2013年06月26日
【5.18ドイツ遠征9】デュッセルドルフパンサー戦の動画をアップしました
インターナショナル・チャレンジボウルⅡ [2013/5/18(土)@パウル・ヤネス・スタジアム]
オービックシーガルズ○34-3●デュッセルドルフ パンサー
チーム2度目のドイツ遠征の模様を、ゲームハイライトを中心に、日本人学校訪問の様子なども交えてまとめました。
2013年05月30日
【5.18ドイツ遠征8】冨樫AGMレポート最終回:遠征総括
(冨樫アシスタントGMレポート Vol.5 最終回)
試合結果(デュッセルドルフ パンサーに34-3で快勝)
2013ドイツ遠征特集(バックナンバー記事)
(昨年)2012ドイツ遠征特集(バックナンバー記事)
パールボウルトーナメントの最中に敢行した2度目のドイツ遠征。帰国後の準決勝で富士通フロンティアーズに完敗し、3週末連続試合へのチャレンジは、3年ぶりの黒星を喫して終了しました。
この3連戦を勝って終えられなかったのは、完全に我々の実力が劣っていたから。たかが1回の遠征を挟むことで富士通への対策が不十分になる、自分たちの力を十分に発揮できなくなるということは、個々人の準備、一回一回の練習やミーティングの精度が低いということ。クラブチームである以上、練習時間もミーティングの回数も限られ、個々人に委ねられているミッションも多い。それでも勝ち続けることが、我々がやりたいこと。勝ち続けるチームをつくることが、我々が目指していることです。今回改めて、まだまだ足りないと痛感させられました。もうすぐ6月。行動あるのみ。
●「慣れ」
今回の遠征では、いい意味での「慣れ」を感じました。環境が変わろうが、場所が変わろうが、そこで最大限できることに徹する。スケジュールがきつくても、移動がきつくても、最大限フットボールを楽しむ。3週連続のゲームウイークを前に、昨年はやせ我慢的に「この状況を楽しもう」と思っていたかもしれませんが、今回は純粋に、心底楽しくて仕方ないと感じているように見えました。
現地での様々な違いやアクシデントも、「またか……」と落ち込むより、「やっぱり?」というふうに受け止められました。たとえば、フィールドのヤーデージは、IFAF(アメリカンフットボール国際連盟)ルールに基づく1ヤードよりも若干短く引かれています(※ヨーロッパの球技場はサッカー用に設計してあるため、縦に120ヤード取れない)。前回はコーチ、選手ともに非常にナーバスになりましたが、今回は、アウェーなのだからしょうがないと割り切りれたように思います。また、今回の最大のアクシデントは、バスの配車でした。手配していたバス会社の運転手が自分の大好きなサッカー試合を観に行き、予定よりも1時間半も遅れてきたのです。よくよく話を聞けば、ひいきにしているチームが負けたことでファンが暴れ出し、駐車場から出られなかったとか。しかも、自分のせいで我々を待たせたのに、残業したくないとすぐに帰ってしまう始末。チームの皆さん、本当にごめんなさい。他にも、ゲームクロックが故障し、クロックがないままゲームが始まってしまったり……。本当に信じられませんが、日本では考えられないことが実際に起きてしまうです。でも、鷹揚に構え、対処することができました。
この「慣れ」については、ひとつは、選手が視線の先に何を見ているかが大きく影響していると感じます。私の実感では、日本代表に憧れ、日本代表としてプレーしたいと思っている選手がいま、チーム史上一番多い。この、代表入りへの欲求が、競技力向上の大きな原動力になっているのは間違いありませんし、海外遠征にも前向きに、かつ興味津々に参加させているのだと思います。
他の要因としては、3人の外国人選手の存在も大きいでしょう。DL#11KJ、DL#23BJ、OL#67フランクとのコミュニケーションが、選手たちの外国人アレルギーをなくしているように感じます。さらには、前回の遠征、U-19や日本代表の活動を考慮すると、現在の在籍メンバーの多くが海外遠征を経験したことになります。これが、我がチームにとって、大きな大きな財産となっています。 (右写真は、試合前日に表敬訪問した在デュッセルドルフ日本国総領事館で)
●チームビルディング
パールボウルトーナメント開催中の遠征は、チームビルディングという面から言えば、最高のタイミングでした。この時期に新チームのメンバーが一緒に生活することは、まずありません。通常ならそれが夏の合宿にあたるのですが、こうして3カ月も早く、このような機会を持てたことは貴重です。特に、この春加入したメンバーと寝食をともにし、「こいつはどんな奴で、なんでオービックシーガルズに来たのか」と、入団の経緯など突っ込んだ話ができたことは非常によかったと思います。
なかでも、LS(ロングスナッパー)#39西口選手の加入により、スペシャリストが3人(右写真)になったことが、個人的には非常によかったなと思います。2年前まではK/P#1金親だけ。昨年、K#47丸田が加入。そして今年西口が加入し、やっと「グループ」になれました。
海外での移動や食事では、否が応でも選手同士がコミュニケーションをとらなければなりません。食事に行けば使い慣れない英語で話し、荷物を運ぶときは分担し、先輩が後輩に荷物を押しつけたり気の利く人間が運んだりと、それだけでもいろいろな人間模様が垣間見えます。
●日本人学校での交流
試合前日、デュッセルドルフ日本人学校を訪問し、524名の小中学生と交流しました。トータル2時間。前半の1時間は我々のデモンストレーション交えた壮行会イベント、後半の1時間で中学生を対象にしたフラッグフットボール教室を行いました。校庭に入るや、たくさんの小学生に取り囲まれ、スタッフの私までサインをせがまれました。私の人生でこのようにサインをすることは、恐らく後にも先にもこのときだけでしょう。ジャージやTシャツにまでサインしました。お母様方、本当に申し訳ございません。
壮行会イベントでは、QB#6菅原選手がパス、K#47丸田選手がキックを披露し、KJやフランクと子どもたちが力相撲。一番大人気だったのが、OL#59山本選手が上半身裸になっての筋肉自慢でした。別に何の知識がなくても、あのデモンストレーションを見れば、フットボール選手は強いんだなぁと感じてもらえたと思います。
続いてのフラッグフットボール教室では、4つのグループが各々6チームに分かれて練習とゲームをしました。最初は引っ込み思案だった女の子も、そのうちボールが取れて大喜びしたり、普段はおとなしそうな男の子も、選手に本気で挑んだりしていました。これがスポーツの力なのだと改めて感じました。みんなにフットボールを好きになってくださいとまでは言えませんが、体動かすのは楽しい、ボール遊びもいいものだと思ってもらえれば十分です。楽しい時間をありがとうございました。
