TKこと河田 剛のUSA情報

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2010年01月

2010年01月27日

NFLプレーオフ出場者見聞録

PLAY OFFに出場しているチームから選手をピックアップして、
私が見たり聞いたり(ほとんど聞いたり)した情報をお伝えします。
多少マニアックかもしれませんが、お付き合いを。


カート・ワーナー (アリゾナ・カーディナルス)

 

彼はNOTHERN IOWAというまったく無名のカレッジを卒業後、NFL EUROPEや
ARENA FOOTBALLを経てNFLのスターティングQBの座を勝ち取りました。
フットボール選手だけでは生活できず、アルバイトをして生計を立てていた話は

あまりにも有名ですね。

 

そのカート・ワーナーとチームメイトだったコーチがSTANFORDにいて、
彼の話を聞いたことがあります。

 

アメリカでは、フットボールに直接関係ない、いわば「走りこみ」のような練習を
コンディショニングと呼びます。その際、スピードに差が出過ぎないようにスキル、ビッグスキル、

ラインマンの(一般的にですが)3つにグループ分けをします。
スキルはWR/RB/DB、ビッグスキルはLB/TE/DE/QB、ラインマンはOL/DTのような感じです。
カート・ワーナーは、ビックスキルの中の誰よりも早く走ることができるそうです。
その差があまりにも大きいので、スキルチームに入れて走らせたそうですが、
それでもレシーバーやDBにも引けをとらないスピードと持久力を発揮していたそうです。

 

私の友人曰く、「30代半ばの体力ではない! アスリートとしての能力が非常に高い」、
素晴らしいQBだそうです。

 


レイ・ルイス (ボルチモア・レイブンズ)

 

元レイブンズのコーチから聞いた話です。

 

見た目は恐いレイ・ルイス選手。
フィールドでは素晴らしいリーダーシップを発揮するそうです。

 

(彼の)私生活についてあまり知る人はいないそうですが、
毎週、試合の前日に自分の家にチームメイトを招いてパーティーをするそうです。
移動のないホームゲームの時だけだそうですが、彼の家に集まってやることととは……
ピザを食べながら対戦相手のビデオを見続けるだけだそうです。
そこにはフットボール以外の会話はほとんどないそうです。

 

見た目は恐いですが、フットボールに対しては真摯で、
若手からも尊敬を集める良きリーダーだそうです。

 

 

SUPER BOWLはコルツとセインツになりましたね。
次回は勝手な予想をしてみたいと思います。    

                            ⇒NFL JAPAN.COM 「スーパーボウル特集2010」

 

 

 

あっ、ところで、日本に帰国しています。
御用の方はお早めに!(笑)

 

TK

 

2010年01月20日

NFLプレーオフ

いよいよ佳境に入ってきましたね。

 

BOWL GAMEのことをどうしても伝えたくてダラダラと書いていたら、
NFLがもうベスト4まできてしまいました。


VIKINGS(12-4)、COLTS(14-2)、SAINTS(13-3)の3チームはレギュラーシーズンの

勝敗をみても順当と言えるのではないでしょうか。

残り1チームはNEW YORK JETS(9-7)です。レギュラーシーズン7敗を喫したJETSが、

わずか3敗しかしていないCHARGERSを破ってAFC CHAMPIONSHIPへの切符を手にしました。

 

私は以下の理由でJETSのファンです。
1)友人がスターター(レギュラー)として出場している。 #65 RG BRANDON MOORE選手
2)OLコーチ(アシスタントヘッドコーチ)が友人のお父さんである。
  元RAIDERSとネブラスカ大のヘッドコーチ、ビル・キャラハン氏
3)NFL TOKYOに来日した際に帯同させてもらった。
4)ルーキーのQBがSTANFORDと同じPAC-10(USC)出身なので、(勝手に)馴染みがある。
5)同じオフェンスシステムである。(プレイコールも似ていて、聞けばわかります)

 

というわけで、近所のスポーツバーでJETSを応援しながらの観戦でした。
結果は……少ないチャンスを確実にスコアしたJETSが、チャンスにFGでスコア(3回はずし)
できなかった上に勝負どころでインターセプトを献上してしまったCHARGERSに勝利する
という番狂わせとなりました。

もう一つは、CHARGERSは反則が多かったですね。

これも試合を左右する大きなマイナス要因です。
とにかく、JETSファンである私にとっては、会心の勝利でありました。


次の相手はCOLTSですが、JETSの強みがディフェンスとランオフェンスであることを考えると……
ディフェンスがCOLTSのハイパーオフェンスにロングゲインや一発でタッチダウンを許さずに、
(幾つかのタッチダウンは取られたとしても)勝負どころで踏ん張ってパントやFGにおさえる。
そしてオフェンスは、ラン・短いパス・プレイアクションを交えながらボールと時間を
コントロールして、ロースコアのゲームに持ち込む!
それしか勝つ方法はないのでは……と思ってしまうぐらい、COLTSは強いんですよねー。。。

 

SAINTSとVIKINGSの対戦も見逃せませんが、今日はこの辺で!

