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2010年08月
2010年08月09日
BIG TIME GUYS
日本語訳をつけるなら、「大物たち」とでも言うのでしょうか?? 私はSTANFORDにいることで、多くの「大物たち」と出会います。特にコーチングスタッフの中にはNFLの経験者が多く、私もどこかでその名を聞いたことがある往年の名選手と今、一緒に働いていたりします。今日はそのうちの3人を紹介しましょう。
●AARON MOOREHEAD
彼はイリノイ大学を卒業後、COLTSで5年間WRとして活躍していました。在籍中にSUPER BOWLチャンピオンにもなっています。ということは、スーパーボウル・リングも持っています。見せてもらいましたし、はめてみました。重く、見たことないぐらいの光を放っていました。彼のお父さんもNFLの選手だったそうで、世界で一組だけ、親子でスーパーボウルチャンピオンになっている親子だそうです。画質がよくないですが、彼のスーパーキャッチ(YouTube)です。
●CHESTER McGLOCKTON
彼はクレムソン大学を卒業後、ドラフト一巡で指名されてNFL入りしました。その後、12年間DLとして活躍。なんとオール・プロに3回選出、プロボウルに4回出場しているBIG TIME GUYです。ある日の私との会話(トレーニングルームにて)
TK 「チェスター、大学の時はどれぐらいトレーニングしてた?」
C 「ほとんどしてなかったよ。だって、強かったもん。コーチに文句言われても
同じように答えてた」(笑)
TK 「あっっ、っそう」(笑)
C 「本気でやったの、NFL行ってからだなぁ」
BIG TIME GUYは、普通の人の物さしでは計れないですね……。
●STEVE WISNIEWSKI
彼もまたNFLで活躍していました。PENN STATE時代にALL-AMERICANに2回選出。その後ドラフト2位でレイダース入り、13年間の現役生活で、なっなんと! 8回のプロボウル出場です。物腰が柔らかく、指導も本当に丁寧ないいお父さんという感じですが、あるサイトでは、20世紀を代表する「ダーティー・プレーヤー」である、と紹介されています。チェスターに聞いてみたところ、ダーティーなプレーをすることで有名だったそうです。
とまぁ、「一流に育てたければ、一流の中で育てろ!」という、ヘッドコーチの方針をそのまま表したスタッフなのであります。私も彼らの経験値から生まれる、一流の指導を盗むべく精進してまいります。
最後にひと言お断りを!
I am not a''Name Dropper''.
TK
Guest from Stanford
7月15日から1週間ほど、Stanford大学からゲストコーチを招きました。主にオービックシーガルズコーチ陣とのコミュニケーションでしたが、それはそれは有意義な時間となりました。
アメリカのカレッジフットボールのコーチにとって、この時期は長いオフ(約1ヵ月)。シーズン前の大切な、本来は家族とゆっくり過ごすバケーション中に太平洋を横断して日本に来ていただくことは、そんなに簡単なことではありません。今回は家族同伴という条件の下、この企画が実現しました。
期間中、コーチはオービックシーガルズのコーチ陣とミーティング、その間家族は観光をして、夜に合流するというのが主なスケジュールでした。その中で、特に印象的だったのは、MIT(マサチューセッツ工科大学)の機械工学卒であり、その博士号を持つコーチの奥さんが私に浴びせ倒してくる「日本に対する素朴な疑問」でした。以下、皆さんも「外国の人から見たら、日本人はこう見えるんだ」という観点で読んでください。
◎日本はどうして新車ばっかり走っているのか? トヨタとかニッサンがあるからか?
そういえば、アメリカではもっと多くの「汚い車」が走っています。オンボロに見えたり、凄い煙を噴出しながら走っている車も多い。これは車検制度(アメリカには日本のような厳格な制度がありません)の問題と国民性の問題であると説明しておきました。国民性の違いとは……アメリカ人は周りの目をあまり気にしない ⇔ 日本人は気にする、というように説明しておきました(※あくまで主観です。ご容赦ください)。彼女には、その(見た目を気にして、かつ整備された)車がすべて新車に見えたようです。
◎KidZania(キッザニア)は素晴らしい!! どうしてアメリカにないのか?
彼女は子供が職業体験をできる、この場所に感動していました。実際、二人の子供は一度行った楽しさが忘れられず、滞在中に2回も行きました。なんにでも興味を持つ彼女は、キッザニアの起源について知りたがっていました。オービックシーガルズの並河GM曰く、この職業体験アトラクション(勝手に命名)は、メキシコが起源のようです。しかし、メキシコでは、遊びの一環としてではなく、リアルな職業訓練の色が濃いようです。子供が早く働き始めなければならないという現実の中、そのような施設が作られたようです。
◎Tシャツや街中の看板等、変な英語がいっぱい使われている!
そう言われてみれば……ですが、本当に意味のない、またはは理解しがたい英単語がいろいろな所で見受けられます。特に彼女はTシャツなど着ているものに目をつけたようで、いちいち私に報告してきました。
It doesn't make any sense!! (意味がわからない!意味がない!)
