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恐れていたことが……

2010年03月17日

いつかのブログでアメリカのコーチのビジネスについてお伝えしたかと思います。

以下、その中からの引用です。

たとえ、複数年契約の途中であっても、

たとえ、選手やスタッフやファンに後ろ指を指されようとも、

たとえ、上司にあたるコーチや同僚に対する裏切り行為であったとしても、

すべてはこのひと言で片づけられてしまいます。

「ビジネスだからね!」

 

これは、コーチが他のチームからのオファーを受けてチームを去っていく時の様子を

(私なりに)表現したものです。

これを書いている時には、まさか自分の身近でそんなことが起こるとは思ってもいませんでした……。

 

春季キャンプの直前のある日。

数回前のブログで名前を挙げた、前シカゴベアーズのオフェンスコーディネーターである

RON TURNER氏が、NFLのインディアナポリス・コルツからQBコーチのオファーがあって、

快諾したというニュースがオフィスを駆け巡りました。

情報を総合すると、どうやら本当らしい。

いろいろな人が彼の個室に入っては出て行くのを見て、私も確信しました。

 

私も彼の部屋に行き、

「おめでとうございます。2週間でしたが、ありがとうございました。

いつか一緒に仕事ができることを楽しみにしています」

という内容の言葉を伝えました。

 

その際、彼から出てきた言葉は、

「申し訳ない、でもビジネスなんだ……」

 

私もすっかりこの社会に馴染んでしまったのか、なんだか不思議と納得してしまいました。

自分なりに(その言葉を悪く思わなかった)理由を分析すると……

2週間ながらも、彼が残した功績が大きかったからだろう、という結論に達しました。

彼はNFLというTOP of TOPから、私たちが望んでいたあらゆる(詳細な)答えをもたらしました。

主にパッシングゲームのことでしたが、(私が聞いていても)それはそれはわかりやすく、

納得のいく説明ばかりでした。

 

以前、このブログで「アメリカでのコーチ業はビジネスであり、義理や人情がない!」と

否定的な意見をお伝えした覚えがありますが、そこに一文、【但し書き】を加えたいと思います。

「去っていく人が、私たちに残した功績を考慮する」

 

私も早く、(自分の残した功績を称えられて、)みんなに心からの拍手をもらいながら

巣立っていけるようなコーチになりたいと思います。

 

では、また。

TK