 

TK

 

 ⇒NFL日本公式サイト  ⇒NFL.com(英語)

 

最近の写真(2)

たまっている写真を放出します。

 

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▲現地(エル・パソ)に到着すると、私たちにチームを警護するパトカーが3台、白バイが6台。
バス移動の際は、(観光であっても)どこにでもついてきました。しかもSTANFORD仕様。

 

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▲3日目、朝起きたら雪が……。
ここはテキサスで、しかもメキシコとの国境があるぐらい南なはず……。

 

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▲SUN BOWLスタジアムは、山の中腹を無理矢理切り開いたようなロケーション。
スコアボードの裏は岩山です。

 

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▲スタジアムから国境をはさんで見るメキシコ。住宅が密集しています。

 

TK

 

2010年01月11日

最近の写真(1)

「ブログなのに写真が少ない!」
という声が聞こえてきそうなので、最近の写真をドサッと!!

 

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▲ロッカーに飾られたクリスマスツリーです。なにも、こんなものを飾らなくても……。

 

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▲ボウルゲームのために配られたものの一部です。
スタッフ(少なくても25人)全員と選手全員(約100人)に配られました。
ボウルゲームに出るということは、これぐらい(お金を使っても痛くない)の
意味があるということなんでしょう。

 

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▲「TYSUYOSHI」……って、俺のことか!? 「Y」は、いりませんけど……
って、私もアメリカ人の名前を正しくスペルできませんから、しょうがないですね。

 

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▲私の「L」と「R」の発音を矯正するために、オフィスをシェアしている二人が
書いてくれました。「T.K.、これを一日最低5回は復唱しろ!」って、おまえら、
それ聞いて笑ってるじゃないか!?
でも、なんにもしないより(笑われても)発音が良くなるはず! 本当に毎日やってます。

 

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▲11月から引っ越した部屋はLOS ALTOS HILLSという丘(山)にあります。
広大な庭には鹿の群れが住みついています。庭を見たらいたので、撮ってみました。
わかりづらいですか……?


近いうちに第2弾を!

 

TK

 

2010年01月06日

RICE BOWL

鹿島と関大、素晴らしい戦いだったようですね。

 

特に関大は社会人相手によく戦いました。


失礼かもしれませんが、私が昨年の冬に訪れて選手たちを見たときには、

とてもライスボウルで戦えるようには見えませんでした。それがなんと……!
見たことがあるだけに、選手やコーチたちの努力が半端ではなかったことが容易に想像できます。
関大はシーガルズOBの西岡君がコーチをしてますね。それもうれしいポイントの一つです。

でも、ほんとは……(オービックシーガルズが)そこにいられない、(自分が)関われないのが
残念でなりません。

選手・関係者の方は、両チームの勇姿を目に焼きつけておきましょう!!

 

ところで、出場した両チームには共通点があります。

両チームとも、コーチが昨年の春に (私を慕って?頼って?)STANFORDにフットボールの

勉強に来ていたのです。
GRさんは(自分が持っているシステムでもある)WEST COAST全般を、ITAさんは

WEST COASTとゾーンブロッキングをそれぞれ勉強していかれました。特にITAさんは

日本では私とITAさんしか持っていないであろう「マル秘資料」を持って日本に帰っていきました。
それぞれ、(それが)どう作用したかはわかりませんが、日本のフットボール界の頂点を極める
試合にその2チームが出ているのは、うれしいことです。

 

オービックシーガルズファンの皆様、「敵であるチームに手を貸しているのでは……?」なんて
言わないでください。

私は(日本の)フットボール界全体の発展のためと自分の夢の実現のために ここにいます。

それぞれのチームのスキルやチーム力のアップがそれにつながると信じています。

特に、一緒に仕事をした仲間や一緒に戦った仲間とは、(現在の)所属チームを問わず、

機会があればいろいろなことを共有したいと思っています。

ですので、その辺はフラットかつフレキシブルに対応をしておりますので、ご理解を!

でも、その中でもオービックシーガルズは特別ですけどね。

 

今年(来年は)こそは、その舞台を勝ち取りましょう!
GO OBIC SEAGULLS!

