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アメリカ遠征レポート Vol.2-「A」の街・タスカルーサ

2014年08月01日

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今日から8月。Xリーグへの選手登録も終え、8/11(月)のアメリカ遠征までいよいよあと10日と迫りました。今回の冨樫AMGレポートは、遠征先のタスカルーサ市とアラバマ大学について。チームでアラバマ大学も訪問する予定です。

【参考】



“南部のおもてなし”

アラバマ州タスカルーサ市は、これまでご紹介してきた通り、習志野市の姉妹都市です。私が4月に訪問した際に受けた街の印象は、“Southern Hospitality"です。日本語で言えば、“南部のおもてなし”でしょうか。

歴史的背景として、1950年代から60年代にかけて、有色人種への差別が最も激しく、キング牧師などの黒人公民権活動で有名な地域でした。今は、その過去の過ちを償うかのように、他の地域や国からの来訪者に対して、おもてなしを尽くすというのが自然な習わしになっているようです。実際に今回現地で関わった人たちに以前の人種差別のことを聞いてみると、もう過去のことだと笑い飛ばしていました。空港には、その頃の差別の様子が様々な写真資料として展示してあったのが印象的で、あの頃の過ちや恥を忘れないための戒めのようにも感じました。

そんな中で、私とKJは大歓迎を受け、皆がオービックシーガルズがタスカルーサで試合をすることに協力すると約束をしてくださいました。市のスポーツ局、観光局、試合会場となるセントラル高校、アラバマ大学、すべての方々が丁寧に案内してくださいました。日本から来た我々を喜ばせるためのツアーや食事、そしてその準備が本当にありがたかったです。南部なまりの英語も、レストランでの人懐っこい会話も、ホテルでの接客も、本当に心地いいものでした。


市民の誇り、クリムゾンタイド

タスカルーサ市を語るうえで外せないのが、アラバマ大学です。特にアメリカンフットボールチーム「Crimson Tide」(クリムゾンタイド)は市民の誇りであり、生活の中心になっています。老若男女問わず、市民の誰もがフットボール熱を持っているのです。

ちょうど我々が訪れたのがNFLのドラフトの前だったので、「アラバマから何人がNFLに行く」とか、「どのQBがピックアップされる」といったドラフトの話でもちきりでした。コンビニの店員のおばさんとの会話にもフットボールが出てくるし、エレベーターを待っているとフットボールの話をしてきます。
 
街のいたるところでアラバマ大学のグッズが販売されていて、コンビニでも、ガソリンスタンドでさえも売っています。スポーツショップに入れば、アラバマ大グッズが9割、その他1割なんていうところもありました。車のナンバープレートもアラバマ大学のプレートですし、いたるところでアラバマ大学の「A」のロゴが見られます。何がここまでさせているのか? しばらくタスカルーサ市に住んで、フットボールゲームを観て、タスカルーサ・ライフを満喫したかったです。市民のフットボールへの情熱、基盤があったことが我々の遠征の交渉をスムーズにしたことは間違いありません。
 
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アラバマ大学体育局

Tuscaloosa Sister Cities InternationalのLisaさんのご尽力ににより、アラバマ大学のキャンパス、特に体育施設をガイドしていただきました。

アラバマ大学は、言わずと知れたアメリカカレッジフットボール界の強豪校。アラバマ大学を知らない人も、「A」のロゴを目にしたことはあるかもしれません。雑誌やインターネットでアラバマ大については多く書かれているので、今回は私の目線で気になった事柄をいくつか取り上げたいと思います。

まずは、Athletic Department(体育局)について。アラバマ大学はNCAA(全米大学体育協会)のSEC(南東地区)カンファレンスに属しています。SECは、フットボールの競技力が最も高く、フットボールのマーケットが充実しているカンファレンスです。SECがどれだけすごいかは、所属する大学の顔ぶれを見れば一目瞭然です。数字的な面で言えば、アラバマ大学体育局の2013年度の総収入が約1億4,400万ドル、144億円。想像を絶する数字です。