●親善試合からチャンピオンシップゲームへ
ご承知の通り、2回のドイツ遠征はいずれも「親善強化試合」でした。対戦相手も、新戦力や新しいシステムを試す場としてとらえていたようにも感じます。スカウティングにも限界があったりと、やはり様々な部分で「チャンピオンシップゲーム」とは違いました。これがたとえば「ヨーロッパチャンピオン対アジアチャンピオン」なら、準備や対戦相手のとらえ方も違っていたでしょう。
我々が次に目指すステージは、「親善強化試合」ではなく「チャンピオンシップゲーム」のように思います。昨年は感じることができなかった、我々の目指すもの、欲しているものが、今回の遠征で比較対象できる2つ目の相手ができたことで、より明確になりました。よりCompetitiveなゲームを、我々は欲しています。たとえば、Euro BowlチャンピオンやGerman Bowl チャンピオンとの戦い。ちょうど、春のこの時期は、Euro Bowlの準決勝、決勝の時期なので、タイミングが合えばかなりいいと思います。あくまでも、たとえば、の話です。実現には、各国との調整やXリーグ、日本協会との調整がかなり困難だということは容易に想像がつきますが(どこにでもお話しに伺います)。
その前に、日本一、ナショナルチャンピオンになって、日本を代表するチームにならなければいけないのは、言うまでもありません。でも、こうやって夢を見ること、夢を語り続けることで動き出すこともあると信じ、これからもいろいろ発信していければと思います。ドイツにできたフットボール友達も、協力してくれるでしょう。 (上写真:Conny Anderson)
●2015年ワールドカップ
少し話が飛躍するかもしれませんが、今回、ヨーロッパのフットボールの成長を強く感じました。今後の日本のフットボール界とヨーロッパのそれを比較したとき、ものすごい危機感も感じます。
これまで過去4回のW杯で、日本はヨーロッパのチームに負けたことはありません。それは、戦術、遂行力、テクニック、スピード、つまりパワーとサイズ以外の全ての面で日本が上回っていたからだと断言できます。しかし、ヨーロッパの成長速度は我々の想像以上です。確実に競技人口が増え、リーグも盛り上がっています。競技力を上げるための環境、仕組みがあります。このまま成長を続ければ、日本を追い抜き、北米のチームを脅かす日が近い未来に来ると確信します。今年もドイツリーグのクラブチーム経験者がNFLのドラフトで指名されています。NFL選手を輩出しているか否かは、日本との決定的な違いです。
その日本はどうでしょうか。2015年W杯が2年後に迫っていますが、まだ一度も代表が召集されていません。それどころか、コーチ、スタッフさえ決まっていません。また、これまでの例で言えば、コーチは各チームから1ないし2名が選出され、自分のチームと代表チームの2足のわらじでの作業になります。アイデア、コンセプトも、チームと代表の2つ、建前と本音が入り混じらざるを得ない環境に置かれます。
他の競技では、代表チームのコーチはリーグや組織の代表であり、個別のチームとの関係はありません。代表が勝つための人材をリーグや組織に要求し、チームの損得と関係ないところで競技力が追求されます。純粋に、世界で勝つことだけに注力できるのです。たとえば、サッカー日本代表のザッケローニ監督はJリーグの監督はしません。女子バレー日本代表の真鍋監督は実業団チームの監督はしません。それと同じす。一部の有能なコーチにおんぶにだっこでは、日本がW杯を勝ち切ることは、もうできません。
●最後に
デュッセルドルフを離れる日、日本人学校で出会った福井由璃花さん、美月ちゃん、太月君が、早朝にも関わらず見送りに来てくれました(左下写真)。我々のビッグファンになってくれて、試合でも大きな声援を送ってくれていました。異国の地で、まだまだドイツでもマイナー競技のフットボールチームをこんなふうに応援してくれて、本当に感激しました。何物にも代えられない、遠征の成果です。
今回の遠征では、アシスタントトレーナーやオペレーションマネージャーには本当に負荷がかかりました。限られたメンバー、限られた時間の中で、次々と起こるハプニングや選手のトリートメントに対処してもらいました。ほぼ3日間、睡眠と食事の時間を削ってあたってくれたからこそ、無事に遠征を終えることができました。本当に感謝します。あんな辛い経験だったにも関わらず、「ますますチームが好きになりました」と言ってくれています。「もっとチームを強くしたい」と私自身、思いを新たにしました。
試合の写真はフォトギャラリーに多数ありますのでご覧ください。
2013年05月19日
【5.18ドイツ遠征7】速報◆デュッセルドルフ パンサーに34-3で快勝
5/18(土)、オービックシーガルズ2度目のドイツ遠征試合(インターナショナル・チャレンジ・ボウルⅡ)がパウル・ヤネス・スタジアムで行われ、34-3でデュッセルドルフ パンサーに勝利しました。
試合はパンサーのキックオフで始まり、高く蹴られたボールをLB#2古庄がリターン。よいフィールドポジションからWR#83清水、RB#20古谷のゲインで着実に進み、最後は再びRB#20古谷のランで先制。その後のオフェンスも好調を維持し、RB#32原、WR#18木下(典)のタッチダウン、K/P#1金親のフィールドゴールで前半22点を獲得。一方、ディフェンスもパンサーのオフェンスを封じ込め零封し、前半を22-0で終えました。
後半は、パンサーのオフェンスがサイドへのパスを中心に組み立て、DB#33島津などが随所でナイスタックルをみせるも、じりじりと出される展開。しかし、ゴール前まで迫られた窮地でタッチダウンを狙ってきたパスをDB#16三宅がこの日2つ目のインターセプトで救います。オフェンスは、後半からQBを#6菅原に代え#13木下(善)へ。4Q、パンサーにフィールドゴールを決められるも、WR#7池井、WR#25服部へのパスなどで前進し、1フィールドゴール、1TDを追加し、タイムアップ。最終スコア34-3で勝利しました。大会MVPには昨年のドレスデン モナークス戦に続いてQB#6菅原が選出されました。
情報がない未知なる相手との対戦で、自分たちの力を信じてオービックシーガルズらしく戦えたことは大きな収穫でした。試合会場に駆けつけてくださった皆さん、日本からTwitter等で参戦いただいた皆さん、応援ありがとうございました。
