TKこと河田 剛のUSA情報

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2011年05月

2011年05月20日

PAC-10 ドラフト 2

先日お伝えしたレポートの続きです。

 

●オレゴン大学(1人)
昨年のPAC-10 チャンピオンであり、NATIONAL CHAMPION SHIP GAMEに出場を果たしたことも記憶に新しい、誰もが認める強豪チームです。しかし、ドラフトされたのはわずかに1人。PACKERSでルーキーイヤーから
PRO BOWLに出場したCLAY MATTHEWS選手の弟、CASEY MATTHEWSのみでした。彼は1年生からスターターを務め、怪我も少なくシーズンを通して安定的に力を発揮できる選手でした。「何が凄いのか?」、説明しづらい選手でありますが、笛が鳴った時に(常に)ボールの近くにいることや思い切りの良いブリッツが印象に残る選手でした。全米2位にもなるチームからドラフトされたのがわずか1人……どうしてでしょう??それだけ若い選手が中心だったということです。今年も恐ろしい存在です。

 

●オレゴン州立大(3人)
BEARSから2巡で指名されたDTのSTEPHEN PAEA選手。180cmそこそこですが、スタートの速さと下半身の粘りが印象強い選手でした。FALCONSから5巡指名のJACQUIZZ ROGERS選手。170cmはないであろう、小型のスピードRBです。人工芝のフィールドでは変幻自在の信じられない走りを連発。しかし、天然芝の柔らかいフィールドではいまいち、というのが私たちの評価でした。彼らとの対戦で一番怖いのはこのROGERS選手のラン攻撃でしたので、ホームゲームの時は芝を長めにして、しかもナイトゲーム(フィールドが少し湿るので)を選ぶのが鉄則でした。

 

●ワシントン大学(2人)
誰もが予想通りの指名選手。JAKE LOCKER(QB)とMASON FOSTER(LB)の2人でした。LOCKER選手は、高校卒業時にメジャーリーグからドラフト指名を受けたほどのアスリート。肩もさることながら機動力も抜群のQBです。FOSTER選手は、常にボールの近くにいるLB。チームでもリーグでも群を抜いてトップのタックル数です。この選手は間違いなく活躍すると思います。

 

●ワシントン州立大(1人)
ここ数年低迷が続いていますが、センターの選手がドラフト6巡で指名されていました。ディフェンスのアシスタントに「センターだけ普通だ」と聞いていたので、試合の時に注目して見ていましたが、機動力とリーダーシップを兼ね備えたいい選手でした。

 


その他、学校を軸にしてみたドラフトの面白いトピックスを!

 

●アラバマ大(5人)
5人ドラフトされていますが、そのうち4人が1巡!! 一昨年度のNATIONAL CHAMPION TEAMなので、今年のオレゴン大学のドラフト結果と同様に下級生が中心のチームだったのでしょう。そういうチームが必ず勝つとも限らないのが、このスポーツの面白いところです。

 

●アパラチアン州立大(3人)
DIVISION1-AA(日本で言うなら2部)のチームながら、ここ数年何人かドラフトされています。今年も下位指名ながら3人もピックアップされました。指名数だけ見ればオレゴン大学より上です。


ではまた。
TK

 

2011年05月14日

PAC-10 ドラフト

先日、STANFORDから4人の選手がドラフトされたことの詳細をお伝えしましたが、今回はSTANFORD大学が所属する「PAC-10」リーグ(※下記注釈参照)所属の他のチームのドラフト状況を見てみましょう。

 

●アリゾナ大学(3人)
ディフェンスの要であった3人の強烈なパスラッシャーがそれぞれドラフトされました(2巡、6巡、7巡)。同じ学年から3人ものDEがドラフトされるなんて凄いですね。

 

●アリゾナ州立大学(1人)
PACKERSから7巡で指名されたDTのLAWRENCE GUY選手が唯一の指名選手。サイズはありながらも横へのクイックネスが印象的な選手でした。

 

