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2011年01月
2011年01月31日
プロボウル
1月30日(現地時間。日本時間1/31)にハワイにて「PRO BOWL」が開催されます。言わずと知れた、NFLのオールスターゲームです。出場選手は、選手からの投票+ファン投票で決まります。人気がある選手だけが選ばれるのではなく、(対戦相手が認めた)実力のある選手が選ばれることになります。昨年一度はマイアミに開催地が変わりましたが、選手たちの要望や地元からの強い要請+金銭面の努力もあって、今年からハワイでの開催に戻りました。
私も2005年の開催時に現地を訪れて観戦をしました。空港からプロボウル一色で、地元の人たちの力の入れ具合を感じ取ったことを覚えています。試合はハワイ大学のホームフィールドであるアロハスタジアムで行われますが、選手やスタッフはホノルルから車で1時間ぐらい西に行った「KO OLINA」というリゾートに宿泊していました(今はわかりませんが)。当時は、すべてのイベントがその周辺で行われていて、私も毎日ホノルルから通っていました。
チームをまとめるコーチ陣やスタッフ等は、プレイオフに入ってから敗退したチームのうちの一つが務めることになっていて、その年はATLANTA FALCONSのコーチがNFCのコーチングスタッフでした。オービックシーガルズに2年間在籍したROBERT PRINCE氏がチームにいたこともあり、たいていの場所に入れるパスをゲットした私は、(有名な選手だらけの)施設内を走り回っていました(笑)。
期間内の数あるイベントの中で最も印象的だったのは、(今はあるかわかりません。こういう名前かもわかりませんが……)「COMPETITION」でした。試合の数日前にも関わらず、QBのスローイング(肩の強さ・コントロールの良さ)を競うイベントや、WRのキャッチング能力を競うイベント、中でも一番盛り上がったのは、「NFL FASTEST MAN CONTEST」でした。陸上の100m競争のように、40yd走で誰が一番速いかを競います。
数回の予選を経て決勝へ。決勝では4人がチャンピオンを競います。ちょうどその年はFALCONSの選手が
優勝したのもあって、一緒にいたコーチングスタッフと盛り上がったのを覚えています。
この時期にハワイへ行ってプロボウルを観戦されるフットボール関係者の方が多いと思いますが、まだ行かれてない方はぜひ行ってみてください。絶対におすすめです。確かこの時期は「ホエール・ウォッチング」ができると思いますし、ノース・ショアの大きな波も魅力的です。海外へ行くのが不安な方でもNFL JAPANが毎年ツアーをやってますし、そこには普通では経験できないようなオプション(選手やチア等の交流等)もあったりしますので、そちらをご利用されるのもまたお勧めです。
来週(日本時間2/7(月))はスーパーボウルですね。次回は予想めいたものを!
TK
※NFL>スーパーボウル(英語) [2/6(日) 日本時間2/7(月)8:30キックオフ]
2011年01月24日
NFL Conference Championship
パッカーズの勝利(【ベアーズvs.パッカーズ】)を見届けた後、ジェッツとスティーラーズの試合を見ながらブログを書いております。
パッカーズは先週QBのアーロン・ロジャース選手が神がかり的なプレイを連発して勝利。この試合もその勢いのまま前半を14-0で折り返し、そのまま逃げ切りました。ロジャース選手は、先週の勢いまでとは言わないまでも、要所でピンポイントにいいパスを決めていましたね。
ところで、パッカーズが1Qの最初のシリーズにとったタッチダウンですが、どこかで見覚えがあります。あのプレイ、私たちも使ってます。あのプレイというよりも、あのスキームと言うべきものなのかもしれません。以下、その時の状況を箇条書きにしてみました。
・敵陣ゴール前での2nd downで残り1yd
・DLの大きな選手が(オフェンス)ハドルの中に入り、ランが予想されるフォーメーションから
・ブロッカーが多いサイドのパワープレイ
・QBはRBにボールを渡すフェイクをしてブーツレッグ、逆サイドのエンドゾーンへ駆け込みタッチダウン
100%の確証は持てませんが、おそらくこのプレイは味方もだまされています。我々のコールのシステムと同じであるなら(私はそう確信しています)、QBはディフェンスが(オフェンスがコールした)プレイサイドにオーバーシフトしてきた時には、ボールを抜いていいことになっています。つまり、RBにボールを渡すと見せかけて(手薄になっている逆サイドに)自分で走ってもいいよ、というコールです。QBとRBには、練習やミーティングの際にビデオ等で「こういうルックになったらフェイクにしよう」ということは伝えておきます。つまり、QBとRBの選手以外の9人はプレイが終わった後、「なんで、ボールがあっちに行ってるんだ??」ということになるわけです。あんまり気分のいいものではないですが、タッチダウンならいいか……という感じなのではないでしょうか??
