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アメリカ遠征レポート Vol.4(最終回)-遠征総括

2014年08月28日

冨樫アシスタントGMのアメリカ遠征レポも最終回。遠征の総括です。



8/11(月)~16(土)、我々オービックシーガルズは米アラバマ州タスカルーサ市に遠征し、SISTER CITIES INTERNATIONAL BOWLというタイトルのもと、現地セミプロリーグの選抜チームと戦ってきました。繰り返しになりますが、今回の遠征は、習志野市、タスカルーサ市、そしてゲームを主催してくださったSister Cities Internationalの皆様のご協力がなければ実現しませんでした。関係者の皆様に心より感謝いたします。特に、タスカルーサ市体育局のJay McPhillipsさん、Sister Cities InternationalのLisa Keyesさんには並々ならぬご尽力をいただきました。本当にありがとうございました。


親善と強化

今回の遠征には2つの意味がありました。ひとつは、姉妹都市である習志野市とタスカルーサ市の親善交流です。もうひとつは、我々オービックシーガルズの強化試合です。
 
この2つを同時に満たすことは非常に難しい調整であると、この遠征を通して痛感させられました。良い意味でも、悪い意味でも、「お客さん」になってしまったと反省しています。現地の皆さんとの交流と、戦うためのフィジカルとメンタルのコンディショニング。交流に時間を割けば選手は疲れ、お招きをお断りすれば失礼にあたります。このバランス、遠征に対する我々のスタンス、スタンダードを確立できていませんでした。今後の課題であると思います。

タスカルーサ市との親善交流では、タスカルーサ市を満喫させていただき、タスカルーサの人びとの温かさを肌で感じることができました。タスカルーサ市は我々を歓待してくださり、できうる限りのツアーや楽しいイベントを催してくださいました。マウンドビル考古学公園の博物館ツアーに始まり、Walter Maddox市長らによるレセプションパーティー、アラバマ大学の施設見学と練習見学、と盛りだくさんでした。
 
特に、カレッジフットボールの強豪校であるアラバマ大の練習を見学できたのは、タスカルーサ市とアラバマ大の信頼関係があってこそでした。開幕2週間前のキャンプに部外者を快く招き入れてくださったことに、心より感謝いたします。アラバマ大の素晴らしさについては、あえてここでは割愛させてもらいますが、本心で言えば、オービックシーガルズの選手だけでなく、日本の次世代のフットボーラーや指導者にぜひ見せたかった。きっと彼らの見識が広がり、常識が変わると思うからです。一見は百聞にしかず。写真やレポートでは伝えきれない、フットボールチームの在り方、組織、環境がそこにはありました。
 

フットボールの母国の底力

さて、APDFL Blazerstとの強化試合の結果は、すでに皆さんご存知の通りです。我々は非常に貴重な経験をしました。
 
我々が常日頃から目指していることを、Blazersの選手たちは自然にやっていました。アサイメントや作戦なんて関係ありません。ボールを持っている選手がゲームを支配していました。流れや点差、「勝てそう」とか「負けそう」とか、そういったことは関係ありませんでした。オフェンスで言えば、アサイメントで負けていようが、パスプロテクションがもたなくてプレーが崩れていようが、パスを通してTDを奪えばいい。ディフェンスで言えば、たとえドライブされていても、パスを通されていても、ボールを奪え返せばいい。我々はそのシンプルなことをやり続けられず、Blazersにそれを見事にやられました。我々は未熟だと痛感させられました。

APDFL(Amateur to Professional Developmental Football League)はセミプロリーグだと紹介してきましたが、「セミプロ(semiprofessional)」についての、日本とアメリカの認識はかなり違います。
 
日本人にとってのセミプロとは、「限りなくプロに近い存在」で、それを職業として生活することはできなくても、技術や体力はある一定のレベルにある選手を指すという認識でしょう。一方、アメリカでのセミプロは、「限りなくアマチュアに近い存在」。プロとアマチュアには大きな大きな隔たりがあります。セミプロの報酬にも幅があり、ミールクーポンのみを支給される選手もいれば、1試合で500ドル近くもらう選手もいます。
 
我々が戦ったセミプロの選手たちは、限りなくアマチュアに近く、日本で言うと草フットボールに近い。お世辞にも、オーガナイズされた組織、洗練された組織とは言えないチームでした。選手の半分は高卒か短大卒の選手です。それでも、いわゆる名門出の選手やパフォーマンスの高い選手を要所要所に置けば、ある程度のフットボールが作れてしまう。それがアメリカの底力。フットボールが生まれた国の力だと実感しました。
 
アメリカには、このレベルのセミプロチームが巨万とあるのです。さらに、カレッジフットボールがあり、NFLがある。あらためて、頂点にあるNFLのキャンプでかつて戦っていたノリ(WR#18木下典)に敬意を示すとともに、本当に彼がプレーしていて楽しい舞台を日本で用意できているのか、本気でNFLを目指すプログラムが日本にはあるのかと、考えさせられました。話は飛躍しますが、あらためて遠くを見る、あらためて先を見る、そうやってフットボールに向き合っていかなければ、日本のフットボールに未来はないと思います。
 
 

オービックシーガルズにとって、「日本一」は過去の勲章です。「4連覇中」とは、過去4年間の頑張りでしかありません。いまのチームは何も手に入れていません。いよいよ今週末は我々の開幕戦です。このMY TEAMで、MY FOOTBALLで、2014シーズンのチャンピオンをつかみにいきます。そして必ず再び、アメリカに挑みたいと思います。
 
 
 
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▲Blazersの選手たちとアラバマ大学を訪問。オービックは「鴎道場」のTシャツで漢字をアピール?!
 
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▲初顔合わせ。ともにBBQを楽しみました

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▲(左)コイントス (右)試合後   こちらの写真もあわせてご覧ください結果速報記事