並河 研GMブログ“日本から世界へ”

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内面を磨くとき

2010年09月22日

ここにコップがあり、水が半分入っている。

 

もう半分なくなってしまったと捉えるか、
まだあと半分もあると考えるか。

 

何事もポジティブシンキングで捉えた方が、
良い結果になるという、有名なたとえ話である。

 

春から、たくさんの研鑽の日々を重ねて、
リーグ戦に突入し、2試合を終わったところで、
ライスボウルまであと、102日。
そのための最大の関門である、
富士通戦までは、あと31日。


全体練習でいうと試合も含めてあと、10回。
10回しかないと思うか10回も残されていると
考えるか。31日をすべて使って654時間と
して使うか。

 

これはまさにフットボール。

 

試合開始から、未来に対して残された時間を
どう使うか、という“使い方の戦略”が問われる。


もちろん、過去に学ぶということも必要であるが、
過去にとらわれすぎたり、ひきずられたりしては
相手の思うつぼなのである。

 

21日の試合では、
明治安田パイレーツが、

どんな状況でも第4ダウンでパントを蹴らず

捨て身で戦ってきた。
最初の第4ダウンを迎えたときに、

彼らは自陣深いところからであったにもかかわらず、

フェイクプレイでランを強行し成功させた。


その時からそれは始まったのである。

 

通常ではない、戦い方をしてくる相手。


難敵である。

相撲で言えば、がっぷり四つになれないカタチか。

 

それを何とか封じ込めて、前半を17-0で折り返した。

私はそこにチームの成長を感じる。

 

思い切りの良い走りをした#35ランニングバック山﨑選手、
マンツーマン守備を振り切って

タッチダウンまで持っていった#83清水選手、

しぶとい相手の走りに激しく対応した
#11KJ選手や、#92紀平選手、激しいタックルを見せた
#9塚田選手、#3滝澤選手…。

 

後半に入っても、明治安田の戦法は変わらず、
ついに、パスディフェンスのわずかな綻びを射抜かれて
タッチダウンパスを許す。


その後、第4Qに入って1つタッチダウンを積み上げて、

24-7で試合は終了。

 

「ピリッとしなかったね」
「もっと、点を取らなきゃ」
と感じた人も内外に多かったであろう。
選手自身も「この、2試合、なんか爆発できてない」
と思っている節もあるかもしれない。


私自身も、あれ、こんなはずでは……?
という思いが横切らなかったといっては嘘になる。

 

パナソニックや鹿島や富士通は、開幕から50点くらいの
大量得点で勝ち進んでいるから、なのか。
あるいは、自分たちは日本一を目指しているのだから
もっと強いはずだ……、なのか。

 

しかし、
この局面では、敢えて、結果にだけ目を向けるのは、
やめたいと思う。私たちは決して強くもない。
また、24点がダメで50点が良いという結果主義に
陥るのも良くない。

 

要は、一人ひとりの選手、一つひとつのプレイが
どのようなプロセスであったか、どのような挑戦をできたのか
というところに目を向けたい。


もっと言うと、どのような意図で一人ひとりの選手が
一つひとつのプレイをしたのか、していなかったのか。

 

内面に目を向けるべき時である。


例えば、
最初の#85萩山選手のパス補球後のランニングでの落球。


それがどのような意図を持ったプレイで、なぜ落球に至ったのか
そのプロセスと内面を掘り下げて、もう一度磨きなおすこと。

 

神は細部に宿る。

 

と有名な建築家の言葉にあるが。
その細部にこだわって、その細部から自分のプレイを
構築し、チームとしてのプレイに仕上げる。

 

1プレイ1プレイが居合抜きのような
「技」として完成してこそ、凄みが出てくる。

 

サイゼリアは、1つの定番メニューを最低1,000回は、
吟味しなおすと、以前テレビで特集されていた。
低価格でおいしいあの“いつもの味”は、

1,000回の鍛錬で磨かれていたのだ。

 

あと10回もある練習で、
内面を掘り下げ、凄みのある自分の定番技として磨く。

今がその時である。

 

ちなみに、オービックシーガルズが

最初に日本一をとった1996年度のリーグ戦の戦績は、

 

すかいらーく 19-9 〇

鹿島     20-26  ●

レナウン    29-22  〇

NEC     53-21 〇

オンワード  28-21  〇

 

と、大勝は、NEC戦のみ。

その時のチームの5つの言葉は、

FINISH IT

EXECUTION

DESIRE

EFFORT

ATTITUDE

の5つ。5つとも内面に起因する言葉であった。