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サイニング・デイ

2011年03月02日

毎年2月の第1水曜日は、カレッジフットボール界にとって年度初の大きなイベントの日となります。それは、「National Letter of Intent Signing Day」と呼ばれ、カレッジフットボールチームにとって最も大事であることの一つと言われる、リクルーティング(高校生のスカウト)イベントなのです。

 

イベント好きなこの国の人たちは、その日を立派なイベントに仕立て上げています。たとえば、フットボールが強い高校や有名な選手がいる高校等では、体育館やホールにステージを作り上げて地元のテレビ局による中継をします(有名な選手は全米中継)。選手がオファーの来ている大学の中からどこを選ぶかを順番に発表していくという演出をするのです。「私が進学先として選んだのは〇〇大学です」。その時にマイクの前に並べられた(オファーの来ている各校の)帽子の中から意中の学校の帽子をピックアップします。それと同時に会場では大きな拍手と歓声が沸き上がったりします。映画『ブラインドサイド』の中にもそんなシーンがありましたね。

 

一方、(中継されている場合は)その選手をリクルーティングした大学のコーチングスタッフは、それを固唾を飲んで見守っています。中にはその日まで決断できていなかったり、それを(学校側に)伝えていなかったりすることもあり、最後に大逆転が起きたり……その日にはいろいろなドラマが生まれます。以下にいくつかリンクを載せておきます。

 

No.1 prospect Jadeveon Clowney makes his college choice

Jadeveon Clowney Senior Highlights

National Signing Day at St. Thomas Aquinas

リクルーティングは、こちらではビジネスです。高校生が商品であり、その情報を購入するのは大学側です。フットボールをプレイしている高校生にもそれをほしがっている大学側にも、学生スポーツであるがゆえにリクルーティングに関しては厳しいルールがあります。にも関わらず……(日本人の感覚としては)「そんなことしていいのか!?」というようなことがけっこうあります。私が一番驚いたのは、高校生のフットボールプレイヤーをランキングしてしまうことです。以下の二つは代表的なサイトです。
http://rivals100.rivals.com/
http://recruiting.scout.com/

 

そこには情報として
・高校生の名前
・記録(40yd走やベンチプレス、スクワット等)
・どの学校からオファーがあったか?
・どの学校に興味があるか?
・オファーがあった学校のうち、どこを訪問したか?

等が細かく書かれているだけでなく、各プレイヤーのハイライトビデオが視聴できるようになっています。一見、個人情報が……と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、高校生側からしたら、それを掲載することによってオファーが来るのであれば……ということで、双方にメリットがあるのでしょう。


そのサイトによって評価された、これから入ってくるSTANFORD大学の新入生のリストです(→こちら)。POS.(ポジション)の右横に書かれた数字は「そのポジションにおける全米ランキング」です。誰が決めたのかは定かではありませんが、おそらくそのサイト独自のネットワークや基準をもとに決められているのでしょう。


国民性の違いと言えばそれまでですが、ここまで個人をランキングしてそれを公開するというのは日本ではありえないと思います。またそれが立派なビジネスとして成り立っているのも、アメリカならではなのかもしれません。

 

TK