次は、5/25(土)14:00~川崎球場でパールボウル準決勝、富士通フロンティアーズとの対戦です。このドイツ遠征を経てひと回り成長した選手たちの姿を、ぜひ観に来てください。
※5/30(木)発売の「タッチダウン」7月号に取材記事が掲載される予定です。ぜひご覧ください。
※詳しい記録(スタッツ)はこちら(PDF)
・4QのTDが「N.Yosuke(DB#28中西庸輔)」となっていますが、正しくはWR#25服部
・「F.Masashi(DB#14藤本)」に1インターセプトがついていますが、正しくはDB#16三宅(=2INT)
ドイツ遠征参加選手一覧(ロスター) スターティングメンバー表
試合日 | 現地2013/5/18(土) |
試合開始時刻 - 終了時刻 | 現地19:12-21:57 |
試合会場 | パウル・ヤネス・スタジアム(デュッセルドルフ) |
天候 | 曇り |
観衆 | 2,809名 |
1Q | 2Q | 3Q | 4Q | TOTAL | |
オービックシーガルズ | 12 | 10 | 2 | 10 | 34 |
デュッセルドルフ パンサー | 0 | 0 | 0 | 3 | 3 |
# | チーム | Q | 時間 | プレー | トライ | ||||
種類 | 選手 | ヤード | 種類 | 選手 | 結果 | ||||
1 | オービック | 1 | - | ラン | #20古谷 | 1 | キック | #1金親 | 失敗 |
2 | オービック | 1 | - | ラン | #32原 | 5 | ラン | 失敗 | |
3 | オービック | 2 | - | パス | #6菅原→#18木下典 | 12 | キック | #1金親 | 成功 |
4 | オービック | 2 | - | フィールドゴール | #1金親 | 28 | |||
5 | オービック | 3 | - | セーフティ | |||||
6 | デュッセルドルフ | 4 | - | フィールドコール | S.Jungblut | 34 | |||
7 | オービック | 4 | - | フィールドゴール | #1金親 | 27 | |||
8 | オービック | 4 | - | パス | #13木下善→#25服部 | 22 | キック | #1金親 | 成功 |
●#16三宅 2INT、#3滝澤1INT ●大会MVP #6菅原
◆チーム記録チーム | オービック | デュッセルドルフ |
ファーストダウン獲得数 内訳(ラン+パス+反則) |
16 (7+8+1) |
13 (6+4+3) |
(攻撃) 回数-獲得ヤード | 61回-277ヤード | 55回-173ヤード |
(ラン) 回数-獲得ヤード | 35回-124ヤード | 19回-67ヤード |
(パス) 回数-成功数-被インターセプト 成功率 獲得ヤード |
26-13-1 50.0% 153ヤード |
36-14-3 389% 106ヤード |
(反則) 回数-損失ヤード | 7回-58ヤード | 5回-33ヤード |
(ファンブル) 回数-喪失 | 0回-0回 | 1回-0回 |
(フィールドゴール) 回数-成功 | 2回-2回 | 1回-1回 |
TIME OF POSSESSION (ボール保有時間) | - | - |
2013年05月15日
【5.18ドイツ遠征7】パンサー戦ロスター発表-5/16(木)ドイツへ出発
インターナショナル・チャレンジボウルⅡ(International Challenge Bowl Ⅱ)
5/18(土)19:00キックオフ [日本時間 5/19(日)2:00] |
<ライブ中継について>
試合の模様はインターネットでライブ配信されますが、ヨーロッパ圏外からは視聴できません。また、権利の関係で独自に配信することもできません。現地からTwitter、facebookで試合経過や結果を発信する予定ですので、どうぞそちらをご覧ください。
今回の遠征参加メンバー(ロスター)とスケジュールをお知らせします。
チームはいよいよ明日5/16(木)、ドイツへ向け出発します。遠征の模様や試合経過は、現地からfacebookやTwitterでできる限りお伝えしたいと思っていますので、ぜひチェックしてください。皆さんからの投稿もお待ちしています。選手たちに応援メッセージを届けてください。応援よろしくお願いします。
(参考資料)「THE OBIC SEAGULLS 2013」(PDF/English)
●ロスター 55名が参加しますロスター(ROSTER)[PDF /Japanese & English]
●スケジュール
【5/16(木)】 移動
午前 成田 / 関空 発 → 現地夕刻 フランクフルト空港着 → バスでデュッセルドルフへ
【5/17(金)】 前日練習
午後 デュッセルドルフ日本人学校 訪問&特別授業
練習、ミーティング
試合会場(パウル・ヤネス・スタジアム) 見学
【5/18(土)】 試合
15:00頃 スタジアム入り
19:00 キックオフ [日本時間5/19(日)2:00] 試合の見どころ
終了後 パーティー
【5/19(日)】 終日フリー
【5/20(月)】 移動
早朝ホテル発 → バスでフランクフルト空港へ → 5/21(火)朝 帰国
2013年05月14日
【5.18ドイツ遠征6】5/18(土)デュッセルドルフ パンサー戦の見どころ
インターナショナル・チャレンジボウルⅡ(International Challenge Bowl Ⅱ)
5/18(土)19:00キックオフ [日本時間 5/19(日)2:00] |
<ライブ中継について>
試合の模様はインターネットでライブ配信されますが、ヨーロッパ圏外からは視聴できません。また、権利の関係で独自に配信することもできません。現地からTwitter、facebookで試合経過や結果を発信する予定ですので、どうぞそちらをご覧ください。
(冨樫AGMレポートVol.4)
(参考資料)「THE OBIC SEAGULLS 2013」(English/PDF)
※遠征スケジュールと遠征メンバー(ロスター)は追って公開します。
●明日ドイツへ出発
チーム2度目のドイツ遠征試合が今週末に迫りました。今回の遠征先、デュッセルドルフは、ロンドン、パリに次いでヨーロッパで3番目に日本人が多い都市です。その数約8,000人。総人口に対する割合や集中度合いでは、間違いなくヨーロッパ一です。約450社以上の日本企業が進出しており、ヨーロッパにおける日本企業のビジネスの拠点となっています。