ショッピングモールを歩いていると、彼女がある若い女性を指差して「T.K. あの娘に声かけてデートに誘っておいで!」と言ってきました。オフィス街にほど近いモールだったので、会社のランチタイムではないかと思われました。普通の女性らしい服装でしたが、背中に一文「I am boring.」 私は退屈(ひま)です……。その他、理解しがたい(文として成立しない)英単語の乱用を、彼女は不思議に、時におもしろく思ったようです。感覚的には、私たちが海外で見る変な漢字のTシャツと同じようなことなんでしょう。皆さん、海外へ行く時は気をつけましょう。
◎日本のアバクロ(アバクロンビー&フィッチ)はおかしい!
これは私も日本人として恥ずかしかったです。銀座店に行ったことがある方はご存知かもしれませんが、「見せ筋」を身にまとった若いお兄さんが上半身裸で店内にいたり、女性の店員が音楽に合わせて(クラブのように)踊っていたり、店内が必要以上に暗かったり。アメリカのそれと同じ点は、商品でもある香水が店内に振りまかれているぐらいだったような気がします。島国に住む私たちが大陸の文化を間違った形で取り入れてしまった典型と言えるでしょう。
その他、ここでは紹介しきれない、数々の的を得た(しかもど真ん中)質問がありました。彼女を案内しながら、日本のことをわかってもらうべき私たちが、逆にいろいろなことに気づかされた1週間でありました。
TK
クリニック@韓国
先月のこと。パールボウル決勝後の週末に、新生コーチを中心とするグループ(オービックシーガルズの選手&コーチ)で韓国へ行ってきました。ソウル・バイキングスという社会人チームからの招待を受けて、フットボールクリニックをするのが目的でした。
対象は、防具をつけ始めて数週間という学生から社会人の若手までと幅広く、ソウル大学のフィールド・ターフの上で、賑やかなイベント開催となりました。
私が担当したオフェンスラインというポジションでは、主催者からの要望は、
・2日間のクリニックで基本的なゾーンスキームの習得
・それを使用したインサイド(ランプレーのみ)のスクリメージ
というものでした。
入部したての選手はともかく、大学の上級生や社会人の選手を起用すれば、2日目の最後にはインサイドのスクリメージぐらいはできるだろうと思っていましたが、彼らとの時間を重ねていくにつれて、そのゴールが遠ざかっていきました……。
「韓国にゾーンブロックをやっているチームはありません」
ちなみにゾーンブロックのことを「ジョン・ブロォークゥ」と発音するので、最初は、コーチか誰かの名前なのかと思ってしまいました。
「今日、初めてヘルメットをかぶったので、頭が痛いです……」
そして、……メガネ in ヘルメット
うーん、2日間のプログラムで……ゴールが達成できるのか?? とはいえ、考えている時間などありません。まずは、ランもパスも基本から、ということで、基本的なドリルを炎天下、繰り返しました。彼らは乾いたスポンジのように、いろいろなことを信じられないようなスピードで吸収していきます。運動能力の高いスポンジ(選手)は、いったん吸い込んだ水分を簡単には吐き出しませんし、まるで吸い込んだ水を自浄作用で濾過したいとばかりに質問を浴びせてきます。その貪欲さには驚かされました。
指導をしている中での雑感を箇条書きにしてみました。
・彼らには(日本人とは異種の)根性がある
・取り組む姿勢が素晴らしい
・儒教思想が根底にあるからなのか、日本から来たコーチを敬ってくれる
・防具やジャージ等のフットボール用品は、日本から15年前程遅れている模様。
フットボールの専門店は韓国国内にないそうです
・メガネ in ヘルメットはやめよう
・韓国にも日本のアニメが大好きなオタク的な人たちが存在する。日本語で話しかけてくる選手に
「なんでそんなに日本語できるの?」と尋ねたら、「ボクハ、ニホンノアニメダイスキデス!」と
にこやかに答えてくれました。
いろいろありましたが、最後のプログラムは、ランプレーのスクリメージです。40人弱いたオフェンスラインの中から10人(相手選手とのコンタクトが可能な選手)を選び抜き、デフェンスライン&ラインバッカーとユニットとしての勝負です。プレーコールはインサイド・ゾーンとアウトサイド・ゾーンのみと単純ですが、私の教えるゾーンブロッキングはセットしてからのコミュニケーションが多いため、簡単ではありません。しかし、彼らはハングル語と英語を駆使してコミュニケーションを取り続け、私としては満足のいくユニット練習ができました。練習最後の質問タイムも積極的かつ的を得た質問が多く、主観ではありますが、有意義なクリニックとなりました。
ゲストを迎え入れるホスピタリティと、「何かを学び取ろうとする姿勢」に感銘を受けた有意義な2日間でした。今後も機会があれば、日本だけとは言わず、アジア全体のフットボールの発展のお手伝いができればと思っております。
TK