並河 研GMブログ“日本から世界へ”

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2試合を終了して

2009年05月17日

 

本日、川崎球場においてパールボウル予選の第二戦である
明治安田生命パイレーツ戦が行われ、
第一戦の日本ユニシスブルズに続いてお蔭様で勝つことができた。

ここ3年で過半数が入れ替わった、新しい、若いチームにとっては、
貴重な試合であり、特に今年は攻守のコーディネーターも交代したので、
2試合である程度の結果が出たことには、ほっとしている。

 

アメリカンフットボールチームは、毎年毎年の対戦相手を分析し、

チームを創っていくスポーツであるので、ある意味「相手次第」でもある。

おそらく、毎年強いチームには2種類あって、

・どんな相手が来ても自分たちの力(パワー、プレー、戦略)で
 相手を圧倒できるチーム。

・それ相応の地力があって、その上に相手チームの分析と

 それを打ち破る戦略性で相手を凌げるチーム。


前者は、全盛時を誇った日本大学フェニックスや、
今年のライスボウルでもパナソニック電工を破った学生界の雄・立命館大学パンサーズ、
そしてXリーグではパナソニック電工などがそうであろう。

後者は、学生では関西学院大学、法政大学が筆頭格、

そして社会人のベスト4クラスのチーム(富士通、鹿島、アサヒビール)などがそうであろう。

オービックシーガルズは、昨年から突き抜けたチームを目指して、
おそらく前者を目指してやってきてはいるが、道のりはまだまだ、
まだまだ遠い。

 

それは多分にアメリカンフットボールの競技特性にも起因する。
近年のアメリカンフットボールでは、まず対戦相手を分析し、
それを上回るチーム戦略を作り上げ、それに基づいた練習、

ひいてはトレーニング(体づくり)を行うからである。

極論すると、1点差でも勝てば「勝ち」のチームづくりを目指すので、
対戦相手次第のチームづくりになる。強いチームが来れば強いなりに、
弱いチームが来れば弱いなりのチームづくりになってしまう可能性がある。

 

全盛時の日大フェニックスは、故篠竹監督の理想とするチームを目指し、
あくまでもフェニックスらしい勝ち方にこだわった。
格下のチームと試合をしても、フェニックスらしい勝ち方ができなければ、
試合後であっても練習を敢行した。すさまじい執念である。

また、篠竹監督は同時に「サムライになれ」ということを選手育成の核においた。

これまたすさまじい。

 

今、私たちは、形だけ、言葉だけ、表面だけ「サムライ」を使ってはいないだろうか?
他の競技でも「サムライ…」と命名された代表チームがよく結成されるが、
残念ながら代表選手全員に「サムライ」の面影を見ることはできない。

 

日大とは違う、別の強豪のフットボール部での話。
強い相手との対戦を前にして…「次の試合、勝てるのか?」と監督が聞いたら、
昔の選手たちは、歯を食いしばってうつむいたという。
「今は、『はい、絶対勝ちます!』って明るく言うんだよ…」と
その監督がおっしゃっていた、と知人に聞いたことがある。

 

今一度、「勝つこと」の深い意味を考えてみたい。
試合結果、スコア、そういうものも確かに「勝つこと」の結果である。
しかし、関わった選手、スタッフ全員が「勝利したのかどうか?」
もっと言うと、本当に最後まで「戦えたのかどうか?」問いかけてみたい。

 

先制点を取られて取り返す。

これが、敵を倒すための戦略であればうなずけるが、

不用意な立ち上がりでの凡ミスであるとしたら、
戦うどころではなかったのではないだろうか。