと何年かかるかも想像できないので……)とにかくこちらにいて、いろいろな情報を
収集して、そのような意志を持った若いプレイヤーをサポートしていきたいと思っています。
コネのあるコーチには、もうすでに「自分がこういうことをしたいので、具体的に相談したい
プレイヤーが出てきたら、よろしく!」とは伝えてあります。とにかく、自分のこちらでの
ネットワークを駆使して、できる限りのサポートをしたい。そこには言葉、文化の違い、
経済的負担等、解決しなければならない様々な障壁があります。

しかし、それは本人や親御さん、受け入れ先等と一つひとつ相談しながら解決していく

しかないと思っています。

 

いつ、どのような選手がそのような夢を持ってこちらに来る意志を固めてくれるか、
楽しみでならない反面、自分がこちらでこのような状況(今はコーチとしては無収入)で、
この世界に生き残っていけるのか、不安でなりませんが……。

そこは、NO PAIN, NO GAIN!! という言葉を信じて、

ハクナマタータ!(どうにかなるさ)でがんばっていきたいと思います。

近くにそのような選手がいたら、私の存在を教えてあげてください。


ではまた来週!

TK


 

2009年04月29日

NFLドラフト(4)ドラフトの日

今、目の前でドラフト見てます。
いやぁー、おもしろい!!


詳しい意図はわかりませんが、指名権のトレード、指名権と現役選手のトレード等が頻繁に

行われています。たとえば、BROWNSは1巡指名権をJETSに渡したかわりに、3人の現役選手と

いくつかの他の順位での指名権を得ました。元々JETSはファーブが引退した後のエースQB

探しに苦労していました。そこで、指名順番を繰り上げてUSCの優秀なQBを獲得しにいきました。

BROWNSは即戦力がほしかったのか、もう少し(指名順位が)後でもとれるような選手を
一巡指名したかったのか。。。定かではありませんが、ドラフト中もめまぐるしいトレードが

行われていることに本当にびっくりしました。しかもそこに現役の選手まで絡んでくるとは。

 

STANFORDの選手も7位(最終順位)の最後ぐらいでいいから、指名されないかなぁ。。。

 

TK

 

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▲TVでは、CM中も次の指名までのカウントダウン(画面左下の方)と

ドラフト関連の情報(そのチームの戦力等)が画面に写ります

 

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▲私のオフィスのデスクです。

シーズン中はこのパソコンの2画面をフル活用してスカウティングをします。

左側に見える「狼群」はSTANFORDOFFENSE LINEのニックネーム(日本語バージョン)。

狼は常に群れで行動するからです。

OBIC SEAGULLS OLの“TWISTERS”の意味はなんでしたっけ?

#68しんのすけ君、近いうちにファンの皆様に説明してください

 

NFLドラフト(3)PRIVATE WORK OUT

☆PRIVATE WORK OUT

 

前回説明した、PRO TIMING DAYの後は、各チームのスカウトが情報を球団に持ち帰って

精査をしてドラフトの指名優先順位をつけていきます。その中で、
・この選手をもう一度見てみたい
・担当しているスカウトは良いと思っているが、他のスカウトやコーチ、チームのフロントに

 確かめてもらいたい

上記のようなケースで、チームが強い関心を寄せる選手を自分たちのファシリティーに招待して、

ドラフト前のこの期間に練習をさせることを「プラベートワークアウト」と呼んでいます。

 

もちろん、招待ですので、選手の移動や滞在、食事等はすべて招待した球団が持ちます。

選手によっては、球団側が出向いて、大学や選手の地元のハイスクール等で行うこともあります。

興味のある選手を目の前で見られるわけですから、球団にとっては願ってもないチャンスです。
また、選手やエージェント側からしても、最後のアピールのチャンスと言えるでしょう。


今まで紹介してきたようなプロセス(実際には、もっと長く、複雑かつ細かい)を経て、

運命のドラフトの日を迎えるわけです。

 

