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シーガルズコーチの韓国クリニックレポート“釜山編”

2008年07月23日

去る6月24~29日、オービックシーガルズのコーチ3名が韓国でクリニックを行ってきました。

今回はソウルでは新生コーチによるQBクリニックを4日間。

そして釜山では宮田コーチ、加藤コーチによるOL/DLクリニックと 新生コーチによるWRクリニックを2日間。

計6日間のクリニックツアーとなりました。

今回は6/28~29に釜山で行われたOL/DLクリニック&WRクリニックを新生コーチがレポートします。

   

●釜山入り
こんにちは。QBコーチの新生です。  

前回のソウル編のレポートで書いた通り、QBクリニックの最終日となった6/27(木)に

KTX(韓国の新幹線ですね)に乗って釜山へ移動。

時をほぼ同じくして、東京からオフェンスライン(OL)担当の宮田コーチとディフェンス

ライン(DL)担当の加藤コーチが釜山に到着。

釜山駅前のホテルで両コーチと合流。翌日からのクリニックの会場となる東儀大学へ

会場視察に出かけました。

 

山を切り拓いて作られたと思われる同大学の一番高い場所にあるグランドは、最近日本

でも主流になってきているフィールドターフと呼ばれる人工芝の素晴らしいグランド。

韓国では大学スポーツは勉強の害と見なされていると聞いていたのに、なぜこんな立派な

グランドがと思ったら?実はこのグランドはサッカー部の為に作られたのだとか。

なるほどメジャースポーツは話が別な訳であります。

                                                                                                      
●釜山クリニック1日目
さて、迎えた翌日。釜山でのクリニック初日はまずは大学の教室を使ってのレクチャーから。

宮田コーチ、加藤コーチが身振り手振りを交えながら熱い講義を行いました。
そしてレクチャーが終わるとフィールドへ移動。しかし外は生憎の大雨…(涙)。

でも折角の貴重な機会だけに、雨だからといって中止にするわけにはいきません。

覚悟を決めていざグランドへ。

 

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▲講義中の加藤コーチ 


加藤コーチの仕切りで、股関節周りの動きをよくするトレーニングを兼ねたウオーミングアップ

で練習開始。今回のクリニックで我々コーチ陣が重視したのが、「とにかく最後までやりきる」と

いうこと。事前に見せてもらっていた昨年の「キムチボウル」(学生王者と社会人王者が戦う

韓国選手権のことです)のビデオを見ていて、OL、DLの選手がプレーの途中で脚を止めて、

ボールを持っているバックの選手を見てしまっているシーンがあまりにも多いことが気になっていました。


「毎回のプレーが終わるホイッスルまで自分の仕事やりきる」、ということはアメフトの基本中の

基本ですが、韓国選手権に出るチームがこれでは他は推して知るべし(苦笑)。

そこで韓国人コーチとも相談して、ウオーミングアップからポジション毎の練習まで、すべての

メニュー置いて、「決められた線まで走る」とか「笛が鳴るまでやめない」といったことを徹底させ

ました。ちゃんとやらなかった選手には、我々コーチ陣が容赦なくやり直しを命じます(苦笑)。

 

結局、途中休憩を挟んで約4時間のクリニックの間、雨足はまったく弱まることなく初日終了。

あまりに寒く、我々コーチ陣も歯をガタガタ震わせながら指導するという、相当タフな初日でした(笑)。

 

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▲初のウォームアップ。雨の中、クリニックがスタートしました

 

●釜山クリニック2日目
最終日となった2日目は雨も上がり、クリニックはさらに熱気を帯びていきます。

宮田コーチに鍛えられたOLと、加藤コーチに鍛えられたDLの一対一の勝負でクライマックス

を迎えたクリニック。これで終わりかと思いきや、最後に加藤コーチによるスペシャルメニューが

用意されていました。ソウルクリニックに続き、ここでも「日本の選手が練習でどれくらい走って

いるのか、体験させてやって欲しい」という韓国コーチからの強いリクエストがあり、走り込みメニュー

が行われたのでありました。

このメニューを仕切った加藤コーチのエネルギーたるや凄まじく、その熱に引っ張られるように

選手たちも死にそうになりながら(笑)、最後まで走り遂げたのでありました。

 

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▲OL陣を熱心に指導する宮田コーチ 

 

練習終了後は各コーチが頑張った選手を表彰。

そして各コーチから熱いメッセージが選手たちに贈られました。 

 

