アメフトガイド

試合の流れ(ルール)

実際の試合の流れに沿って、基本的なルールや見方を解説していきます。

試合の流れ 【1】~【20】
【1】コイントス -キックオフするチームを決める
試合開始前のセレモニーでコイントスを行い、審判がトスするコインが表か裏か当てたチームが、陣地をとるか、キックオフのレシーブをとるかを選びます。陣地をとったほうがキックオフを行います。
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【2】キックオフ
自陣30ヤード地点(エンドゾーンからのヤード数)から相手陣に向かってボールをキックオフ。レシーブした選手(リターナー)がタックルされた地点から、レシーブ側が最初の攻撃を始めます。
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【3】スナップからオフェンスが始まる
攻撃(オフェンス)は、センター(C)と呼ばれるオフェンスライン(OL)が、ボールを後ろにスナップしてクォーターバック(QB)に渡すところから始まります。各ポジションの役割や特徴については、こちらをご覧ください。   選手ロスター アメフト用語集
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【4】攻撃はランプレーかパスプレー
攻撃は、「ランプレー」(写真上)と「パスプレー」(写真下)を使い分けます。
ランプレー◇クォーターバックからボールを受けた選手がボールを持って走るプレー。オフェンスラインが走路を確保し、ランニングバック(RB)などがボールを運び前進します。ランナーがタックルされた地点でプレー終了となります。
パスプレー◇1回の攻撃の間に、前に投げるパスは1回しか投げることができません。また、攻撃を始めた地点よりも前に出て投げることはできません。パスが成功した場合は、レシーブした選手がタックルされた地点でプレー終了、パスを失敗したときは元の位置から次の攻撃を始めます。
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【5】1プレーが終了するとハドル
1プレーが終了すると、選手が集まって作戦会議(「ハドル」)をして次のプレーを決め、各選手に伝達します。攻撃側が次のプレーを確認するのは当然ですが、守備側も相手の次のプレーを予想して、作戦を確認します。
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【6】10ヤード以上進むと、ファーストダウン
4回の攻撃で10ヤード以上進むと、新たな攻撃権が獲得できます。これを「ファーストダウン獲得」といいます。(写真上:10ヤード地点にあるヤードチェーンを超え、ファーストダウン獲得)
10ヤードを獲得できずに4回目の攻撃を迎えた場合は、4回目の攻撃は次の3つのプレーから選択します。
選択1◇フィールドゴールを狙う ⇒相手エンドゾーンに近い場合は、ゴールポストの間にボールを蹴り込んで得点(3点)を狙います。(写真中)
選択2◇パントを蹴って陣地挽回 ⇒攻撃権を放棄する(ファーストダウン獲得は諦める)代わりに、次の相手の攻撃を不利にするために相手陣深くまでボールを蹴り込んで陣地を挽回してから攻守交替します。
選択3◇ギャンブルを行う ⇒そのまま攻撃を続行して、ファーストダウン獲得やタッチダウンを狙います。10ヤードに届かなかった場合は、その地点から相手の攻撃になるリスクがあるので、「ギャンブル=賭け」と呼ばれます。試合の終盤で選択されることが多いようです。(写真下)
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【7】パントで攻守交替
選択2のパントの場合は、パントキックされたボールをディフェンス側がキャッチしてリターンします。リターナーをタックルした地点から相手チームの攻撃が始まります。
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【8】タッチダウン!
オフェンスが相手のエンドゾーンまでボールを持ち込んだり(ラグビーようにボールを着地させる必要はありません)、パスしたボールを相手エンドゾーン内でキャッチする(写真)と「タッチダウン」となり、6点が得点されます。
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【9】タッチダウン後のボーナスポイントは1点か2点
タッチダウンすると、ポイントアフタータッチダウンの攻撃をします。相手陣3ヤードの地点(中央に3ヤードラインが引かれています)から、キックをゴール内に蹴り込む(写真)と1点、パスかランでエンドゾーンにボールを持ち込むと2点が追加されます。
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【10】キックオフでプレー再開
ポイントアフタータッチダウンの攻撃が終了したら、タッチダウンしたチームのキックオフでプレーを再開します。
【11】フィールドゴールを決めた後もキックオフ!