TK

 

2009年04月22日

NFLドラフト(2) PRO TIMING DAY

☆PRO TIMING DAY

 

これは、コンバインの後に各チームのスカウトがDIVISION-1(A)を中心に各大学をまわって

スカウト活動をすることをいいます。


目的は、プロ側から言えば、
 ・コンバインでは確認できなかったスキルのチェック
 ・コンバインに招待していない選手の中で、NFLにチャレンジしたい選手を見る(掘り出しものの発掘)
 ・指名を迷っている選手についての確認
カレッジのプレーヤー側から言えば、
 ・コンバインに招待されなかったが、アピールができる
 ・コンバイン時にケガや体調不良で見せられなかったポイントをアピールする

 

今年、STANFORD大学では4人がコンバインに招待されていました。招待されていなくて、
このPRO TIMING DAYでパフォーマンスをしたのが4人。合計8人がNFLスカウトと

エージェントの前でのパフォーマンスをしました。ちなみに、エージェントが来ているのは、

いい選手の情報を把握するためと、いい選手なのにエージェントが決まっていない

(ほとんどないですが)選手の発掘のためです。


種目は、スカウティングコンバインとほぼ同じ。少しだけスキル系のドリルが加わります。

当日は、午前7時の受付開始から約1時間半は、スカウトたちが練習や試合のビデオを再度
チェックする時間です。その後、午前中はいっぱいはウェイトトレーニング系のメニュー。
午後は、フィールドでのコンバインと同じテスト&スキルテスト。その間、スカウトたちは
選手を鋭い眼差しで見ています。そして、休憩時間になると、選手のもとに駆け寄って

いろいろな会話をしています。私には、その短い時間を利用して面接をしているように見えました。

 

一連のドリルが終了すると、やっぱりいい選手のところにはスカウトが続々と話をしにいきます。

どうやら、そこでは次のアポイント(PRIVATE WORK OUT )の話がされているようです。
PRIVATE WORK OUT については、また次回。

 

個人的には、コンバインに呼ばれない選手やドラフトにかからない選手はどうやってチャンスを
つかんでいるんだろう???と思っていましたが、昨年はじめてこのPRO TIMING DAYを知って、
納得がいきました。ここからは、エージェントの腕やコネクションが大きく作用してきます。
STANFORDの選手たちにもがんばってほしいです。

 

ではまた。

 

TK

2009年04月17日

NFLドラフト(1) コンバイン

2月に行われたNFLのスカウティングコンバインの後、4月の後半まで2ヵ月以上もあります。
その間、いったい何が行われているのでしょう。

 

NFLスカウティング・コンバイン→ PRO TIMING DAY → PRIVATE WORK OUT

→ (各チームで指名順位決定)ドラフト会議

 

簡単に説明すると上記のような感じです。
このブログが載る頃には、もうドラフトも終わっているかもしれませんが、

何回かに分けて、簡単に流れを説明します。

 

+++++

 

NFL スカウティング・コンバイン


秋のシーズン終了後にNFL行きを希望した選手の中で、NFLのチームが興味を示すであろう選手
(詳細は定かではないですが、各チームからリクエストがあるようです)がこのコンバインに
招待されます。毎年、COLTSのホームのRCAドームで行われますが、

NFLからの招待なので、飛行機代や宿泊費、食事等、すべてタダ。

今年はコンバインだけのスポンサー(アンダーアーマー)がついていたので、

選手はすごい数のグッズを支給されていました。
コンバインで行われる種目の詳細は割愛しますが、今年はコンバイン中のおもしろい話を

参加選手から聞いたので、シェアします。


ある有名なドラフト候補選手(センター)がいます。

彼はセンターには珍しく、2m近い身長と長いリーチ、ハードなプレースタイルがスカウトに

高評価を得ていました。しかし、ケガを理由にベンチプレス(100kgを何回挙げられるか)を

パスしました。実は、この選手はリーチが長い分、ベンチプレスが苦手だそうです。

噂の域を出ませんが、彼のエージェントはその手の策略をよくするらしく、

この種目で彼の評価(=指名順位=契約金&年俸)を下げることを嫌ったようです。
その他の種目でもそのようなことがよくあるらしいです。

ビジネスが始まってるんだなぁ……と強く感じました。

 

この他にも、いろんな裏話があるんですけど、それはまたの機会に! 

