藤田義生ブログ“エダ散歩”

« 2009年10月 | メイン | 2009年12月 »

2009年11月

2009年11月26日

情熱の行方

パナソニック電工に負けました。2009シーズンは終了です。
3年連続、同じ場所、同じ相手。
結果を残せなくて残念でなりません。

 

試合の前の週、「This is it」という映画を見ました。
マイケル・ジャクソンが今年ロンドンで行う予定だったロンドン公演の
リハーサル映像をまとめたものです。

 

ぼくはスーパースターとしてのマイケル・ジャクソンしか知らなかった。
スーパースターについては考えたこともなかったけど、スーパースターとしかとらえていませんでした。
映画を見て、マイケルの情熱が伝わりました。
音ひとつ、ダンスの一瞬の動きも徹底的にこだわって創っていく。
情熱と愛に充ち溢れていて、スーパースターとはこういう努力の人なんやと思いました。


ロンドン公演のためにスタッフと一緒に「本気の本気」で作っていく、そんな過程を見て
本当に心を打たれ、勇気をもらいました。
しかし、マイケルの突然の死でロンドン公演は実現しませんでした。
本人もスタッフもどんな気持ちなんやろう。
言葉では言い表せないと思います。

 

オービックシーガルズも情熱あふれていました。
時間に余裕はなかったけれど、最高の準備で試合にのぞめたと思います。
準備してきたことを試合という舞台で出せるなんて、なんて幸せなんやろうと思いました。

 

試合、負けました。
後半の2回のゴール前のチャンスで得点できなかったこと、
みんなに言われます。
でも、それまでに何度もフォースダウンギャンブルを成功させたし、スーパープレーもあった。
ディフェンスも来るとわかっているWR#7長谷川君へのパスを何度も通された。
でも、最高のその長谷川君に最高のファンブルフォースでオフェンスにボールを渡したし、

スーパープレーもいっぱいあった。
やってきたこと、たくさん試合に出せたと思います。

 

でも、アメフトは1点でも相手より多く点数入れた方が勝ちなんです。
どんなにいいプレーが多くても、ファーストダウンをとっても、最終的に勝たなあかんのです。

 

同点のFGを狙わずギャンブルを試みたこと。
ぼくはシーガルズらしい選択やったと思います。
失敗したから、「あれはFGを狙うべきだった」と言われる。
でも、成功して勝ってたら「あのプレーで勝利をもぎとった」と言われてたでしょう。
今や、何を言っても結果論。勝負に絶対はありません。

 

そして勝つこともあるから、負けることもある。
だから勝負はおもしろいんです。
だからこんなに悔しいんです。

 

高校2年の秋の大阪決勝、ぼくたち関西大倉高校の相手は最強と言われた箕面自由学園が相手でした。
試合の前日、顧問の海津先生は

「強いもんが勝つんやない。勝ったもんが強いんや」と言いました。

クールな岸本先生が試合前に「たのむから勝ってくれ」と泣きながら言いました。

ぼくたちは勇気をもらいました。そして箕面自由学園に勝ちました。

(後の関西決勝での対戦では負けてしまいましたが)

 

勝ったほうが強いんです。

勝負は勝たなあかんのです。
1点でも多く点をとらなあかんのです。

 

勝ちたいです。

 

今はクールな言葉でみなさんに何かを言い伝えることはできないですが、
この感情をしっかり整理して、また2010年度のチャンピオンという目標にむかって
突き進んでいきたいと思います。

 

2009年11月18日

怒りと喜び

NFLのハイライトの番組で「愛と憎しみ」についての特集をやっていました。
フットボールの試合会場では愛と憎しみに充ち溢れている、ってお話。
おもしろかったです。

 

その中で、オフェンスは温和な選手が多くて、ディフェンスは凶暴な選手が多いけど、それは本当か?
という話があって興味深かったです。

 