そんな街でのボウルゲーム開催ですから、ありがたいことに、現地の邦人コミュニティから多くの応援の声をいただいています。特に、Hotel Nikko Duesseldorf、デュッセルドルフ日本クラブ、デュッセルドルフ日本商工会議所の皆様には、プロモーションやチケットセールスなどで多大なるご協力をいただいています。この場を借りて御礼を申し上げます。
デュッセルドルフ パンサーのホームなのに、まるでオービックシーガルズのホームのように、完全アウェーのスタジアムを完全ホームにしてプレーできたら幸せです。デュッセルドルフでなら、叶うかもしれません。日本人の皆様、ぜひ会場まで足を運んでください。応援よろしくお願いします。
●ともに、3週連続試合
オービックシーガルズにとって、このドイツ遠征は今春最大のイベントです。パールボウルトーナメント開催中のドイツ遠征で、5/11(土)、5/18(土)、5/25(土)と3週連続、試合が続きます。しかも対戦相手は、東京ガスクリエイターズ、デュッセルドルフ パンサー、そして富士通フロンティアーズ。無謀に見えるかもしれない挑戦ですが、NFLやNCAAでは毎週のようにゲームウイークが続くのを考えれば、たいしたことはないのかもしれません。
我々がやりたいフットボールを毎週できる。こんなエキサイティングな3週間はほかにありません。対するパンサーも、実は同様に5/12(日)、5/18(土)、5/25(土)と、3週連続で試合です。対戦相手は、宿敵ケルン ファルコンズ、我々オービックシーガルズ、そして、昨年我々が対戦したドレスデン モナークス。過密スケジュールの中、我々の挑戦をご快諾くださったデュッセルドルフ パンサーにあらためて感謝します。
●両チームの前節を振り返ると-
オービックシーガルズの今季初戦・東京ガス戦、ディフェンスは何とか完封できたものの、ターンオーバーバトルで目標の「+3」は成らず、不完全燃焼。どこからでも得点できる「ハイパーオフェンス」を目標に掲げるオフェンスも、31得点止まり。そんななか気を吐いたのが、スペシャルチームです。2つのリターンTDや2つのビックパントなど、完成度の高いキッキングゲームを見せつけました。
一方パンサーは、ファルコンズに16対38と完敗。パンサーとファルコンズは、Xリーグで言えばオービックと富士通のようなライバル関係です。そんなビックライバルに敗れたパンサーは、急ピッチで修正してくるに違いありません。特にOLのパスプロテクションが敗因とClifford Madison HCが話すように、幾度となくサック、ハリーを献上したOLの再建が急務のようです。
●「オービックのパス攻撃」 対 「パンサーのラン攻撃」
パンサーは今シーズンからコーチングスタッフを一新。HC、両コーディネーターも代わり、実際どのようなオフェンス、ディフェンスを展開してくるのか、一切情報がありません。タフなゲームになるでしょう。昨年のドイツ遠征の経験をふまえて言えば、フィジカル的にどうしてもサイズ、パワーでかなわない部分があります。昨年のモナークス戦では試合後半、コンタクトで劣勢になり、テンポよくランプレーを展開され2TDを献上しています。今後、我々のフットボールを進化させるためには、コンタクトの強さをどんどん経験し、克服していかなくてはなりません。
来る試合の見どころは、ズバリ、「オービックのパス攻撃」 対 「パンサーのラン攻撃」。たとえるなら、オービックの戦闘機とパンサーの装甲車の対決です。オービックオフェンスは、スピードとテクニックを駆使してパスを通していければ、次第にディフェンダーも広がり、ラン攻撃に展開できるよい循環をつくることができます。そうすれば得点機会が増えるでしょう。
オービックディフェンスは、体躯とパワーで勝るドイツ人キャリアをしっかりとタックルで仕留めることができれば、パスをせざる得ない状況をつくり出せます。そうなると、本領発揮。DL#11KJ、DL#23BJのアメリカ人コンビがプレッシャーをかけ続け、隙あらばサックまで行く。QBがボールを投げ損ねたら、LB、DB陣がボールを奪う。
日本製「精密戦闘機」 対 ドイツ製「強力装甲車」の一戦、どちらに軍配が上がるか。パウル・ヤネス・スタジアムで5/18(土)19:00キックオフ[日本時間5/19(日)2:00]です。
2013年04月30日
【5.18ドイツ遠征5】ドイツのクラブ運営に学ぶ
インターナショナル・チャレンジボウルⅡ(International Challenge Bowl Ⅱ)
5/18(土)19:00キックオフ [日本時間 5/19(日)2:00] |
<ライブ中継について>
試合の模様はインターネットでライブ配信されますが、ヨーロッパ圏外からは視聴できません。また、権利の関係で独自に配信することもできません。現地からTwitter、Facebookで試合経過や結果を発信する予定ですので、どうぞそちらをご覧ください。
(冨樫AGMレポートVol.3)
(参考資料)「THE OBIC SEAGULLS 2013」(English/PDF)
●“部活”がない社会
初回レポートの中、デュッセルドルフ パンサーの育成プログラムについての箇所で触れましたが、ドイツには、いわゆる学校の部活動というものがありません。よって、放課後の使い方は学生、生徒個人に委ねられ、各人が好きなスポーツや趣味に時間を使うことができます。
そこで、地域密着の「クラブ」というものが、部活動の代わりにスポーツ活動や文化活動を行う場となっているのです。また、それだけでなく、老若男女、様々なジェネレーションの交流の場、あるいは青少年の社会勉強の場として、クラブが非常に重要な役割を担っています。現在、日本の文部科学省が推進している「総合型地域スポーツクラブ」は、ドイツのクラブがロールモデルとなっています。
ドイツ社会では、すべての分野、趣味、スポーツに、クラブというものが存在します。スポーツでは、サッカー、バスケ、バレーボール、テニス、マラソン、陸上などなど。文化面でも、音楽、美術ほか、ほぼすべての分野にクラブがあります。犬好きが集まればドッククラブ、馬好きが集まれば馬クラブ、映画好きが集まれば映画クラブといった具合です。Japan Clubのように、日本人コミュニティの交流の場となる組織もあります。
●クラブ文化が生む好循環
対戦相手のデュッセルドルフ パンサーもそんなクラブのひとつです。アメリカンフットボールを通しての社会貢献、それが彼らの基本理念になっています。