現在、【スティーラーズvs.ジェッツ】は、前半を終えて24対3でスティラーズが圧倒的に有利な展開です。ホームフィールドアドバンテージも考えると、このままスティラーズの勝利となるのではないでしょうか。
次回は試合中とかでなく(すいません)、事前にゲーム展開も含めたスーパーボウルチャンピオンの予想をさせていただきたいと思います。パッカーズ対スティーラーズの対決となることを勝手に予想したまま……ではまた。
TK
※スーパーボウル[2/6(日) 日本時間2/7(月)8:30キックオフ]
→公式サイト(英語) NFL JAPAN.COM(NFL日本公式サイト)
2011年01月20日
オレンジボウル
去る1月3日にフロリダ州マイアミで行われた「オレンジボウル」に出場してきました。
「ボウルゲーム」はレギュラーシーズン終了後のプレイオフのようなもので、レギュラーシーズンの結果や最終ランキングによって、招待されるボウルゲームが変わってきます。詳細はこちらを。私たちが招待された「オレンジボウル」は、かつて4大ボウルと言われたボウルゲームのうちの一つであり、BCS (Bowl Championship Series) ランキングを最終的に決めるボウルゲームのうちの一つでもあります。
昨年、私たちは「SUN BOWL」というボウルゲームに招待されました。テキサス南部、メキシコ国境に隣接するエルパソという場所でのゲームでした。詳細はこちらを。すべてが初めての経験だった私には、ホテルでの生活やパーティー、地元の受け入れ態勢等が素晴らしく心地よかったことを覚えています。しかし、昨年は20位そこそこで招待されたボウルゲーム、今年は全米4位しかも名誉も伝統もあるオレンジボウルへの招待。どんな遠征、そして試合になるのか楽しみでした。
試合8日前の12月27日、いつもより大型のチャーター機で現地へ出発。6時間弱のフライトでマイアミへ着くと、タラップからバスにかけて、お揃いのオレンジのジャケットを着た受け入れ側の組織の人たちがトンネルを作って私たちを待ち受けていました。その数およそ80人。彼らは記念バッチ、スナック、パンフレットやオレンジ等のプレゼントが満載された袋を持って待ち構えていました。それを一人に二つも三つも渡しながら満面の笑みとともに「Welcome to Miami!!」。その表情や受け入れ態勢を見て、彼らもこの日を楽しみに待っていたことが感じ取れました。
空港ではそんな出迎えに驚かされ、バスに驚かされ(全体にOrange BowlとStanfordの写真)、警備体制にも驚かされ(白バイ18台、パトカー5台)、そして、着いたホテルにも驚かされました。ホテルはFontainbleau Miami Beach。 まさに「海辺に浮かぶ」ような巨大なリゾートでした。しかも、私の収入ではどう逆立ちしても泊まれないような高級ホテル。洗練されたレストランやバー、全米でも5本の指に入ると言われるクラブがホテル内に二つもあり、連夜、長蛇の列をなしていました。言うなれば、よく日本でニュースにもなっているようなアメリカのセレブたちがこぞって訪れる場所なのでしょう。私も数々のセレブを目撃しました。今まで、ハワイが地上で最高の楽園だと思っていた私は、それ以上の場所があることを身を持って体験しました(個人の物差しですので悪しからず……)。お金に余裕があって、ハワイに飽きた人はぜひ行ってみてください。心からお奨めします!
