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【5.19ドイツ遠征】Vielen Dank-冨樫AGM最終レポート

2012年05月25日

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[ドイツ遠征を仕切った冨樫アシスタントGMのレポート最終回をお届けします。]

ドイツ特集記事バックナンバー

 


ドレスデントリップ

 

【5/17(木) 出発(移動日)】


今回の遠征は、ドイツの祝日(5/17キリスト昇天祭)、ドレスデンの音楽フェスティバルと重なったため、航空券の手配が思うようにいきませんでした。そのため、遠方組を入れると、4グループに分かれての出発となりました。スケジュール調整と選手選抜-これが今回最も悩んだ点であり、最後の最後まで調整が続きました。


幸い、全ての遠征メンバーと荷物がドレスデンに無事到着。とはいえ、80人近い人間が地方の町の小さなホテルに押し寄せたのですから、たいへんな騒ぎでした。しかもホテル周辺には商店がありません。しかも休日だったため、多くの商店は営業していません。飲料水の確保、軽食の確保、どうやって街に行くかなど、初日は本当にてんやわんやでした。

 

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【5/18(金) 練習日、レセプション】


ドレスデン モナークスの練習フィールドを使っての試合前日練習。皆、長旅の疲れなど感じさせませんでした。入念なアップを終えてから、スペシャル、オフェンス、ディフェンスに分かれてプレーポリッシュ、アフターでポジションごとの動きを調整しました。


その後、休憩する間もなく、グルックガススタジアムへ。スタジアムへ一歩足を踏み込むなり、皆が興奮しました。頭ではゲームが明日に迫っていると分かっていても、まだこの時までは実感していなかったのではないでしょうか。ゲームがいきなり現実のものとなった感がありました。

 

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スタジアムの下見を終え、モナークスのスポンサーが経営するレストラン・Schillergartenへ。ドレスデン一美味しいソーセージとビールで迎えられ、モナークスの選手と顔合わせをしました。至るところで選手同士、コーチ同士が交流し、たがいに試合での健闘を誓い合いました。その後はモナークスのスポンサーが用意してくれたボートトリップでエルベ川を下りダウンタウンへ移動し、Schnitzelgartenでドイツ料理を堪能しました。


これらはすべてスポンサーの招待で、日本から来た我々を歓迎しくれたのです。モナークスがいかに地域に根ざしたチームなのか、モナークスと地元企業との関係を垣間見ることができました。

 

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【5/19(土) 試合当日】


夕方18時からのゲームのため、朝は比較的ゆっくりと過ごしました。ゆっくり朝食をとり、散歩したり、トリートメントしたりと、試合前に上手くリラックスする時間が作れました。


当日のスタジアムは独特の雰囲気がありました。我々が会場入りした時にはマーチングバンドがサンバを演奏し、観客はそれに合わせて踊り、手拍子し、まるでカーニバルのよう。チアも100名近くいて、小学生から大人まで、年齢層別に様々なチームが構成されていました。VIPルームには多くのスポンサー企業のお客様やシーズンパスホルダーが招待され、ビールとブッフェを楽しんでいました。


観客の大半は「日本人にフットボールができるか?」と疑問を持ちながら、残りの少数は「日本からマイスター(達人)が来た」とリスペクトしながら、我々を見ていました。いずれにせよ、アップから注目されていたことは間違いありません。こんな経験は初めてでした。


オープニングセレモニーでは、モナークスのヨーグGMの粋な計らいで、ドイツ人による日本語での日本国歌斉唱がありました。

 

ゲームの内容は、ストリーミング放送された通りです。深夜にも関わらずご覧いただいた皆様、ありがとうございました。細かい部分は置いておいて、オービックの選手たちが、相手RB1人に2、3人がかりでタックルしたり、自分よりひと回りも大きく重い相手に1ON1を挑む姿は、日本では決して見ることができないものでした。個人的には、そんな、我々のチームがやられている姿をサイドラインで本当にうれしそうに見つめている並河GMの姿が忘れられません。あんなに楽しそうな並河GMを初めて見ました。こんな経験をさせたかったんだなと改めて思いました。

 