●カリフォルニア大学バークレー校(CAL)(4人)
昨シーズン久しぶりのランキング外、しかもボウルゲーム出場もなかったCALですが、それぞれ1、2、3、6巡でのピックアップ。やはりタレントレベルが高いことがうかがい知れます。SAINTSに1巡で指名されたCAMERON JORDAN選手は将来を嘱望されるアスリートDEです。

 

●南カリフォルニア大学(USC)(9人)
NFLの予備軍と言っても過言ではないUSC。今年も9人の選手が指名されています。ドラフト後、指名されなかった選手がROOKIE FREE AGENTとしてキャンプに参加できるシステムを鑑みると、今年も10人上の選手がNFLとの契約を結ぶ(ロースターに残るかは別の話です)ことになります。恐るべしです。しかし、例年と違うのは、下位での指名が多い点。指名された選手はそれぞれ(高校の時からトップリクルートとして)有名な選手でしたが、成績が振るわなかったり、USCのコーチングスタッフが入れ替わったことが、NFLスカウトの不安を解消しきれなかったのでしょう。

 

●カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)(3人)
ここ数年成績不振が続くUCLAですが、相変わらずタレントレベルは高いです。2巡でピックアップされた2人(AKEEM AYERS, RAHIN NOORE)は、NFLでも即戦力となるでしょう。

 

●スタンフォード大学(4人)
詳細は前回のレポートをご確認ください。4人ともぜひ最終ロースターの座を勝ち取ってほしいです。


残りの学校はまた次回に!

 

TK

 


※【PAC-1O】パシフィック・テン・カンファレンス(Pacific Ten Conference , Pac-10 ):
アメリカ合衆国の大学スポーツにおけるカンファレンスのひとつ。創設は1959年。西部4州(アリゾナ州、オレゴン州、カリフォルニア州、ワシントン州)の10校が参加している。NCAA のDivision I (全スポーツ)、Division I-A (アメリカンフットボール)のメンバーである。
所属する10校は以下。
アリゾナ大学(UA)
アリゾナ州立大学(ASU)
オレゴン大学(U of O)
オレゴン州立大学(OSU / OS)
カリフォルニア大学バークレー校(Cal)
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)
スタンフォード大学
南カリフォルニア大学(USC)
ワシントン大学(UW)
ワシントン州立大学(WSU)

2011年05月09日

STANFORD FOOTBALL ドラフト

STANFORDでは今回のドラフトに12人の選手がエントリーしました。そして、先週末のドラフトではそのうち4人の選手が指名されました。全米4位のチーとしては少ない数ですが、以下が指名選手です。

 

◎SIONE FUA     CAROLINA PANTHERS 3巡
あまり大きくないですが、重心が低くドライブしづらい(OL目線……)INSIDE DLです。数チームのプライベートワークアウトに呼ばれたり、チーム側が見にきたりして、ドラフト直前に評価が急上昇しました。

 

◎OWEN MARECIC     CLEAVLAND BROWNS 4巡
カレッジフットボールでは珍しい、オフェンス&ディフェンスでスターターを務めた(いわゆる両面)選手です。

 

◎RICHARD SHERMAN    SEATTLE SEAHAWKS 5巡
元ワイドレシーバーですが、DBに転向したのが功を奏し(?)、ドラフトされました。あるスカウトはワイドレシーバーとしてドラフトされるかもと言っていましたが、どちらでのドラフトかは定かではありません。オフシーズンは、三段跳びの選手としても活躍していました。

 

◎RYAN WHALEN    CINCINNATI BENGALS 6巡
サイズはありませんが、あまりボールを落としたところを見たことないほど、堅実な選手です。入部当時はWALK ON(奨学金なしで勝手に入部してくること)でしたが、入部数週間後のキャンプ中にスカラシップ(奨学金)を獲得したという逸話の持ち主です。スペシャルチームでも大活躍していました。

 

 


このRYAN WHALEN選手は、スピードはアベレージでしたが、ボールを落とさない素晴らしいフットボールプレイヤーでした。レシーバーとしてだけでなく、スペシャルチーマーとしても4年間試合に出続けていました。2010年シーズンのスタッツは【41キャッチ・439yd・2TD】。数字上ではとてもドラフトされるような選手ではないと思います。

 