オフェンスはみんなで息を合わせてプレーするため、冷静に、かつ楽しんでプレーする。
ディフェンスはタックルをする側で、肉食獣が獲物を奪うような心理、つまりう凶暴だ、という説です。

これはぼくもそう思うことがありました。


確かに同じラインの選手ではオフェンスラインは温厚な選手が多く、みんな仲が良くて、
いつもみんなで焼肉屋に行ってるイメージがある。
一方ディフェンスラインは我が強かったり、一匹狼的な選手が多いイメージがある。

KJにこの話をして、「アメリカではどう?」と聞くと、
「まさにそう!アメリカも日本も同じ感じ!」と答えてくれました。

なるほど、って思いましたね。

NFLのハイライトの番組では、オフェンスにも凶暴な性格の選手もわんさかいるし、
いちがいにそうとは言えませんね、ということで終わりましたが、みなさんどう思われますか??

 

さて、今日書きたかったのは、試合をしているときの心理状態について。
これもテレビでやっていていました。
オフェンスはどっちかいうと「楽しむ」、ディフェンスはどっちかいうと「怒り」の感情でプレーしていると。
それについての選手インタビューもおもしろかったです。

 

選手のときはどんな精神状態でプレーするのが一番いいのか?ってことをよく考えました。
ぼくが約10年前、シーガルズに来て驚いたのは、みんな祭りのように楽しんで試合をしてること。
いいプレーがでたらノリノリで、それが連鎖を生んで、ビッグプレーが連発して、とまらなくなる。
そんな試合がこのチームでは理想なんや、と考えていました。

 

一方、ストイックという硬派な考え方のチームもあります。
鹿島の森ヘッドコーチの言葉で、たしか板井さん(現関西大学コーチ、元鹿島の選手)が

コラムで紹介していました。
「私の経験上、怒りという心理状態はとてつもないパワーを発揮する」。たしか、こんな言葉だったと思います。
森さんも板井さんも京都大学出身。
ぼくが大学の時(立命館)の京都大学はまさに怒りのパワーに満ちたチームでした。
そして、ぼくが4年の時、その京都大学に負けました。
強かったですよ。みんな怒り狂ったような眼をしていました。

 

しかし、ぼくがシーガルズに来て考えたのは、それは陰のパワーであり、

シーガルズの陽のパワーにはかなわない、それに陰のパワーで試合をしても楽しくない、

そう考えていました。
(その京都大学をライスボウルで倒したのもリクルートシーガルズでした)

 

2003年の秋、社会人で優勝した翌年のシーズン、ぼくは祭りのような陽のパワーで2連覇を

果たしたかった。試合前には「笑いドリル」というのもやりました。テンションはあがりましたよ。
しかし、大阪の鶴見緑地球技場でアサヒ飲料に敗れました。
何かが足りなかったのです。

 

アメリカンフットボールは特殊なスポーツです。
相手を叩き潰したるっていう「怒りの感情」、多くのフォーメーションやサイン、

アジャストを必要とする「冷静さ」、そしてチームで盛り上がるための「楽しさ」、

いろんな感情を持ち合わせていないといけなくて、どれも重要だと思います。

 

ぼくは現役の時はどちらかというと淡々とプレーしたいたので、もし今プレーできるとするならば、

怒りをむき出しにしてプレーしたいですね。最近よくNFLを見ている影響でしょうか。

しかしQBなんかは怒り狂っては成り立たないポジションです。

やはりポジションによって向いている性格というのがあるのかもしれません。 


「怒り」といえば語弊があるかもしれません。なんといえばいいのでしょうか。
それには昂揚感も含まれていますし、叩きのめしたいとう感情も含まれています。
プレーしている時の、この「怒り」に似た感情と「喜び」の感情は相反するものだと

思っていたのですが、実はこれって同居しているんものなんですよね。

 

何が言いたいのかわからなくなってきましたが、まあ感情をむき出しにしたプレーって
観ていて気持ちがいいものです。

 