特筆すべきは、そのブランド力です。左下の写真は、体育局に50万ドル以上100万ドル未満の寄付をした人のリストです。約5,000万円以上1億円未満です。右下の写真の、5,000万円未満の寄付をした人の数は数えきれません。アラバマ大をサポートすることに喜びにを感じる、それに価値を見い出す人がこんなにもたくさんいるのです。
 
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他にも面白い情報があります。アラバマ大学のBryant-Denny Stadiumのボックス席やシーズンチケットは全てシーズン前に完売してしまいます。ボックス席の予約待ちリストにのるだけでも500ドルかかるそうです。それでも予約待ちリストは一杯。それだけの価値がそこにはあるのです。

news201408018.JPG 体育局で私が最も感動したのは、スカラシップ(奨学金)を受けている学生の数です。抱える選手自体が最も多いフットボールで85名のスカラシップ生がいます。次に多いのは、なんと学生トレーナーとエクイップメントスタッフで、その数72名(右写真)。トレーナー出身の私からすれば、信じられません。裏方スタッフの重要性を説く組織はたくさんありますが、このような形で裏方スタッフをサポートしていることが、アラバマ大学が常にトップレベルのアスリートを輩出する理由のひとつだと感じました。


すべてはリクルーティングのため

フットボールの施設に目を向けると、信じられない光景が広がります。ニック・セーバン ヘッドコーチの意向により、すべての施設はリクルーティング対象の学生が訪れたときに、「アラバマでプレーしたい」と思ってしまうような工夫が随所に施されています。

たとえば、スタジアムには、招待された高校生プレーヤーやその親御さんだけのための部屋があります。ホテルのラウンジのような装飾で、席数も100以上。そこには、歴代のアラバマ大学出身選手のリストや写真が飾られています。「自分もここに名を連ねたい」ときっと思うでしょう。年に一度しか使わない、NFLドラフト専用の記者会見室もあります。ここでプレーすることがNFLに続いていると、自然に思えるでしょう。ミーティングルーム、ポジション別のミーティングルーム、選手専用のラウンジやジャグジーなど、プレーヤーがフィールド外で快適に過ごせる設備もそろっています。すべてはリクルーティングのためだそうで、実際、ラウンジでくつろぐ選手はほとんどいないようです。
 
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▲(左)NFLドラフト用記者会見室  (右)ラウンジ
 
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▲(左)ミーティングルーム  (右)WR専用ミーティングルーム
 
もちろん、練習やトレーニングのための施設も素晴らしいです。天然芝のフットボールフィールドが3面、150ヤード取れる室内練習場が1面、ウエイトルーム、トレーニングルームと、すべてがそろっています。プロチームでも、ここまでの施設はまれだと思います。
 
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▲(左)ウエイトルーム  (右)ジャグジー 

これだけの環境を実際に見て感じたことは、今後、私がフットボールチームに関わり続けていくうえで非常に有意義な体験でした。ここまでのレベルに日本のスポーツ界、日本のアメフト界がたどり着けるかどうかはわかりませんが、いずれはこのレベルを目指したいとつくづく思いました。


次回、対戦するAPDFL(Amateur to Professional Developmental Football League)と遠征先でのスケジュールなどをお伝えしてから、出発します。その前に、明後日8/3(日)、アラバマ遠征決起会でブースターの皆さんとお会いできることを楽しみにしています。
 

SISTER CITIES INTERNATIONAL BOWL (SCIB)
 シスター・シティーズ・インターナショナル・ボウル 特設サイト
開催要項

日時  2014/8/14(木) 19:00~ [現地時間] ※日本時間8/15(金)9:00~
対戦  オービックシーガルズ vs. APDFL Blazers
         ※APDFL=Amateur to Professional Developmental Football League facebook
会場  Central High School Football Stadium
後援  Tuscaloosa Tourism & Sports Commission(タスカルーサ市観光・スポーツ局)
協力  習志野市
運営事務局  Tuscaloosa Tourism & Sports Commission
                 Central High School Football Club & PTA
入場料  前売$5、当日$10、8歳未満無料
TV放送  Regional ESPM、 COM CAST、 LOCAL TVの3ネットワークで調整中
            (※日本国内への映像配信については検討中)
競技規則  NCAAルール適用、12分/Q