藤田義生ブログ“エダ散歩”

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怒りと喜び

2009年11月18日

NFLのハイライトの番組で「愛と憎しみ」についての特集をやっていました。
フットボールの試合会場では愛と憎しみに充ち溢れている、ってお話。
おもしろかったです。

 

その中で、オフェンスは温和な選手が多くて、ディフェンスは凶暴な選手が多いけど、それは本当か?
という話があって興味深かったです。

 

オフェンスはみんなで息を合わせてプレーするため、冷静に、かつ楽しんでプレーする。
ディフェンスはタックルをする側で、肉食獣が獲物を奪うような心理、つまりう凶暴だ、という説です。

これはぼくもそう思うことがありました。


確かに同じラインの選手ではオフェンスラインは温厚な選手が多く、みんな仲が良くて、
いつもみんなで焼肉屋に行ってるイメージがある。
一方ディフェンスラインは我が強かったり、一匹狼的な選手が多いイメージがある。

KJにこの話をして、「アメリカではどう?」と聞くと、
「まさにそう!アメリカも日本も同じ感じ!」と答えてくれました。

なるほど、って思いましたね。

NFLのハイライトの番組では、オフェンスにも凶暴な性格の選手もわんさかいるし、
いちがいにそうとは言えませんね、ということで終わりましたが、みなさんどう思われますか??

 

さて、今日書きたかったのは、試合をしているときの心理状態について。
これもテレビでやっていていました。
オフェンスはどっちかいうと「楽しむ」、ディフェンスはどっちかいうと「怒り」の感情でプレーしていると。
それについての選手インタビューもおもしろかったです。

 

選手のときはどんな精神状態でプレーするのが一番いいのか?ってことをよく考えました。
ぼくが約10年前、シーガルズに来て驚いたのは、みんな祭りのように楽しんで試合をしてること。
いいプレーがでたらノリノリで、それが連鎖を生んで、ビッグプレーが連発して、とまらなくなる。
そんな試合がこのチームでは理想なんや、と考えていました。

 

一方、ストイックという硬派な考え方のチームもあります。
鹿島の森ヘッドコーチの言葉で、たしか板井さん(現関西大学コーチ、元鹿島の選手)が

コラムで紹介していました。
「私の経験上、怒りという心理状態はとてつもないパワーを発揮する」。たしか、こんな言葉だったと思います。
森さんも板井さんも京都大学出身。
ぼくが大学の時(立命館)の京都大学はまさに怒りのパワーに満ちたチームでした。
そして、ぼくが4年の時、その京都大学に負けました。
強かったですよ。みんな怒り狂ったような眼をしていました。

 

しかし、ぼくがシーガルズに来て考えたのは、それは陰のパワーであり、

シーガルズの陽のパワーにはかなわない、それに陰のパワーで試合をしても楽しくない、

そう考えていました。
(その京都大学をライスボウルで倒したのもリクルートシーガルズでした)

 

2003年の秋、社会人で優勝した翌年のシーズン、ぼくは祭りのような陽のパワーで2連覇を

果たしたかった。試合前には「笑いドリル」というのもやりました。テンションはあがりましたよ。
しかし、大阪の鶴見緑地球技場でアサヒ飲料に敗れました。
何かが足りなかったのです。

 

アメリカンフットボールは特殊なスポーツです。
相手を叩き潰したるっていう「怒りの感情」、多くのフォーメーションやサイン、

アジャストを必要とする「冷静さ」、そしてチームで盛り上がるための「楽しさ」、

いろんな感情を持ち合わせていないといけなくて、どれも重要だと思います。

 

ぼくは現役の時はどちらかというと淡々とプレーしたいたので、もし今プレーできるとするならば、

怒りをむき出しにしてプレーしたいですね。最近よくNFLを見ている影響でしょうか。

しかしQBなんかは怒り狂っては成り立たないポジションです。

やはりポジションによって向いている性格というのがあるのかもしれません。 


「怒り」といえば語弊があるかもしれません。なんといえばいいのでしょうか。
それには昂揚感も含まれていますし、叩きのめしたいとう感情も含まれています。
プレーしている時の、この「怒り」に似た感情と「喜び」の感情は相反するものだと

思っていたのですが、実はこれって同居しているんものなんですよね。

 

何が言いたいのかわからなくなってきましたが、まあ感情をむき出しにしたプレーって
観ていて気持ちがいいものです。

 

たとえば、卓球の福原愛ちゃん。
彼女の試合中の顔、みなさん見たことありますよね。
普段はニコニコ笑顔で、しゃべりかたも超まったりですが、
試合中はマジ怖いです。闘ってる顔です。
かっこええ!って思います。

 

たとえば、ピンチに立たされた野球のピッチャー。
9回裏で1点差でリード。2アウトで満塁。カウントは2ストライク3ボール。
そこで渾身のストレートを投げ、相手は空振りの三振!
そんなときのピッチャーの顔、見たことありますよね。
「よっしゃー!」って顔。
喜んでるというより怒ってるような顔。
かっこええ。

 

かっこええといえば、ぼくが見た、今までで最高のプレーのひとつを紹介します。
何年か前の松下電工戦。場所は長居球技場でした。2004年かな。
ぼくは負傷してサイドラインで見守るしかなかった。
ディフェンスはゴリゴリゲインされていて、ゴール前1ヤードまで攻め込まれていた。
でも、みんな諦めなかった。
そして電工のヒットにめっぽう強いRB粳田さんがボールを持って飛び込んできた。
それに古庄が渾身のタックルを食らわし、ファンブルさせ、ターンオーバー。
オフェンスにボールを渡したんです。


そのプレーの後の古庄のガッツポーズ、正拳突きが5回くらい出たでしょうか。
無意識に出たガッツポーツだったと思います。
古庄はピンチをチャンスに変えた。
その試合は負けてしまいましたが、あれは最高のプレーでした。

 

さて、22日はパナソニック電工戦です。
またまた長居球技場。
最高に楽しみですね。
みんなのプレーが。

古庄をはじめ、みんなが最高のプレーを見せてくれることでしょう。
11月22日は最高の祭りになりますよ。

 

では長居球技場で。
一緒に闘いましょう。