滞在中は、(試合が夜の8時半からだったこともあり)朝はゆっくり起床し昼までミーティング、午後から練習して夜はパーティ。そんな基本スケジュールで動いていました。前述したような、ともすると勘違いをしてしまいそうな場所でしたので、選手たちには31日(カウント・ダウンのために門限は0時半)以外は厳しい門限とベッドチェック(帰ってきているかのチェック)が課せられました。それが功を奏したのか、試合まで危なげなくいつも通りの調整をすることができました。
そうそう、肝心の試合の相手は、ACCのチャンピオンチームVIRGINIA TECH(バージニア工科大)です。NFLのスターQB、マイケル・ヴィック選手の出身校としても有名ですね。レギュラーシーズン終了後の全米ランキングは13位ながら、マイケル・ヴィックに勝るとも劣らないアスリートQBと全米ナンバー1のターンオーバー&インターセプト数を誇るディフェンスが売りのチームです。
試合内容は、前半オフェンスがうまく進まずに、SAFETYを取られる等、我慢の展開になりましたが、後半にANDREW LUCKのパス攻撃が炸裂、ディフェンスもQBをうまく囲んでスクランブルを許さず、(後半は)両方ともゲームプラン通りの展開となりました。終わってみれば、オフェンスはANDREW LUCKが4TDパス、ディフェンスはそのアスリートQBを8SACKと、スコアだけ見れば「横綱相撲」と言えるような試合になりました(40-12で勝利)。MVPはもちろんANDREW LUCK。試合の後はもちろん門限なしのパーティーナイトでした。
翌日、2機のチャーター機(遅れて来ていた学校関係者等も含んで)で6時間強をかけて、SAN JOSE空港→バスでキャンパスへ。キャンパスでは千人近くのファンが出迎え、バスを降りても動けないほどの騒ぎになっていました。
1月11日に発表された最終全米ランキングでは、全米4位という学校始まって以来の好成績でシーズンを終了することができました。VISAのトラブルから始まり、いろいろとあったシーズンでしたが、「終わり良ければ……」で、個人的にもチームとしても、来シーズン以降につながればいいと思う今日この頃です。……と締めたいところですが、シーズン終了の数日後、ヘッドコーチが49ersへ行くことが正式に決まりました。そのまた数日後、オフェンスコーディネーターであったDAVID SHAWがヘッドコーチに就任することに。今、組閣の真っ最中であります。DAVIDとは今までもいい関係で仕事をしてきたので、STANFORDに残って一緒に仕事ができるよう祈るばかりです。
▲この大型機でマイアミへ!
▲空港に着いて飛行機のタラップを降りてびっくり! バスには、Stanford football & Orange Bowlの写真が
▲素晴らしいホテルに宿泊させてもらいました。周りの環境、ホテル内の施設、部屋、接客、どれをとっても一流でした。やはりBCSのボウルゲームは違います
▲ホテルのバーとクラブの様子です。大晦日は、2つのクラブ&バー&プールでカウントダウンパーティー。どれも入場料だけで6万円以上!! なのに、長蛇の列でした。各会場で、有名なDJや歌手がメインゲストだったそうです。名前は忘れましたが、同僚やコーチの娘たちは飛び上がって喜んでいました
▲左がエースQBであり、間違いなくドラフト全体一巡で指名されるであろうAndrew Luck。この写真を撮った後、
リダ(真ん中の女性) 「Andrew、もう一枚撮らせて!」 Andrew 「もちろん!何枚でも(笑)」
リダ 「TK、ちょっとどいててくれる!」 TK(写真右)「・・・・」
▲3日目はホテルのプライベートビーチでチーム関係者全員でのパーティー。ジェットスキーやパラセーリング等、マリンスポーツし放題!!