書けないものもありますけどねー。

次回はコンバインのあとについて書きます。

 

TK

 

2009年04月09日

SPRING GAMEのドラフト会議

STANFORD FOOTBALLでは、2月後半から3月中旬に7回、4月初旬に8回、

計15回のSPRING PRACTICEを行います。

NCAA規定で春は15回しか練習できません。

「そんなルール、俺が大学生の時にあったらなぁ」とか、思ったりしますが……。

NCAAルールについては、またじっくりと。


そのSPRING PRACTICEの締めくくりが、「SPRING GAME」と呼ばれる紅白戦です。

 

【紅白戦までのプロセス】
・ヘッドコーチはコミッショナーとなって中立の存在。
・コーチ、トレーナー、サポートスタッフ等をすべて2つのチームに分けて、ヘッドコーチを決める。
・コーチミーティングでドラフト会議の戦略(指名選手の順番・相手チームとの駆け引き等)を立てる。
・ドラフト会議で50人目の選手までを指名。残りの選手はポジションを考慮して振り分けられる。
・13、14回目の練習で、各チームごとの練習時間を1時間ずつ持つ。

 もちろん、(練習フィールドとスタジアムに)場所を分けて。


【試合のルール】
・スペシャルプレー(自分たちのプレーブックにないプレー)は2回まで。
・勝者は試合後のバーベキューでステーキやリブを食べ放題。敗者は小さなホットドッグ一つ。
・12分(本番はすべて15分)クォーターの試合形式。
・試合は一般公開。ビールとかポップコーンとかチアやバンドもあり。

 

と、まぁ、こんな感じですが、驚いたのはコーチたちの本気度合い。
ドラフト会議までに少なくとも10回はミーティングを重ねました。
しかも、SPRING PRACTICE期間なので、空いた時間(主に早朝か夜)を使いながらなので、
けっこうきつかったです。
主にモック・ドラフト(ドラフト会議のシミュレーション)でしたが、「向こうがこいつをピックしたら、
うちは必ずこいつを選ぶ」、みたいなことを延々とやっていました。

そして、ドラフト当日は、近くのレストランで朝7時から(コーチだけの)キックオフミーティングを

して本番へ臨みました。


ドラフト会議は、ヘッドコーチの司会進行により、チームのミーティングルームで行われます。
我がCARDINALチームは、ドラフトルームを設け、すべての選手の名前と指名優先順位の

色分けがされたマグネットプレートを準備して、万全の体制でした。

指名が発表されるたびに隣のドラフト会場からは(選手たちの)大歓声が聞こえます。

指名と指名の間は1分間しかないため、そこでは激論が繰り広げられます。
「次は絶対LBをとるべきだ!」
「いや、センターが必要だ!」
「その選手は、今指名する必要ない!」
「黙れ、俺がヘッドコーチだ!!」
みたいな激論を、指名ごとに交わしました。

結果的に、プランに近いドラフトになったので、これからの練習やチームビルディングが楽しみです。


このドラフトを通して何を感じたか。
「こいつらは、なんでも本気になる! そして、勝ちたがる! そして、それを楽しんでいる!」
ということです。

日本でコーチや選手をしているときは、なんでもけっこう冷静に見ていた方なのでびっくりしました。

息抜きでたまにやるバスケットでも、そこまでやらなくても……という場面が多く見られます。
でも、試合は本気でやるんだから、練習もどれだけ本気でやれるか、心身ともに本気が続くかって、
大事ですよね。あと、勝つことに執着しながら、それを楽しめるなんて、素晴らしい。

 

SPRING GAMEは、地元のファンにとっても一大イベントです。
STANFORDではそうでもないですが、USC(約90,000人)やNOTRE DAME(約80,000人)、
NEBRASKA(約80,000人)等では、SPRING GAMEのチケットは売り切れていることでしょう。

 

長すぎましたね。次は短編で!