フィールドゴール(3点)を決めた後も、決めたチームのキックオフでプレーを再開します。
【12】自陣エンドーンでタックルされると2点献上…セーフティ
攻撃中に、逆に得点されてしまうこともあります。オフェンスが自陣エンドゾーン内でタックルされたり、スナップミスやファンブルなどでプレーが終了することを「セーフティ」といい、ディフェンス側に2点入ります。この場合は、得点されたオフェンス側の、自陣20ヤードからのキックオフでプレーを再開します。
【13】時計が止まるとき
フィールドクロック(時計)が止まるのは主に以下の場合です。
ファーストダウンを獲得したとき / パスを失敗したとき / ボールがサイドラインを出たとき / タイムアウトが取られたとき / 反則があったとき / ケガ人が発生したとき / その他、審判が何かの理由で時計を止めたとき
逆に、以下のようなときには時計は止まっていません。終了間際のかけ引きにも関係してくるところです。
ファーストダウンを獲得できないとき / ランプレーを行ったとき(ランプレーをしてファーストダウンを獲得すれば時計は止まります) / キックオフやフィールドゴールのとき
時計が止まった後、審判が「次の攻撃に入りなさい」という意味のコール( レディー・フォー・プレーという)、例えば「セカンドダウン・セブン(2回目の攻撃・残り7ヤード)!ピッ(ホイッスル)」の後にボールがスナップされたときに時計が動き始めます。いずれにせよ、審判のシグナルを確認しましょう。
・審判が時計を止めるシグナル⇒両手を頭の上で交錯
・審判が時計を動かすシグナル⇒片手を大きくぐるぐる回す
【14】1クォーター(Q)終了で陣地が入れ替わる
1Qの12分(決勝などでは15分)が終了すると陣地が入れ替わります。2Qのプレーは、休憩を挟まず、第1Qが終了した地点からそのまま継続して行います。3Q終了時も、同様に陣地を入れ替えてプレーを続行します。
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【15】1Q・2Qが終了すると15分間のハーフタイム
1Q、2Q計24分の前半(決勝は30分)が終了すると、15分(決勝は20分の場合もある)のハーフタイムとなります。通常、選手はいったん控え室に引き揚げ、フィールドではチアリーダーや大会主催者によるハーフタイムショーが行われます。
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【16】後半の3Qもキックオフでスタート
後半の3Qは、試合開始時にレシーブを選択したチームのキックオフでプレーを再開します。3Qが終了したら、また陣地を入れ替え、プレーを続行します。
【17】タイムアウトは前半(1、2Q)3回、後半(3、4Q)3回
各チーム前・後半3回ずつタイムアウト(1分30秒)を取ることができます。通常は、オフェンス、ディフェンスそれぞれが作戦を確認するために使います。まれに、審判が判定などのためにタイムアウトをとることがあります(レフリー・タイムアウト)。
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【18】一番白熱する4Q!
接戦の場合、最終の4Qにはさまざまなドラマが待っています。残り時間や残りのタイムアウト数、陣地などに注意しながら、自分だったらどんな攻撃をするか、イメージしながら観戦するとなかなか面白いです。
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【19】終了間際、ニーダウンで勝利のカウントダウン!
第4Qも残りわずか。勝っていてオフェンスの場合、無用な攻撃をするよりも、 どんどん時間を使って終わらせてしまうことがあります。クォーターバックがスナップされたボールを受けて、そのまま膝をついてボールをデッドにする-これを「ニー(膝)ダウン」といいます。ランプレーとみなされるため、時計は止まらずどんどん進み、いよいよ勝利のカウントダウン! 「3、2、1、0、ピピー!(試合終了のホイッスル)」。最高の気分です!
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【20】試合終了は審判のホイッスル
残り時間が0秒になったところで、ホイッスルで審判が試合終了の宣告をして試合が終わります。同点の場合、Xリーグのリーグ戦では引き分けとなり、ファイナル6以降はトーナメントなので、延長戦(タイブレーク方式 / 後述)を行って勝者を決します。
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反則が発生したときは“黄色いフラッグ”
反則(ペナルティ)が発生したときは、発生した地点に審判が“黄色いフラッグ”(写真)を投げ、反則をされた側が有利になるような罰則が行われます。たとえば……
オフサイド◇攻撃が始まるより前に、ディフェンスの選手がニュートラルゾーンに入ってしまう ⇒ディフェンスが5ヤードの罰退(後ろに下がる)
クリッピング◇オフェンスの選手が、ディフェンスの選手の背後からブロックする ⇒オフェンスが10ヤードの罰退
ホールディング◇オフェンスの選手が犯しやすい反則。相手チームの選手をホールド(手と腕を使って捕まえる)して動きを止めてしまう ⇒反則した側が10ヤードの罰退
パスインターフェア◇クォーターバックが投げたパスをレシーブしようとした選手の体に、ディフェンス側の選手が触れてパスレシーブを妨害してしまう ⇒ディフェンスが15ヤードの罰退
ディレイ・オブ・ザ・ゲーム◇ボールデッドから40秒以内、または審判のレディー・フォー・プレーから25秒以内に次の攻撃が行われない⇒オフェンスが5ヤードの罰退
アメフト用語集 フラッグマークの箇所(反則)
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サイドラインを見よう!
