2013年04月09日
インターナショナル・チャレンジボウルⅡ(International Challenge Bowl Ⅱ) 5/18(土)19:00 [日本時間 5/19(日)2:00 ※インターネット配信については調整中]vs. デュッセルドルフ パンサー(Duesseldorf Panther) HP Facebook @パウル・ヤネス・スタジアム(Paul-Janes-Stadion/デュッセルドルフ) Google MAP |
3/12(火)、ドイツ デュッセルドルフでインターナショナル・チャレンジ・ボウルⅡの記者発表会が行われ、オービックシーガルズから冨樫アシスタントGM(以下、AGM)が出席しました。5月に控える2度目のドイツ遠征に向け、今年も冨樫AGMのレポートをシリーズでお届けします。
(参考資料)「THE OBIC SEAGULLS 2013」(English/PDF)
来る5/18(土)、デュッセルドルフのパウル・ヤネス・スタジアムで「インターナショナル・チャレンジ・ボウルⅡ」と称してデュッセルドルフ パンサーと親善強化試合を行うことが決定しました。
チームのドイツ遠征は昨年に続いて2度目。そして、今回訪れるデュッセルドルフは、2010年4月に「GERMAN JAPAN BOWL」(日本○24-14●ドイツ)が開催された地で、オービックシーガルズからは、同年夏に登録されたQB菅原選手含め9名の選手が日本代表として出場しています(右写真→)。
さて、3/12(火)にホテル・ニッコー・デュッセルドルフで開催されたプレスカンファレンスには、多くの地元メディアが集まり、昨年の大会同様にローカル紙では大きく取り上げていただきました。3/11(月)~16(土)、現地を視察してきましたので、現地情報、対戦するデュッセルドルフ パンサーのこと、GFL(German Football League/ドイツ・アメリカンフットボール・リーグ)と日本の違い、その他トピックをレポートとしてまとめてまいります。
●デュッセルドルフ パンサーとは
デュッセルドルフ パンサーの誕生は、オービックシーガルズ(1983年)より早く、1978年。ヨーロッパで最も歴史あるアメリカンフットボールチームです。昨年対戦したドレスデン モナークスと同じGFL北ディビジョンに所属し、リーグを6度も制した(1983,84,86,92,94,95)名門クラブチームで、1995年にはヨーロッパチャンピオンにも輝いています。
ところがその後、2007年から2010年の4シーズンは、チームの経営状態が悪化してGFL2に降格。苦しい4シーズンを乗り越えて、2011年から再びGFLに昇格し、見事復活を果たしました。
デュッセルドルフは、もともとNFLE(NFLヨーロッパ※)のライン ファイヤー(Rhein Fire)の本拠地でもあり、ヨーロッパ、ドイツのなかでは、フットボール人気が高いところです。ライン ファイヤーには、オービックシーガルズOBの池之上貴裕さん(通称TANK)が所属していたこともあり、NFLEファンには馴染みのあるチーム。当時、彼のモヒカン姿を一度は目にしたことがあるかと思います(右写真→)。
※NFLE : 米国NFLの世界戦略の一つとして、ヨーロッパでのマーケット拡大と選手発掘を目的に、1991年に始められた育成リーグ。途中何度か中断もあったが、2007年の解散まで、NFLの若手選手の育成の場、外国人選手のNFLへの登竜門として注目された。オービックシーガルズからは、OBでは池之上貴裕、安部奈知、阿部拓郎、堀江信貴、里見恒平、水口貴雄、時本昌樹、現役ではTE#88安東純貴、WR#18木下典明など、多くの選手が挑戦した。
当時、ライン ファイヤーとデュッセルドルフ パンサーは互いに強く影響を与え合っていて、この2つのチームがGFLの創生期を支えたといっても過言ではありません。ファンの拡大、フットボールの普及にたいへん力を注いだ2チームです。
●NFLプレーヤーを生んだ育成プログラム
話がNFLE、ライン ファイヤーに逸れてしまいました。パンサーに話を戻すと、彼らの最も特筆すべき点は、「ユースプログラム」にあると思います。
年齢別に5つのカテゴリー(6~11歳、9~12歳、10~14歳、14~16歳、16~19歳)に分かれていて、全てのカテゴリーで共通の考え方のもとにフットボール教育がされています。共通言語を用い、共通のファンダメンタルがプログラムされているのです。したがって、実力のある者が飛び級で上がった場合も、すぐにシステムや仕組みに順応できます。逆も然り。また、ドイツの学校には部活動がありません。そのような活動が地域のクラブに委ねられ、学校とはまた違った教育の場、重要な社会勉強の場として根づいているのです。パンサーはドイツ社会の典型的なクラブの好例で、ユースチームは、1982年から開催されている19歳以下のクラブチームトーナメント「German JuniorBowl」において、7連覇を含む最多15回の優勝実績を誇っています。
しかし、そんな輝かしい戦績にも勝る、最も素晴らしい成果は、パンサーユースの卒業生がいま、現役のNFLプレーヤーとして活躍していることです。ニューイングランド・ペイトリオッツのOL#76セバスチャン・ボルマー(Sebastian Vollmer)選手。NFLプレーヤーを輩出したことが、ドイツのフットボール界にあって最大の功績であり、我々日本のリーグとの大きな、大きな違いです。ボルマー選手が拓いたNFLへの道を、今も多くのGFLプレーヤー、ジュニアプレーヤーが目指しています。
●マルセル・フリードリヒGM
デュッセルドルフ パンサーのGMを務めるのが、右のマルセル・フリードリヒ(Marcel Friedrich)氏。現地の窓口として、この大会の中心メンバーとして、私の相棒として、頼もしい存在です。GMとして、主にチーム強化とゲームプロモーション活動に精を出し、日夜飛び回っています。GFL2からのカムバックを果たして今のチームがあるのも、彼の手腕によるものです。
彼は選手としても秀逸だったようです。身長184cm、体重78Kg(今は100Kg近い)。100mを10秒81で走る俊足を生かし、大型CB(コーナーバック)として活躍。1995年のヨーロッパチャンピオンにも大きく貢献しました。実はライン ファイヤーのコンバインにも2度合格。自らを「GFLのゴールデンエイジ」と豪語するほどの実力の持ち主です。
今回の滞在期間中は、毎晩ともにお酒を飲みながら、インターナショナル・チャレンジ・ボウルⅡのこと、これからのフットボール界のこと、などなど語り合ってきました。その内容は後々。
ちなみに、パンサーのHPに掲載された、私も写っている次の記事Marcus Jaeger nach Japan - Panther vertiefen Kooperation、「オービックシーガルズとパンサーとの交換プログラムにより、パンサーの選手が日本に渡る」といった内容ですが、エイプリルフールのジョークです。プレスカンファレンスのときの写真ですから、2週間も前からこんなネタを仕込んでいたわけで、そんな彼らに非常に親近感が湧きました。しかも、まだ彼らと会って2日目の出来事でした。
(つづく)