ゲーム後、関係者と会話する中で一番話題になったのは、我々の女性スタッフたちのことでした。彼女たちの働きっぷりに、ドイツ人の記者、カメラマン、観客が注目していました。試合の準備、試合中の動き、ビデオを撮る姿、後片付け、怪我人への対応etc.。カメラマンが撮った写真や映像は、多くの場面で彼女たちの姿にフォーカスされており、数多くの写真や映像が残っています。これらはあまり日本ではピックアップされたことがありません。それくらい、彼女たちは頑張ってくれました。普段は当たり前に感じている彼女たちの力は、実は特別なんだと感謝の気持ちでいっぱいです。

 

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(左: photo by Dirk Pohl / Official Game Photographer)


【5/20(日) オフ】

 

すでに多くの選手やスタッフがFacebookやSMSなどで発信しているので、私があえて言うことはありません。皆、ドレスデンや隣国チェコのプラハの街並みに感動し、雰囲気に酔いしれ、美味しい食事に舌鼓を打ちました。

 

私はチームメートを引き連れて、モナークスのヨーグGM、スピールブーラーヘッドコーチ(5/18の右写真、大橋ヘッドコーチの左)と会食しました。印象的だったのは、ヘッドコーチが選ぶベストプレーヤーはDL#92紀平選手で、彼のパフォーマンスをこと細かに話し出したこと。とても思慮深く、我々を細かく分析していました。また、モナークスの選手の課題として、フットボールそのものの理解度が低いこと、細かい戦力的エクスキューション(遂行力)の低いことなどを挙げていました。これらの課題を克服すれば、モナークスは間違いなくジャーマンボウルを制覇することができるでしょう。すでにアスレティックレベルではその域にあると思います。


休日はあっという間に過ぎましたが、我々は十分満喫し、気分転換ができました。帰国したらもう、次に控えるシルバースター戦フェーズです。

 

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▲【左】左から富永オフェンスコーディネーター、スピールブーラーヘッドコーチ、

ヨーグGM、冨樫AGM、脇田コーチ

 


あとがき


まだゲームが終わってから1週間も経っていませんが、ずいぶん前のことのようです。本当に夢のような感じです。今思えば辛いことなんてこれっぽちも感じない、すばらしい経験ばかりでした。

 

パールボウル期間中にも関わらず、我々が選択したドレスデン遠征。未知の世界を体験したくて選んだドレスデン遠征。今後の我々の姿に、この遠征の真価が問われます。ここからどう変化できるのか、どこに向かうのか。答えは出ていませんが、「あの遠征があったから、今がある」と後で振り返ることができるよう、我々は前に進み続けます。

 

最後に。

 

news2012052518.jpg 日本人とドイツ人は肌の色が違います。話す言葉も違います。生活や風習も、それぞれの生い立ちも、全て違います。ただ、フィールドの上で一番大切なものはボールだということは変わりませんでした。我々がプレーするフットボールには、そんな違いは何の関係もありませんでした。われわれは同じフットボールをプレーしていました。

 

フットボールには力あります。我々自身を興奮させる力、ファンを魅了する力、子どもを夢中にさせる力、様々な力があります。その力がきっと人を幸せにします。そんなフットボールに力を吹き込んでいるのは、我々です。我々の意志であり、我々の思い、行動です。(ちょっと話が大きくなってしまいましたが、今の素直な気持ちです。)このことを、当事者として再確認できました。

 

この遠征を通して、選手はひと回り大きくなりました。コーチ、スタッフも世界に目を向けることができました。そして、一番成長できたのは、私自身かもしれません。彼の地で支えてくださった方々に改めて感謝するとともに、近い将来また再会することを約束して締めくくりたいと思います。Danke!

 

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オービックシーガルズ

アシスタントGM 冨樫 司

(2012/5/25)


 

(ドレスデンやザクセン州の地元新聞に掲載されました)

※新聞現物は、5/27(日)アサヒビールシルバースター戦@川崎球場の受付「ドイツコーナー」に

トロフィー等とともに展示しますので、ぜひご覧ください。

 

▼5/19付 試合前日レセプション

「日本人は、ドイツのソーセージとビールで強化された」

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モナークスで一番大きいオフェンスタックルの選手と、オービックシーガルズ最強DL#92紀平が
ホットドッグにかぶりつきながら2ショットの撮影に応じる(5/18の左写真)など、決戦前の交流を

楽しみました。会の最後にこの記念撮影を行い、翌日に備えて1時間ほどでお開きとなりました

 

▼5/20付 試合の模様

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