 

TK

2009年04月03日

はじめまして。

オービックシーガルズファンの皆様、日本のアメリカンフットボール関係者の皆様、
そして、ただ通りすがっただけの未来のフットボールファンの皆様、はじめまして。
オービックシーガルズOBの河田剛(カワタツヨシ)と申します。

 

シーガルズ歴を申し上げますと、1995年から2003年の9年間選手として、
2004年から3年間コーチとしてお世話になりました。
2007年夏に渡米、サンフランシスコ近郊のSTANFORD大学でボランティアコーチとして
フットボールコーチを仕事にしております。 ※ボランティアですが、本業です。プロとして

やっています。たまたま(コーチとしての)給料が0円なだけです(笑)。

 

これから週に1回程度、アメリカンフットボールを中心とした話題や雑感などを

お届けしたいと思っております。
あまり脱線しないように、このブログの趣旨を記しますと……
1) アメリカンフットボールの本場の事情や情報をお伝えする。
2) オービックシーガルズやアメリカンフットボールに関わりの浅い、またはまったくない人に、
  シーガルズおよびフットボールに興味をもってもらう。
3) 「GOOD IN GOOD OUT」(from MICHAEL LEONARD 元シーガルズ・コーチ)

 

+++++


本日は、私の職場について。

 

サンフランシスコ近郊(空港から車で約30分)のSTANFORD大学という名門校です。
全米大学ランキングで常に5番以内に入る、それはそれは賢い私立の学校です。
スポーツも盛んで、全米の大学スポーツの中で最も(総合的に)優れた学校を選ぶ
DIRECTORS CUPでは、今年で15年連続のチャンピオンになっています。

 

「あれっ、フットボールはたいしたことないのに……」と思う方もいらっしゃると思いますが、
他の競技も含めた総合ポイントで争われますので、「平均して、強いクラブが多い」と
理解してください。

ちなみに、昨年の北京オリンピックでは、大学の卒業生を含むメダル獲得数が29個でした。

日本は、全体で28個だそうです……。

 

フットボールについては、2006年は1勝11敗で、コーチングスタッフは全員解雇。
2007年にヘッドコーチJIM HARBAUGHが就任して、4勝8敗。
昨年2008年は、あと1試合でボウルゲーム出場の可能性が得られる5勝7敗と、

お世辞にも強いといえるプログラムではありません。
しかし、今年や昨年のリクルーティング(有望な高校生プレイヤーの獲得)の成果、
若いスターターたちの経験値の向上など、2009年シーズンは明るい話題が多いです。

リーグは、「PAC-10(パック・テン)」という、アメリカの太平洋側に位置する10校で形成される

リーグに属しています。PAC-10にはスポーツの競合校が多く、勝つことが本当に難しい。
今年は、PAC-10チャンピオン目指してがんばります!!

 

と、こんな感じで、毎回テーマを設けていろんなこと書いていきますので、
ここではなく、オービックシーガルズのホームページをブックマークして、

最後にこのブログをチェックしてください。

 

TK

 

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▲ビル・ウォルシュのプレーブック見つけました。

STANFORDの元ヘッドコーチです

 

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▲昨年のコーチングスタッフ。上段左端が私です

 

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▲最初のシーズン(2007年)のゲーム前

 

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▲ホームスタジアムのSKY BOXの上から(フィールド)

 

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▲ホームスタジアムのSKY BOXの上から(キャンパスの一部)