僕からは

「フットボールは真剣に取り組めば取り組むほど面白いスポーツ。韓国では一般学生にとって

『スポーツは害』だとみなされるらしいですが、フットボールに真剣に取り組むことで、いろんな

ことを学んで、選手として、人として、成長することができる。だからフットボールを辞めずに頑張

って欲しい」

という内容のメッセージを贈らせてもらいました。

 

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▲韓国協会会長のKKパークさん(右から2番目)と

 

そして、最後は大学構内でのBBQパーティーで打ち上げ。これもやはり韓国風。

シンプルな豚の三枚肉(サムギョプサル)の焼き肉にキムチ、御飯。

それ以外には、ソーセージとか焼きそばとか、余計なバリエーションはなし(笑)。

そして飲み物はやはり焼酎をショットで(笑)。

 

途中、選手たちと写真を撮ったり、話をしたりしました。

正直、彼らにはちょっと厳しすぎる練習だったかな、と心配になる気持ちもあったのですが、

彼らの話を聞いていて、凄くいいクリニックだった喜んでくれている選手が多くて安心しました。

単なるシゴキではないことをちゃんと理解してくれていて嬉しかったです。

 

●最後に
翌日は、忙しい中、もはや親友と呼べる仲になった白コーチが空港まで送ってくれました。

まさかフットボールのおかげで韓国にこんな友人ができるとは、まるで想像もできないことでした。

改めて、いつも私にいろんな機会を与えてくれるフットボールに感謝ですね。

 

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▲帰国前。空港まで見送ってくれた白コーチと記念撮影


今回は一週間の長丁場。しかもソウルではずーっとほとんど意味の分からない韓国語の会話と

朝から晩までキムチだらけの環境に身を置くことになり、途中は少々ぐったりしてしまいましたが(笑)、

なんとか乗り切ることができました。お世話になった韓国の皆さんに改めて感謝申し上げます。

本当にありがとうございました。

最後は、今回初めて韓国でのクリニックに一緒に参加してくれた宮田コーチ、加藤コーチのコメントで

このレポートを締めくくりたいと思います。

 

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 宮田コーチ
 「今回の韓国クリニックはほとんど彼らの情報が無い中でのスタートでした。
 その中でO-Lineの"基礎の徹底"テーマに、1日2回+講義×2日間・計4回の練習を 

 行いました。40名近くの選手に参加してもらい、言葉も通じない中でしたが、一生懸命

 学ぼうという姿勢は真剣そのものでした。

 クリニック終了後、私がO-LineのMVPとして表彰した選手が話しかけてくれたのです 

 が、実は彼、チームではQBをやっているとのことで、オフェンスラインをやるのは初めてだと…。にもかかわらず、体の大きなD-Lineに対しても果敢に勝負を挑み、決して諦めること無く最後までプレーする選手でした。今回チームを代表して参加して、クリニックで得たものをチームメイトに教えると言ってました。 私は彼ら以上に学ぶことが多く、大変有意義な時間を過ごすことができました。それも彼らの取り組む姿勢があってこそだったと思います。今回のクリニックで、彼らが今以上にフットボールが好きになってくれたら、それ以上嬉しいことはありません。감사합니다.<カムサハムニダ>(=ありがとうございました)」             

 

                                                                       coach_kato.jpg

 加藤コーチ
 「今回のクリニックにDLコーチとして参加させていただきました。大学生が対象ということ 

 でしたが、高校からフットボールを始めている選手は皆無だそうです。フットボールを始

 めたばかりの頃に受ける指導は、自分のことを振り返ってみても強烈な印象がありま

 す。そのことを考えると、身が引き締まる思いでこのクリニックに参加しました。

 まず、この短いクリニックで何を一番に伝えるか悩みましたが、継続して指導できる環境ではないので、テクニックよりも「最後までやり続ける」ということをメインに考えました。

ウォームアップからポジション別のクリニック、最後のランメニューまで口うるさく言い続けました。ウォームアップから根性練になってしまいましたが、選手は最後までやり続けてくれました。このクリニックに参加した選手が、最後までプレーをし続け、周りの選手を引っ張っていってくれることを期待しています。

 また、ポジション別のクリニックは、DLの基礎的な動きの習得がメインでした。経験が浅いためか、言われたことを忠実に実行しようとしてくれる選手が多く見られましたが、忠実に実行しすぎてそれまでに持っていた自分の良い部分が出せなくなる選手も見られました。選手の個性を生かしながら、動きのルールを徹底させることの難しさを改めて認識させられ、自分の方も勉強になったクリニックになりました。このような機会を与えてくれた韓国フットボール関係者の皆様に感謝致します」