クラブの会員は約500名。ユースチーム、2NDチーム、1stチーム、チアチームに分かれ、コーチや指導者の大半はクラブのOB/OG、父兄で構成されています。OB/OGが下の世代を指導し、指導された世代がさらに下の世代を教育します。いつしか選手に家族が増えたときには、その子どもをクラブに入れる、というような循環があります。皆、自分を育てたクラブに感謝し、何らかの形で恩返しできないかと考えるのが、ごく当たり前のようです。こうして何世代にもわたって関わり続けることが、クラブの歴史、伝統となり、ブランドをつくりあげていくのです。
スポンサーとの関係もそうです。クラブの活動に賛同する地元のスポンサー企業がチームを支えています(パンサーのスポンサー企業)。昨年戦ったドレスデン モナークスと同じように、パンサーもまた「おらが町のフットボールチーム」です。その協力の仕方は現金支給であったり、物品やサービスの提供であったりと様々ですが、業種別に確立されていて、宿泊を提供するホテル、ビールやパーティー会場などをサポートするビール会社、遠征時のバスや普段のトランスポーテーションを提供する旅行会社など、効率よくクラブ活動が支えられています。
では、なぜ地元のスポンサーがサポートするのか。パンサーのリーグ戦の平均観客動員数は1,500~2,000名。熱狂的ファンが2,000名くらいいるそうです。そういったファンは、大好きなパンサーを応援している企業なら信頼がおける、自分の息子が通っているクラブチームをサポートしている企業はいい企業だと受け止めるのです。たとえば、パンサーのランドリー会社は選手のユニフォームを無料で洗濯します。そうすると、ファンもその会社に頼みます。クラブの所属メンバーも頼みます。そういう具合に、地元企業にとっては、大勢のファンやクラブメンバーが顧客となり得るわけで、パンサーへの支援を断るわけにはいきません。また、スポンサー企業は選手の雇用の場でもあります。選手が仕事でも実績をあげてスポンサーに貢献する。そうすると、スポンサーはクラブをもっと応援したくなる。そんな好循環がチームをいい方向に導いています。
地元自治体もクラブチームを上手く支えています。施設面では、クラブに対して格安の使用料で多目的ジムやフィールドを貸し出しています。前回訪れたドレスデンでは、いくつかのクラブが共同で市の施設を年間を通じて借りている例をご紹介しましたが、デュッセルドルフも同様でした。公立の学校個々に大きな体育館や施設をつくるのではなく、市営の体育館やグラウンドをつくり、そこに小学生や中学生が体育をしにやってくるようです。使い勝手は別として、日本のように、あまり活用されない自治体の施設がたくさんあり、維持するためだけに多くの税金が使われているのに比べれば、ずっと効率的かもしれません。
▲【左】総合型スポーツクラブで行われていた子どもの運動教室 【右】共同で利用する市営複合施設。トラックの他、フリーフィールド、テニスコート、ウエイトルームがありました
デュッセルドルフ日本人学校。ドイツでは珍しい、校庭がある小学校です。5/18(土)の試合の前日に、チーム全員で訪問し、特別授業をさせていただく予定です
●いよいよ習志野で実践
Xリーグはどうかと言えば、それぞれのチームがそれぞれの方法でグラウンドを確保し、練習しています。幸い我々には専有のグラウンドがありますが、X2やX3のほとんどのチームは、練習場所が定まらず苦労されています。自治体のグラウンドを上手く利用しているのは、アサヒビールシルバースター(川崎球場)だけでしょう。他は、企業や大学のグラウンドをシェアするなど、練習場所を確保するだけでもたいへん難しい状況です。
少し話は大きくなりますが、日本の運動する現場、学校の部活動やクラブチームに目を向けてみると、運動する環境があまりにも限定され過ぎています。たとえば、毎年開催されている国体のために新設される体育館やグラウンドを、その後、どのくらい一般の方が利用できているでしょうか。月に数回しか使われない天然芝にどれほどの維持費が税金から支払われているでしょうか。また、国公立の大学、高校、中学校、小学校の施設が一般に開放されるには様々な制約があり、セキュリティの面でも非常に厳しいルールがあります。こういったことを挙げたらきりがありませんが、これが日本の現状なのです。
この2年、ドイツのクラブチームとの交流を通して、今の日本では、ハードの整備よりも、様々な人々が運動や体を動かすことに簡単にアクセスできる仕組みや、部活動やクラブチームに施設や活動の場を上手く割り当てて切り盛りする人材を育成することが急務だと強く感じています。
オービックシーガルズでは、現在、地元習志野市を中心とした地域の皆さんに、行政と一体となって幅広いスポーツへの参加機会や場を提供することを目指して、習志野オービックシーガルズスポーツクラブ(仮)設立の準備を進めています。自分たちにできることから始め、地域社会に貢献できるクラブチームのあり方を追求していきたいと考えています。
2013年04月23日
【5.18ドイツ遠征4】We will update our information in English.
Hello everyone! It's great to have you with us again for what will hopefully be another season record breaking feats.
The spring season is almost underway and we are all very excited to get back out there, strap it up, and play some football.
We have a pretty tight schedule in May. Three straight weeks of football. We open up with the first game of the Pearl Bowl tournament on the 11th. Followed by the second edition of the International Challenge Bowl in Germany the following week. On the 25th we will be back here in Japan for the second game of the Pearl Bowl tournament.
