TKこと河田 剛のUSA情報

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2012年03月

2012年03月22日

NFLドラフト -PRO DAY-

いよいよSTANFORD大学のグラウンドにて「PRO DAY」(正式にはPRO TIMING DAYというらしいです)が開かれます[現地時間22日(木)]。

 

今一度、この定義を簡単に説明しましょう。
・(基本的に)NFLコンバインで行われた種目を、もう一度各学校で行う。
・コンバインは招待された選手のみのパフォーマンスのため、招待されなかった選手や招待されていたのに怪我でパフォーマンスできなかった選手がパフォーマンスを見せる良い機会である。
・当日はスカウトだけでなく、エージェントの参加も可能である(パフォーマンスを見て、まだエージェントがいない選手をクライアントにする)。

 

球団としては、
1.ドラフト対象選手の再評価
2.“掘り出し物“の発掘
がメインの目的となります。

 

特に今年のSTANFORDには上位指名予定選手が4名もいますので、数十億円の投資となるドラフト1巡選手を見極める機会は何度あっても足らないでしょう。当日は数社のテレビ局がその様子を全米に生中継する予定ですし、各球団のトップがこのキャンパスを訪れることになるようです。


もうこちらでも報道されているので、具体的な名前を出しても問題ないでしょう。全体2巡目の指名権を持つ
レッドスキンズからは、オーナー、球団社長、GM、ヘッドコーチ、3人のコーチが、他の球団でも相当数の球団トップがこのキャンパスに現れるようです。

 

写真は、当日のために用意したクルデンシャル(入場許可証のようなもの)です。関係者を含め600以上は用意しました。

 

tk20120323.jpg

 

当日の様子はまたお伝えします。

TK

 

 

2012年03月19日

NFLドラフト(STANFORDの上位指名予測選手について)

前回の記事でご紹介したコンバインにSTANFORD大から招待された6名の選手たちは、順当に行けば指名を受けるであろうと言われています。別の言い方をすれば、コンバインで大きく評判を落とすことがなかったと言えるでしょう。今回は、その中から、上位指名が予測される4選手をご紹介したいと思います。

 


◎ANDREW LUCK


言わずと知れた、全米NO.1のQBです。リーダーシップ、賢さ、フィジカル、どれをとっても非の打ちどころのないエリートQB。195cm、108kgのサイズながら、コンバインの40yd走では4秒67を記録。大学での4年間、NFLに近いシステムのオフェンスを率いていただけに、2012年の全体一位は間違いないとされています。NIKEと個人契約を結び、早々にCMらしきものが……しかもNIKEはすでに「青」いカラーの商品を彼に支給しています。「青」は、ドラフト一位指名権を持つCOLTSのチームカラーです。

 

彼は、22日(木)にSTANFORD大学で行われる「PRO DAY」に参加します。ドラフト一位指名が99%決まっているので、参加する、そしてパフォーマンスをする(ボールを投げる)必要はありません。そこで、彼に、「別に何もする必要ないだろう?」と聞いてみたところ、満面の笑みで、「みんなそう言うんだけど、俺がボールを投げるのは俺のためじゃなくて、チームメイト、特にレシーバーのためなんだよ。俺がパフォーマンスするって言えば、より多くのスカウトが来る。そうすれば、NFL選手になりたくてPRO DAYに参加するチームメイトがスカウトの目に触れる機会が増えるだろ」。そんなことをサラッと嫌味なく言えるのが、誰もが尊敬するリーダーである所以なのでしょう。

 

 

◎DAVID DeCASTRO


198cm、141kg。今回のドラフトにおいて、ガードの中で一番に指名を受けるであろうと言われている選手です。四角い、冷蔵庫のような体型ながら、体脂肪率は15%以下。40yd走でいいタイムを出すようなタイプではないものの、プル(ランニングバックのリードブロッカーに出る)した時のクイックネスには目を見張るものがあります。ある有名なNFLのオフェンスラインコーチが、ここ10年の中で3本の指に入るガードであると評価したことからも、その将来性がうかがえます。