たとえば、卓球の福原愛ちゃん。
彼女の試合中の顔、みなさん見たことありますよね。
普段はニコニコ笑顔で、しゃべりかたも超まったりですが、
試合中はマジ怖いです。闘ってる顔です。
かっこええ!って思います。

 

たとえば、ピンチに立たされた野球のピッチャー。
9回裏で1点差でリード。2アウトで満塁。カウントは2ストライク3ボール。
そこで渾身のストレートを投げ、相手は空振りの三振!
そんなときのピッチャーの顔、見たことありますよね。
「よっしゃー!」って顔。
喜んでるというより怒ってるような顔。
かっこええ。

 

かっこええといえば、ぼくが見た、今までで最高のプレーのひとつを紹介します。
何年か前の松下電工戦。場所は長居球技場でした。2004年かな。
ぼくは負傷してサイドラインで見守るしかなかった。
ディフェンスはゴリゴリゲインされていて、ゴール前1ヤードまで攻め込まれていた。
でも、みんな諦めなかった。
そして電工のヒットにめっぽう強いRB粳田さんがボールを持って飛び込んできた。
それに古庄が渾身のタックルを食らわし、ファンブルさせ、ターンオーバー。
オフェンスにボールを渡したんです。


そのプレーの後の古庄のガッツポーズ、正拳突きが5回くらい出たでしょうか。
無意識に出たガッツポーツだったと思います。
古庄はピンチをチャンスに変えた。
その試合は負けてしまいましたが、あれは最高のプレーでした。

 

さて、22日はパナソニック電工戦です。
またまた長居球技場。
最高に楽しみですね。
みんなのプレーが。

古庄をはじめ、みんなが最高のプレーを見せてくれることでしょう。
11月22日は最高の祭りになりますよ。

 

では長居球技場で。
一緒に闘いましょう。

 

2009年11月12日

IBM対パナソニック電工

セカンドステージAブロックのパナソニック電工対IBMの試合を見に行ってきました。
両チームともオービックシーガルズが対戦する相手です。
(IBMとは11月15日(日)に川崎球場で、パナソニック電工とは11月22日(日)に

大阪の長居球技場で対戦します)

 

結果は49-7でパナソニック電工が圧勝しました。

試合の印象は・・・・
パナソニック電工(以下、電工)は強かった。まあ、そんなことは前からわかってることです。
IBMは特にRBやWRの必死さは伝わってきましたが、及ばず大差となりました。

電工は強かった。

チームのメールでは「盤石(ばんじゃく)」という表現が使われました。
ぼくは意味がわからなくて、辞書で調べると
「 重く大きな石。 堅固でしっかりしていてびくともしないこと」とありました。

なるほど。
その通り。

 

で、チーム内では、今、大変盛り上がってます。

強い敵を前にして闘争本能に火がついた、というわけです。

もともと火はついてるので、火に油をそそいだ、と表現したほうが適切でしょうか。

チームメールを通しても、気合がひしひしと感じられます。

 

オービックシーガルズは昨年も一昨年も電工に負けてシーズンを終えています。
僅差ですが、負けました。
その時も気合は入ってた。すごく入ってた。
でも負けた。
それほどの相手です。
「負けた」という字をあまり使いたくありませんが、事実なのでしょうがないです。

ぼくたちの持ってるものの全てを出しきらないと、過去と同じ結果になるでしょう。
でも、持ってるものを全て出したら、オービックシーガルズの勢いは止まらない。
圧勝できると思っています。
そして今、その勢いを感じています。

 

フィールドで戦える選手がうらやましいです。
ぼくはスタンドから見るだけですが、チームの一員として
一緒に戦いたいと思います。

 

選手の気合はもちろん電工にむけてだけではありません。

IBM戦に勝たないことには話になりません。

選手能力もすごいし、奇策も用いるチームです。あなどれません。

 