 

TK

 

@エル・パソ

26日に地元を発ち、約2時間のフライトでエル・パソへ到着しました。

 

着いたらまず空港で大歓迎が! 

なんだか地元のSUN BOWL実行委員会みたいな集団やら バンドやらで、空港出口で30分

ぐらいの歓迎レセプション。

その後、地元警察の先導で、ノンストップでホテルへ(信号も無視)。

ホテルにチェックイン後、すぐにパーティー会場へバスで移動(もちろんノンストップ)。

カジノに隣接する大きなホールで、テキサス名物のバーベキューを食べながらのレセプションパーティー。Oklahomaの選手やスタッフ、地元の実行委員会も含めると500人ぐらいの大所帯での

パーティーでした。

生バンドの演奏や双方のチームからの代表者が3人ずつ出ての余興大会等、それはそれは

盛り上がりました。

中でも最後のダンスバトルでは、黒人アスリートの独壇場かと思いきや、優勝したのは

STANFORDの白人のLBの選手でした。


とにかく、アメリカ人はどんな状況でも楽しむことを忘れません。

それが数日後にプライドをかけて戦う相手であってもです。

 

パーティーを終えてホテルに戻ると、ホテルの入口近くに「PLAYERS HOSPITALITY ROOM」
なるものが。かなり大きな宴会場のようなスペースに、プレイヤーがくつろぐためのスペースが。
そこには、
・ビリヤード台
・アーケードゲーム機(ゲームセンターにおいてあるようなゲーム) 6台
・大きなテレビ
・20人以上がくつろげる大きなソファ
・ドリンク飲み放題のバーカウンター
・スナックやドーナツが食べ放題
・アイス食べ放題

至れり尽くせりというのは、このことを言うのではないか、というような素晴らしい空間でした。
さらに、ホテルの最上階のスイートルームには、コーチ&スタッフとその家族向けの同じような

スペースが。もちろんこちらはアルコールあり。数人のコーチやスタッフはこの部屋に入り浸って

ました(笑)。

 

この後、試合までの4日間、昼間は練習、夜はパーティーという日々が続きました。

おもしろいのは、ほとんどの企画に、選手は選手同士、スタッフはスタッフ同士で参加するということです。
たとえば、選手が「BOWL BEFORE BOWL GAME」(ボウルゲームの前にボウリングで対決!!)

なるイベントに参加しているとき、両チームのコーチやスタッフは地元の警察や自治体主催の
パーティーへ参加していました。

そのほかにも選手が数人ピックアップされて、小児病院や軍隊を慰問したり、記者会見に出席したり、

連日、イベントまたイベントの繰り返しでした。


その中でも、前回説明したようなレギュラーシーズンと同じようなスケジュールと練習量をこなして

31日のボウルゲームに臨まなくてはいけません。

選手のコンディショニングを維持するためにコーチ陣が最優先にしたのは、とにかく睡眠時間を

多く取らせることです。ミーティングを早く切り上げたり、朝食の時間を遅らせたりして、

慌ただしいスケジュールの中でも睡眠時間だけは確保するようにしました。

そこだけは徹底したので、試合当日はベストの状態であった選手が多いと思います。

 

さて、このエル・パソという土地。

テキサス州の西の端で、メキシコとの国境に位置しています。
あちらこちらで国境のフェンスを目にしましたし、その向こうの(言葉を選ばず言えば)スラム街のように

住宅が密集している地域が、石を投げれば届くぐらいの距離で見えるのです。

なんだか、あんなフェンス一つで……と不思議な感じでした。
例年は国境を越えて観光に行ったりするそうですが、今年はフェンスを越えたまさにその地域で
麻薬の利権を巡ってのマフィアの抗争が繰り広げられているらしく、メキシコ観光は中止になりました。

 

いくつものイベントを経て、やっと試合当日になりました。
試合はその名の通り、SUN BOWL STADIUMで行われました。

このスタジアムはUTEP(UNIVERSITY OF TEXAS EL PASO)の本拠地でもあり、キャンパス内に

スタジアムがあります。
山の中腹に無理矢理キャンパスをつくった感じの構造になっていて、スタジアムもそんなロケーション。

5万人強のスタジアムでしたが、チケットは売り切れの満員、絶好の舞台でした。

 

試合は終始Oklahomaに主導権を取られ、31-27で負けてしまいました。

両チームともエースQBを負傷で欠いた試合になりましたが、点差以上に実力の差を見せつけられた

試合になったように思います。

驚いたのは、Oklahomaの選手のサイズや個人の能力の高さでした。

Oklahomaも怪我人が多く、若いプレイヤー中心でしたが、末恐ろしい選手が数多くいました。

近い将来、彼らとNational Championをかけるような試合ができれば、その際はリベンジしたいと

思います。

 