彼は先のコンバインで100kgのベンチプレスを34回挙げました。噂によると、このドラフトでガードの一巡指名を予定しているあるチームが、球団社長、ヘッドコーチ、オフェンスコーディネーター、OLコーチをPRO DAYに派遣してくるそうです。

 


◎JONATHAN MATRTIN


201cm、137kg。両祖父母、両親、姉の全員がHARVARD大学卒。彼一人だけがフットボールをするために
STANFORD大学を選びました。

 

忘れもしません、彼が入学してきて最初の練習を見た後、当時のOLコーチと二人で顔を見合わせて「NFLだな……」とつぶやいたことを。寡黙で、コーチの指導を素直に受け止め、新しいドリルやテクニックにも積極的にチャレンジする選手です。先のコンバインではFOOD POISON(食あたり)を理由にほとんどのパフォーマンスを見送りましたが、多くのチームに招待されてプライベートワークアウトを行うようです。

 

 

◎COBY FLEENER


201cm、111kg。コンバインでのパフォーマンスは悪くなかったのですが、他のタイトエンドが予想以上のパフォーマンスを見せたため、結果としてコンバインで評価を下げてしまいました。現在は1巡目の後半か2巡目の前半ではないかと言われています。ワイドレシーバー並みのスピードとキャッチング能力が魅力の長身タイトエンドです。

 


来るPRO DAYには、全チームのスカウトはもちろん、コーチ陣や経営陣まで参加して、実際に選手のワークアウトを見ていきます。その様子や結果はまた後日リポートします。

 

TK

 

2012年03月02日

NFL Combine

2年前にも同じタイトルでお話をしました。そのコンバインが2月22日から始まっています。コンバインとは、簡単に説明すると、NFLまたはNFLの各チームがドラフトで指名予定選手のパフォーマンスを実際に見るために行われるものです。

 

 

NFLの球団側から見たドラフトに向けたプロセスを簡単にまとめてみました。

1・地域担当スカウトのスカウト活動(練習、試合、試合のビデオを各校に出向いて実際に見る)
2・スカウトの責任者、GM(ゼネラルマネージャー)や球団の社長が上位指名予測者を実際に見に行く(球団にもよりますが)
3・カレッジのシーズン終了を目安に各プレイヤーの評価をまとめる
4・コンバインへの招待希望選手のリストを提出する(リーグが招待選手を決定)
5・コンバインでのパフォーマンスを実際に見て評価する
6・各地各校で行われるPRO DAYで再評価する(コンバインに招待された選手+NFLには行きたいが招待されなかった選手が参加し、通常、各学校で行われる)
7・「もっと見てみたい選手」を見るために、プライベートワークアウト(球団の施設へ招待、あるいは選手の希望の地へ出向く)を開催することが可能
8・指名選手の優先順位を決め、ドラフトへ

 

 

現場のヘッドコーチや選手の契約を取り仕切るGMは、いろいろな選手の様々な評判や評価を聞いてはいても、選手のパフォーマンスを実際に見る機会はあまりありません。それを実現できるのがこの「コンバイン」といいうわけです。実際、各チームのほとんどの関係者がこの場に姿を見せますし、実際に「パフォーマンスを見て選手の優先順位を決めるチームがほとんどでしょう。

 

しかし、中にはコンバインに参加しながらも部分的にパフォーマンスをしない選手もいます。シーズン中やトレーニング中の怪我が理由の場合もありますが、それがビジネス的な理由である場合もあるようです。

 

コンバインに招待されるような選手はもちろんエリートであり、この時点ですでにエージェントと契約しています。エージェントが契約条件や指名順位の向上のために、特定の種目のパフォーマンスをさせないケースもあるようです。たとえば、ベンチプレスが苦手な選手が、パワーのなさを隠すためにベンチプレスをしなかったり、スピードがない選手がスピード系の種目を拒否したりと、その戦略はそれぞれですが、もうビジネスのつばぜり合いは始まっているのです。

 

我がSTANFORD大学は、今年度のコンバインに6名が招待されました。なんとそのうちの4名が各種メディアのドラフト予想で1巡指名(全体32位)になると予想されています。次回はその選手たちの詳細をリポートします。

 

ではまた。
TK