TKこと河田 剛のUSA情報

« Toe Dipper | メイン | PEARL BOWL »

USC

2010年06月28日

皆さんもご存知の、University of Southern California(南カリフォルニア大学)の

略称です。

ロス・アンジェルスの中心部にある、プライベートスクール(私立の学校)です。

実は、私も数年前までパブリックスクール(公立の学校)だと思い込んでいましたが、

由緒正しき私立の名門校です。学力的には、全米でもトップランク、州内では

ライバルであるUCLAと並ぶ難関校と言えるでしょう。
 
フットボールでも(言わずと知れた)名門校です。PAC-10カンファレンスでは、

2008年まで8年連続優勝。全米ランキングでは常に上位にその名があるようなチームです。

USCのフットボールは、同じカンファレンスの私たちから見ても、驚くことが多いです。

少し並べてみましょう。
・ホームスタジアム(LA コロシアム)の収容人数は、98,000人。
・ホームゲームチケットは、発売後数時間ですべて完売。
・ここ数年、毎年10人弱がドラフトで指名されている(ドラフト外での入団は別)。
・2008年シーズン終了後にドラフトされた3人のラインバッカーは、みんなNFLで

 スターターもしくはスタータークラスで試合出場。
・昨年までヘッドコーチだったピート・キャロル氏は、昨年カンファレンス内5位だった

 にも関わらず、NFLシアトルシーホークスへ引き抜かれた。
  ※アメリカでは好成績でなかったコーチがキャリアアップする(引き抜きにあう)のは稀。
・そのピート・キャロル氏のUSC時代の年俸は4億7千万円。
と、まぁ……すべてがケタ外れ。それがUSCフットボールなのです。


2週間ほど前、全米のフットボール界を震撼させるニュースが舞い込んできました。
USCがNCAA(全米体育協会)のルールに違反したとして、NCAAからペナルティーを
科せられたとのこと。フットボール部というよりは、すべてのスポーツを取り仕切っている

USCのAtheletic Dept.への処分でした。

 

メディアには理由として、レジー・ブッシュが2005年にハイズマン賞を受賞した際に受けた

接待や家族に対するサービス等が取り上げられています。その他にも、現在NBAで

プレイするUSC出身の選手に関するルール違反や、その他のスポーツでも軽微な違反が

あったようです。
フットボール部には、
・今年度と来年度ののBOWL GAME出場資格の取り消し。
・スカラシップ(奨学金)数の削減(3年間で30人分)。
  ※ 通常80人まで認められています。
その他のスポーツへのペナルティーは不明ですが、年間あたり10人の(いわば)特待生が

入学してこなくなることは、カレッジのフットボールチームにとって相当な痛手です。

USCはここ数年、リクルーティングランキング(数社のメディアが発表する、どれだけ良い

新入生が入学するかのランキング)では常に3位以内をキープする学校であり、

そのプレイヤーたちが数年後に高い確率でNFL入りしていくような学校でもあります。

言葉を換えれば、「NFL入りを目指すトップアスリートがもっとも入学したい学校のうちのひとつ」

とも言えるでしょう。


過去、このようなペナルティーを受けた学校は、数年後から数年間低迷してしまうケースが

多いのですが、私見ですが……USCには「どうしてこいつが控えなのかがわからない」

選手も多いため、
奨学金の枠が減る=選手層が薄くなる=災い転じて……

というような構図が見えそうな気もします。

 

普通に考えると、毎年試合をする相手が弱体化していくのは好ましいように思えますが、

私は以下のような理由から、USCにがんばってほしいと思っています。
・強いUSCに勝ちたい。
・昔から見ているUSCが弱いのを見るのはつらい。
・明日は我が身である。
  ※ NCAAルールにはグレイゾーンが多いため、知らずに違反をしていたり、学校側が

    規制するには限界があるケースが多々あり。今回のは 「たまたま刺された」とは

    言えないケースですが、他のチームや一個人が行っていることで明るみに出ていない

    だけのケースも多いように思われるからです。

 

USCには、今週末、NCAAに対する弁明のチャンスが与えられているようです。
同じカンファレンス、同じ州内のライバルとして、この苦難を乗り切ってほしいものです。

 

ではまた。
TK