▲パーティーの途中、こんな飛行機まで(見えるかなぁー・・・)
▲ゲーム直前は、いたるところでいろんなパーティーが開かれていたようです
▲試合前のスタジアム外
▲選手入場
▲国歌斉唱
▲試合中
▲ハーフタイムショーには有名な歌手。(すいません、知りません)
▲試合後にインタビューを受けるコーチ・ホルツとそれを囲む選手たち
ではまた。
TK
2011年01月12日
NFLプレイオフ
皆さん、明けましておめでとうございます。そして「日本一」おめでとうございます。今年も、このブログとオービックシーガルズと私をよろしくお願いします。
今、NFLのプレイオフ・WILD CARD(COLTS vs JETS)を見ながら執筆中です。両方に知り合い(友達)がいるので、どっちを応援していいか迷うところでありますが、自分の将来のためにはCOLTSを応援するのが賢明かと思って、そうしています。(編集部注:1月9日、17-16でJETSの勝利)
つい数時間前のこと、SEATTLE SEAHAWKSが歴史的な勝利を飾りました。簡単に言うと「大番狂わせ」という言葉になるのでしょう。それぞれのレギュラーシーズンの成績は、
SAINTS 11勝5敗(※2010 SUPER BOWL CHAMPION)
SEAHAWKS 7勝9敗
ですが、なぜかSEAHAWKSのホームでの試合になりました。これはSEAHAWKSが7勝9敗ながらDIVISION優勝を果たしたことによる結果です。勝敗数を数えるとおかしいかもしれませんが、現行のNFLのシステムではそうなってしまいます。勝敗数やここ数年の成績を見ても、SAINTS優勢は動かざるものでしたが、それを跳ね除け、SEAHAWKS が勝利を収めました。
その勝利には、「12番目の選手」の大活躍があったことは言うまでもありません。SEAHAWKSのホームQUWEST FIELDはアメリカで(世界で?)最もアウェーチームがプレイしづらいスタジアムと言われています。そうです、クラウドノイズが凄いんです。聞けば、オーナーがスタジアムを建設する際にそのようにオーダーしたんだとか……。試合内容はともかく、点の取り合いの最中に垣間見える「ホームフィールド・アドバンテージ」は、ここアメリカでいろんなゲームを観戦している私でもびっくりするほどでした。実際にSAINTSのオフェンスがそれが元で罰退したシーンも数回ありました。中継を見ていると、スタジアム内の至る所に「12」という番号がディスプレイされていました。これは、オービックシーガルズも昨シーズン中に多く使っていた「ファン=12番目の選手」という意味です。スタンドで応援しているファンの中にも「12」のジャージを着ていた人が多かったように見えました。
私の記憶が確かならば……SEAHAWKSは数年前からこのフレーズを強調し始めましたが、これに異を唱えたチームがありました。TEXAS A&Mという大学です。この学校はもう随分前からこの「12番目の選手」という表現を使用しており、SEAHAWKSがそれを使用することは、その権利(なんの権利か忘れました)の侵害にあたると訴えたのです。法廷での係争になったのか?どんな結果だったのか?はわかりませんが、オービックシーガルズも12番目の選手、つまりファンの皆さんにそれぐらいのプライドを持てるような、そして皆さんにもそれを持ってもらえるようなチームなれたらうれしいですね。
今年は、ただ愛されるチームではなく、その愛を持って一緒に戦えるような素晴らしいチームを目指しましょう(誰とも話し合ってない、勝手に決めた目標です。悪しからず・・・)。今年が、オービックシーガルズにとって、ファンの皆様にとって、良い年になりますように。
TK