It will be a month jam packed with action. We will do our best to give you our absolute best performance in every game. No amount of travel, time difference or lack of sleep will stop us from attaining the goals that we have set for ourselves.
We are working hard to prepare physically and mentally for the task ahead. Nothing short of victory would be acceptable, and victory is what we are preparing for.
Thank you always for you support! We hope to see you again this season.
Go Obic Seagulls!
2013年04月19日
【5.18ドイツ遠征3】ドイツリーグとXリーグを比べると
インターナショナル・チャレンジボウルⅡ(International Challenge Bowl Ⅱ)
5/18(土)19:00キックオフ [日本時間 5/19(日)2:00] |
<ライブ中継について>
試合の模様はインターネットでライブ配信されますが、ヨーロッパ圏外からは視聴できません。また、権利の関係で独自に配信することもできません。現地からTwitter、Facebookで試合経過や結果を発信する予定ですので、どうぞそちらをご覧ください。
(冨樫AGMレポートVol.2)
前回のレポートでも少し触れましたが、あらためて、GFL(German Football League/ ドイツ・アメリカンフットボール・リーグ)について、わがXリーグと比較しながらご紹介したいと思います。
(参考資料)「THE OBIC SEAGULLS 2013」(English/PDF)
●Euro Bowlが最高峰
GFLは、北ディビジョンと南ディビジョンの各々8チーム、計16チームで構成されています。今回対戦するデュッセルドルフ パンサー(右写真)は、昨年戦ったドレスデン モナークスと同じ北ディビジョンに属しています。GFLには下部組織としてGFL2があり、こちらも同じく北と南に分かれ、各8チーム。GFLの最下位とGFL2の1位のチームが入れ替え戦を行います。
GFL各ディビジョン上位4チームがFINALのトーナメントに勝ち上がり、最後に行われるのが、北と南の頂上決戦「German Bowl」。XリーグのJXB(Japan X Bowl/日本社会人選手権)にあたります。German Bowlの覇者がヨーロッパチャンピオンを争う「European Football League」に駒を進めることができます。その最終決戦が「Euro Bowl」。パンサーは、1995年にEuro Bowlを制しています。
●有料観客数の差
GFLとXリーグの最大の違いは、「有料観客数」にあります。GFLの平均的な試合の観客数は2,000人前後。ドイツ・アメリカンフットボールの“エリートリーグ”として、対戦カードによって多少の差はあるものの、興業が成り立っていることが最大の違いです。
Xリーグの試合では、果たしてスタジアムにいるどのくらいの観客がチケットを購入して見に来てくれているのでしょうか。GFLでは、選手の家族以外は、ほぼすべての人がチケットを購入して見に来ています。価格は8~15ユーロ(1,000~2,000円)ほどで、日本とあまり変わりません。なぜ、日本ではチケットが買われないのでしょうか。
理由はいくつかありますが、両者で最も大きく違うのは、興業に対するマインドです。GFLの関係者とXリーグの関係者を比べると、GFLでは、フットボールに関わる者として、チームやリーグをサポートするためにお金を支払ってチケットを購入するのは当然のこととして、多くの人が実行しています。 一方、Xリーグはどうかというと、関係者には当然のように招待券が配られ、チームがお金を要求することはまれです。なかにはチームのために購入してくれる関係者やOBもいますが、極めて少ないです。あくまでも、私の経験則ですが。
Xリーグは、もともとほとんどのチームが実業団として発足し、その後クラブチームに移行したという歴史的背景があります。以前は、企業が福利厚生の一環としてチーム活動をサポートし、経費としてチケット代を持ち、社員に分配する仕組みでやりくりしていました。
チケッティングは、Xリーグの最大の課題であり、日本のマイナー競技すべてに共通する課題です。
●QBはみなアメリカ人?!
GFLも、Xリーグのように外国人枠が設けられています。Xリーグは、外国人登録は4名まで(プロ未経験者のみ)。2名までが同時にプレー可能です。GFLは、EU圏以外で6名まで登録できます。同時にプレーできるのは、Xリーグと同じく2名まで。EU圏内、たとえば隣国のオーストリアやフランス、オランダの選手は外国人に該当しません。
GFLのQBは、ケルン ファルコンズのRobert Demers選手(ドイツ人)を除いては、すべてアメリカ人QBです。しかもみな、本場アメリカのNCAA1部校の出身。この選手起用のコンセプトは明確で、一番多くのボールを持つ選手がアメリカ人選手であることが、最大限の効果を発揮するというわけです。同時に、QBとペアとなるWRにエース級のアメリカ人選手、RBにアメリカ人選手を起用するチームが多いです。
昨年Xリーグで大きな話題となった、IBM BigBlueのQBケビン・クラフト選手の加入。おそらく、IBMも同様のコンセプトのもと、最も重要なポジションのQBにアメリカ人選手を配することで、最大限の力を引き出そうとしていると考えられます。彼も名門UCLAの出身です。
GFLで唯一のドイツ人QBであるRobert Demers選手は、実は、昨年までパンサーで活躍した、生え抜きの選手でした。彼がライバルチームのファルコンズに移籍したことに、パンサーの選手たちは衝撃を受けたと同時に、闘志を燃やしていました。
【上写真】パンサー新チームでの練習試合。対戦相手(赤)は、QB Robert Demers選手が移籍したファルコンズ
【下写真】パンサーのアメリカ人新QB #16Ryan Tracey選手(中央右/コネチカット大・33歳)
●アンチ・ドーピング
