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【5.18ドイツ遠征3】ドイツリーグとXリーグを比べると

2013年04月19日

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インターナショナル・チャレンジボウルⅡ(International Challenge Bowl Ⅱ)

5/18(土)19:00キックオフ [日本時間 5/19(日)2:00]
vs. デュッセルドルフ パンサー(Duesseldorf Panther)  HP Facebook
@パウル・ヤネス・スタジアム(Paul-Janes-Stadion/デュッセルドルフ) Google MAP

 

<ライブ中継について>

試合の模様はインターネットでライブ配信されますが、ヨーロッパ圏外からは視聴できません。また、権利の関係で独自に配信することもできません。現地からTwitter、Facebookで試合経過や結果を発信する予定ですので、どうぞそちらをご覧ください。


 

(冨樫AGMレポートVol.2)

 

前回のレポートでも少し触れましたが、あらためて、GFL(German Football League/ ドイツ・アメリカンフットボール・リーグ)について、わがXリーグと比較しながらご紹介したいと思います。

2013ドイツ遠征特集(バックナンバー集)

(参考資料)「THE OBIC SEAGULLS 2013」(English/PDF)

(昨年)2012ドイツ遠征特集(バックナンバー集)

 

 

 

Euro Bowlが最高峰

 

news2013041901.jpg GFLは、北ディビジョンと南ディビジョンの各々8チーム、計16チームで構成されています。今回対戦するデュッセルドルフ パンサー(右写真)は、昨年戦ったドレスデン モナークスと同じ北ディビジョンに属しています。GFLには下部組織としてGFL2があり、こちらも同じく北と南に分かれ、各8チーム。GFLの最下位とGFL2の1位のチームが入れ替え戦を行います。


GFL各ディビジョン上位4チームがFINALのトーナメントに勝ち上がり、最後に行われるのが、北と南の頂上決戦「German Bowl」。XリーグのJXB(Japan X Bowl/日本社会人選手権)にあたります。German Bowlの覇者がヨーロッパチャンピオンを争う「European Football League」に駒を進めることができます。その最終決戦が「Euro Bowl」。パンサーは、1995年にEuro Bowlを制しています。

 

 

有料観客数の差


GFLとXリーグの最大の違いは、「有料観客数」にあります。GFLの平均的な試合の観客数は2,000人前後。ドイツ・アメリカンフットボールの“エリートリーグ”として、対戦カードによって多少の差はあるものの、興業が成り立っていることが最大の違いです。

 

Xリーグの試合では、果たしてスタジアムにいるどのくらいの観客がチケットを購入して見に来てくれているのでしょうか。GFLでは、選手の家族以外は、ほぼすべての人がチケットを購入して見に来ています。価格は8~15ユーロ(1,000~2,000円)ほどで、日本とあまり変わりません。なぜ、日本ではチケットが買われないのでしょうか。

 

理由はいくつかありますが、両者で最も大きく違うのは、興業に対するマインドです。GFLの関係者とXリーグの関係者を比べると、GFLでは、フットボールに関わる者として、チームやリーグをサポートするためにお金を支払ってチケットを購入するのは当然のこととして、多くの人が実行しています。 一方、Xリーグはどうかというと、関係者には当然のように招待券が配られ、チームがお金を要求することはまれです。なかにはチームのために購入してくれる関係者やOBもいますが、極めて少ないです。あくまでも、私の経験則ですが。

 

Xリーグは、もともとほとんどのチームが実業団として発足し、その後クラブチームに移行したという歴史的背景があります。以前は、企業が福利厚生の一環としてチーム活動をサポートし、経費としてチケット代を持ち、社員に分配する仕組みでやりくりしていました。

 

チケッティングは、Xリーグの最大の課題であり、日本のマイナー競技すべてに共通する課題です。

 


QBはみなアメリカ人?!

 

news2013041902.jpg GFLも、Xリーグのように外国人枠が設けられています。Xリーグは、外国人登録は4名まで(プロ未経験者のみ)。2名までが同時にプレー可能です。GFLは、EU圏以外で6名まで登録できます。同時にプレーできるのは、Xリーグと同じく2名まで。EU圏内、たとえば隣国のオーストリアやフランス、オランダの選手は外国人に該当しません。

 

GFLのQBは、ケルン ファルコンズのRobert Demers選手(ドイツ人)を除いては、すべてアメリカ人QBです。しかもみな、本場アメリカのNCAA1部校の出身。この選手起用のコンセプトは明確で、一番多くのボールを持つ選手がアメリカ人選手であることが、最大限の効果を発揮するというわけです。同時に、QBとペアとなるWRにエース級のアメリカ人選手、RBにアメリカ人選手を起用するチームが多いです。

 

news2013041903.jpg 昨年Xリーグで大きな話題となった、IBM BigBlueのQBケビン・クラフト選手の加入。おそらく、IBMも同様のコンセプトのもと、最も重要なポジションのQBにアメリカ人選手を配することで、最大限の力を引き出そうとしていると考えられます。彼も名門UCLAの出身です。

 

GFLで唯一のドイツ人QBであるRobert Demers選手は、実は、昨年までパンサーで活躍した、生え抜きの選手でした。彼がライバルチームのファルコンズに移籍したことに、パンサーの選手たちは衝撃を受けたと同時に、闘志を燃やしていました。

 

【上写真】パンサー新チームでの練習試合。対戦相手(赤)は、QB Robert Demers選手が移籍したファルコンズ

【下写真】パンサーのアメリカ人新QB #16Ryan Tracey選手(中央右/コネチカット大・33歳)

 


アンチ・ドーピング

 

Xリーグでドーピングテストがあるのは、JXBとRice Bowlの2回、各2名ずつです。ほかは、日本代表が常にJADA(日本アンチ・ドーピング機構)の監視下にあるものの、抜き打ちでテストされることはまれです。


GFLは、登録選手が常にGerman anti-doping agencyの監視下にあり、半年に2、3回は抜き打ちでテストされるそうです。多い選手は1か月に4回もテストされた事例があるほど。これは、冷戦時代の旧東ドイツのドーピングの乱用が背景にあると推測されます。

 

当時の旧東ドイツでは筋肉増強剤や興奮剤などが乱用され、オリンピックや世界選手権で勝つことだけに躍起になっていました。ドイツ統一後、ドーピングが理由でアスリートやスポーツの社会的地位が崩れた時代があったこともあって、スポーツの地位を高めるためにも、ドーピングの根絶は絶対なのです。