なんだかまとまりませんが、ボウルゲームに出場するということは、アメリカのカレッジフットボールに

おいて本当に意味のあることであることを、身をもって体験してきました。

そして、そこには信じられない ぐらいのお金がかかっていることも目の当たりにしてきました。

日本のフットボール界の発展に欠かせないものの一つに「お金」があります。

今回のボウルゲームでは、地元の組織委員会とボウルゲームの冠スポンサーでほとんどの資金を

賄っています。

特に印象的だったのは、地元のそれぞれの規模の企業からうまくお金を集めているということでした。

今回の経験が少しでも日本のフットボールに還元できれば……と願う今日この頃です。

 

TK

 

ボウルゲームまで

ボウルゲームの相手が12月5日に決定してから、 試合に向けた準備が始まりました。


私たちは、Oklahoma大学のビデオを見てスカウティングをはじめました。

といっても、ある程度の予測はついていましたし、スケジュールがそれほどタイトでないので
(試合までは3週間強あります)、レギュラーシーズンのそれに比べれば楽なもんです。

 

選手は最終戦後、束の間のオフ!とはいかずに、ファイナル(テスト)に追われているようです。
ご存知のように、STANFORDは世界でも有数のアカデミックスクール(頭の良い学校)

ですので、テストやレポートも相当難しいようです。

たまにロッカーで言葉を交わす選手たちは、一様にファイナルのことを口にしていましたし、

ロッカーで勉強していたりレポートを作成している選手も数多く見られました。

 

コーチたちは、選手がファイナルの間、全米各地へリクルーティング(高校生をスカウトする活動)に

向かいました。

来年9月に入学する高校生はほぼ固まりつつありますが、まだ決心がついていない高校生を

口説きに行ったり、ジュニア(日本で言えば高校2年生)で有望な選手に挨拶を始めたりと、

コーチたちのリクルーティング活動に「休息」という文字はありません。

 

コーチたちがリクルーティングに出ている間、我々アシスタントたちはゆるーい時間を過ごしていました。

前の週にスカウティングレポートも終了しているので、みんなでバスケットをしたりゴルフをしたりして

遊んでいました。7月の中旬から1日のオフもなかったので、それぐらいは許してほしいと(勝手に)

思ってます。

 

コーチたちがリクルーティングから帰ってくる12月12日の土曜日。

ふとスケジュールを見ると「HOTEL CHECK IN」と書いてあります。

「何これ!?」と聞いてみると……キャンパス内の寮に住んでいるプレイヤーのためにホテルが

用意されているとのこと。
ファイナルが終わると寮から一度追い出されてしまうようで、ボウルゲームへ出発するまでの2週間を
キャンパスの目の前にあるホテルで過ごすようです。

この辺ではけっこう良いグレードのシェラトンホテル……だったので、試しに「俺も!」と言ってみたら、

すんなりOK!ということで、私も出発までホテルで過ごすことになりました。

しかも、一応コーチ扱いにしてもらったので、かなりいい部屋でした。

 

さぁ、12日からボウルゲームに向けた練習が始まりました。
私たちは、ボウルゲームまでの期間をレギュラーシーズンのスケジュールを3回繰り返すような
スケジューリングですすんでいくことを決めていました。
具体的には、
12日(初日)→ 普段の月曜日のスケジュール(ウォークスルー中心の軽めのメニュー)
13日(2日目)→ 火曜日のメニュー
               (基本的となるゲームプランのインストールと2時間半ぐらいの長めの練習)
3日目→ 水曜日のメニュー(火曜日とほぼ同じ)
4日目→ 木曜日のメニュー(少し軽め、2時間弱のメニュー)
5日目→ 金曜日のメニュー(1時間弱、ウォークスルーのみ)
6、7日目→ オフ
8日目からは月曜日のメニューを繰り返し。

 

これを23日まで繰り返して、クリスマスイヴはオフ、クリスマスは滞在しているホテルでチーム

全員で クリスマスパーティーをしました。

そして、26日にチャーター機2機で、現地エル・パソ(テキサス)へ!

 

このボウルゲームで現地に着くまでに感じたこと。
・(エースQBが怪我でいない以外)チームの仕上がり良し。
・ボウルゲームに行くだけで、どれだけギア(グッズ)くれるんだよ!
・関係者多すぎ! レギュラーシーズンでは見たことない人たちがいっぱい同行してきました。
・いろんなことに金かかりすぎ!
・カレッジフットボール……どれだけ金あるんだろう(かかるんだろう)……

 

次回はエル・パソに着陸してからのことを!

 

TK