玉ノ井康昌コーチブログ“LOCK ON PLAYER”

« 楽しむ 萩山竜馬 | メイン | 決断 白木周作 »

3年目の変化 矢野川 源

2009年09月14日

この半年、いろいろな選手にインタビューをしてきたが、その際、ディフェンスメンバーからは、

必ず#24DB矢野川 源の名前が出てくる。チームにおける彼の存在感の大きさを象徴している。

3年目の今季、彼にどんな変化があったのか。

--------------------------------------------------------------------------------------------

 

 

チャンス

------------------------------

tama0909143.jpg 2009年シーズンが始まったとき、今までとは違う景色が矢野川には見えた。昨年までリーグを代表するFS(フリーセーフティ)だった寺田、里見、金子が引退し、DB(ディフェンスバック)全体が若返る-そんな現実をどう受け止めたのか。

 

「『チャンスだ』という気持ちが7割、あとは『ヤバイな』という不安な気持ち。自分は試合に出て活躍したいタイプだし、今年この状況で試合に出られないとマズイなと。怪我も治って調子も良かったし、いけるやろという自信もあった」

 

昨年は怪我の影響もあり、実質、控えに回ることが多かったので、この状況をチャンスと捉えた。

 

「システムの変化も、大学時代にやっていたものと近く、そんなに大きな変化とは捉えていない。

むしろ、新しいことにチャレンジできることを楽しんでいた。また、古庄さん(#2)が同じDBと

なったので、スタートを取られるという危機感がいい刺激になった」

 

実際、春シーズンはFSの両翼の一枚として常にフィールドに立ち、

古庄とのコンビネーションはシーガルズディフェンスの新しい武器として脅威を与え続けた。

古庄とのコンビをどう思っていたのか。

 

「システムの変化はだいぶ形になってきた。古庄さんはFSとしてもガンガン攻めるタイプで、

自分はどちらかというと引くタイプ。このバランスが、チームにとっても自分にとってもいいと

感じている。古庄さんとはとてもやりやすい」

 

大きな変化に柔軟に対応し、自分の居場所を確立した春シーズン。

フィールド以外での変化も見逃せない。

 

 

 

リーダーの意識

------------------------------

tama0909141.jpg 今シーズンからディフェンスミーティングを中心に、DL(ディフェンスライン)、LB(ラインバッカー)、DBから各1名がリーダーとなり、ディフェンスメンバーの前で話す機会を設けている。矢野川はDBリーダーとして今までにない立場を与えられた。

 

「高校も大学もリーダーシップを求められる環境にいたので、元々、シーガルズでもそういうことはやりたいと思っていた。去年までは若干遠慮していて(笑)、フィールドではリーダーシップを出してきたが、メンタルな部分では自分を出し切っていなかった」

 

プレーでもメンタルの部分でも自分が出せる環境を与えられたことが、プラスに働いた。

その結果、フィールドでもフィールド外でもリーダーとしての信頼を構築することになった。

 

「大橋さんがよく話す『主体的にチームに関わる』ということが、ディフェンスは特にできている。

ハタケ(DL#94畠山)橋本(LB#44)などの若い選手がどんどん発信している。

自分を含めた若い3人がチームを引っ張ろうとしていて、それを見た今年入った選手や若手が

流れに乗って、遠慮せずチームに関われている。DBは今、とてもいい雰囲気でプレーできてると思う」


チームはいい状態に見える、と話す。過去3シーズンで最も自分らしさを発揮しているシーズン。

今の心境を聞いてみた。

 

「チーム内のスタート争いが熾烈。春シーズンは出られなかった選手3人が戻ってきて、

7人で2つのポジションを競っている。前節の試合で自分はプレーに絡めていない中、

堀さん(DB#41)がインターセプトをしたのを見ると、ちょっと焦ったり。

でも、そういう高いレベルでの競い合いが楽しい。まずは信頼を勝ち取って、

常にフィールドにいる選手でありたい。プレーで見せていくしかない」

 

tama0909142.jpg 「春シーズンは自分を出すことで逆に熱くなり過ぎて、失敗したことがいくつかあった。今までは自分のプレー、自分のことだけに集中していたからそんなことはなかったが、チーム、ディフェンスという視点で考えることで余計な力が入ってしまったことも事実。プレーだけでなく、気持ちの部分でも自分を出していくことにまだ慣れていないが、ここがコントロールできたらもっと面白くなると思う」

 

まだまだ成長過程。気持ちの昂りがプレーに良い影響をもたらし、それを具現化できるようになったとき、また新しい境地に入るだろう。

#24、ディフェンスの最後尾から目が離せない。

 

 

 ⇒矢野川選手のプロフィール

 ⇒矢野川選手のプライベートブログ

 

  3年目の選手とは思えない存在感がすでに確立されている。DBは、シーズンが深まるにつれてチーム内で激しいスタート争いが繰り広げられることになるだろう。そこを乗り越えて試合のフィールドに立ったとき、その自信と責任が、源のプレーをさらに鋭くさせるだろう。決して「引くタイプ」ではない、彼のアグレッシブなプレーが、個人的には楽しみである。