現に、昨年、STANFORDにはDOUG BALDWINというエースレシーバーがいました。数字【58キャッチ・857yd・9TD】も、印象としても、間違いなくエースでした。しかし彼はドラフトされませんでした。理由は一つ。スペシャルチームでの活躍がなかったことです。

 

NFLのスカウトたちは、QB、OL、DT以外の選手については、スペシャルチームでのプレイを必ず確認していきます。昨年のDOUG BALDWIN選手は怪我がちだったせいもありますが、スペシャルチームにおいて、リターナー以外のポジションでの活躍はありませんでした。反対に、今年のRYAN WHALEN選手は、キックとパントのリターンおよびカバーで4年間常に中心選手でした。

 

限られた登録選手数の中で生き残っていくには、大学時代にどれだけスター選手であったとしても、(特定のポジションを除いては)スペシャルチームでの活躍の実績や潜在能力が求められます。将来、NFLを目指す日本人選手は、積極的にスペシャルチームでプレイしてみてください。

 

TK

 

2011年05月06日

NFL ドラフト(結果)

いやぁー、驚きました。注目の全体1巡1位はオーバーン大学のCAM NEWTON(QB)選手でしたね。昨年度(2010シーズン)の大学全米No.1チームのQBです。195cm、110kgの大きな体格ながら40yd走は4.56と素晴らしいアスリートQBです。


私がQBとしての1位予測をしていたBLAIN GABBERRT選手は全体10位、QBとしては3番目の指名になってしまいました(2位はJAKE LOCKER)。さて、どうしてでしょう。

 

以下は私が考えている、1位CAM NEWTON選手のネガティブ要素です。

 

・JAMARCUS RUSSELLの“二の舞い”にならないか

 2007年にLSUからドラフト全体1巡1位でRAIDERSへ入団。鳴かず飛ばずのまま、

 2010年シーズンはどこかのチームのバックアップQBに。現在、一部の報道では

 体重が130kgに達し、所属チームを探してトライアウトを受けている状態。
 6年70億を超える大型契約の大型(体型)QBの悪しき実績にCAM NEWTONを

 重ね合わせる評論家も少なくありません。


・契約交渉が難航する可能性

 2009年にJC(短大)の全米チャンピオンになり、いくつものメジャーカレッジから
 トランスファー(転校)のオファーを受けた彼は、複数の学校に金銭を要求したと

 言われています。実際には、彼自身でなく父親からの要求であったとして、彼は

 処分を受けませんでした。インタビュー等を見る限り、本人はナイスガイな感じですが、

 家族を含めたお金の話である契約交渉のテーブルにその父親が絡んでくると、

 交渉は難航するのではないかと言われています。


・オフェンススタイルの違い
 彼を1位指名したCAROLINA PANTHERSは、新ヘッドコーチのもと、チーム再建に

 乗り出しています。2010シーズンのQBはNOTRE DAME大出身のルーキー
 JIMMY CLAUSEN選手でしたが、プロスタイルオフェンスを3年間率いた彼でさえも
 満足な結果を残すことができませんでした。しかも新オフェンスコーディネーターは、

 昨年までCHARGERSでノーブ・ターナーヘッドコーチのもと、「WEST COAST

 OFFENSEど真ん中」のシステムを採用していました。SHOT GUN中心のスプレッド

 スタイルオフェンスの経験が長いNEWTON選手がそこにどれだけフィットするかは

 甚だ疑問です。

 

ポジティブな要素を挙げるとするならば、彼の実績とアスリートとしてのポテンシャルでしょう。全米No.1のチームを率いた実績はまぎれもない事実ですし、コンバインでもその類稀なる能力を存分に発揮しています。たとえば、40yd走のタイムをとってみても、JAMARCUS RUSSELLが4.83と平凡であったのに対し、彼は4.56をたたき出しています。

 

否定的なことを多く書きましたが、予想が外れた“言い訳”でしかありません。彼の契約交渉がうまくまとまって、素晴らしいルーキーイヤーを迎えられることを望んでいます。特にPANTHERSは最近低迷が続いているので、頑張ってほしいです。

 

ではまた。
TK