ぼくがみなさんに是非見ていただきたいのは気合です。

昭和の根性論のようですが、やはり気合を見てほしい。

オービックのシーガルズがIBMをどれだけ気合で上回るか、見てほしいのです。

 

11月15日(日)のIBM戦、みなさん川崎球場に応援に来てください。
気合であふれるチームにさらに気合注入してください。
スタンドでもIBMを圧倒しようじゃありませんか。

川崎球場でお待ちしております。

2009年11月05日

ラグビー観戦

ラグビーのオーストラリア代表ワラビーズ対ニュージーランド代表オールブラックスの試合を

見に行ってきました。
実はラグビーはテレビでしか見たことがなく、生では初観戦。
ラグビーに関してはど素人のぼくでもその2チームが世界のトップクラスであることは知ってます。
それくらい有名ですよね。
そんな試合が日本であるなんて!?こんなチャンスはなかなかないと思い、7000円もする自由席の

切符を買って国立競技場まで足を運んだ、というわけです。 

 

アメフトでいうと、初めて見に行く試合がNFLのスーパーボウル、というレベルなんでしょうね。
とにかく期待していきました。
感想はというと・・・・凄かった。行ってよかった。
無意識に「おおー!」って声を出して叫んでた。試合中ずっと。
試合前、トイレに行きたくて我慢していたのですが、オールブラックスの試合前の

儀式「HAKA」を見てから行こう、いや試合をちょっと見てから行こうと思っていたのですが、

そんなことを忘れてハーフタイムまで行けませんでした。

 

IMG_4576.JPG

▲これがオールブラックスのHAKA。ゾクゾクゾクってきました

 

IMG_4584.JPG

▲ラインアウト。めちゃくちゃ高いです!

 

この試合、ぼくが一番見たかったのは「選手の気合、気迫」です。
両チームとも世界レベルのプロ選手ばかり。

ラグビーに詳しくなくとも、そのテクニックやスピード、パワーあふれるプレーのすごさはわかるでしょう。

でも、ぼくは何より彼らの気迫を感じたかった。

隣国でライバル同士とはいえ、いうなればただの定期戦。
しかも両チームからしてみたら外国の日本での開催です。
しかし、試合は試合。
果たして世界の頂点とも言われるチームの気迫がどんなものなのか気になったのです。

 

試合を見てどうだったか・・・それは想像をはるかに超えるものでした。
えげつない気迫です。それはスタンドの上のほうにいるぼくにズシンと伝わってきました。
なんかね、心のスイッチを押された気がします。
引退してどこかゆるんでいたものが、ビシっとなった。
無性にヒットがしたくなった。
なつかしい感覚でもありました。

 

IMG_4597.JPG

▲試合後、ファンに挨拶をするオールブラックスの選手。かっこいいです

 

Xリーグはアマチュアリーグです。
もちろんオービックシーガルズもアマチュアで選手たちは平日働いています。
しかし、気持ちはプロだと思って取り組んでいますし、それに関しては他競技のどの

プロチームにも負けたくない、と思って取り組んでいるはずです。

 

でも、まだまだ甘いな、と思いました。
スタンドから見てるだけでこんなこと言うと、がんばってる選手には怒られそうですけど、
比べると、やっぱり違います。

NFLの試合は生で見たことがありませんが、おそらく同じ事を感じると思います。

 

今週火曜日は祝日だったので、練習がありました。
ぼくは仕事があったのですが、終わってから顔を出しました。

 

変わってましたよ。

ラグビーのチームと比べるのは難しいかもしれないけど、それまでのオービックシーガルズとは

あきらかに変わっていました。
みんなのプレー、みんなの顔、チームの、フィールドの雰囲気が。

アサヒビールに負ける前もみんな一所懸命やってましたよ。
でも、負けた後で、何かが変わったと思います。

 

11月15日(日)のIBM戦(川崎球場)、そして11月22日(日)のパナソニック電工戦(大阪・長居球技場)、
楽しみにしていてください。