Xリーグでドーピングテストがあるのは、JXBとRice Bowlの2回、各2名ずつです。ほかは、日本代表が常にJADA(日本アンチ・ドーピング機構)の監視下にあるものの、抜き打ちでテストされることはまれです。
GFLは、登録選手が常にGerman anti-doping agencyの監視下にあり、半年に2、3回は抜き打ちでテストされるそうです。多い選手は1か月に4回もテストされた事例があるほど。これは、冷戦時代の旧東ドイツのドーピングの乱用が背景にあると推測されます。
当時の旧東ドイツでは筋肉増強剤や興奮剤などが乱用され、オリンピックや世界選手権で勝つことだけに躍起になっていました。ドイツ統一後、ドーピングが理由でアスリートやスポーツの社会的地位が崩れた時代があったこともあって、スポーツの地位を高めるためにも、ドーピングの根絶は絶対なのです。
2013年04月09日
【5.18ドイツ遠征2】対戦チーム デュッセルドルフ パンサーとは
インターナショナル・チャレンジボウルⅡ(International Challenge Bowl Ⅱ) 5/18(土)19:00 [日本時間 5/19(日)2:00 ※インターネット配信については調整中]vs. デュッセルドルフ パンサー(Duesseldorf Panther) HP Facebook @パウル・ヤネス・スタジアム(Paul-Janes-Stadion/デュッセルドルフ) Google MAP |
3/12(火)、ドイツ デュッセルドルフでインターナショナル・チャレンジ・ボウルⅡの記者発表会が行われ、オービックシーガルズから冨樫アシスタントGM(以下、AGM)が出席しました。5月に控える2度目のドイツ遠征に向け、今年も冨樫AGMのレポートをシリーズでお届けします。
(参考資料)「THE OBIC SEAGULLS 2013」(English/PDF)
来る5/18(土)、デュッセルドルフのパウル・ヤネス・スタジアムで「インターナショナル・チャレンジ・ボウルⅡ」と称してデュッセルドルフ パンサーと親善強化試合を行うことが決定しました。
チームのドイツ遠征は昨年に続いて2度目。そして、今回訪れるデュッセルドルフは、2010年4月に「GERMAN JAPAN BOWL」(日本○24-14●ドイツ)が開催された地で、オービックシーガルズからは、同年夏に登録されたQB菅原選手含め9名の選手が日本代表として出場しています(右写真→)。
さて、3/12(火)にホテル・ニッコー・デュッセルドルフで開催されたプレスカンファレンスには、多くの地元メディアが集まり、昨年の大会同様にローカル紙では大きく取り上げていただきました。3/11(月)~16(土)、現地を視察してきましたので、現地情報、対戦するデュッセルドルフ パンサーのこと、GFL(German Football League/ドイツ・アメリカンフットボール・リーグ)と日本の違い、その他トピックをレポートとしてまとめてまいります。
●デュッセルドルフ パンサーとは
デュッセルドルフ パンサーの誕生は、オービックシーガルズ(1983年)より早く、1978年。ヨーロッパで最も歴史あるアメリカンフットボールチームです。昨年対戦したドレスデン モナークスと同じGFL北ディビジョンに所属し、リーグを6度も制した(1983,84,86,92,94,95)名門クラブチームで、1995年にはヨーロッパチャンピオンにも輝いています。
ところがその後、2007年から2010年の4シーズンは、チームの経営状態が悪化してGFL2に降格。苦しい4シーズンを乗り越えて、2011年から再びGFLに昇格し、見事復活を果たしました。
デュッセルドルフは、もともとNFLE(NFLヨーロッパ※)のライン ファイヤー(Rhein Fire)の本拠地でもあり、ヨーロッパ、ドイツのなかでは、フットボール人気が高いところです。ライン ファイヤーには、オービックシーガルズOBの池之上貴裕さん(通称TANK)が所属していたこともあり、NFLEファンには馴染みのあるチーム。当時、彼のモヒカン姿を一度は目にしたことがあるかと思います(右写真→)。
※NFLE : 米国NFLの世界戦略の一つとして、ヨーロッパでのマーケット拡大と選手発掘を目的に、1991年に始められた育成リーグ。途中何度か中断もあったが、2007年の解散まで、NFLの若手選手の育成の場、外国人選手のNFLへの登竜門として注目された。オービックシーガルズからは、OBでは池之上貴裕、安部奈知、阿部拓郎、堀江信貴、里見恒平、水口貴雄、時本昌樹、現役ではTE#88安東純貴、WR#18木下典明など、多くの選手が挑戦した。
当時、ライン ファイヤーとデュッセルドルフ パンサーは互いに強く影響を与え合っていて、この2つのチームがGFLの創生期を支えたといっても過言ではありません。ファンの拡大、フットボールの普及にたいへん力を注いだ2チームです。
●NFLプレーヤーを生んだ育成プログラム
話がNFLE、ライン ファイヤーに逸れてしまいました。パンサーに話を戻すと、彼らの最も特筆すべき点は、「ユースプログラム」にあると思います。
年齢別に5つのカテゴリー(6~11歳、9~12歳、10~14歳、14~16歳、16~19歳)に分かれていて、全てのカテゴリーで共通の考え方のもとにフットボール教育がされています。共通言語を用い、共通のファンダメンタルがプログラムされているのです。したがって、実力のある者が飛び級で上がった場合も、すぐにシステムや仕組みに順応できます。逆も然り。また、ドイツの学校には部活動がありません。そのような活動が地域のクラブに委ねられ、学校とはまた違った教育の場、重要な社会勉強の場として根づいているのです。パンサーはドイツ社会の典型的なクラブの好例で、ユースチームは、1982年から開催されている19歳以下のクラブチームトーナメント「German JuniorBowl」において、7連覇を含む最多15回の優勝実績を誇っています。
しかし、そんな輝かしい戦績にも勝る、最も素晴らしい成果は、パンサーユースの卒業生がいま、現役のNFLプレーヤーとして活躍していることです。ニューイングランド・ペイトリオッツのOL#76セバスチャン・ボルマー(Sebastian Vollmer)選手。NFLプレーヤーを輩出したことが、ドイツのフットボール界にあって最大の功績であり、我々日本のリーグとの大きな、大きな違いです。ボルマー選手が拓いたNFLへの道を、今も多くのGFLプレーヤー、ジュニアプレーヤーが目指しています。
●マルセル・フリードリヒGM
デュッセルドルフ パンサーのGMを務めるのが、右のマルセル・フリードリヒ(Marcel Friedrich)氏。現地の窓口として、この大会の中心メンバーとして、私の相棒として、頼もしい存在です。GMとして、主にチーム強化とゲームプロモーション活動に精を出し、日夜飛び回っています。GFL2からのカムバックを果たして今のチームがあるのも、彼の手腕によるものです。