サイドラインを行ったり来たりしている2本のオレンジ色のマークは、1回目の攻撃地点と、そこから10ヤードの位置を指しているヤードチェーンです。数字を書いた四角いボックス(ダウンボックス)が立っているところが現在のボールの位置で、何回目の攻撃かを表しています。(写真:右端のヤードチェーン手前に4を示すダウンボックスがあり、4回目の攻撃でパントを蹴っているところ) sideline.jpg
スコアボードには情報がいっぱい
得点経過はクォーター毎に表示され、現在のダウン数(何回目の攻撃か)、新たな攻撃権を獲得するまでに必要な前進距離(TO GO)、ボールの位置(BALL ON)などが示されます。フィールドクロックは、そのクォーターの残り時間をカウントダウン表示しています。(写真:現在、第3Qで残り11分32秒。法政大学の第4回目の攻撃中。ファーストダウン獲得まで残り3ヤードでボールは42ヤード地点。タイムアウト(T.O.)は両チームともあと3回取れる) score.jpg
エンドゾーンの奥にある40秒計
両エンドゾーンの奥には「40秒計」があり、ボールデッドから攻撃を始めるまでを40秒からカウントダウンしていきます。オフェンスチームは、0秒になるまでにプレーを始めないと反則となり、5ヤード罰退してダウンをやり直すことになります(ディレイ・オブ・ザ・ゲーム)。ただし、試合開始時、反則、タイムアウト、メジャーメント、トライフォーポイントの後に限り、審判のコール(レディー・フォー・プレー)から25秒のカウントとなります。 40clock.jpg
試合終了時に同点だったら、どうなる?
試合終了時点で両チームの得点が同じだったらどうなるのか? これは、アメリカンフットボールのみならず、他の多くの競技でも「悩ましい」問題です。「決着をつけてしまいたい」のは、チーム側だけでなくファンにとっても当然のこと。しかし、テレビ放送があったり、同じ会場で次の試合があったりする場合など、運営上、悩ましい問題が残ります。そのようなわけで、サッカーでもPK戦や、延長にしてサドンデス(どちらかが得点したら終わり)にしたり、野球でも引き分けや再試合にしたり、といろいろな対応をしています。
Xリーグは、リーグ戦では引き分け、ファイナルステージはトーナメントなので延長戦を「タイブレーク方式」で行って必ず勝者を決めています。Xリーグのタイブレーク方式は-
1)コイントスで先攻、後攻を決める
2)先攻になったチームは、ゴール前25ヤード地点から攻撃を開始
3)あとは通常と同じ。4回の攻撃でファーストダウンを獲得すれば、新たな攻撃権を獲得
4)先攻チームの攻撃が終了したら、後攻チームの攻撃に移る
5)この「先攻」「後攻」の1セットで得点が多いほうが勝ちとなる
6)得点も通常と同じで、「フィールドゴール(FG)=3点」「タッチダウン=6点」「トライフォーポイント=1点(キック)または2点(プレー)」。
“ゴール前25ヤードからの攻撃”というのがミソです。“2回のファーストダウン(=20ヤード超前進)でゴール前5ヤード”となる「ボールの位置」を考慮する必要があります。つまり、サードダウンのときに、ファーストダウン獲得まで数ヤードを残している場合、FGを蹴るか、ギャンブルを敢行するかの選択を強いられるわけです。先攻の場合、もしそこでFGを蹴って成功すると3点取れますが、その後、後攻のチームがタッチダウンすると6点取られ、そこで試合終了、負けとなります。自チームの守備・攻撃の状態、ゴール前での攻防、選手に残された体力などなど、様々なことを考えて作戦を考えなければなりません。
基本的には、「後攻」が有利とされています。なぜなら、「先攻」の得点結果(0点、3点、6点、7点、8点)がわかっているため、攻めやすいからです。ただし、最大8点を追いかけることになるので、心理的にはプレッシャーがかかります。いずれにせよ、コーチ陣のクレバーさと選手の集中力が試されることは間違いありません。

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