彼は選手としても秀逸だったようです。身長184cm、体重78Kg(今は100Kg近い)。100mを10秒81で走る俊足を生かし、大型CB(コーナーバック)として活躍。1995年のヨーロッパチャンピオンにも大きく貢献しました。実はライン ファイヤーのコンバインにも2度合格。自らを「GFLのゴールデンエイジ」と豪語するほどの実力の持ち主です。
今回の滞在期間中は、毎晩ともにお酒を飲みながら、インターナショナル・チャレンジ・ボウルⅡのこと、これからのフットボール界のこと、などなど語り合ってきました。その内容は後々。
ちなみに、パンサーのHPに掲載された、私も写っている次の記事Marcus Jaeger nach Japan - Panther vertiefen Kooperation、「オービックシーガルズとパンサーとの交換プログラムにより、パンサーの選手が日本に渡る」といった内容ですが、エイプリルフールのジョークです。プレスカンファレンスのときの写真ですから、2週間も前からこんなネタを仕込んでいたわけで、そんな彼らに非常に親近感が湧きました。しかも、まだ彼らと会って2日目の出来事でした。
(つづく)
2013年03月08日
【5.18ドイツ遠征】5/18(土)デュッセルドルフ・パンサーと親善強化試合
2013シーズンインを前に、今年も昨年に続いてドイツに遠征し、ドイツアメリカンフットボールリーグ(German Football League/以下、GFL)に所属するデュッセルドルフ パンサー(Duesseldorf Panther) と親善強化試合を行うことが決定しましたので、第一報としてお知らせします。
●インターナショナル・チャレンジ・ボウルⅡ
日時 : 5月18日(土)19:00キックオフ(現地時間) [日本時間 5/19(日)2:00] 対戦相手 : デュッセルドルフ パンサーHP Facebook 会場 : パウル・ヤネス・スタジアム/デュッセルドルフ Google MAP |
昨年5月のチーム初の海外遠征(インターナショナル・チャレンジ・ボウル)では、同じくGFLに所属するドレスデン モナークス(Dresden Monarchs)と対戦し、29対17で勝利しています。
昨年同様、春のパールボウルトーナメント期間中の海外遠征となります。4連覇を目指すオービックシーガルズが敢行するビッグチャレンジに、どうぞご注目ください。
※パールボウルトーナメントの日程は、Xリーグから近日発表予定です。
◆2度目の海外遠征に向けて -オービックシーガルズ主将 LB#2古庄直樹
「2012年5月、チームとして初めて海外へ単独遠征し、ドイツのクラブチームに勝利しました。アウェーの地で、未知のチームの自分たちよりはるかに大きいドイツ人選手を相手に、チーム一丸となってボウルゲームを戦い勝てたことが、どれほどの自信になったか。春シーズンを一度戦い切ったほどのイメージで、6月のパールボウル(オービック○31-10富士通)に挑むことができたことを強く実感しました。
前人未到のライスボウル4連覇を目標とする2013シーズン、オービックシーガルズは再び海外に挑みます。「自分たちの力を出し切ることによって、どこまで到達できるのだろうか」-それを試すための挑戦の場でもあります。その経験を血肉とし、さらに成長して勝ち続けることを通じて、アメリカンフットボールの持続的発展と未来に、微力ながら貢献していきたいと考えています」
(写真は昨年の遠征試合 Photo:Ben Gierig)
【German Football League(GFL)】
GFLは、1979年に6チームによる「Bundesliga」として設立され、1999年に「German Football League」と改称しました。ヨーロッパで最も古い歴史を持つアメリカンフットボール・リーグであり、北ディビジョン(Northern division)、南ディビジョン(Southern division)各8つの計16チームからなります。2012シーズンのチャンピオン(第33回German Bowl)はSchwäbisch Hall Unicornsで、前大会に引き続きKiel Baltic Hurricanesを破って2連覇を果たしました。
GFLには下部リーグ「GFL 2」があり、同じく北と南のディビジョンに分かれて16チーム。ドイツのリーグ全体では約250のアメリカンフットボールチームが参加しており、ドイツ・アメリカンフットボール協会に所属する4万人以上の競技者数は、ヨーロッパでは最大のものとなっています。大まかに言えば、ヨーロッパの2人の競技者のうちひとりはドイツ人ということになります。最近のIFAF(国際アメリカンフットボール連盟)による調査では、ドイツでの成人男性の1万8,000人という競技者数は、アメリカに次ぐ人数で、日本を少し上回ります。また、ドイツ・アメリカンフットボール協会は、ジュニアおよびユース世代のアメリカンフットボール、フラッグフットボール、女子アメリカンフットボール、オーストラリアン・フットボール、そしてチアリーディングを管轄しており、ドイツ・オリンピック委員会ならびにドイツ政府スポーツ協会のメンバーとなっています。
GFLのチームは、ヨーロッパ中のアメリカンフットボール・クラブチームが争う「Eurobowl」で、過去に7度のタイトルを獲得しています。また、ドイツ代表チームは、2005年に行われたWorld Gamesで金メダルを獲得し、アメリカンフットボール世界選手権では2003年と2007年に3位となっています。
【デュッセルドルフ パンサー(Duesseldorf Panther)】
デュッセルドルフ パンサーは1978年に誕生した、ヨーロッパでもっとも歴史のあるフットボールチームです。1983、84、86、92、94、95年に6度のドイツチャンピオンに輝き、1995年にはヨーロッパ選手権も制しています。下部のユースプログラムも充実しており、過去15度ドイツユースチャンピオンシップを制しています。2012年シーズンは、アサヒ飲料チャレンジャーズ所属のRB佃 宗一郎選手がテスト入団 し、話題になりました。
本拠地デュッセルドルフはドイツのLittle Japanと呼ばれ、在留邦人約7,000人、450以上の日本企業が進出しています。2010年のGERMAN JAPAN BOWL開催地でもあり、そのときは1万1,000人の観客動員を記録しました。試合は、日本代表チームが24対14で勝利を飾っています。